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煎餅
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せんべい
ふりがな文庫
“
煎餅
(
せんべい
)” の例文
兄は一人ぼっちで、治療をする費用もなく、慰めてくれる友達もなく、
垢
(
あか
)
づいた
煎餅
(
せんべい
)
ぶとんにくるまって、死にかけていました。……
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と、
煎餅
(
せんべい
)
を袋ごと盆にのせて、茶道具といっしょに運んで来た。そして、次郎のすぐそばに尻を落ちつけ、みんなに茶を注ぎはじめた。
次郎物語:03 第三部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
普通には
扁平
(
へんぺい
)
な
煎餅
(
せんべい
)
のようなものしかできなかったが、巧者な
庫男
(
くらおとこ
)
になると是で
瓢箪
(
ひょうたん
)
や
松茸
(
まつたけ
)
や、時としてはまた人形なども作り上げた。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「
欲
(
ほ
)
しいつちんだら
出
(
だ
)
して
遣
(
や
)
れえ」
彼
(
かれ
)
はいつた。おつぎは
戸棚
(
とだな
)
から
煎餅
(
せんべい
)
を一
枚
(
まい
)
出
(
だ
)
して
與吉
(
よきち
)
へ
渡
(
わた
)
した。
與吉
(
よきち
)
はすつと
奪
(
うば
)
ふ
樣
(
やう
)
にして
取
(
と
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
絡みつけながら恐ろしい力でぐい/\と彼を壁へ押した。織部正は自分の体が
煎餅
(
せんべい
)
のように平べったく
壓搾
(
あっさく
)
されるのを感じつゝ
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
私の母は歯が丈夫で、七十七歳で世を終るまで一枚も欠損せず、硬い
煎餅
(
せんべい
)
でも何でもバリバリと
齧
(
かじ
)
った。それと反対に、父は歯が悪かった。
はなしの話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「親孝行は真似てもしろって言うじゃないか。八なんかも、金の茶釜を見ての戻り、叔母さんへ
煎餅
(
せんべい
)
の一と袋も買って来る気になったろう」
銭形平次捕物控:092 金の茶釜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
参詣
(
さんけい
)
が果てると雑煮を祝って、すぐにお正月が来るのであったが、これはいつまでも
大晦日
(
おおみそか
)
で、餅どころか、
袂
(
たもと
)
に、
煎餅
(
せんべい
)
も、
榧
(
かや
)
の実もない。
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
煎餅
(
せんべい
)
のやうな生木の薄いバラック旅館が、いくつも建ちかけてゐた。
気儘
(
きまゝ
)
放題に家が建ち並んでゐる。
市場
(
マァケット
)
あり小料理屋あり。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
ほどなく、米友は車力に頼んで、一袋の
煎餅
(
せんべい
)
を買い求め、それを檻の中の子熊に与えることで、我を忘れるの境に入りました。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
音が味を助けるとか、音響が味の重きをなしているものには、魚の卵などのほかに、
海月
(
くらげ
)
、
木耳
(
きくらげ
)
、かき餅、
煎餅
(
せんべい
)
、
沢庵
(
たくあん
)
など。
数の子は音を食うもの
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
医者が来た頃は、最早手後れになって居た。墓守が見舞に往って見ると、
煎餅
(
せんべい
)
の袋なぞ枕頭に置いて、アアン〻〻〻
幽
(
かす
)
かな声でうめいて居た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ただ
金
(
きん
)
さんが平たく
煎餅
(
せんべい
)
のようになって寝ている。それから例の
帆木綿
(
ほもめん
)
にくるまって、ぶら下がってる男もいる。しかし両方とも
極
(
きわ
)
めて静かだ。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
煎餅
(
せんべい
)
二、三枚をかぢり、紅茶をコツプに半杯づつ二杯飲む。昼飯と夕飯との間に、
菓物
(
くだもの
)
を喰ふかあるいは茶を
啜
(
すす
)
り菓子を喰ふかするは常の事なり。
明治卅三年十月十五日記事
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
そして、子供に隠して、その父から一枚の
煎餅
(
せんべい
)
を出してもらって「坊やはいい子ね、サ、お菓子」といって出し抜けに子供にそれを与えるだろう。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
「馬鹿言え。お茶受もあるのだ」爺いさんは起って、押入からブリキの
鑵
(
かん
)
を出して、菓子鉢へ玉子
煎餅
(
せんべい
)
を盛っている。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
第九十七 ビスケットプデン これはソーダビスケといって軽い
煎餅
(
せんべい
