トップ
>
雲間
>
くもま
ふりがな文庫
“
雲間
(
くもま
)” の例文
旅人なら、
夕陽
(
ゆうひ
)
の光がまだ、
雲間
(
くもま
)
にあるいまのうちに早くどこか、
人里
(
ひとざと
)
までたどり
着
(
つ
)
いておしまいなさい——と願わずにいられない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さてその内に
豪雨
(
ごうう
)
もやんで、青空が
雲間
(
くもま
)
に見え出しますと、恵印は鼻の大きいのも忘れたような顔色で、きょろきょろあたりを見廻しました。
竜
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それでいて、顔はふしぎに白く
輝
(
かがや
)
いていました。まるで、
雲間
(
くもま
)
にかくれたお月さまの弱い光に
照
(
て
)
らされているようでした。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
雲間
(
くもま
)
からもれた
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
がさびしく、
波
(
なみ
)
の
上
(
うえ
)
を
照
(
て
)
らしていました。どちらを
見
(
み
)
ても
限
(
かぎ
)
りない、ものすごい
波
(
なみ
)
が、うねうねと
動
(
うご
)
いているのであります。
赤いろうそくと人魚
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
屋根は高く微かに
雲間
(
くもま
)
に溶け込み、その微光は、月が、分けようとしてゐる水蒸氣に與へるやうな光であつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
▼ もっと見る
しばしありてその岩に
手鞠
(
てまり
)
ほどに
光
(
ひか
)
るもの二ツ
双
(
なら
)
びていできたり、こはいかにとおもふうちに、月の
雲間
(
くもま
)
をいでたるによくみれば岩にはあらで大なる
蝦蟇
(
ひきがひる
)
にぞありける。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
日の光
雲間
(
くもま
)
をわけてあざやかに
映
(
さ
)
す花の野を、わが目
嘗
(
かつ
)
て陰に蔽はれて見しことあり 七九—八一
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
國府津
(
こふづ
)
で
下
(
お
)
りた
時
(
とき
)
は
日光
(
につくわう
)
雲間
(
くもま
)
を
洩
(
も
)
れて、
新緑
(
しんりよく
)
の
山
(
やま
)
も、
野
(
の
)
も、
林
(
はやし
)
も、
眼
(
め
)
さむるばかり
輝
(
かゞや
)
いて
來
(
き
)
た。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
弓弭
(
ゆはず
)
の
清水
(
しみず
)
を
掬
(
むす
)
んで、弓かけ松の下に立って眺める。
西
(
にし
)
は
重畳
(
ちょうじょう
)
たる磐城の山に
雲霧
(
くもきり
)
白く
渦
(
うず
)
まいて流れて居る。東は太平洋、
雲間
(
くもま
)
漏
(
も
)
る夕日の
鈍
(
にぶ
)
い
光
(
ひかり
)
を浮べて唯とろりとして居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
鋳物
(
いもの
)
の香炉の
悪古
(
わるふる
)
びに
玄
(
くす
)
ませたると、
羽二重
(
はぶたへ
)
細工の
花筐
(
はなかたみ
)
とを床に飾りて、
雨中
(
うちゆう
)
の富士をば
引攪旋
(
ひきかきまは
)
したるやうに落墨して、金泥精描の
騰竜
(
のぼりりゆう
)
は
目貫
(
めぬき
)
を打つたるかとばかり
雲間
(
くもま
)
に
耀
(
かがや
)
ける
横物
(
よこもの
)
の一幅。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
町子
(
まちこ
)
は
醉
(
よい
)
ごゝち
夢
(
ゆめ
)
のごとく
頭
(
あたま
)
をかへして
背後
(
うしろ
)
を
見
(
み
)
るに、
雲間
(
くもま
)
の
月
(
つき
)
のほの
明
(
あか
)
るく、
社前
(
しやぜん
)
の
鈴
(
すゞ
)
のふりたるさま、
紅白
(
こうはく
)
の
綱
(
つな
)
ながく
垂
(
た
)
れて
古鏡
(
こきよう
)
の
光
(
ひか
)
り
神
(
かみ
)
さびたるもみゆ、
夜
(
よ
)
あらしさつと
喜連格子
(
きつれがうし
)
に
音
(
おと
)
づるれば
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
さよふけて
雲間
(
くもま
)
の月の影みれば袖に知られぬ霜ぞおきける
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
此時
(
このとき
)
、
太陽
(
たいよう
)
は
雲間
(
くもま
)
を
洩
(
も
)
れて
赫々
(
かく/\
)
たる
光
(
ひかり
)
を
射出
(
いゝだ
)
した。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
五
雲間
(
くもま
)
に
昇
(
のぼ
)
りし
昨日
(
きのう
)
の
月影
(
つきかげ
)
七里ヶ浜の哀歌
(新字新仮名)
/
三角錫子
(著)
はつかにも
断
(
き
)
れし
雲間
(
くもま
)
に
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
あすは
雲間
(
くもま
)
に隠るゝを
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
雲間
(
くもま
)
の塔は笑ふべし
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
