草葉くさば)” の例文
からすかないはあれど、草葉くさばかげで……」ばあさんが自分じぶんこゑつてとき勘次かんじはぼろ/\となみだこぼした。おつぎもそつとなみだぬぐつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「お母さんもさだめて、草葉くさばの蔭とやらで、お心残りでございましょう。御病気でおなくなりになったのでございますか」
妹はたきをするたきぎや、野菜やさいがわりにつかう草葉くさばをさがしてきたり、おなべを火にかけたりしました。
かはらぬちぎりのれなれや千年せんねん松風しようふう颯々さつ/\として血汐ちしほのこらぬ草葉くさばみどりれわたるしもいろかなしくらしだすつき一片いつぺんなんうらみやとぶらふらん此處こゝ鴛鴦ゑんあうつかうへに。
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
草葉くさばつゆえてしまはねばならぬのであるから成敗せいばいもとより豫期よきがたいが、出來得できうけの手段しゆだんつくさねばならぬとかんがへたので、つひけつして、吾等われらこの急難きふなんをば
さしてぞ急ぎゆくに人間の一生は敢果はかなき事草葉くさばおけつゆよりもなほもろしとかや如何に貧苦ひんくせめられても親子諸共もろともくるしまば又よき事も有べきに別れ/\にならや子の手柏てがしは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
禪師ぜんじ見給みたまひて、やがて禪杖ぜんぢやうとりなほし、作麽生そもさん何所爲なんのしよゐぞと一喝いつかつして、かれかうべうちたまへば、たちまちこほり朝日あさひふがごとせて、かの青頭巾あをづきんほねのみぞ草葉くさばにとゞまりける。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
んだとしんずることができず、どこかみなみもないしまにでもきているようながして、きょうまではかない希望きぼうをつないでいるのではあるが、もしせがれが、草葉くさばのかげにねむるとしたら
雲と子守歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あゝ淺ましき御一門の成れのはて草葉くさばの蔭に加何に御覽ぜられ候やらん。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
草やま草葉くさばみどりに匂ひなび
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
以て亡庄兵衞が草葉くさばかげの追善にさへなりますやう御はからひこそ願はしけれと申し上るに忠相たゞすけぬし承知しながら此方に向かひ小西屋長左衞門代忠兵衞其方々にては此お光を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つらねてきしはそもいつのゆめになりて精靈棚しやうりやうだなこものうへにもおもてだちてはまつられずさりとてはなかうらめしゝつきあき草葉くさばもろ白玉しらたまつゆこたへてえかぬる
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
はるながらえるまで、かげ草葉くさばうらく。ひかりすのでかさつて引被ひつかぶつて、あし踏伸ふみのばして、ねむりかけるとニヤゴー、きそれが耳許みゝもとで、小笹こざさくのがきこえた。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其處そこ病上やみあがりと風采とりなり中形ちうがた浴衣ゆかたきよらかな白地しろぢも、よる草葉くさばくもる……なよ/\とした博多はかた伊達卷だてまき姿すがたで、つひぞないことにはた。とき美人びじん雪洞ぼんぼりつてたのである。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
無住むぢうにもて置れず我思ふには年こそゆかねど寶澤は七歳の時より感應院が手元てもとにて修行しゆぎやうせし者なりことには外の子供とちが發明はつめいなる性質せいしつにて法印ほふいん眞似事まねごと最早もはや差支さしつかへなし我等始め村中が世話せわしてやらば相續さうぞくとして差支さしつかへなしすれば先住せんぢう感應院に於てもさぞかし草葉くさばかげより喜び申すべし此儀如何とのべければ名主なぬしどのゝ云るゝ事なり寶澤は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)