)
のようなものです。それを四枚だけ一時間ほど牛乳一合の中へ漬けておきます。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
汚い
桝
(
ます
)
のなかで
行火
(
あんか
)
に
蒲団
(
ふとん
)
をかけ、
煎餅
(
せんべい
)
や菓子を食べながら、冬の半夜を過ごすこともあったが、舞台の道化にげらげら笑い興ずる観衆の中にあって
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
と日暮方で薄暗いから土間の所から探り/\上って参ると、
煎餅
(
せんべい
)
の様な薄っぺらの布団を一枚敷いて、其の上へ赤ん坊を抱いてゴロリと寝ております。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
文化生活、文化村、文化住宅、文化机、文化
竈
(
かまど
)
、文化タワシ、文化丼、文化
饅頭
(
まんじゅう
)
、文化
煎餅
(
せんべい
)
、文化まめとなって来ると、どこが文化なのか見当が付かぬ。
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
柱につるされた
籠
(
かご
)
の中で、
鸚鵡
(
おうむ
)
が
煎餅
(
せんべい
)
を食べている。その籠の下に眠っているのは、スペイン猫のネロである。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
文字通り
煎餅
(
せんべい
)
布団にくるまって、その上にオーバーや座布団をのせて間に合わせていた。おかみさんやおきぬの手前を恥じて、嘉吉はきまり悪そうな顔をした。
早春
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
玄関からまる見えの
煎餅
(
せんべい
)
蒲団から起き出してきて、すぐ帰るだろうから、さあどうぞ、お上り下さい、むさくるしいところですが、どうぞ、どうぞというわけ。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
己らの言ふが
何故
(
なぜ
)
をかしからう、奇麗な嫁さんを貰つて連れて歩くやうに成るのだがなあ、己らは何でも奇麗のが好きだから、
煎餅
(
せんべい
)
やのお福のやうな
痘痕
(
みつちや
)
づらや
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
もし
此
(
この
)
裂
(
さ
)
け
目
(
め
)
に
挾
(
はさ
)
まると、
人畜
(
じんちく
)
牛馬
(
ぎゆうば
)
、
煎餅
(
せんべい
)
のように
押
(
お
)
し
潰
(
つぶ
)
されるといはれ、
避難
(
ひなん
)
の
場所
(
ばしよ
)
としては
竹藪
(
たけやぶ
)
を
選
(
えら
)
べとか、
戸板
(
といた
)
を
敷
(
し
)
いてこれを
防
(
ふせ
)
げなどと
戒
(
いまし
)
められてゐる。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
子供らは砂糖のついた
煎餅
(
せんべい
)
を
音無
(
おとな
)
しく食べていたが、定雄の末の二つになる子だけは、細く割りちらけて散乱している菓子の破片の中で、泳ぐように
腹這
(
はらば
)
いになり
比叡
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
天の上へ引きあげてくだされるとのことじゃったが、この大難に
煎餅
(
せんべい
)
一枚もくだされないとは何事じゃ
切支丹転び
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
また幾千金にかえられた
堆朱
(
ついしゅ
)
のくり盆に、接待
煎餅
(
せんべい
)
を盛って
給仕
(
きゅうじ
)
が運んでおったのもその頃であった。
九条武子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
その柔い生乾きの
煎餅
(
せんべい
)
に似たものを、食後の客の前に出してアルコールランプの皿鍋が程よく焼けると、その中でシャンパンとリキールグラシ、マルニエ、コルドン
食魔に贈る
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
板の間の隅に巻いて立てかけてあったしきのし
茣蓙
(
ござ
)
が、思うさまの足の力で
圧
(
お
)
されて、まんなかを
煎餅
(
せんべい
)
にへこまして曲っていた。ミネはその時のことをよく思い出す。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
そこで私は、自分の部屋に
這入
(
はい
)
るや
否
(
いな
)
や、
鞄
(
かばん
)
を肩からおろして、叔母のくれる
煎餅
(
せんべい
)
をポリポリと
噛
(
かじ
)
りながら、今か今かと祖母の呼んでくれるのを待つばかりであった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
その又紙の中には
煎餅
(
せんべい
)
位大きい、チョコレェトの色に干からびた、妙なものが一枚包んであった。
湖南の扇
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
買って帰って、そんな話をしているところへ次兄が顔を出して、「あの店では怪しい玉子はきっと皆
煎餅
(
せんべい
)
にするのでしょう」といったので、祖母は
嫌
(
いや
)
な顔をなさいました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
茶請
(
ちゃうけ
)
は塩
煎餅
(
せんべい
)
