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走
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は
ふりがな文庫
“
走
(
は
)” の例文
三が日の
晴着
(
はれぎ
)
の
裾
(
すそ
)
踏み開きて
走
(
は
)
せ来たりし小間使いが、「御用?」と手をつかえて、「
何
(
なん
)
をうろうろしとっか、
早
(
はよ
)
玄関に行きなさい」
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
あわてて二階へ
走
(
は
)
せ上って、かいがいしく雨戸を繰りはじめましたが、兵馬はなにげなく二階を見上げますと、いま戸を立てた女は
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
中にも堀部安兵衛は、大石と離れてさえ決行しようとしていただけに、明くる朝すぐに
発足
(
ほっそく
)
して、
潮田
(
うしおだ
)
又之丞とともに江戸に
走
(
は
)
せ下った。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
今
(
いま
)
しも
船首甲板
(
せんしゆかんぱん
)
に
於
(
お
)
ける
一等運轉手
(
チーフメート
)
の
指揮
(
しき
)
の
下
(
した
)
に、はや一
團
(
だん
)
の
水夫等
(
すいふら
)
は
捲揚機
(
ウインチ
)
の
周圍
(
しゆうゐ
)
に
走
(
は
)
せ
集
(
あつま
)
つて、
次
(
つぎ
)
の一
令
(
れい
)
と
共
(
とも
)
に
錨鎖
(
べうさ
)
を
卷揚
(
まきあ
)
げん
身構
(
みがまへ
)
。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
寧子は西の空へ想いを
走
(
は
)
せた。長浜を落ちる前夜、あわただしく一書をかいて中国の良人へ持たせてやった使いの消息もあれきりだった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
通胤はとっさに
走
(
は
)
せ寄り、男の裂き捨てた紙片を拾うと、人々から離れて、道ばたの杉の巨木の
蔭
(
かげ
)
へはいり、手早く紙片をつぎ合せてみた。
城を守る者
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
五銭の飛びのりがまず
大快楽
(
おおたのしみ
)
なり。車夫は水をまきはてて夕方のけしきをうっかりと見ている目の前へ。ガラガラガラと
走
(
は
)
せくる一
輛
(
りょう
)
の人力車。
藪の鶯
(新字新仮名)
/
三宅花圃
(著)
若僧はもの言いもてなお下手に歩み出づる時、あわただしげに
走
(
は
)
せ来たれる僧徒妙海と妙源とに行きあう。四者
佇立
(
ちょりつ
)
。
道成寺(一幕劇)
(新字新仮名)
/
郡虎彦
(著)
そうして写生文の方には初めは俳句の側のものばかりであったが、中頃から和歌の側のものも
走
(
は
)
せ参じてあたかも両者が半分位ずつの割合となった。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
紅葉
(
もみじ
)
火のごとく燃えて
一叢
(
ひとむら
)
の竹林を照らす。ますます奥深く分け入れば村
窮
(
きわ
)
まりてただ渓流の水清く樹林の陰より
走
(
は
)
せ
出
(
い
)
ずるあるのみ。帰路
夕陽
(
せきよう
)
野にみつ
小春
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
彼の
面
(
おもて
)
は
嬉々
(
きゝ
)
と輝きつ、
髯
(
ひげ
)
の氷打ち払ひて、雪を
蹴
(
け
)
つて
小児
(
こども
)
の如く
走
(
は
)
せぬ、伯母の家は
彼
(
か
)
の山角の陰に在るなり
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
ニナール姫は、さういふが早いか、足で一つ、ブレツのお
腹
(
なか
)
をポンとけると、矢のやうに、向ふに高くそびえるギンガン
嶺
(
れい
)
の方をさして、
走
(
は
)
せ去りました。
ラマ塔の秘密
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
毛利の方でも、
一寸
(
ちょっと
)
迷ったが例の小早川
隆景
(
たかかげ
)
、秀吉の大量を知って、此上戦うの不利を説いたので、秀吉後顧の憂いなくして京師に
走
(
は
)
せ上ることが出来た。
山崎合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
すると、包囲線をめがけて
走
(
は
)
せて来る汚れた短衣や、縁なし帽がバタバタ人形をころばすようにそこに倒れた。
パルチザン・ウォルコフ
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
中隊長は指揮刀を幾度か動かそうとして
躊躇
(
ちゅうちょ
)
した。そして遂に、その多数の黒影が、百
米突
(
メートル
)
あまりに近づいたとき、斥候の一人が
走
(
は
)
せ戻って来て報告した。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
