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此所
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ここ
ふりがな文庫
“
此所
(
ここ
)” の例文
「おや、
此所
(
ここ
)
にいらっしゃるの」と云ったが、「
一寸
(
ちょいと
)
其所
(
そこい
)
らに
私
(
わたくし
)
の
櫛
(
くし
)
が落ちていなくって」と聞いた。櫛は
長椅子
(
ソーファ
)
の足の所にあった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
寺町通りには軒並みに仏師屋があってそれぞれ分業の店々がまた繁昌をしている。中古の(前同意義)仏師の本家は
此所
(
ここ
)
でありました。
幕末維新懐古談:08「木寄せ」その他のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「一刻も早く御帰国なさい。だが
此所
(
ここ
)
で御覧のとおり、事態は極度に悪化しています。
遁
(
のが
)
れる路は唯一つ、お
濠
(
ほり
)
をくぐって、
山下橋
(
やましたばし
)
へ」
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
類品
(
るゐひん
)
は
他
(
た
)
より
出
(
い
)
でたれど
此所
(
ここ
)
に
掲
(
か
)
げたるものは武藏荏原郡大森貝塚より出でたるなり。骨器の類は此他種々
有
(
あ
)
れど
煩
(
はん
)
を
厭
(
いと
)
ひて
記
(
しる
)
さず
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
「えゝ/\、夫れは本当に
旨
(
おい
)
しいのよ。これから谷川へ行つて、うんと捕つて来てあげるから、
此所
(
ここ
)
で
温順
(
おとな
)
しく待つておいで。」
熊と猪
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
▼ もっと見る
驚くまいことか、これがお政が
外出
(
そとゆき
)
の
唯
(
たっ
)
た一本の帯、升屋の老人が特に祝わってくれた品である。
何故
(
なぜ
)
これが
此所
(
ここ
)
に隠してあるのだろう。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
呼
(
よび
)
に
遣
(
つかは
)
したり必らず/\
心配
(
しんぱい
)
するに及ばず早々
此所
(
ここ
)
へ
合
(
あふ
)
べき
鑰
(
かぎ
)
を持參して
此錠前
(
このぢやうまへ
)
を
開
(
あけ
)
よと申されしかば
漸々
(
やう/\
)
吉五郎はホツと
太息
(
といき
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
此所
(
ここ
)
の渡しというのは、別に渡し守がいるのではなく、船だけ備えて有るばかりで、世に云う手繰り渡しに成っているのだ。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
そうした麻酔によるエクスタシイの夢の中で、私の旅行した国々のことについては、
此所
(
ここ
)
に詳しく述べる余裕がない。
猫町:散文詩風な小説
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
ほんとにそんな事も云たそうですがね、なにも、そんなに腹がたつなら、
此所
(
ここ
)
の家に居ないが宜じゃ有りませんか。私ならすぐ下宿か何かしてしまいまさア。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
(中略)三八は身ごしらへして、娘うちつれ出でにける。名にしおふ
難波
(
なには
)
の
大湊
(
おほみなと
)
、
先
(
まづ
)
此所
(
ここ
)
へと心ざし、少しのしるべをたずね、それより茶屋奉公にいだしける。
案頭の書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
憲政そのものは
頗
(
すこぶ
)
る複雑の政治にして、人文の発達によって起った事は、諸君のご承知の事であります。人文の発達に伴えば、自ずから輿論が
此所
(
ここ
)
へ成立つのである。
憲政に於ける輿論の勢力
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
此所
(
ここ
)
が実に嬉しいところサ。植物も生きている。動物も生きている。実は植物も動物もおなじものサ。婦人の手が触れると喜ぶなんかんという洒落た
助倍
(
すけべい
)
の木もある。
ねじくり博士
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
此所
(
ここ
)
には「河原の湯」と云う名湯がある、弥之助はこの湯が好きなので宿の内湯等は二の次にして此所であたたまる事を楽しんで居た、河原の湯は昔とは違って改造され
百姓弥之助の話:01 第一冊 植民地の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
此所
(
ここ
)
に落付くことになったが、何分にも下は湿っているし、寒くはあるし、中々眠ることは出来ない、その上に雨は本式に降り出したので、何んともいえない困難をした。
利尻山とその植物
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
此所
(
ここ
)
に居る自分と同じ運命の人間は、
大約
(
かれこれ
)
三千人と云う話だが、
内容
(
なかみ
)
は絶えず替って居る。
監獄部屋
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
そんなら沢山も有りません、金は
僅
(
わず
)
かだが、この
後
(
うしろ
)
の山の
焚木
(
たきゞ
)
は
家
(
うち
)
の物だから、山の
蕨
(
わらび
)
