野路のぢ)” の例文
築山陰つきやまかげ野路のぢを写せるこみちを行けば、蹈処無ふみどころなく地をくずの乱れひて、草藤くさふぢ金線草みづひき紫茉莉おしろいの色々、茅萱かや穂薄ほすすき露滋つゆしげ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
二足にそくつかみの供振ともぶりを、見返みかへるおなつげて、憚樣はゞかりさまやとばかりに、夕暮近ゆふぐれぢか野路のぢあめおもをとこ相合傘あひあひがさ人目ひとめまれなる横※よこしぶきれぬききこそいまはしも
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
したはぎ桔梗ききやうすゝきくず女郎花をみなへし隙間すきまなくいたうへに、眞丸まんまるつきぎんして、其横そのよこいたところへ、野路のぢ空月そらつきなかなる女郎花をみなへし其一きいちだいしてある。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
駕籠かごなんぞに窮屈きうくつおもひをしてつてゐるよりは、かる塵埃ほこり野路のぢをば、薄墨うすずみかすんだ五月山さつきやまふもと目當めあてにあるいてゐたはうが、どんなにたのしみかれなかつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
はる野路のぢをガタ馬車ばしやはしる、はなみだれてる、フワリ/\と生温なまぬるかぜゐてはなかほりせままどからひとおもてかすめる、此時このとき御者ぎよしや陽氣やうき調子てうし喇叭らつぱきたてる。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
路傍みちのべの柳は折る人の心にまかせ、野路のぢの花は摘むぬし常ならず、數多き女房曹司の中に、いはばうきくさの浮世の風に任する一女子の身、今日は何れの汀に留まりて、明日あすは何處の岸に吹かれやせん。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
一羽出ていつかちらばるむら雀野路のぢも寒みか尾にうごきつつ (一三九頁)
文庫版『雀の卵』覚書 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
1、線は夕暁のする野路のぢをゆく少女の右腕の内側のうぶ毛のそよぎ。
大きなる庭石曳きて京に入る牛にも逢ひつ大原の野路のぢ
閉戸閑詠 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
野路のぢ戀路こひぢにあらねども
草わかば (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
落ちてまるゝ野路のぢの梅
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
こめたりける此所は名におふ周智郡すちごほり大日山のつゞき秋葉山の絶頂ぜつちやうなれば大樹だいじゆ高木かうぼく生茂おひしげり晝さへくら木下闇このしたやみ夜は猶さらに月くら森々しん/\として更行ふけゆく樣に如何にも天魔てんま邪神じやしん棲巣すみかとも云べきみねには猿猴ましらの木傳ふ聲谷には流水滔々たう/\して木魂こだまひゞき遠寺ゑんじかねいとすごく遙に聞ば野路のぢおほかみほえて青嵐颯々さつ/\こずゑ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あゐあさきよひそら薄月うすづきりて、くも胡粉ごふんながし、ひとむらさめひさしなゝめに、野路のぢ刈萱かるかやなびきつゝ、背戸せど女郎花をみなへしつゆまさるいろで、しげれるはぎ月影つきかげいだけり。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
宗助そうすけ加減かげんころ見計みはからつて、丁寧ていねいれいべてもとせきふくした。主人しゆじん蒲團ふとんうへなほつた。さうして、今度こんど野路のぢそら云々うん/\といふ題句だいくやら書體しよたいやらにいてかたした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
犬のほえ近き月夜の野路のぢの霧誰かころろと歩みかへしつ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
犬のほえ近き月夜の野路のぢの霧誰かころろと歩みかへしつ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
末より野路のぢににほひぬ。
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)