これらすべての色彩が、おのおの速度を異にして、入り乱れ、
走
(
は
)
せちがい、流動するがごとくに動くのである。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
だがそれは、自分たちが始めて考え出したことだと思ってはいけない。このわしもやはり夢をみたり、思いを
走
(
は
)
せたり、
憧
(
あこが
)
れをいだいたりしたことがある。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
生命の次ほど大変なことに思っていたこと故、見舞いに
走
(
は
)
せ附けた人たちをば非常にまた
悦
(
よろこ
)
んだものである。
幕末維新懐古談:16 その頃の消防夫のことなど
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
何處からともなく吹きまくつて來る一陣の
呵責
(
かしやく
)
の暴風に胴震ひを覺えるのも瞬間、自らの
折檻
(
せつかん
)
につゞくものは
穢惡
(
あいあく
)
な凡情に
走
(
は
)
せ使はれて安時ない無明の長夜だ。
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
エレーン! 放せってば! (振りもぎって、舞台へ
走
(
は
)
せ入り、きょろきょろとセレブリャコーフを捜す)
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
やがて金眸が
首級
(
くび
)
を噬み切り、これを文角が角に着けて、そのまま山を
走
(
は
)
せ
下
(
くだ
)
り、
荘官
(
しょうや
)
が家にと急ぎけり、かくて黄金丸は主家に帰り、
件
(
くだん
)
の金眸が
首級
(
くび
)
を奉れば。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
三浦、上総の両介はすぐに支度を整えて東国に
走
(
は
)
せ下った。泰親はかさねて屋敷のうちに調伏の壇をしつらえた。泰忠その他の弟子たちも壇にのぼる人になった。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
昔、乃木将軍の幕僚として日露の役に
走
(
は
)
せ参じ帰って来てから軍服で高座へ押し上がり、「突貫」や「凱旋」という時局落語に一躍人気者となってしまったこの人。
随筆 寄席風俗
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
刑事や警官が扉の前に
走
(
は
)
せ集って来た。扉はドーンと開く。松ヶ谷学士は先頭になって飛び込んだ。
国際殺人団の崩壊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と嘘を
遣
(
つか
)
い、人を
走
(
は
)
せて其の筋へ届け、
御検屍
(
ごけんし
)
もすんで
家
(
うち
)
に引取り、何事もなく村方へ野辺の送りをしてしまいましたが、伴藏が殺したと気が付くものは有りません。
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
葉子の心のすみからすみまでを、
溜飲
(
りゅういん
)
の下がるような小気味よさが小おどりしつつ
走
(
は
)
せめぐった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
自分の偉人の行動を論議することをみずから
肯
(
がえん
)
じなかったとはいえ、その晩、晴れやかな顔付と輝かしい考えしか存すべからざる時に、氏がそういう厭なことに思いを
走
(
は
)
せたのは
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
息苦しさとに堪えかね、わたくしは出口を求めて自動車の
走
(
は
)
せちがう広小路へ出た。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
雨戸
(
あまど
)
引きあけると、何ものか影の如く
走
(
は
)
せ
去
(
さ
)
った。白は後援を得てやっと
威厳
(
いげん
)
を恢復し、二足三足あと
追
(
おい
)
かけて
叱
(
しか
)
る様に吠えた。野犬が肥え太った白を豚と思って喰いに来たのである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
見聞いたすべく、ニールの彼方まで
走
(
は
)
せ参じようと存じて居るのでございます。
青白き公園
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
そういう駒に打ち乗って、丹生川平の男達が、今や丘から
走
(
は
)
せ下り、森林の中を突破して、宮川茅野雄と醍醐弦四郎とが、切り合っている曠野の方へ、無二無三に押し出そうとしている。
生死卍巴
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あくる日、
匇々
(
さうさう
)
筆を取つて一首のソネツトを得、使を
走
(
は
)
せて晩翠君に送りぬ。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ケプラーが大公からの書類をもって
