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眼付
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めつき
ふりがな文庫
“
眼付
(
めつき
)” の例文
先
(
まず
)
下々
(
しもじも
)
の者が
御挨拶
(
ごあいさつ
)
を申上ると、一々しとやかにお
請
(
うけ
)
をなさる、その柔和でどこか悲しそうな
眼付
(
めつき
)
は夏の夜の星とでもいいそうで
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
医者らしい男の外に制服の警官たちが、険しい
眼付
(
めつき
)
で私を迎えたその脚下には、蕗子が白い胸も露わにあけはだけたまま倒れています。
流転
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
甚あわれになった。天狗犬は訴うる様な
眼付
(
めつき
)
をしてしば/\彼を見上げ、上高井戸に
往
(
い
)
って
復
(
かえ
)
るまで、始終彼にくっついて
歩
(
ある
)
いた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
とうとう船全体が、動かす事の出来ない迷信に
囚
(
とら
)
われて、スッカリ震え上がらせられてしまった。乗組員の
眼付
(
めつき
)
は
皆
(
みんな
)
オドオドと震えていた。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「あんな
所
(
ところ
)
に……」とよし子が云ひ
出
(
だ
)
した。驚ろいて笑つてゐる。この女はどんな陳腐なものを見ても
珍
(
めづ
)
らしさうな
眼付
(
めつき
)
をする様に思はれる。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
パリスカスは見慣れぬ周囲の風物を特別不思議そうな
眼付
(
めつき
)
で
眺
(
なが
)
めては、何か
落著
(
おちつ
)
かぬ不安げな表情で考え
込
(
こ
)
んでいる。
木乃伊
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「えゝと、それでお前さんも自分の運命を聽きたいのかな?」と彼女は、その
眼付
(
めつき
)
と同じやうにはつきりと、その顏と同じやうにきつい聲で云つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
小使
(
こづかい
)
、
看護婦
(
かんごふ
)
、
患者等
(
かんじゃら
)
は、
彼
(
かれ
)
に
往遇
(
ゆきあ
)
う
度
(
たび
)
に、
何
(
なに
)
をか
問
(
と
)
うものの
如
(
ごと
)
き
眼付
(
めつき
)
で
見
(
み
)
る、
行
(
ゆ
)
き
過
(
す
)
ぎてからは
私語
(
ささや
)
く。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
二人の
眼付
(
めつき
)
は皆一様に、彼の身体に何物かを
注
(
つ
)
ぎ込み、彼の身体から何物かを取出そうとするらしい。そう思うと抑え難き胸騒ぎがしてまた一しきり咳嗽込んだ。
薬
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
洋服男もあり、和服の人もあり、いずれも鋭い
眼付
(
めつき
)
をして、道夫の方をじろじろと見るのだった。
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
木曾
(
きそ
)
の
山地
(
さんち
)
に
育
(
そだ
)
つた
眼付
(
めつき
)
の
可愛
(
かあい
)
らしい
動物
(
どうぶつ
)
がその
博勞
(
ばくらう
)
に
引
(
ひ
)
かれながら、
諸國
(
しよこく
)
へ
働
(
はたら
)
きに
出
(
で
)
るのです。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
俺はあれの前では、こんな
切
(
せつ
)
なげな
眼付
(
めつき
)
をしては居らない。愛子は俺の心を読む術を知つて居る。俺が黙つて居る間にも、俺が何を思念し欲求して居るかを看取してしまふ。
畜生道
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
