トップ
>
濛々
>
もう/\
ふりがな文庫
“
濛々
(
もう/\
)” の例文
其
(
それ
)
が
向
(
むか
)
う
岸
(
ぎし
)
へ
着
(
つ
)
いたと
思
(
おも
)
ふと、
四邊
(
あたり
)
また
濛々
(
もう/\
)
、
空
(
そら
)
の
色
(
いろ
)
が
少
(
すこ
)
し
赤味
(
あかみ
)
を
帶
(
お
)
びて、
殊
(
こと
)
に
黒
(
くろ
)
ずんだ
水面
(
すゐめん
)
に、五六
人
(
にん
)
の
氣勢
(
けはひ
)
がする、
囁
(
さゝや
)
くのが
聞
(
きこ
)
えた。
三尺角拾遺:(木精)
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
然
(
さ
)
うして
龕燈
(
がんどう
)
を
持
(
も
)
つ
手
(
て
)
を
横穴
(
よこあな
)
に
突出
(
つきだ
)
して、
内部
(
ないぶ
)
を
照
(
て
)
らして
見
(
み
)
やうとしたが、
其
(
その
)
光
(
ひかり
)
の
當
(
あた
)
る
部分
(
ぶぶん
)
は、
白氣
(
はくき
)
濛々
(
もう/\
)
として
物凄
(
ものすご
)
く、
何
(
なに
)
が
何
(
なに
)
やら
少
(
すこ
)
しも
分
(
わか
)
らぬ。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
多の市は
覺束
(
おぼつか
)
なくも言ひ切ります。その間にも、修驗者の道尊坊は、護摩の煙を
濛々
(
もう/\
)
となびかせながら、
揉
(
も
)
みに揉んで何やら祈り續けて居るのでした。
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
丼
(
どんぶり
)
や
鮨
(
すし
)
や蜜柑のやうなものが、そつち
此方
(
こつち
)
に散らばつて、煙が
濛々
(
もう/\
)
してゐた。晴代は割り込むやうにして、木山の傍に坐つたが、木山は苦笑してゐた。
のらもの
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
このごろあたしの書いた小説の揷繪にも、肩から
衣
(
きぬ
)
のぬげおちようとしてゐるところ——これは湯上りといへないが——
濛々
(
もう/\
)
たる湯氣の中に立つた姿もある。
春
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
有志之士、
不堪杞憂
(
きいうにたへず
)
、
屡
(
しば/\
)
正論
讜議
(
たうぎ
)
すと雖、雲霧
濛々
(
もう/\
)
、
毫
(
がう
)
も採用せられず。
乃
(
すなは
)
ち断然
奸魁
(
かんくわい
)
を
斃
(
たふ
)
して、朝廷の反省を促す。下情
壅塞
(
ようそく
)
せるより起ると云ふは
即是也
(
すなはちこれなり
)
。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
館内は、
土間
(
どま
)
も二階も三階も、ぎっしりと客が詰まって居るらしく、
蒸
(
む
)
し暑い人いきれで
濛々
(
もう/\
)
と煙って居た。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
昨夜来
(
さくやらい
)
頻
(
しき
)
りに
降
(
ふ
)
り来る雨は朝に至りて未だ
霽
(
は
)
れず、
遥
(
はる
)
かに利根山奥を
望
(
のぞ
)
むに
雲烟
(
うんえん
)
濛々
(
もう/\
)
前途
漠焉
(
ばくえん
)
たり、藤原村民の言の如く
山霊
(
さんれい
)
果して一行の
探検
(
たんけん
)
を拒むかと
想
(
おも
)
はしむ
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
濛々
(
もう/\
)
と煙が立ち昇つてゐる刑場に近づくと火葬場の煙の如き異臭が風に送られて来る。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
絃
(
いと
)
をあやつる老妓あれば、
此方
(
こなた
)
にどたばた
逐
(
お
)
ひまくられて、キヤツと
玉切
(
たまぎ
)
る
雛妓
(
すうぎ
)
あり、玉山
崩
(
くづ
)
れて酒煙
濛々
(
もう/\
)
、誠に
是
(
こ
)
れ
朝
(
あした
)
に筆を
呵
(
か
)
して天下の大勢を論じ去る
布衣
(
ふい
)
宰相諸公が、
夕
(
ゆふべ
)
の脚本体なりける
