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脅
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おど
ふりがな文庫
“
脅
(
おど
)” の例文
と言つたやうなたよりない話です、どうかしたら、薄々事情を知つてゐても、うんと
脅
(
おど
)
かされて物を言へなかつたのかも知れません。
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
父はもう片足の
下駄
(
げた
)
を手に取っていた。そしてそれで母を撲りつけた。その上、母の
胸倉
(
むなぐら
)
を
掴
(
つか
)
んで、
崖下
(
がけした
)
に
衝
(
つ
)
き落すと母を
脅
(
おど
)
かした。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
今まで気もつかなかった、変に
捻
(
ねじ
)
けた自我がそこに発見された。葉子を
脅
(
おど
)
かすようなことも時には熱情的に書きかねないのであった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
呼びかけ、
挑
(
いど
)
みかけ、
脅
(
おど
)
しつける——しかし「もう一つの」は、きまった時間にでなければ
応
(
こた
)
えない。で、それも答えるのではない。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
「ふん、海賊のおきまりの
脅
(
おど
)
し文句だ。『止れ、我、
汝
(
なんぢ
)
に語るべき用事あり。』と言ふんだらう。信号簿をくつて見るまでもないや。」
怪艦ウルフ号
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
▼ もっと見る
ばかばかしい事だがと袴野は気やすめに
脅
(
おど
)
かしやがると思ってみたが、ばかばかしい事は決してばかばかしいものの正体ではなかった。
舌を噛み切った女:またはすて姫
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
おびえているところだから、これだけの人数で大迫玄蕃を
脅
(
おど
)
かして、あとから笑いにしてやろうと、ワイワイ相談しながら歩いて行く。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その次に参考品の所で、
浅井黙語
(
あさゐもくご
)
先生の画を拝見した。これは非売品だから、値段に
脅
(
おど
)
されない
丈
(
だけ
)
でも、甚だ安全なものである。
俳画展覧会を観て
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
かうして津下にばかり金を
遣
(
つか
)
はせては気の毒だ。軍資を募るには手段がある。我々も人真似に守銭奴を
脅
(
おど
)
して見ようではないかと云つた。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
そんな刀を引ッこぬいて、こけ
脅
(
おど
)
しをする貴様の方が、よッぽど甘くみている。そりゃ、腕にかけたら、貴様の方が強いだろう。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
脅
(
おど
)
かして名刺を見せましたけど、刑事とも何とも書いて無いんですの。偽刑事が人を
罠
(
わな
)
に
陥
(
おとしい
)
れようと云う
悪企
(
わるだく
)
みなんですわ……
偽刑事
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
二三日すると、軍治は幾に
対
(
むか
)
ひ不意に、金を呉れ、と言つた。低い、押しつけるやうでもあれば又
脅
(
おど
)
かすやうな声でもあつた。
鳥羽家の子供
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
甚だしいのは運動場から石や瓦を投げ出して往来の人を
脅
(
おど
)
すというのであるから、とても尋常一様の懲戒法では彼らを矯正する見込みはない。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
が智慧の足りなさから執拗に迫つて嫌はれてすげなく拒絶されることが多かつた。時には玄關番にうるさがられて
脅
(
おど
)
し文句を浴せられたりした。
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
一体着物というものは、支配階級が、富と権力を誇示して民衆を
脅
(
おど
)
かしつけるために発明されたものではないでしょうか。
踊る地平線:10 長靴の春
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
何故薪左衛門を
脅
(
おど
)
すのか? 事実、薪左衛門は有賀又兵衛であり、五郎蔵は来栖勘兵衛なのか? 野中の道了塚で、二人は斬り合ったというが
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
自己の主張であって、そして国家のため国民のために幸福なことである限り、
脅
(
おど
)
かされたって中途でやめるような意気地ないことが出来るものか。
青年の天下
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
鼠の
外貌
(
そつぽう
)
がこの
悪戯者
(
いたづらもの
)
に似てゐるのは、飛んだ
幸福
(
しあはせ
)
で、名もない、ちんちくりんな野鼠までが長い口髯を
捻
(
ひね
)
りながら、象を
脅
(
おど
)