か法事でもらったアンビ餅で、文壇のことやそのころの作者
気質
(
かたぎ
)
や雑誌記者の話などがいつもきまって出たが、ある夜、ふと話が旅行のことに移って行った。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「ううん。もう豚公には用はないよ。僕は、
彼奴
(
あいつ
)
が
食余
(
くいあま
)
した餌と毒を、手に入れたからね」とそう言って
外套
(
オーバー
)
のポケットから、三、四枚の花の様な
煎餅
(
せんべい
)
を出して見せました。
とむらい機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
自分もわざと
潔
(
いさぎよ
)
く立って、皆といっしょに二階を下りたが、ふところへねじこんだ古雑誌と菓子や
煎餅
(
せんべい
)
の
残物
(
ざんぶつ
)
とが今夜のお礼代りかと思えば、ばかばかしいような気もして
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
小一郎は昨日は
晒
(
さら
)
し
飴
(
あめ
)
を五つと
饅頭
(
まんじゅう
)
を三つと、そのあとに、えーと、というのがはいるんだ、それから
煎餅
(
せんべい
)
を七枚と芋の田楽を喰べました、もし山の中にも飴や饅頭があるなら
ちくしょう谷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「なんでも屋」は、餞別に、金五郎夫婦の寝ていた
煎餅
(
せんべい
)
蒲団を、二枚くれた。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
その一つのいろんな
煎餅
(
せんべい
)
を売るきれいな店の前には、青い瓦斯が昼のやうに冴えてゐる中に、硝子函の上に飾つた、鉢植の赤と白との石竹の花が、
漲
(
みなぎ
)
つた灯りを吸うてゐるやうに目立つて見えた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
岩かどに頭をぶっつけるか、そうでなくて死にもせず、元の極楽地下街まで
墜
(
お
)
ちついたとすれば、そこには白人帝国軍の
地底戦車隊
(
ちていせんしゃたい
)
が待っていて、たちまち身はお
煎餅
(
せんべい
)
の如く
伸
(
の
)
されてしまうのである。
今昔ばなし抱合兵団:――金博士シリーズ・4――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
葉子は
周章
(
あわて
)
てお
煎餅
(
せんべい
)
を一口
齧
(
かじ
)
ると、衣裳部屋を飛出して行った。
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
空缶
(
あきかん
)
を持って行って
煎餅
(
せんべい
)
を買いにやられる。買って来ると
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
安兵衛は、盆の上から
煎餅
(
せんべい
)
の一枚を取って折りながら
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「お
角力
(
すもう
)
の
煎餅
(
せんべい
)
」お手上がりだ
昔の言葉と悪口
(新字新仮名)
/
三遊亭金馬
(著)
明神樣の下で名物の
煎餅
(
せんべい
)
を買つて、それをお靜が小風呂敷に包んでくれたのを
土産
(
みやげ
)
に、平次が向柳原に向つたのは、もう
辰刻
(
いつゝ
)
近い頃でした。
銭形平次捕物控:305 美しき獲物
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
夕食後、「次郎のお母さんのお土産」だといって、みんなに
煎餅
(
せんべい
)
がふるまわれた。大人たちも子供たちも茶の間に集まって、それを食べた。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
徒
(
いたず
)
らに鼻が
隆
(
たか
)
く目の
窪
(
くぼ
)
んだ処から、まだ
娑婆気
(
しゃばッき
)
のある頃は、
暖簾
(
のれん
)
にも看板にも(目あり)とかいて、
煎餅
(
せんべい
)
を焼いて売りもした。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
少年はぶら下げていた
煎餅
(
せんべい
)
の籠を投げ出すように姉に渡して、一番先に駈出してゆく。木の音はつづいてきこえるが、幕はなかなかあかない。
島原の夢
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
露店の
硝子箱
(
ガラスばこ
)
には、
煎餅
(
せんべい
)
や、天麩羅がうまそうであった。私は硝子箱に
凭
(
もた
)
れて、煎餅と天麩羅をじっと
覗
(
のぞ
)
いた。硝子箱の
肌
(
はだ
)
には霧がかかっていた。
風琴と魚の町
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
母は
忽然
(
こつぜん
)
襖をあけて、
煎餅
(
せんべい
)
でもやらうか、といふ。これは平生夜仕事の時に何か食ふが例となり居ればかくいふなり。
明治卅三年十月十五日記事
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
“煎餅”の解説
煎餅(せんべい、en: rice cracker)とは、米粉や小麦粉などを練り、薄くのばし鉄板などで焼いた菓子。多くは薄く丸い形状をしている。
(出典:Wikipedia)
煎
常用漢字
中学
部首:⽕
13画
餅
常用漢字
中学
部首:⾷
15画
“煎餅”で始まる語句
煎餅屋
煎餅蒲団
煎餅布団
煎餅布團
煎餅蒲團
煎餅屋渡世