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
蒲団の隙から這ひ出した煙が部屋の中に
濛々
(
もう/\
)
と立ちのぼつた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
濛々
(
もう/\
)
たる
香煙
(
かうえん
)
を日光に
漲
(
みなぎ
)
らす如し。
頌歌
(旧字旧仮名)
/
ポール・クローデル
(著)
護摩
(
ごま
)
の
烟
(
けむり
)
は
濛々
(
もう/\
)
と壇をこめて、東海坊の素晴らしい
次低音
(
バリトーン
)
だけが、
凛々
(
りん/\
)
と響き渡るのです。やがて
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
白井氏
(
しらゐし
)
のレインコートの
裾
(
すそ
)
の、
身
(
み
)
にからんで、
煽
(
あふ
)
るのを、
濛々
(
もう/\
)
たる
雲
(
くも
)
の
月影
(
つきかげ
)
に
見
(
み
)
おくつた。
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
二日
(
ふつか
)
の
日
(
ひ
)
の
午後
(
ごご
)
、
火
(
ひ
)
と
煙
(
けむり
)
を
三方
(
さんぱう
)
に
見
(
み
)
ながら、
秋
(
あき
)
の
暑
(
あつ
)
さは
炎天
(
えんてん
)
より
意地
(
いぢ
)
が
惡
(
わる
)
く、
加
(
くは
)
ふるに
砂煙
(
さえん
)
の
濛々
(
もう/\
)
とした
大地
(
だいち
)
に
茣蓙
(
ござ
)
一枚
(
いちまい
)
の
立退所
(
たちのきじよ
)
から、
軍
(
いくさ
)
のやうな
人
(
ひと
)
ごみを、
拔
(
ぬ
)
けつ、
潛
(
くゞ
)
りつ
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
室内
(
しつない
)
一面
(
いちめん
)
濛々
(
もう/\
)
とした
上
(
うへ
)
へ、あくどい
黄味
(
きみ
)
を
帶
(
お
)
びたのが、
生暖
(
なまぬる
)
い
瀬
(
せ
)
を
造
(
つく
)
つて、むく/\
泡
(
あわ
)
を
吹
(
ふ
)
くやうに、……
獅噛面
(
しかみづら
)
で
切齒
(
くひしば
)
つた
窓々
(
まど/\
)
の、
隙間
(
すきま
)
と
云
(
い
)
ふ
隙間
(
すきま
)
、
天井
(
てんじやう
)
、
廂合
(
ひあはひ
)
から
流込
(
ながれこ
)
む。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
昨夜
(
ゆうべ
)
雇
(
やと
)
つた
腕車
(
くるま
)
が二
臺
(
だい
)
、
雪
(
ゆき
)
の
門
(
かど
)
を
叩
(
たゝ
)
いたので、
主從
(
しうじう
)
は、
朝餉
(
あさげ
)
の
支度
(
したく
)
も
匇々
(
そこ/\
)
に、
身
(
み
)
ごしらへして、
戸外
(
おもて
)
に
出
(
で
)
ると、
東雲
(
しのゝめ
)
の
色
(
いろ
)
とも
分
(
わ
)
かず
黄昏
(
たそがれ
)
の
空
(
そら
)
とも
見
(
み
)
えず、
溟々
(
めい/\
)
濛々
(
もう/\
)
として、
天地
(
てんち
)
唯
(
たゞ
)
一白
(
いつぱく
)
。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
嶺
(
みね
)
あり、
天
(
てん
)
を
遮
(
さへぎ
)
り、
關
(
せき
)
あり、
地
(
ち
)
を
鎖
(
とざ
)
し、
馬
(
うま
)
前
(
すゝ
)
まず、——
馬
(
うま
)
前
(
すゝ
)
まず。——
孤影
(
こえい
)
雪
(
ゆき
)
に
碎
(
くだ
)
けて
濛々
(
もう/\
)
たる
中
(
なか
)
に、
唯
(
と
)
見
(
み
)
れば
一簇
(
いつそう
)
の
雲
(
くも
)
の
霏々
(
ひゝ
)
として
薄
(
うす
)
く
紅
(
くれなゐ
)
なるあり。
風
(
かぜ
)
に
漂
(
たゞよ
)
うて
横
(
よこ
)
ざまに
吹
(
ふ
)
き
到
(
いた
)
る。
日
(
ひ
)
は
暮
(
く
)
れぬ。
花間文字
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
濛
漢検1級
部首:⽔
16画
々
3画
“濛々”で始まる語句
濛々漠々
濛々迷々