「ちょいと、わたし聞いて見るわ。」と突然
立止
(
たちどま
)
った。中島は話の腰を折られ、夢から覚めたような
眼付
(
めつき
)
をして、お玉が
向
(
むかい
)
の家の格子戸をあける
後姿
(
うしろすがた
)
をぼんやり眺めていた。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
女同志
(
をんなどうし
)
の愛を思はせる
眼付
(
めつき
)
の
薔薇
(
ばら
)
の花よ、
百合
(
ゆり
)
の花よりも白くて、
女同志
(
をんなどうし
)
の愛を思はせる
眼付
(
めつき
)
の
薔薇
(
ばら
)
の花、
處女
(
をとめ
)
に見せかけてゐるおまへの匂をおくれ、
僞善
(
ぎぜん
)
の花よ、
無言
(
むごん
)
の花よ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
ぬばたまの夜の黒髪に
挿
(
さ
)
すヒラヒラする銀紙の
花簪
(
はなかんざし
)
、赤いもの沢山の盛装した新調の立派な衣裳……
眉鼻口
(
まゆはなくち
)
は人並だが、狐そっくりの
釣上
(
つりあが
)
った細い
眼付
(
めつき
)
は、花嫁の顔が真白いだけに
一層
(
いっそう
)
に
悽
(
すご
)
く見える。
菜の花物語
(新字新仮名)
/
児玉花外
(著)
そして冷たい
圧
(
お
)
しつけるような
眼付
(
めつき
)
で馬上の武士を見るといった。
野に臥す者
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
彼は酔つた
眼付
(
めつき
)
を、じつとピチ公の上にすゑました。
金の猫の鬼
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
六
号室
(
ごうしつ
)
の
第
(
だい
)
五
番目
(
ばんめ
)
は、
元来
(
もと
)
郵便局
(
ゆうびんきょく
)
とやらに
勤
(
つと
)
めた
男
(
おとこ
)
で、
気
(
き
)
の
善
(
い
)
いような、
少
(
すこ
)
し
狡猾
(
ずる
)
いような、
脊
(
せ
)
の
低
(
ひく
)
い、
瘠
(
や
)
せたブロンジンの、
利発
(
りこう
)
らしい
瞭然
(
はっきり
)
とした
愉快
(
ゆかい
)
な
眼付
(
めつき
)
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
今にも飛びかかりそうな
眼付
(
めつき
)
をしながら
扉
(
ドア
)
の蔭に
犇
(
ひしめ
)
いていたものであるが、兼が「兄貴達も容赦してくれ」と云って頭をグッと下げた会釈ぶりが気に入ったらしく
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
顔付
(
かほつき
)
と云ひ、
眼付
(
めつき
)
と云ひ、声の
低
(
ひく
)
い
底
(
そこ
)
に
籠
(
こも
)
る
力
(
ちから
)
と云ひ、
此所
(
こゝ
)
迄押し
逼
(
せま
)
つて
来
(
き
)
た前後の関係と云ひ、凡ての点から云つて、梅子をはつと思はせない訳に行かなかつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかしさすがに声はかけず、鋭い
眼付
(
めつき
)
で
瞬
(
またた
)
き一ツせず車掌の姿に注目していた。車の
硝子窓
(
ガラスまど
)
から、印度や
南清
(
なんしん
)
の
殖民地
(
しょくみんち
)
で見るような質素な実利的な西洋館が街の両側に続いて見え出した。
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ハヾトフは
此時
(
このとき
)
少計
(
すこしばか
)
り
戸
(
と
)
を
開
(
あ
)
けて
室内
(
しつない
)
を
覗
(
のぞ
)
いた。イワン、デミトリチは
頭巾
(
づきん
)
を
被
(
かぶ
)
つて、
妙
(
めう
)
な
眼付
(
めつき
)
をしたり、
顫
(
ふるへ
)
上
(
あが
)
つたり、
神經的
(
しんけいてき
)
に
病院服
(
びやうゐんふく
)
の
前
(
まへ
)
を
合
(
あ
)
はしたりしてゐる。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
気の
所為
(
せゐ
)
か、茶を