走
(
は
)
せつけて助けたというのが終末です。
獄中への手紙:10 一九四三年(昭和十八年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
その晩は例の竹が、枕元で
婆娑
(
ばさ
)
ついて、寝られない。
障子
(
しょうじ
)
をあけたら、庭は一面の草原で、夏の夜の
月明
(
つきあきら
)
かなるに、眼を
走
(
は
)
しらせると、垣も
塀
(
へい
)
もあらばこそ、まともに大きな草山に続いている。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
這
(
こ
)
は如何にとて皆々
走
(
は
)
せまどひ、
御酒肴
(
ごしゅこう
)
取りあへず奥座敷に
請
(
しょう
)
じ参らするうち、妾も化粧をあらためて御席にまかり出で侍りしが、
彼
(
か
)
の御仁体を
見奉
(
みたてまつ
)
るに、半面は焼け
爛
(
ただ
)
れて
偏
(
ひと
)
へに土くれの如く
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
汽車はおおらかな野原の傾斜を素直ぐに
走
(
は
)
せ下ってゆく。
みなかみ紀行
(新字新仮名)
/
若山牧水
(著)
夫人の想いは、遠く夫君の胸に
走
(
は
)
せているのであった。
葵原夫人の鯛釣
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
「あらまア! あんないたずらを」と娘は
走
(
は
)
せよッて
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
またたく間に、山ノ宿から
走
(
は
)
せつけた、田圃の小家——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
慎九郎はたたらを踏んで、焔の外側を
走
(
は
)
せめぐった。
討たせてやらぬ敵討
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
牡丹に唐獅子竹に
虎
(
とら
)
虎
(
とら
)
追ふて
走
(
は
)
しるは
和藤内
(
わとうない
)
。
住吉祭
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
大日輪の
走
(
は
)
せ
𢌞
(
めぐ
)
る氣重き
虚空
(
こくう
)
鞭うつて
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
淺瀬に
走
(
は
)
せ散る鮎と見えて
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
こういうかけ声をしながら、息せききって
走
(
は
)
せつけて来るものがあるのですから、源松は、その行手を
慮
(
おもんぱか
)
らないわけにはゆきません。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「もうお帰りのころであろうに」玉日は、
黄昏
(
たそが
)
れになると、草庵の
廂
(
ひさし
)
から夕雲をながめて、旅にある
良人
(
おっと
)
の上へ、うっとりと心を
走
(
は
)
せた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼女は、一郎を抱き上げて家の中へ
走
(
は
)
せこんだ。竹三郎は磨いた
煙槍
(
エンチャン
)
をくわえて、赤毛布の上に横たわり、
酒精
(
アルコール
)
ランプを眺めながら、恍惚状態に這入ろうとしていた。
武装せる市街
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
そういう其村君のような人も門下生の一人として集まって来たという事が如何に当時各種の人が居士の門下に
走
(
は
)
せ集まったかという事を物語るに足ると考えたからである。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「姉さんですか」剛一は自転車を投じて
走
(
は
)
せ寄れり、梅子はヒシと
抱
(
いだ
)
き着きぬ「剛さん——」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
初めて知るわが身の
素性
(
すじょう
)
に、
一度
(
ひとたび
)
は驚き一度は悲しみ、また一度は
金眸
(
きんぼう
)
が非道を、
切歯
(
はぎしり
)
して怒り
罵
(
ののし
)
り、「かく聞く上は一日も早く、彼の山へ
走
(
は
)
せ登り、
仇敵
(
かたき
)
金眸を
噬
(
か
)
み殺さん」
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
苦痛と、いうべからざるいたましき
臭
(
か
)
のために、武男が目は閉じぬ。人のうめく声。物の燃ゆる音。ついで「火災! 火災! ポンプ用意ッ!」と叫ぶ声。同時に
走
(
は
)
せ来る足音。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
走
常用漢字
小2
部首:⾛
7画
“走”を含む語句
御馳走
競走
馳走
一走
帆走
突走
師走
疾走
走馬燈
脱走
奔走
小走
矢走
走狗
須走
快走艇
駛走
石走
走行
逃走
...