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素性
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すじょう
ふりがな文庫
“
素性
(
すじょう
)” の例文
そのころ小野が結婚して、京橋の岡崎町に間借りをして、小綺麗な
生活
(
くらし
)
をしていた。女は
伊勢
(
いせ
)
の
産
(
うま
)
れとばかりで、
素性
(
すじょう
)
が解らなかった。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
わたくし自身も何を取得に
秘
(
かく
)
れた
素性
(
すじょう
)
のことなぞ自分で
強
(
し
)
いて掘り起しましょうぞ。そんな懸念は永遠に無くなったと思っていました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
一言
(
いちごん
)
でいうならば、うすく割って屋根葺き板にするような、大きな
素性
(
すじょう
)
の良い木材が、おいおいにとぼしくなってきたからである。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
文覚は、炉へ
柴
(
しば
)
を折りくべていた。赤い焔が下からその顔へ
映
(
さ
)
す。この上人の
素性
(
すじょう
)
に就いてはかねて
種々
(
いろいろ
)
聞き及んでいる事が多い。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
書棚とピアノとオルガンと、にわか百姓の
素性
(
すじょう
)
を裏切る重々しい椅子とで昼も小暗い父の書斎は都会からの珍客で賑わっていた。
フランセスの顔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
▼ もっと見る
しかしこのチー・リンボチェという方は余程妙な方で、私を一見してすぐに私の
素性
(
すじょう
)
を知って居たかのように取り扱われたです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
女の
素性
(
すじょう
)
が判らないうえに、一度位それも洋食屋などで顔を合せた位の人の内へ慣れなれしく入って往くのも気が
咎
(
とが
)
めるし
港の妖婦
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
……これまで手前共の方からはあれの
素性
(
すじょう
)
については、ただの一度だって、一切
噯気
(
おくび
)
にも出したことがござりましねえのに
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
素性
(
すじょう
)
を
看破
(
みやぶ
)
られ、数日に
亙
(
わた
)
る執拗な追跡に、
最早
(
もはや
)
逃亡の気力も失せたので、博士に手柄を立てさせるよりは、自ら一命を絶つ決心をしたのだ。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「うん、どうも
彼奴
(
あいつ
)
の
素性
(
すじょう
)
がよく解せないんで、
憂鬱
(
ゆううつ
)
なんだ。彼奴が蠅男であってくれれば、ことは簡単にきまるんだが」
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
隣席のすることはどうしても意地が悪い——もしその中に自分の
素性
(
すじょう
)
を知った者があっての上ですることではなかろうか。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
後年
黄檗慧林
(
おうばくえりん
)
の
会下
(
えか
)
に、当時の病み耄けた僧形とよく似寄った
老衲子
(
ろうのうし
)
がいた。これも
順鶴
(
じゅんかく
)
と云う
僧名
(
そうみょう
)
のほかは、何も
素性
(
すじょう
)
の知れない人物であった。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
だから浩さんはあの女の
素性
(
すじょう
)
も名前も聞く必要もあるまい。浩さんが聞く必要もないものを余が探究する必要はなおさらない。いやこれはいかぬ。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
少なくともわたしにはそう
想像
(
そうぞう
)
されたから、もはやわたしの
素性
(
すじょう
)
を
告
(
つ
)
げたり、バルブレンのおっかあに手紙をやったりされるおそれがなくなった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
「きみの
素性
(
すじょう
)
がなんであるか、だれにもいうものではない。このとおり手をさしのべて約束する。ひとりの男にひとつのことば。男子に
二言
(
にごん
)
なし。」
影
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
するとその奥さんの
素性
(
すじょう
)
がわからないというので、親類一統から義絶された揚げ句、京都におれなくなって、東京の中野に移転して来たものだった。
あやかしの鼓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
改
(
あらた
)
めて
名告
(
なの
)
るほどのものではないのですが、
斯
(
こ
)
うした
深
(
ふか
)
い
因縁
(
いんねん
)
の
絆
(
きずな
)
で
結
(
むす
)
ばれている
上
(
うえ
)
からは、
一
(
ひ
)
と
通
(
とお
)
り
自分
(
じぶん
)
の
素性
(
すじょう
)
を
申上
(
もうしあ
)
げて
置
(
お
)
くことに
