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熟々
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つく/″\
ふりがな文庫
“
熟々
(
つく/″\
)” の例文
我も昔一たびかの女を見きと覺ゆ。若し其人ならば、猶太教徒にあらずして加特力教徒なること疑なし。汝も
熟々
(
つく/″\
)
彼姿を見しならん。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「いや、
止
(
よ
)
しにして呉れ、花がお前のものなら、幾ら見たつて面白くない。自分のものにして初めて
熟々
(
つく/″\
)
と見てゐられるのだから。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
荷札
(
チェッキ
)
扱ひにして來た、重さうな旅行鞄を、信吾が手傳つて、頭の禿げた松藏に背負してる間に、靜子は
熟々
(
つく/″\
)
其容子を見てゐた。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
熟々
(
つく/″\
)
見て感心なし今の話しには母御の
紀念
(
かたみ
)
の此櫛と云はるゝからは片時も忘れ給はぬ
孝心
(
かうしん
)
を天道樣も
憐
(
あはれ
)
まれ必ず御惠みなるならん能々
父子
(
てゝご
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
僕
(
ぼく
)
は
先生
(
せんせい
)
と
對座
(
たいざ
)
して
四方山
(
よもやま
)
の
物語
(
ものがたり
)
をして
居
(
ゐ
)
ながら、
熟々
(
つく/″\
)
思
(
おも
)
ひました、
世
(
よ
)
に
美
(
うる
)
はしき
生活
(
せいくわつ
)
があるならば、
先生
(
せんせい
)
の
生活
(
せいくわつ
)
の
如
(
ごと
)
きは
實
(
じつ
)
にそれであると
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
一寸このくしや/\になつた黒い
鬣
(
たてがみ
)
を、
梳
(
と
)
かすだけですわ。私近くであなたを
熟々
(
つく/″\
)
見たときには、吃驚りするほどでした。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
と慌てゝ頭巾の裏を返して見ると、白羽二重の
布
(
きれ
)
が縫付けて有りまして、それへ朱印が押してございますのを
熟々
(
つく/″\
)
視
(
み
)
て
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
勘次
(
かんじ
)
はお
品
(
しな
)
のことをいはれる
度
(
たび
)
に、おつぎの
身體
(
からだ
)
をさう
思
(
おも
)
つては
熟々
(
つく/″\
)
と
見
(
み
)
る
度
(
たび
)
に、お
品
(
しな
)
の
記憶
(
きおく
)
が
喚返
(
よびかへ
)
されて一
種
(
しゆ
)
の
堪
(
た
)
へ
難
(
がた
)
い
刺戟
(
しげき
)
を
感
(
かん
)
ぜざるを
得
(
え
)
ない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
熟々
(
つく/″\
)
考へる迄も無く吉村忠雄氏又は次郎生の如きは「上下卑賤の階級」の最も卑賤なる部類に屬する人に違ひない。
貝殻追放:007 愚者の鼻息
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
開
(
ひら
)
くでもなしに、
弁当
(
べんたう
)
を
熟々
(
つく/″\
)
視
(
み
)
ると、
彼処
(
あすこ
)
の、あの
上包
(
うはつゝみ
)
に
描
(
ゑが
)
いた、ばら/\
蘆
(
あし
)
に
澪標
(
みをつくし
)
、
小舟
(
こぶね
)
の
舳
(
みよし
)
にかんてらを
灯
(
とも
)
して、
頬被
(
ほうかむり
)
したお
爺
(
ぢい
)
の
漁
(
あさ
)
る
状
(
さま
)
を、ぼやりと一
絵具
(
ゑのぐ
)
淡
(
あは
)
く
刷
(
は
)
いて
描
(
ゑが
)
いたのが
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
後には「己の著物には方々に鍼がある」と叫んで狂奔し、
動
(
やゝ
)
もすれば戸外に跳り出でむとした。妻は榛軒の許に馳せ来つて救を乞うた。榛軒は
熟々
(
つく/″\
)
聴いた後に、其顔を凝視して云つた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
まァ、
眞個
(
ほんとう
)
に
奇態
(
きたい
)
な
夢
(
ゆめ
)
だこと、さァ、お
茶
(
ちや
)
を
飮
(
の
)
みに
行
(
ゆ
)
きませうね、もう
遲
(
おそ
)
いから、
乃
(
そこ
)
で
愛
(
あい
)
ちやんは、
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
るや
否
(
いな
)
や
駈
(
か
)
け
出
(
だ
)
しました、
駈
(
か
)
ける
間
(
ま
)
も、
熟々
(
つく/″\
)
奇妙
(
きめう
)
な
夢
(
ゆめ
)
であつたことを
考
(
かんが
)
へながら。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
どちら向いても野の中に唯一人取残されて、
昨日
(
きのふ
)
迄の仲間が今日は
散々
(
ちり/″\
)
になつて行く
後影
(
うしろかげ
)
を見送るでもなく、磨いたように光る線路を
熟々
(
つく/″\
)
と眺めれば線路は遠く/\走つて
何処
(
いづく
)
ともなく消えて行く。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
熟々
(
つく/″\
)
見て
最
(
いと
)
不審氣
(
いぶかしげ
)
にお前は
若
(
もし
)
や藤崎道十郎殿の御
子息
(
しそく
)
の道之助殿では御座らぬかと
云
(
いふ
)
聲
(
こゑ
)
聞て後家のお光は心
嬉
(
うれ
)
しく夫の名を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
多くの代議士に
狗
(
いぬ
)
のやうな日本語で
喋舌
(
しやべ
)
らしておいて、黙つてそれを聴く事の出来る日本人の無神経さが
熟々
(
つく/″\
)
