トップ
>
浚
>
さら
ふりがな文庫
“
浚
(
さら
)” の例文
定さんの茶番や大奴さんのお
浚
(
さら
)
いが比較的に面白かったのは、平素からその人たちをよく識っているという点から出発しているので
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ゆうべの
御馳走
(
ごちそう
)
は何んやと次の一間よりまろび出てくるだろう、然る処へ不意に猫の奴が現われて何か一つ
浚
(
さら
)
って走るかも知れない。
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
お自慢の生徒と、お自慢の出資者が、一度に模範学校から、
浚
(
さら
)
い取られてしまったのです。女史は何か盗まれたような気がしました。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
丁々坊 ははは、この梟、羽を
生
(
はや
)
せ。(戯れながら——熊手にかけて、白拍子の
躯
(
むくろ
)
、藁人形、そのほか、釘、獣皮などを
掻
(
か
)
き
浚
(
さら
)
う。)
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
投げ込んで行くところは
浚
(
さら
)
われても仕方がない、何でもおちゃっぴいになって、朝比奈をギュウと言わせてやりさえすれば胸が
透
(
す
)
くわ
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
「まるでこのおれの邪魔をしているようだ。先へ廻って染吉の朱盆を、かっ
浚
(
さら
)
おうとでもしているようだ。曰くがなければならないぞ」
染吉の朱盆
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
これをもってアメリカの船舶業者は、一八三七年以来北大西洋の旅客をかっ
浚
(
さら
)
った英国のキュナード汽船に対抗しようとしたのである。
黒船前後
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
中にも一枚岩の河床が雨樋のように
抉
(
えぐ
)
れて、一丈近い飛瀑を奔下させている上を徒渉した時には、皆危く足を
浚
(
さら
)
われる所であった。
北岳と朝日岳
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
「ウン起きたか省作、えい加減にして
土竜
(
もぐら
)
の芸当はやめろい。今日はな、
種井
(
たねい
)
を
浚
(
さら
)
うから手伝え。くよくよするない、男らしくもねい」
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
宴会の席ではやはり
稼業
(
しょうばい
)
大事とつとめて、一人で座敷を
浚
(
さら
)
って行かねばすまぬ、そんな気性はめったに失われるものではなかった。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
で、父が死んでからは小林は兄に代って家の経済をきりまわしていたが、そのうちいくらかの金を
掻
(
か
)
っ
浚
(
さら
)
って家出をしたのだった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
それまで堀形のあったのを、
浚
(
さら
)
って深く掘り下げ、船の
運漕
(
うんそう
)
ができるようにするのだが、この長さ六百六十間。幅三十間。深さ二間半。
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
奥の四畳半で
先刻
(
さっき
)
からお
金
(
きん
)
さんに学課の復習をして
貰
(
もら
)
っていた
真事
(
まこと
)
が、突然お金さんにはまるで解らない
仏蘭西語
(
フランスご
)
の読本を
浚
(
さら
)
い始めた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
古い掘割りは
浚
(
さら
)
えられ、新しい川になっていた。透明な水をたっぷり
湛
(
たた
)
えて、高い秋の空をまッ蒼に、底なしの深さに映していた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
何しろ、久し振りで
此方
(
こちら
)
の師匠が
雛段
(
ひなだん
)
へ据ったのが、あれが、こうっと——四日前の大
浚
(
さら
)
えでげしたから、未だ耳の底に残っていやすよ。
助五郎余罪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
昨日荷車を
挽
(
ひ
)
いた諸君が、今日も来て井戸を
浚
(
さら
)
えてくれた。家主の彼は、半紙二帖、
貰物
(
もらいもの
)
の干物少々持って、近所四五軒に挨拶に
廻
(
まわ
)
った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
きやりと閃く青白い恐怖が彼の頭の中にあらゆるものを一
嘗
(
な
)
めに
浚
(
さら
)
って行ったあとは、超自然のような勢力が天地を縦横無尽に駆け廻る
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
此際
(
このさい
)
鐵道橋梁
(
てつどうきようりよう
)
も
下
(
くだ
)
り
汽車
(
きしや
)
と
共
(
とも
)
に
浚
(
さら
)
はれてしまつたが、これは
土砂