致
(
いた
)
しましょう。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
強
(
し
)
いて彼女の不機嫌を買ってまで、当時のナオミの
身許
(
みもと
)
や
素性
(
すじょう
)
を洗い立てる必要はありませんから、成るべくそれには触れないことにして置きましょう。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
お辰
素性
(
すじょう
)
のあらまし
慄
(
ふる
)
う筆のにじむ墨に
覚束
(
おぼつか
)
なく
認
(
したた
)
めて守り袋に父が書き
捨
(
すて
)
の
短冊
(
たんざく
)
一
(
ひ
)
トひらと共に
蔵
(
おさ
)
めやりて、明日をもしれぬ
我
(
わ
)
がなき後頼りなき
此子
(
このこ
)
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
それでも
素性
(
すじょう
)
の知れないのが六七匹にもなるとさすがに邪魔になると見えて小使に命じて処理させると、小使はもとからいるチョビたちはそのままにして
愉快な教室
(新字新仮名)
/
佐藤春夫
(著)
告げ
頓
(
やが
)
て縮れたる髪筋を出して差当りお紺と云える
素性
(
すじょう
)
不明の者こそ手掛りなれと説き終りて更に又手帳を出し
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
そして
容貌
(
ようぼう
)
もけっして最上の美人ということはできない。その他
素性
(
すじょう
)
の点からいっても
財産
(
ざいさん
)
の点からいっても、あの女はお前の未来の妻にはふさわしくない。
おしどり
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
と、呼ばれると、
氏
(
うじ
)
も、
素性
(
すじょう
)
もない宝沢という気もした。母親は、彼の生れた時に死んだし、彼としては、自分で、落胤だと信じていい何の証拠も無かった。
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
第二十 竹の子飯 は春の御馳走ですが
先
(
ま
)
ず
素性
(
すじょう
)
の
好
(
よ
)
い竹の子を
糠
(
ぬか
)
か
昆布
(
こんぶ
)
と一緒に気長く湯煮て
箸
(
はし
)
が通るように柔くなったら
暫
(
しばら
)
く水へ漬けてアクを出します。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
申しておるんです。わざわざ名乗ったばっかりに、斬り手の名は分る、配符は廻る、われわれ一党の
素性
(
すじょう
)
も知られる、市中では、もう三尺の童子までわれわれを
流行暗殺節
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「然う手間は取らせない。僕のところは厳重だから、友達が遊びに来れば、
母親
(
マザー
)
が直ぐ後から
素性
(
すじょう
)
を訊く。『今日お
出
(
いで
)
になった怖い顔の人は学校のお友達?』って」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
右「よし/\、それで文治の
素性
(
すじょう
)
並びに日頃の行状は能く相分った、少し思う仔細があるから、
内々
(
ない/\
)
にて蟠龍軒と申す者の素性及び行状を吟味いたすよう取計らえ」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
行親 おん
謹
(
つつし
)
みの身をもって、
素性
(
すじょう
)
も得知れぬ
賤
(
いや
)
しの女子どもを、おん側近う召されしは……。
修禅寺物語
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それはそのままでいい訳のものだが、飾るときにはただしく置かれることを好いている、ただしいということは陶器の
素性
(
すじょう
)
であって、ゆがめられていることは
過
(
あやま
)
ちであった。
陶古の女人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
それに、お艶の
素性
(
すじょう
)
が知れて武家出とわかれば、おもてだって届けもできれば
披露
(
ひろう
)
もあろう。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
初めて知るわが身の
素性
(
すじょう
)
に、
一度
(
ひとたび
)
は驚き一度は悲しみ、また一度は
金眸
(
きんぼう
)
が非道を、
切歯
(
はぎしり
)
して怒り
罵
(
ののし
)
り、「かく聞く上は一日も早く、彼の山へ
走
(
は
)
せ登り、
仇敵
(
かたき
)
金眸を
噬
(
か
)
み殺さん」
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
はなはだあわれな出発点だが、わが経済学の
素性
(
すじょう
)
を洗えば、実はかくのごときものである。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
其のまゝ
舁
(
か
)
き移すやうに
席
(
むしろ
)
を
彼方
(
あなた
)
へ、小さく遠くなつたやうな思ひがして、其の娘も
犠
(
にえ
)
の仔細も、媼の
素性
(
すじょう
)
も、野の
状
(
さま
)
も、我が身のことさへ、夢を見たら夢に一切知れようと
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
第三、乳母は如何なる
素性
(
すじょう
)