運
(
はこ
)
ぶ時にも、妙に疑ぐり深い
眼付
(
めつき
)
をして、見られる様でならなかつた。然し三千代は全く知らぬ顔をしてゐた。
少
(
すく
)
なくとも
上部
(
うはべ
)
丈は平気であつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
三四郎は
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
に
懸
(
か
)
けてある三越呉服店の看板を見た。奇麗な女が
画
(
か
)
いてある。其女の顔が
何所
(
どこ
)
か美禰子に似てゐる。能く見ると
眼付
(
めつき
)
が
違
(
ちが
)
つてゐる。
歯並
(
はならび
)
が
分
(
わか
)
らない。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ハバトフはこの
時
(
とき
)
少
(
すこし
)
ばかり
戸
(
と
)
を
開
(
あ
)
けて
室内
(
しつない
)
を
覗
(
のぞ
)
いた。イワン、デミトリチは
頭巾
(
ずきん
)
を
被
(
かぶ
)
って、
妙
(
みょう
)
な
眼付
(
めつき
)
をしたり、
顫
(
ふるえ
)
上
(
あが
)
ったり、
神経的
(
しんけいてき
)
に
病院服
(
びょういんふく
)
の
前
(
まえ
)
を
合
(
あ
)
わしたりしている。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
梅
(
うめ
)
子が
涼
(
すゞ
)
しい
眼付
(
めつき
)
になつて風呂場から帰つた時、代助は
粽
(
ちまき
)
の
一
(
ひと
)
つを
振子
(
ふりこ
)
の様に
振
(
ふ
)
りながら、今度は
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
六
號室
(
がうしつ
)
の
第
(
だい
)
五
番目
(
ばんめ
)
は、
元來
(
もと
)
郵便局
(
いうびんきよく
)
とやらに
勤
(
つと
)
めた
男
(
をとこ
)
で、
氣
(
き
)
の
善
(
い
)
いやうな、
少
(
すこ
)
し
狡猾
(
ずる
)
いやうな、
脊
(
せ
)
の
低
(
ひく
)
い、
瘠
(
や
)
せたブロンヂンの、
利發
(
りかう
)
らしい
瞭然
(
はつきり
)
とした
愉快
(
ゆくわい
)
な
眼付
(
めつき
)
、
些
(
ちよつ
)
と
見
(
み
)
ると
恰
(
まる
)
で
正氣
(
しやうき
)
のやうである。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
甘
(
あま
)
いと云はんよりは苦痛である。
卑
(
いや
)
しく媚びるのとは無論違ふ。見られるものの方が是非媚びたくなる程に残酷な
眼付
(
めつき
)
である。しかも此女にグルーズの画と似た所は一つもない。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
其後
(
そのご
)
院長
(
ゐんちやう
)
アンドレイ、エヒミチは
自分
(
じぶん
)
の
周圍
(
まはり
)
の
者
(
もの
)
の
樣子
(
やうす
)
の、ガラリと
變
(
かは
)
つた
事
(
こと
)
を
漸
(
やうや
)
く
認
(
みと
)
めた。
小使
(
こづかひ
)
、
看護婦
(
かんごふ
)
、
患者等
(
くわんじやら
)
は、
彼
(
かれ
)
に
往遇
(
ゆきあ
)
ふ
度
(
たび
)
に、
何
(
なに
)
をか
問
(
と
)
ふものゝ
如
(
ごと
)
き
眼付
(
めつき
)
で
見
(
み
)
る、
行
(
ゆ
)
き
過
(
す
)
ぎてからは
私語
(
さゝや
)
く。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
小倉
(
こくら
)
の
袴
(
はかま
)
をつけてまた出掛けた。大きな玄関へ
突
(
つ
)
っ立って頼むと云うと、また例の弟が取次に出て来た。おれの顔を見てまた来たかという
眼付
(
めつき
)
をした。用があれば二度だって三度だって来る。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
眼
常用漢字
小5
部首:⽬
11画
付
常用漢字
小4
部首:⼈
5画
“眼”で始まる語句
眼
眼鏡
眼前
眼瞼
眼差
眼窩
眼球
眼眸
眼色
眼下