高
(
たか
)
き
雲間
(
くもま
)
に
宿
(
やど
)
りけり
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
するとこのとき、
雲間
(
くもま
)
から
月
(
つき
)
が
出
(
で
)
て、おたがいに
顔
(
かお
)
と
顔
(
かお
)
とがはっきりとわかりました。たちまち
妙
(
みょう
)
な
男
(
おとこ
)
は
大
(
おお
)
きな
声
(
こえ
)
で
電信柱と妙な男
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
あすは
雲間
(
くもま
)
に隱るゝを
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
その時
雲間
(
くもま
)
より
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
曙
(
あけぼの
)
の
雲間
(
くもま
)
から
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
正吉
(
しょうきち
)
の
家
(
いえ
)
は、
急
(
きゅう
)
に
晴
(
は
)
れ
晴
(
ば
)
れとしてきました。
曇
(
くも
)
った
日
(
ひ
)
に、
雲間
(
くもま
)
から
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
が
射
(
さ
)
したように
明
(
あか
)
るくなってきました。
幸福のはさみ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
木枯
(
こが
)
らしの
吹
(
ふ
)
く
夜
(
よる
)
のことです。
地
(
ち
)
の
上
(
うえ
)
には、二、三
日
(
にち
)
前
(
まえ
)
に
降
(
ふ
)
った
大雪
(
おおゆき
)
がまだ
消
(
き
)
えずに
残
(
のこ
)
っていました。
空
(
そら
)
には、きらきらと
星
(
ほし
)
が、すごい
雲間
(
くもま
)
に
輝
(
かがや
)
いていました。
海からきた使い
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
たとえば、
雪
(
ゆき
)
や、あらしと
戦
(
たたか
)
い、けっしてまけずに、
昼
(
ひる
)
は
小鳥
(
ことり
)
の
声
(
こえ
)
を
聞
(
き
)
き、
夜
(
よる
)
は
雲間
(
くもま
)
の
星
(
ほし
)
と
語
(
かた
)
るこの
松
(
まつ
)
を、どうして、
不幸
(
ふこう
)
といいきれるだろうかとも
思
(
おも
)
いました。
雲のわくころ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
は、おりおり
雲間
(
くもま
)
から
顔
(
かお
)
を
出
(
だ
)
して、
下
(
した
)
の
世界
(
せかい
)
を
照
(
て
)
らしましたけれど、その
光
(
ひかり
)
を
頼
(
たよ
)
りに
歩
(
ある
)
いてゆくには、あたりが
真
(
ま
)
っ
白
(
しろ
)
で、
方角
(
ほうがく
)
すらわからなかったのであります。
春になる前夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
月
(
つき
)
が、
雲間
(
くもま
)
からもれて
波
(
なみ
)
の
面
(
おもて
)
を
照
(
て
)
らしたときは、まことに
気味悪
(
きみわる
)
うございました。
赤いろうそくと人魚
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そして
太陽
(
たいよう
)
が、たまたま
雲間
(
くもま
)
から
出
(
で
)
て、
暖
(
あたた
)
かな
顔
(
かお
)
つきで、
晴
(
は
)
れ
晴
(
ば
)
れしくこの
真
(
ま
)
っ
白
(
しろ
)
い
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
をながめますときは、おじいさんは、こまどりのはいっているかごをひなたに
出
(
だ
)
してやりました。
こまどりと酒
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
古酒
(
こしゅ
)
のつぼが
並
(
なら
)
べられてあり、
美
(
うつく
)
しい
女
(
おんな
)
は、
花
(
はな
)
のように
御殿
(
ごてん
)
にいて
王
(
おう
)
さまのお
相手
(
あいて
)
をして、
琴
(
こと
)
や、
笛
(
ふえ
)
や、
妙
(
たえ
)
なる
鳴
(
な
)
り
物
(
もの
)
の
音
(
ね
)
と
朗
(
ほが
)
らかな
歌
(
うた
)
の
声
(
こえ
)
は、
夜
(
よる
)
となく
昼
(
ひる
)
となく、
雲間
(
くもま
)
に
洩
(
も
)
れたのであります。
北海の白鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
おりおり
寒
(
さむ
)
い
風
(
かぜ
)
に
吹
(
ふ
)
かれて、
小
(
ちい
)
さな
体
(
からだ
)
が
凍
(
こご
)
えるようでありましたが、一
日
(
にち
)
一
日
(
にち
)
と、それでも
雲
(
くも
)
の
色
(
いろ
)
が、だんだん
明
(
あか
)
るくなって、その
雲間
(
くもま
)
からもれる
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
が
野
(
の
)
の
上
(
うえ
)
を
暖
(
あたた
)
かそうに
照
(
て
)
らすのを
見
(
み
)
ますと
いろいろな花
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
雲
常用漢字
小2
部首:⾬
12画
間
常用漢字
小2
部首:⾨
12画
“雲間”で始まる語句
雲間縁
雲間草
雲間紅日影蝶