かす事が出来るのだ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
傷に悩んでいる青年を
脅
(
おど
)
したり
賺
(
すか
)
したりして問い落して得意になっていた自分の態度が、さもしいように考えられて来たのです、僕の職務的良心が
島原心中
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
理窟
(
りくつ
)
はそんなものだがね。まあ奴等にしちゃ無理もないさ。
明日
(
あす
)
から路頭に迷うのだ。
世迷事
(
よまよいごと
)
も
云
(
い
)
い
度
(
た
)
くなる。だが、何が出来るものか。
脅
(
おど
)
かしだよ。
五階の窓:01 合作の一(発端)
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
女が酒の醸造を
掌
(
つかさど
)
ったことは、近昔の文学では狂言の「
姥
(
うば
)
が酒」に実例がある。
無頼
(
ぶらい
)
の
甥
(
おい
)
が鬼の面を
被
(
かぶ
)
り、
伯母
(
おば
)
の老女を
脅
(
おど
)
して貯えの酒を飲むのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
脅
(
おど
)
して来いと言われましたゆえ、迷って出たのじゃ、今すぐ別れろと、うまうまひと狂言書いたのでござります
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
紅提灯をさげて踊り出し気の弱い許嫁
母子
(
おやこ
)
を
脅
(
おど
)
かして、自分の方から愛想ずかしをさき廻りにしてしまった。
旧聞日本橋:20 西川小りん
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
それは駄目だと、
尚
(
なお
)
も突っぱねると、向うは
躍気
(
やっき
)
さ。こっちへ買い戻さねば親分に済まねえ。売らないというのなら手前は生かしちゃ置けねえと
脅
(
おど
)
しやがる。
疑問の金塊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
渡瀬の全身から何か
脅
(
おど
)
かすようなものが
迸
(
ほとばし
)
りでるのを感じて、急いで身をひるがえしてもとの座になおった。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ダンスに夢中になってる善男善女が
刃引
(
はびき
)
の
鈍刀
(
なまくら
)
に
脅
(
おど
)
かされて、ホテルのダンス場は一時暫らく閉鎖された。
四十年前:――新文学の曙光――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
僕を
脅
(
おど
)
す
積
(
つも
)
りだつたんだらう、離縁状に判を押せと云つて来たんです。よしと云つてすぐ署名捺印した。そして僕から戸籍役場へ直接郵送してしまつたんです。
二黒の巳
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
出さぬ奴の先霊もたちまち地獄へ落ちると
脅
(
おど
)
したら、何がさて大本教を信ぜぬと目が潰れるなど信ずる愚民の多い世の中、
一廉
(
ひとかど
)
の実入りを収め得るに相違ない。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
あなたが六さんに
脅
(
おど
)
されているということを聞いたのよ、本当か嘘かわからないし、たぶん嘘だろうとは思ったけれど、あたしお師匠さんのことが心配だから
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
税を出さずに畑を作ると法律があると、其筋から
脅
(
おど
)
されたので、村は
遽
(
あわ
)
てゝ総出で其部分に檜苗を植えた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
そこへ、もうよいころだとロイド君夫婦が帰って来たので、
女将
(
おかみ
)
の代りに刑事が飛び出して行って、そこは心得たもので、あっさり
脅
(
おど
)
かして追っ払ってしまった。
浴槽の花嫁
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
梟
(
ふくろう
)
に
脅
(
おど
)
かされた
五位鷺
(
ごいさぎ
)
だと牧瀬はいつた。歳子の襲はれさうになる恋愛的な気持ちを防ぐ本能が、かの女にぶる/\と
身慄
(
みぶる
)
ひをさして、その気持ちを振り落さした。
夏の夜の夢
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
ジナイーダはいささかの心の乱れも見せず、すこぶる無造作にわたしを迎えたが、ただ指を一本立てて
脅
(
おど
)
かす
真似
(
まね
)
をして、どこか青あざはできなかったかと
訊
(
き
)
いた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
果然と‼ ……一つ
脅
(
おど
)
かしておくかね。ハハハハハハ。何を隠そうその「脳髄」こそは現代の科学界に於ける最大、最高の残虐、
横道
(
おうどう
)
を極めた「謎の御本尊」なんだ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
本日、前太子蒯聵都に潜入。ただ今孔氏の宅に入り、伯姫・渾良夫と共に当主
孔悝
(
こうかい
)
を
脅
(
おど
)
して己を衛侯に戴かしめた。大勢は既に動かし難い。自分(欒寧)は今から現衛侯を
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