(
どさ
)
に
埋
(
うづま
)
つたまゝ
海底
(
かいてい
)
まで
持
(
も
)
つて
行
(
ゆ
)
かれたものであることが
解
(
わか
)
つた。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
稀
(
まれ
)
には「大変お早いんですねえ」などと言っても見た。雨の日などにはその家の妓が五人ほど集まって、一緒に三味線のお
浚
(
さら
)
いをし出した。
競漕
(新字新仮名)
/
久米正雄
(著)
ただ残念がった彼——彼の眼から見るとじっさいこの池には
取柄
(
とりえ
)
がなかったのだ——そして水を
浚
(
さら
)
って底の泥を売りとばしかねなかった彼。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
今日
(
こんにち
)
から
振
(
ふ
)
り
返
(
かえ
)
って
考
(
かんが
)
えると、この
海
(
うみ
)
の
修行場
(
しゅぎょうば
)
は
私
(
わたくし
)
の
為
(
た
)
めに
神界
(
しんかい
)
で
特
(
とく
)
に
設
(
もう
)
けて
下
(
くだ
)
すったお
浚
(
さら
)
いの
場所
(
ばしょ
)
ともいうべきものなのでございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
葉子はその前にも一度
田舎
(
いなか
)
へ帰ったが、その時は見送りに行った庸三の娘を二人とも、不意に
浚
(
さら
)
って行ってしまった。その日は土曜日だった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
僕は君、悲しいなんていうところを
通越
(
とおりこ
)
して、
呆気
(
あっけ
)
に取られて
了
(
しま
)
いました——まるで暴風にでも、自分の子供を
浚
(
さら
)
って持って行かれたような——
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
案の定
浚
(
さら
)
いとるべく京弥の身辺を取り巻きましたので、こちらの二人が等しく目を
瞠
(
みは
)
ったとき——だが、この薄萠黄色お高僧頭巾の艶なる女が
旗本退屈男:02 第二話 続旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
だが、平次は
躊躇
(
ちゅうちょ
)
しませんでした。町内の人足二、三人と、番太の親爺を呼んで来ると、巴屋の窓の下を中心に、早速ドブ
浚
(
さら
)
いを始めたのです。
銭形平次捕物控:242 腰抜け彌八
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
一しょに
浚
(
さら
)
って見ようではないかということになった。いまだ一段を終らぬに、世話好の未亡人は驚歎しつつこういった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
吉
(
よし
)
ちやんは机について学課のお
浚
(
さら
)
へをしてをりました。障子の立つてゐる室の内は、薄暗くて、まるで夕暮の様でした。
夢の国
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
氏はありとあらゆる日本語や漢語を
浚
(
さら
)
ひ出して、ありとあらゆる感覚的な美を(或は醜を)、「刺青」以後の氏の作品に
螺鈿
(
らでん
)
の如く
鏤
(
ちりば
)
めて行つた。
あの頃の自分の事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
折々田畑に出ているとこの大きな鳥が飛んで来て被っている手拭を
浚
(
さら
)
ってゆく、それも若い者と老人とをよく見分けて老人のばかりを狙って来る
みなかみ紀行
(新字新仮名)
/
若山牧水
(著)
浚
(
さら
)
って行ったという噂も聞いたが、その時刻にはその色男は、チャント下宿に居ったというからね。どうもおかしいんだ
空を飛ぶパラソル
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
『アレツ!』『アレツ、新坊
様
(
さん
)
が!』と
魂消
(
たまぎ
)
つた
叫声
(
さけび
)
が
女児
(
こども
)
らと智恵子の口から
迸
(
ほとば
)
しつた。
五歳
(
いつつ
)
の新坊が足を
浚
(
さら
)
はれて、
呀
(
あつ
)
といふ間もなく流れる。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
例えば寒月君が「首縊りの力学」の御
浚
(
さら
)
いにくる所で、「所がその問題がマグネ付けられたノッヅルに就いて
抔
(
など
)
という乾燥無味なものじゃないんだ」
寒月の「首縊りの力学」その他
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
宿へ帰って聞いてみると、県から水電会社への課税のような意味で大正池の泥
浚
(
さら
)
えをやらせているのだという。ほんの
申訳
(
もうしわけ
)
にやっているのだという。
雨の上高地
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
後取
(
あとと
)
りにする内弟子のふうちゃんより、名取りのおなっちゃんより私を可愛がって、御自慢で附合
浚
(
さら
)
いに連れ廻った。
旧聞日本橋:07 テンコツさん一家