思はれる。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
といいながら松葉や麁朶を焚べ、ちょろ/\と火が移り、燃え上りました光で、お賤が尼の顔を
熟々
(
つく/″\
)
見ていましたが
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
後
(
あと
)
では
波
(
なみ
)
が
巖
(
いは
)
に
打
(
う
)
ちつける
樣
(
やう
)
に
暫
(
しば
)
らく
騷
(
さわ
)
いだ。
若
(
わか
)
い
女
(
をんな
)
は
皆
(
みな
)
十
分
(
ぶん
)
笑
(
わら
)
つて、
又
(
また
)
痘痕
(
あばた
)
の
爺
(
ぢい
)
さんを
熟々
(
つく/″\
)
と
見
(
み
)
ては
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
して
袂
(
たもと
)
で
口
(
くち
)
を
掩
(
おほ
)
うた。
到頭
(
たうとう
)
極
(
きま
)
り
惡相
(
わるさう
)
にして
爺
(
ぢい
)
さんも
去
(
さ
)
つて
畢
(
しま
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
で、白い切り立ての
紗
(
しや
)
で特別仕立の
上
(
うは
)
つ
張
(
ぱり
)
のやうなものを
拵
(
こしら
)
へ、それを着込んでにこにこもので王献之の
許
(
とこ
)
へ着て往つた。王献之は
熟々
(
つく/″\
)
それを見てゐたが
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
聞
(
きか
)
れ其方共顏を上よと有しに兩人は恐る/\少し
面
(
かほ
)
を
上
(
あぐ
)
る時
駕籠
(
のりもの
)
の中より
熟々
(
つく/″\
)
と見らるゝに(此時は
所謂
(
いはゆる
)
誠心
(
せいしん
)
の
虚實
(
きよじつ
)
眞僞
(
しんぎ
)
面
(
おもて
)
に
表
(
あらは
)
るゝを見分る
緊要
(
きんえう
)
の場なりとぞ)
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
翌年寛政八年
恰
(
ちょう
)
ど二月三日の事でございましたが、法蔵寺へ参詣に来ると、和尚が
熟々
(
つく/″\
)
新吉を見まして
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
其の顔を新吉が
熟々
(
つく/″\
)
見ると夢に見ました兄新五郎の顔に
生写
(
いきうつ
)
しで、新吉はぞっとする程身の毛立って
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
よく訊いてみると、先頃何処かの画会に、保太郎氏が
半截
(
はんせつ
)
に山水画を
描
(
か
)
いて出品した事があつた。すると、大阪見物に出て来た、雲州辺の百姓がそれを見て
熟々
(
つく/″\
)
感心した。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
と信実心から説き諭され、悪人ながら小平は
肝
(
きも
)
に感じましたか、黙然として腕を組み、
俯
(
うつむ
)
いて何か考えて居りましたが、暫くして首を
擡
(
もた
)
げ、多助の顔を
熟々
(
つく/″\
)
見まして
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
幾度読み返してみても同じ事なので、馬越氏はお婆さんのやうな顔を
歪
(
ゆが
)
めてにやつと笑つた。そしてこんな場合笑つて済ます事の出来る自分は、何といふ悧巧者だらうと
熟々
(
つく/″\
)
また感心をした。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
圖書に人知れず会って、
篤
(
とく
)
と異見をして、圖書が改心の上は元通りお前さんと添わしたく思います、其れゆえ
私
(
わたし
)
は是から帰って圖書に逢って、当人に
熟々
(
つく/″\
)
意見をしますから
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
荷足の仙太は提灯の燃上る火影に
熟々
(
つく/″\
)
と侍の姿を見済まして板子を取直し、五人力の力を
極
(
きわ
)
めて振り
冠
(
かぶ
)
り、怪しい侍の腰の
番
(
つがい
)
を
覘
(
ねら
)
い、
車骨
(
くるまぼね
)
を
打砕
(
うちくだ
)
こうという精神でブーンと打込みますると
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
重三郎は拵えなどは見は致しません、
直
(
すぐ
)
に引抜いて見ましたなれども、粟田口國綱の刀は見る
度
(
たび
)
に
乱
(
みだれ
)
が違うものだから、心を静めて
熟々
(
つく/″\
)
見ますると、疑いもない國綱なれば、刀を鞘に収め
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
口移しに水を
啣
(
ふく
)
ませ、お竹を□□めて
我
(
わが
)
肌の
温
(
あたゝ
)
かみで暖めて居ります内に、雪はぱったり止み、雲が切れて十四
日
(
か
)
の月が段々と差昇ってまいる内に、雪明りと
月光
(
つきあか
)
りとで
熟々
(
つく/″\
)
お竹の顔を見ますと
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
辛抱次第で
行々
(
ゆく/\
)
は
暖簾
(
のれん
)
を分けて遣る、其の代り辛抱をしろ、
苟
(
かりそめ
)
にも曲った心を出すなと
熟々
(
つく/″\
)
御意見下すって、
余
(
あんま
)
り私を
贔屓
(
ひいき
)
になすって下さいますもんだから、番頭さんが
嫉
(
そね
)
んで
忌
(
いや
)
な事を致しますから
文七元結
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
という御沙汰で、紅梅は
熟々
(
つく/″\
)
両方を見較べて清左衞門に向い
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
山三郎はお蘭の話を
熟々
(
つく/″\
)
聞いておりましたが
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
熟
常用漢字
小6
部首:⽕
15画
々
3画
“熟”で始まる語句
熟
熟睡
熟視
熟柿
熟練
熟〻
熟慮
熟考
熟知
熟議