を取っても夫婦が食って行くには沢山ある、また
此所
(
ここ
)
を
斯
(
こ
)
うすれば此所で
獣物
(
けだもの
)
が獲れる
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
選手は幸いにして、数分後には、気を取り直しボオトを引き上げ、
更衣所
(
こういじょ
)
に帰るや、一同その場に打ち
倒
(
たお
)
れ、語るに言葉なく、
此所
(
ここ
)
にも
綴
(
つづ
)
るレギヤツタ
血涙史
(
けつるいし
)
の一ペエジを閉じた≫
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
捕れた男の顔は、土色と変って
眤
(
じっ
)
と
眸
(
め
)
を据えて下を向いている——
此所
(
ここ
)
には文明の手が届いていない。警察の権利が及んでいない。全く暗黒の山奥で、人の知らぬ秘密が演ぜられる。
捕われ人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
此所
(
ここ
)
はフランスで一番古い町だと言われフランス語の発生地だそうです。だから農夫達の話すのでもとても正確な発音なので私の今度の旅行の重大な目的である会話の上達に役立つわ。
母と娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
陳はその庭を通って小さな
亭
(
ちん
)
の
傍
(
そば
)
へ往った。そこに
鞦韆
(
ぶらんこ
)
の
架
(
たな
)
があったが、それは雲と同じ高さのもので、その
索
(
なわ
)
はひっそりと垂れていた。陳はそこで
此所
(
ここ
)
は
閨閣
(
おおおく
)
に近い所ではないかと思った。
西湖主
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
或いは又、孫のハアモニカを、
爺
(
じい
)
に借せと
騙
(
だま
)
して取上げ、こっそり裏口から抜け出し、あたふた
此所
(
ここ
)
へやって来たというような感じでありました。
珠数
(
じゅず
)
を二銭に売り払った
老爺
(
ろうや
)
もありました。
老ハイデルベルヒ
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
大丈夫助り候由に受合申候、十八歳に成候男は土藏の戸前をうちしまひ、
是迄
(
これまで
)
はたらき候へば、私方は多町一丁目にて、
此所
(
ここ
)
よりは火元へも近く候間、宅へ參り働き度、是より
御暇被下
(
おんいとまくださ
)
れと申候て
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
西鶴も「
偖
(
さて
)
も
此所
(
ここ
)
の私雨、恋をふらすかと袖ぬれて行ば」(『三代男』)「軒端はもろ/\のかづらはひかゝりてをのづからの滴こゝのわたくし雨とや申すべき」(『五人女』)などと使っている。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
もう
此所
(
ここ
)
で己はつかえる。誰の
助
(
たすけ
)
を借りて先へ進もう。1225
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
光太郎智恵子はたぐひなき夢をきづきてむかし
此所
(
ここ
)
に住みにき
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
此所
(
ここ
)
にして地平は高しはろばろに雲居垂れたり日の落つる雲
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
と、
此所
(
ここ
)
を立ちたい希望を小声に洩らした。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「わしだよ。
此所
(
ここ
)
を開けなさい」
犬舎
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
法華堂、
常行堂
(
じょうぎょうどう
)
が左右にあって中央は通路を
跨
(
また
)
いで橋が掛かり、これを
潜
(
くぐ
)
って中堂がありました。
此所
(
ここ
)
が山中景色第一の所でした。
幕末維新懐古談:19 上野戦争当時のことなど
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
私は特に流れ込むという言葉を
此所
(
ここ
)
に用いました。もともと淡い影のような像ですから、胸を突つくのでも、鋭く刺すのでもない様です。
木下杢太郎『唐草表紙』序
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
七月の声は聞いても、
此所
(
ここ
)
は山深い箱根のことです。夜に入ると
鎗
(
やり
)
の
穂先
(
ほさき
)
のように冷い風が、どこからともなく流れてきます。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
此所
(
ここ
)
に畫きたるものは伊豆君澤郡
久連
(
くづら
)
村より出でしものなるが、
類品
(
るゐひん
)
は
諸地方
(
しよちはう
)
より出でたり。恐らくは網の
錘
(
おも
)
りならん。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
預
(
あづか
)
る者は
器量
(
きりやう
)
なくて有べきや
斯樣
(
かやう
)
なる事
辨
(
わきま
)
へぬ其方にても有可ざるに事の
此所
(
ここ
)
に及べるは
眞
(
まこと
)
に
疑
(
うたが
)
はしきことどもなり是其方に疑ひの
掛
(
かゝ
)
り
糺問
(
きうもん
)
せざるを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
此所
(
ここ
)
に現象しているものは、確かに何かの凶兆である。確かに今、何事かの非常が起る! 起るにちがいない!
