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瓢
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ひさご
ふりがな文庫
“
瓢
(
ひさご
)” の例文
仙台地方に流行するポンポコ
槍
(
やり
)
の
尖端
(
せんたん
)
に附いている
瓢
(
ひさご
)
には、元来穀物の種子が貯えられたのである。これが一転して玩具化したのである。
土俗玩具の話
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
東坡巾先生は道行振の下から腰にしていた小さな
瓢
(
ひさご
)
を取出した。一合少し位しか入らぬらしいが、いかにも上品な
佳
(
よ
)
い瓢だった。
野道
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
図210は蔓のある
瓢
(
ひさご
)
の形をしている。葉及び昆虫の翅のような平な面は、
蓙
(
ござ
)
編みで出来ているが、他の細部はみな本当の籠細工である。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
竹の
筒
(
つつ
)
でも
壺
(
つぼ
)
と
謂
(
い
)
えないこともないが、そう名づけるのにもっと適切な、或いは
瓢
(
ひさご
)
のようなものを
曾
(
かつ
)
ては利用していたのではなかったか。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
信一郎に、そう云い切られると、夫人は
暫
(
しば
)
らく黙っていた。白い
瓢
(
ひさご
)
の種のような
綺麗
(
きれい
)
な歯で、下唇を二三度噛んだがやがて気を換えたように
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
一方鉄拐仙人は、腰に大きな
瓢
(
ひさご
)
を付け、両足の間に杖を揷み、左手で奇形な印を結び、すぼめた口からこれは黒気を、一筋空へ吐き出している。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
秋
(
あき
)
にも
成
(
な
)
ると、
山遊
(
やまあそ
)
びをする
町
(
まち
)
の
男女
(
なんによ
)
が、ぞろ/\
續
(
つゞ
)
いて、
坂
(
さか
)
へ
掛
(
かゝ
)
り
口
(
くち
)
の、
此處
(
こゝ
)
にあつた
酒屋
(
さかや
)
で、
吹筒
(
すひづつ
)
、
瓢
(
ひさご
)
などに
地酒
(
ぢざけ
)
の
澄
(
す
)
んだのを
詰
(
つ
)
めたもので。
月夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
いま登って来たのだろう、二人とも酔っているとみえてひょろひょろしているし、一人は手に大きな
瓢
(
ひさご
)
を持っていた。
扇野
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
台所の柱に米が二升四合も入るぐらいの
瓢
(
ひさご
)
をかけ、三方水で囲まれた粗末な小屋に芭蕉庵と名づけ嵐雪などと男世帯をもった三十七歳の桃青の心の裡は
芭蕉について
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
足下
(
あしもと
)
には層をなして市街の屋根が斜めに重なり、対岸には
珠江
(
しゆかう
)
の
河口
(
かこう
)
を
抱
(
いだ
)
いた半島が
弓形
(
きゆうけい
)
に展開し、
其間
(
そのあひだ
)
に
瓢
(
ひさご
)
を
割
(
さ
)
いた様な形で
香港
(
ホンコン
)
湾が
藍
(
あゐ
)
を湛へて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
両親はと見ると綿の出た破れた
衣服
(
きもの
)
を着ていたが、そこは土間の中で、
瓢
(
ひさご
)
と杖があるのみであった。曾は心で、自分は乞食の子であるということを知った。
続黄梁
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
顔に灰を塗り片手に
瓢
(
ひさご
)
の水入を
提
(
さ
)
げ、片手に鉄の
火箸
(
ひばし
)
を持って居る
裸体
(
はだか
)
の坊さんが沢山入り込んだということが、今もなおチベットの民間に伝えて居ります。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
あるときは白き
髯
(
ひげ
)
の
寛
(
ゆる
)
き衣を
纏
(
まと
)
いて、長き
杖
(
つえ
)
の先に小さき
瓢
(
ひさご
)
を
括
(
くく
)
しつけながら行く巡礼姿も見える。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