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
……非人
寄場
(
よせば
)
の
勧化
(
かんげ
)
比丘尼のほうも残らず
浚
(
さら
)
いましたが、このほうにもいなくなったなんてえのは一人もねえんです。
顎十郎捕物帳:03 都鳥
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
天神の裏門を境内に
這入
(
はい
)
ってそこの茶店に休んだ。折あしく池の泥を
浚
(
さら
)
えて居る処で、池は水の気もなく、掘りかけてある泥の深さが四、五尺もある。
車上の春光
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
浚
(
さら
)
はれたやうに掻き消えてしまつた後のことであつて見れば、それも結局いかにもこの老人らしい一応のジェスチュアにすぎなかつたのかも知れない。
鸚鵡:『白鳳』第二部
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
あれから例の古井戸を
浚
(
さら
)
って見たり、足跡の靴足袋と同じ品を売った店を検べたりしたが、古井戸の底からは何も出ず、靴足袋はごくありふれた品で
何者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
下手な調子で
銅鑼聲
(
どらごゑ
)
を張りあげ、清元やら、長唄やら、常磐津やら、新内やら、
都々逸
(
どどいつ
)
やらのお
浚
(
さら
)
ひをして歩いた。
泡鳴五部作:04 断橋
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
今夜はあなたを
浚
(
さら
)
つてゆきますよ。おいやなら仕方がありませんけど。シロへ行くんです。あすこの料理はとてもしつかりしてゐると聞いたものですから。
かげろふ談義:――菱山修三へ――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
何時客が来るかも知れないからといふよりも、何時品物を掻つ
浚
(
さら
)
はれるかも知れないといふ警戒の為であつた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
若旦那柳絮はいつぞや
仲
(
なか
)
の
町
(
ちょう
)
の茶屋に開かれた
河東節
(
かとうぶし
)
のお
浚
(
さら
)
いから
病付
(
やみつ
)
きとなって、三日に上げぬ
廓通
(
くるわがよ
)
いの末はお
極
(
きま
)
りの
勘当
(
かんどう
)
となり、女の仕送りを受けて
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
枕元に鞄がねえから其処に有合せた煙草入や時計を
引
(
ひ
)
っ
浚
(
さら
)
って表へ出ようとする途端に、手前に
出会
(
でっくわ
)
したのよ
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「それは旦那、あっし達は、吹けば飛ぶ、どぶ
浚
(
さら
)
い、あなたさんは江戸で名高い大商人、あッしの方では、そりゃあもう、御存知申上げておりますんで——」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
ですから組織生活を否定してしまったのでは新しい文学も生きている手足をかっ
浚
(
さら
)
われて、「民主主義文学」という頭だけで机の前に坐っているのと同じです。
平和運動と文学者:一九四八年十二月二十五日、新日本文学会主催「文芸講演会」における講演
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
折々クサンチスは台から下へ降りて来て、大勢が感嘆して
環
(
めぐ
)
り視てゐる真中に立つて、昔アルテミスの
祠
(
ほこら
)
の、
円柱
(
まるばしら
)
の並んだ廊下で踊つた事のある踊を
浚
(
さら
)
つて見る。
クサンチス
(新字旧仮名)
/
アルベール・サマン
(著)
本庄が出かけた後に何者かが忍び入り、家探しをした上に、少女を
浚
(
さら
)
って
去
(
い
)
ったに違いない、それにしてもこの部屋の荒しようはどうだろう。足の踏み場もない。
黒猫十三
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
特に熱心な支持者達は郷土会と云うものを組織し、神杉と云う弁護士の未亡人の家に集って月に一回お
浚
(
さら
)
いをする例になっていたが、妙子はその会にも出席して
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そこにも、多くの
石工
(
いしく
)
が、
外廓
(
そとぐるわ
)
の石垣を築いていた。
搦手
(
からめて
)
の
橋梁
(
きょうりょう
)
や、濠を
浚
(
さら
)
う工事にもかかっている。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
若者は手を出してその
上
(
うは
)
つ
被
(
ぱり
)
をさつと
掻
(
か
)
つ
浚
(
さら
)
つたと思ふと、いきなり駆けだした。だが少し遅かつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
浚
漢検1級
部首:⽔
10画
“浚”を含む語句
井浚
浚渫
大浚
引浚
御浚
人浚
浚渫船
掻浚
堀浚
浚乾
洗浚
総浚
浚明院殿御追善
一浚
濠浚
溝浚人
溝浚
浚稽山
井戸浚
浚渫機
...