猫町:散文詩風な小説
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
生縄のお鉄から教わった縄抜け縄切りの法を、
此所
(
ここ
)
に早速応用するのだ。それが一番の上策だと考えた。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
此所
(
ここ
)
には商科の人もいる。理工科の人もいる。この中から大発見家、大なる天才が起るかも知らぬ。起るかも知らぬではない。起らなければならぬ。必ず起るに相違ない。
始業式訓示
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
日も
西山
(
せいざん
)
にかたむき、折ふししよぼ/\雨のふるをいとはず、
夜
(
よ
)
歩きをたのしみにうでこきする男、
曾我宮
(
そがのみや
)
へ
日参
(
ひまゐり
)
。
此所
(
ここ
)
を通りけるに、池の中より『もしもし』と呼びかくる。
案頭の書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「それは面白い、その岩を、是非見たいものだ。民部大輔は、日本一の力もちだから、きつと、持つてきたに相違ない。早く
此所
(
ここ
)
へ、もつて来るやうに、言ひつけるがよい。」
岩を小くする
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
草は少ない方ではないといって宜しかろう、この辺に、タカネオウギの自生しているのを見た、絶頂から少し向うへ下る所まで、木下君と同行したが、
此所
(
ここ
)
でとうとう同君と分れて
利尻山とその植物
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
私
(
わっち
)
の妹に違いないのだ、此の間の火事に
母親
(
おふくろ
)
に放れ、行方も知れねえから段々様子を聞くと、
此所
(
ここ
)
に居る事が分り、路銀を遣い、
此様
(
こん
)
な山の中まで尋ねて来て、手ぶり
編笠
(
あみがさ
)
で
帰
(
けえ
)
られましょうか
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
下等だ。毛虫だ。助けまい。あの男を撃つより先に、やはりこの女と、私は憎しみをもって勝敗を決しよう。あの男が
此所
(
ここ
)
へ来ているか、どうか、私は知らない。見えないようだ。どうでもよい。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「君は、いったい
此所
(
ここ
)
で何をしているのだ」
荷花公主
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
その寒さを何とも思わず、群衆はこね返している。商売人の方はなおさら、
此所
(
ここ
)
を
先途
(
せんど
)
と職を張って景気を附けているのです。
幕末維新懐古談:42 熊手を拵えて売ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
代助の心の底を
能
(
よ
)
く見詰めていると、彼の本当に知りたい点は、却って
此所
(
ここ
)
に在ると、自から承認しなければならなくなる。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「至急当直将校に会わせて下さい。内容はお目に
懸
(
かか
)
らなければ言えませぬ。早く願います。僕の
名刺
(
めいし
)
が
此所
(
ここ
)
にあります」
壊れたバリコン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
此事に付きては
後段
(
こうだん
)
別
(
べつ
)
に述ぶる所有るべけれど、土偶の
形状
(
けいじやう
)
はコロボツクル日常の
有樣
(
ありさま
)
を
基
(
もと
)
として作りしものならんとの
事丈
(
ことだけ
)
は
此所
(
ここ
)
に記し置くべし。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
究
(
きは
)
め其夜兩國橋へ行き
既
(
すで
)
に身を
投
(
なげ
)
んと
爲
(
し
)
たりし
際
(
とき
)
小提灯
(
こちやうちん
)
を持ちたる男
馳寄
(
かけよつ
)
てヤレ
待
(
また
)
れよと吉之助を
抱
(
いだ
)
き
止
(
とゞ
)
めるに
否々
(
いな/\
)
是非死なねばならぬ事あり
此所
(
ここ
)
放
(
はな
)
してと云ふを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
東面山麓
(
とうめんさんろく
)
の
山土
(
さんど
)
の
崩壞
(
ほうくわい
)
して
堆積
(
たゐせき
)
したる一
部
(
ぶ
)
に、
祝部高坏土器
(
いはひべたかつきどき
)
を
發見
(
はつけん
)
したので、
如何
(
どう
)
も
此所
(
ここ
)
が
怪
(
あや
)
しいと、
人類學者
(
じんるゐがくしや
)
ならぬ
土方
(
どかた
)
の
船町倉次郎
(
ふなまちくらじらう
)
といふのが、一
生懸命
(
しやうけんめい
)
に
掘
(
ほ
)
り
進
(
すゝ
)
んで
居
(
ゐ
)
る
他
(
ほか
)
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
此所
(
ここ
)
まで登るには随分長い年月を費やしたのである。富士山へ登るよりも困難であった。しかして此所まで登ったものを一朝にして破壊した。僅々四年の間に山を下ってしまったのである。
始業式に臨みて
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
此
漢検準1級
部首:⽌
6画
所
常用漢字
小3
部首:⼾
8画
“此所”で始まる語句
此所等
此所迄
此所彼所