かの空也上人の門流たる三昧聖の徒が、
瓢
(
ひさご
)
を叩いて念仏を唱えながら、これを瓢叩きといわずして、世間から「鉢叩き」と呼ばれているのも、ハチ叩きの意であろう。
賤民概説
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
これ多分一夜に育ちて
忽
(
たちま
)
ち頭上を
蔽
(
おお
)
えりというヨナの
瓢
(
ひさご
)
の類であると思う。忽ちに成長して全園を蔽うに至り、その勢威人を驚かせど一度根を絶たば枯死して跡を
止
(
とど
)
めない。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
草葺
(
くさぶき
)
屋根の家に
絡
(
から
)
んでいる
瓢
(
ひさご
)
の蔓の末が、離れて
虚空
(
こくう
)
にある場合を捉えたものであろう。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
取引が無事に済むと、玄知は腰にした
瓢
(
ひさご
)
をほどいて、花の下で酒を飲み出した。百姓が夕方野良から帰つてみると、玄知は花の下で
狗
(
いぬ
)
ころのやうに
鼾
(
いびき
)
を掻きながら
転寝
(
うたゝね
)
をしてゐた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ぐるりの
鴨居
(
かもい
)
には
菅笠
(
すげがさ
)
が掛つてゐる、
蓑
(
みの
)
が掛つてゐる、
瓢
(
ひさご
)
の花いけが掛つてゐる。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
瓢
(
ひさご
)
の種のような歯の間から、舌の先を動かすのが
一際
(
ひときわ
)
愛くるしく見られた。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
今年私は
瓢
(
ひさご
)
作りを楽しみに、毎朝起きるとすぐ畠へ出てゆく。
瓢作り
(新字旧仮名)
/
杉田久女
(著)
「何だな! 時は春、
瓢
(
ひさご
)
まくらに
鼾
(
いびき
)
かな。成程、
竹冷
(
ちくれい
)
だね」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
うち見には
瓢
(
ひさご
)
枕に仮寝してただにとろほろと人ぞ
坐
(
ま
)
したる
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
瓢
(
ひさご
)
の中から酌めたのは、味もそつけもありはせぬ
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
小町
(
こまち
)
の真筆のあなめあなめの歌、孔子様の
讃
(
さん
)
が
金
(
きん
)
で書いてある
顔回
(
がんかい
)
の
瓢
(
ひさご
)
、
耶蘇
(
やそ
)
の血が染みている十字架の切れ端などというものを買込んで
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
多くの農家には関西でゲビツ、東北でケシネギツなどという
糧米櫃
(
ろうまいびつ
)
があって、その中にはほぼその分量を盛る
瓢
(
ひさご
)
または
古椀
(
ふるわん
)
などが入れてあった。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
若党
使僕
(
こもの
)
五人を連れ他に犬を一頭曵き、
瓢
(
ひさご
)
には酒、
割籠
(
わりご
)
には食物、そして水筒には清水を入れ、弓之進は
出
(
い
)
で立った。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
私
(
てまえ
)
は太郎冠者というやつ、腰に
瓢
(
ひさご
)
があれば一さし
御舞
(
おんま
)
い候え、といいたい処でがしたが、例の
下卑蔵
(
げびぞう
)
。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
下の方へ降って行きますとちょうど
瓢
(
ひさご
)
の形をして居る池がある。それはその形によって「
瓢池
(
ひさごいけ
)
」と名を命けて置いた。その池の
周囲
(
めぐり
)
は恐らく半里位しかなかったろうと思います。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
で、芸術以外に宗教にも趣味を持って、殊にその内でも
空也
(
くうや
)
は若い頃本山から吉阿弥の号を
貰
(
もら
)
って、
瓢
(
ひさご
)
を叩いては「なアもうだ/\」を唱えていた位に
帰依
(
きえ
)
していたのでありました。
我が宗教観
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
白い
瓢
(
ひさご
)
の種のやうな綺麗な歯で、下唇を二三度噛んだがやがて気を換へたやうに