やはりこの辺を飛び廻る下級の
長脇差
(
ながわきざし
)
、
胡麻
(
ごま
)
の
蠅
(
はえ
)
もやれば
追剥
(
おいはぎ
)
も
稼
(
かせ
)
ごうという程度の連中で、今、中に取捲いて
脅
(
おど
)
しているのは、これは十二三になる
侍
(
さむらい
)
の子と
覚
(
おぼ
)
しき
風采
(
ふうさい
)
で
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「校長は皆あゝ言うのさ。
脅
(
おど
)
かしだよ。親の勘当も同じことさ。本気にする奴があるものか」
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
人々
(
ひとびと
)
は、みんな
吹雪
(
ふぶき
)
の
音
(
おと
)
に
脅
(
おど
)
かされて、
身
(
み
)
をすくめ
町
(
まち
)
の
中
(
なか
)
を
歩
(
ある
)
いていました。じきに
暗
(
くら
)
くなると、どこの
家
(
いえ
)
も
早
(
はや
)
くから
戸
(
と
)
を
閉
(
し
)
めてしまって、
町
(
まち
)
の
中
(
なか
)
は
死
(
し
)
んだようになりました。
角笛吹く子
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
璧を
齎
(
も
)
ちて河を渡りける時、河の神の、璧を得まくおもふより波を起し、
蛟
(
みづち
)
をして舟を
夾
(
はさ
)
ましめ
其
(
そ
)
を
脅
(
おど
)
し求むるに遇ひしが、吾は義を以て求むべし、威を以て
劫
(
おびやか
)
すべからずとて
花のいろ/\
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
その戦争はどうして起ったかといえば、ロシヤが清国を侵して朝鮮を
脅
(
おど
)
かしたからだ。
女の一生
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
白糸の金を
奪
(
と
)
るときに、おおかた
断
(
ちぎ
)
られたのであろうが、自分は知らずに
遁
(
に
)
げたので、出刃庖丁とてもそのとおり、女を
脅
(
おど
)
すために持っていたのを、
慌
(
あわ
)
てて忘れて来たのであるから
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
中国の鯰は孔子さまを
脅
(
おど
)
かしに行った。捜神記という化け物のことばかり書いた古い中国の本に、孔子さまがある夜一人で室に引き籠っていると、一人の異様な風体の男が訪ねてきた。
鯰
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
こんな度胸のいい
仮父衆
(
おやぶんしゅう
)
を、ただの乞食坊主と間違えて、穴があったら入りたいくらいでござります、それにしても
仮父
(
おやぶん
)
、人を殺して、衣の袖へその首を付けて
脅
(
おど
)
しの道具にするたあ
轆轤首
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
私は母なぞに、
何時
(
いつ
)
もそう言って
脅
(
おど
)
かされるままに、おずおずと兵さんに言った。
あまり者
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
「まあさうだ。君たちと附き合ふんなら、向うは離れるだらうつて
脅
(
おど
)
かされた。」
良友悪友
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
「これが事の
結末
(
むすび
)
でさあね。彼奴が生きていた時分は、誰でも彼でも
脅
(
おど
)
かして
傍
(
そば
)
へ寄せ附けなかったものだが、そのお蔭で死んでから私達を儲けさしてくれたよ。はッ、はッ、はァ!」
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
彼
(
あれ
)
は私を
脅
(
おびや
)
かす——
始終々々
(
しよつちゆう/\
)
彼
(
あれ
)
は死ぬと云つて、でなければ私を殺すと云って、私を
脅
(
おど
)
す。そして私は時々
彼
(
あれ
)
が咽喉に大きな傷を拵へてるのや、むくんだ紫色の顏になつてる夢を見る。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
彼はチエンロッカーについて悲惨な物語を聞いていたが、それは、いつでも彼がチエンロッカーへはいる場合に、彼の記憶の中から、ムクムクと起き上がって来ては、彼を
脅
(
おど
)
すのであった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
髯
(
ひげ
)
を
生
(
はや
)
し洋服を着てコケを
脅
(
おど
)
そうという田舎紳士風の野心さえ起さなければ、よしや身に一銭の
蓄
(
たくわえ
)
なく、友人と称する共謀者、先輩もしくは親分と称する
阿諛
(
あゆ
)
の目的物なぞ一切
皆無
(
かいむ
)
たりとも
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
気絶している娘を三人で介抱して、蘇生さして、
脅
(
おど
)
しつ
透
(
すか
)
しつ取調べた。
怪異暗闇祭
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
脅
常用漢字
中学
部首:⾁
10画
“脅”を含む語句
脅迫
脅威
脅喝
威脅
脅迫状
白痴脅
脅嚇
虚仮脅
鳥脅
一脅
音脅
脅退
脅迫談判
脅迫観念
脅迫者
脅迫感
脅腹
脅曳
脅怖
脅威挑戦
...