の女にて、どれほどの教育ありしか。第四、乳母の死にしは何年前にして、病死か、はた自殺か。第五、乳母の死と亀の事と何らの関係なきかあるか。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
その家の人達はしきりに彼女の
素性
(
すじょう
)
を知りたがって、いろいろに手を分けて
詮索
(
せんさく
)
したことや、名前を明すことが出来なければ東京のどの辺か、せめて方角だけでも教えよと言われたが
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
綾子刀自の
素性
(
すじょう
)
のことについて、いろいろ
噂
(
うわさ
)
を聞いたり、また新聞などで見たりしますと、元、料理屋の女中であったなど、誰々の
妾
(
めかけ
)
であったなどというようなことが伝えられているが
幕末維新懐古談:51 大隈綾子刀自の思い出
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
旦斎は、その特別な人、と、一行の
素性
(
すじょう
)
を調べるのに、あらゆる苦心と努力をはらった。けれども、旦斎にわかったのは、日本へ来た使いの武士のことだけで、一行の素性は皆目わからなかった。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
それで私はすぐに
素性
(
すじょう
)
を言ったのです。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そう
応
(
こた
)
えながら女中は、昨晩おそく着いて来た、ちょっと
得体
(
えたい
)
の知れないこの美しい婦人の
素性
(
すじょう
)
を探ろうとするように注意深い目をやった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
夢とは思わないが不思議に女の
素性
(
すじょう
)
とか、きちんと締めてある
戸締
(
とじまり
)
をどうして開けて来るだろうかと云うような現実的な疑問はおこらなかった。
岐阜提灯
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「オオ、では、
河原
(
かわら
)
の水でもすくってきてやれい。じゃが、
夢
(
ゆめ
)
にも刀のことはきかぬがよいぞ。
訊
(
き
)
けばこなたの
素性
(
すじょう
)
も人に
気
(
け
)
どられるわけになる」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
女のつけた振袖に、
紛
(
ふん
)
たる模様の尽きて、是非もなき
磨墨
(
するすみ
)
に流れ込むあたりに、おのが身の
素性
(
すじょう
)
をほのめかしている。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その五人の強力というのは、
素性
(
すじょう
)
はまだよくわからないのだが、それはたしかに中国から九州辺の浪人だ、なかには容易ならん大望を持った奴がある。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ワライキョという神の
素性
(
すじょう
)
のみはまだ判明せぬが、いずれもその分布が小さな島、もしくは海近くの里にあるのを見ると、キョまたはキョ・キウの語尾は
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
いたしました。故意にその人物の
素性
(
すじょう
)
などを隠そうとしたものではなく、その人物が如何なる人であるかを
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それは後の事ですがさて道中いろいろ面白い仏教の話が出て来ました末彼は私の
素性
(
すじょう
)
を探ろうということに掛かったです。で、どうも英国の人ではあるまいか。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
但し古くより召し使うて
素性
(
すじょう
)
や
気心
(
きごゝろ
)
の知れている「みん一」とか「さ一」とか云う者共は此の限りにあらずとして、「御心易くお呼び候ても苦しからず候」と云い
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
親子兄弟、親類
眷族
(
けんぞく
)
、
嬶
(
かかあ
)
も
妾
(
めかけ
)
ももちろん持たない。タッタ一人のスカラカチャンだよ。
氏
(
うじ
)
も
素性
(
すじょう
)
もスカラカ、チャカポコ。鞄一つが
身上
(
しんじょう
)
一つじゃ。親は木の股キラクな風の。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「でも心配じゃございませんか? そんな
素性
(
すじょう
)
の知れない婦人と出歩きをなさるようじゃ」
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そこで同じ宿に泊り合わせた三谷青年は、彼女の
素性
(
すじょう
)
を少しも知らないで、彼女に烈しい思いを寄せた。それさえ好ましきに、あの毒薬決闘の際の、何ともいえぬ男らしい態度。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
“素性”の意味
《名詞》
血筋。家柄。
伝来。由緒。
育ち。育ってきた境遇。
(出典:Wiktionary)
“素性”の解説
素性(そせい、生没年不詳)は、平安時代前期から中期にかけての歌人・僧侶。桓武天皇の曾孫。遍昭(良岑宗貞)の子。俗名は諸説あるが、一説に良岑玄利(よしみねのはるとし)。
三十六歌仙の一人。
(出典:Wikipedia)
素
常用漢字
小5
部首:⽷
10画
性
常用漢字
小5
部首:⼼
8画
“素”で始まる語句
素人
素
素直
素振
素気
素朴
素足
素姓
素破
素裸