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
瓢
(
ひさご
)
や瓢やわれ汝を愛す、汝
嘗
(
かつ
)
て愛す
顔
(
がん
)
氏の賢を、
陋巷
(
ろうかう
)
に追随して楽しみを改めず、
盍
(
なん
)
ぞ美禄を得て天年を終らざる、天寿命あり汝の力にあらず、功名また
驥尾
(
きび
)
に付す、瓢や瓢やわれ汝を愛す
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
上三句重く下二句軽く、
瓢
(
ひさご
)
を
倒
(
さかしま
)
にしたるの感あり。ことに第四句力弱し。
曙覧の歌
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
そこには天から
水汲瓢
(
みずくみひさご
)
が下って来るだろう。仙女たちは一度羽衣を盗まれてから、
懲
(
こ
)
りてもう降りては来ない代りに、
瓢
(
ひさご
)
で水を汲んで天上で浴びている。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
(と
穏
(
おだやか
)
に、百合に向って言い果てると、すッと立って、
瓢
(
ひさご
)
を
逆
(
さかさ
)
に、月を仰いで、ごッと飲む。)
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
孔子様の
讃
(
さん
)
が
金
(
きん
)
で書いてある顔回の
瓢
(
ひさご
)
、耶蘇の血が染みてゐる十字架の切れ端などといふものを買込んで、どんなものだいと反身になるのもマンザラ悪くは有るまいかも知らぬ。
骨董
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
隣医
瓢
(
ひさご
)
を
花活
(
はないけ
)
に造り
椿
(
つばき
)
を活けて贈り来る滑稽の人なり
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
たゞし菊には元来甘いと苦いとの二種あること
瓢
(
ひさご
)
の如くであつて、又
恰
(
あたか
)
も瓢の形の良いのには
苦性
(
にがだち
)
のものが多くて、酒を入れると古くなつてゐても少し苦味を帯びさせるが如く
菊 食物としての
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
懐
(
ふところ
)
にして来る信州東筑摩辺の風習、新仏は墓地を去ることがむつかしいからといって、
瓢
(
ひさご
)
を携えて往って代りに墓処に置いて来る岩手県の慣行の如き、共に幼い考え方ではあるが
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
頬白
(
ほおじろ
)
、
山雀
(
やまがら
)
、
雲雀
(
ひばり
)
などが、ばらばらになって唄っているから、
綺麗
(
きれい
)
な着物を着た間屋の
女
(
むすめ
)
だの、
金満家
(
かねもち
)
の隠居だの、
瓢
(
ひさご
)
を腰へ提げたり、花の枝をかついだりして千鳥足で通るのがある。
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
頬白
(
ほゝじろ
)
、
山雀
(
やまがら
)
、
雲雀
(
ひばり
)
などが、ばら/\になつて
唄
(
うた
)
つて
居
(
ゐ
)
るから、
綺麗
(
きれい
)
な
着物
(
きもの
)
を
着
(
き
)
た
問屋
(
とひや
)
の
女
(
むすめ
)
だの、
金満家
(
かねもち
)
の
隠居
(
いんきよ
)
だの、
瓢
(
ひさご
)
を
腰
(
こし
)
へ
提
(
さ
)
げたり、
花
(
はな
)
の
枝
(
えだ
)
をかついだりして
千鳥足
(
ちどりあし
)
で
通
(
とほ
)
るのがある
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
瓢
(
ひさご
)
の盛んに用いられた時代を推測し、許由以来の支那の隠君子等が
駒
(
こま
)
を出したり自分を吸込ませたり終始この単純なる器具を
伴侶
(
はんりょ
)
としているには、何か民俗上の理由があるらしいことを
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「蟹は甲らに似せて穴を掘る……も
可訝
(
おかし
)
いかな。おなじ穴の狸……飛んでもない。一升入の
瓢
(
ひさご
)
は一升だけ、何しろ、当推量も左前だ。誰もお
極
(
きま
)
りの貧のくるしみからだと思っていたよ。」
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
瓢
漢検準1級
部首:⽠
17画
“瓢”を含む語句
瓢箪
瓢形
一瓢
瓢箪鯰
瓢箪形
瓢酒
瓢箪山
干瓢
青瓢箪
瓢箪池
瓢然
千瓢
瓢軽洒脱
酒瓢箪
瓢簟山
瓢逸
金瓢
瓢亭
瓢軽
乾瓢
...