我邦わがくに)” の例文
樽屋たるや桶屋おけやの商売が我邦わがくににはじまったのは、はっきり何時いつからということはできないが、ともかくもそう古いころのことでないらしい。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
全体我邦わがくにの家庭は主人一人の翫具や慰みのために多額の金をついやして家族一同のためには一銭二銭の買物さえ惜しがるというふうがある。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
同じ筆法で行けば弘安四年六月三十日から七月一日へかけて玄界灘を通過した低気圧は我邦わがくにの存亡に多大の影響があったのである。
戦争と気象学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
これ他なし我邦わがくに固有の旧文化破壊せられて新文化の基礎遂に成らず一代の人心甚だ軽躁けいそうとなりかつ驕傲きょうごう無頼ぶらいに走りしがためのみ。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
第三の理由は、其複数なること是なり、前に言ひたる事あれば重ねて説かず。斯の如く我邦わがくにの文学は古神学に恵まるゝところ極めて少なし。
他界に対する観念 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
如何いか南北朝なんぼくちょうの戦乱が、我邦わがくにの武備機関を膨脹せしめ、しこうしてその余勇は、漏らすによしなく、いて支那シナ辺海をみだしたるよ。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
楠氏は申すまでもなく我邦わがくに有史以来の忠臣、宮内省へ献納する製作の主題としてはまことに当を得たものでありましょう。
しかして寛厚はそうかざるも、其の惻隠そくいんの意に至っては、各条に散見せりと評せしめ、余威は遠く我邦わがくにに及び、徳川期の識者をしてこれを研究せしめ
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
さて吾々われわれが眼前にこの二大区別を控えて向後我邦わがくにの道徳はどんな傾向を帯びて発展するだろうかの問題に移るならば私はしものごとくあえて云いたい。
文芸と道徳 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
たれ我邦わがくにの現状に見て、金は一切の清めなりといへることわざの、遂に奪ふまじき大原理たるに首肯うなづかざらんや。近世最も驚くべきは、科学の進みなりとぞ。
青眼白頭 (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
我邦わがくに軍人がたの御気象には欧洲各国でも舌をまいておるそうで、これは我がある将官の方に箱根でお目通りをいたしたとき直接じき/\に伺ったところでございます。
はたまた今日我邦わがくににおいて、その法律の規定している罪人の数が驚くべき勢いをもって増してきた結果
ベースボールはもと亜米利加アメリカ合衆国の国技とも称すべきものにしてその遊技の国民一般に賞翫しょうがんせらるるはあたかも我邦わがくに相撲すもう西班牙スペイン闘牛とうぎゅうなどにも類せりとか聞きぬ。
ベースボール (新字新仮名) / 正岡子規(著)
我邦わがくにの教育は英国式か仏国式かはた独逸式か、独逸に於てはフレーベルの著書に見るも修身教育のあがらざるを知るべくして、品格品行等はるかに英米の生徒に及ばず、独逸
教育の最大目的 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
みぎごとさだめてサンデイは休日きうじつにて、商賣しやうばいつとめ何事なにごと休息きうそくすることむかしの我邦わがくに元日ぐわんじつごとし。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
我邦わがくに学問の独立せざる久し。王仁わに儒学を伝えてより以来、今日に至るおよそ二千余年の間、未だ曾て所謂いわゆる独立の学問なるものありて我が子弟を教授せしを見ず(謹聴)。
祝東京専門学校之開校 (新字新仮名) / 小野梓(著)
方今我邦わがくに、改正・振興すべきものはなはだ多し。音楽・歌謡・戯劇ぎげきのごときもその一なり。
国楽を振興すべきの説 (新字新仮名) / 神田孝平(著)
たとへば日本にほん小島國せうたうごくであつて、氣候きこう温和をんわ山水さんすゐがいして平凡へいぼん別段べつだん高嶽峻嶺かうがくしゆんれい深山幽澤しんざんゆうたくといふものもない。すべてのものが小規模せうきもである。その我邦わがくに雄大ゆうだい化物ばけもののあらうはずはない。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
次に明の慮不遠りよふゑんが医種子中に収めた「神農本草経一巻」がある。此書は我邦わがくにに於ても、寛保三年と寛政十一年とに飜刻せられた。しかし慮は最晩出の李氏本草綱目中より白字を摘出したるに過ぎない。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
全体我邦わがくにには百六十目一斤だの百二十目一斤だのと同じ一斤に相違のあるのは国の文明が進歩しない印で実に不便この上なしです。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
我邦わがくにのいわゆる神祇政策が、由来きわめて久しいものであったことは、まず『日本紀』が意識してこれを書き伝えようとしている。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
それで大勢のギリシア学者が寄合い討論をして翻訳をした、その結果が「ロイブ古典叢書」の一冊として出版され我邦わがくににも輸入されている。
変った話 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
鎖国令行われてより以来、我邦わがくにと通商するものは、僅かに支那シナ和蘭オランダにして、その地方もまた長崎の猫額ねこのひたい大の天地に限れり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
けだ我邦わがくには極めて完成せる族制々度を今日まで持ち続けたるものなるからに、吾人の思想も亦た自から単純なりし事は、争ふ可からざる事実なり。
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
堀田原から従前通り私は相更あいかわらず師匠の家へ通っている。すると、明治十年の四月に、我邦わがくにで初めての内国勧業博覧会が開催されることになるという。
最後に小生は目下我邦わがくににおける学問文芸の両界に通ずる趨勢にかんがみて、現今の博士制度のこう少くしてへい多き事を信ずる一人なる事をここに言明致します。
博士問題の成行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大内は西方智識の所有者であったから、堺の住民が外国と交商して其智識を移し得たからである歟、我邦わがくにの城は孑然げつぜんとして町の内、多くは外に在るのを常として
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
支那では一般に好的、好々などいふてあたかも我邦わがくにの「善い」「上等」などいふ処に用ゐる。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
たとへば日雇賃ひようちんにても借家賃しやくやちんにても其外そのほかもの貸借かしかり約束やくそく日限にちげんみないづれも一ウヰークにつき何程なにほどとて、一七日毎ひとなぬかごときりつくること、我邦わがくににて毎月まいつき晦日みそかかぎりにするがごとし。その一七日のとなへごと
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
そもそも俳諧狂歌の類は江戸泰平の時を得て漢学和学の両文学渾然こんぜんとして融化ゆうか咀嚼そしゃくせられたるの結果偶然現はれ来りしもの、便すなわ我邦わがくに古文明円熟の一極点を示すものと見るべきなり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
我邦わがくにに於て果してく行われつつあるか、何故に統一の目的たる効果は完全に収められられざるかは、思うに教育者がこれを活用するの余裕に乏しきためならざるか、語を換えてえば
教育の最大目的 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
古來こらい我邦わがくに化物思想ばけものしさうはなは幼稚えうちで、あるひほとんかつたとつてくらゐだ。日本にほん神話しんわ化物ばけもの傳説でんせつはなはすくない。日本にほん神々かみ/\日本にほん祖先そせんなる人間にんげんであるとかんがへられて、化物ばけものなどとはおもはれてない。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
中川君、それではね、食卓を飾るのに西洋風の粗雑なつかしの花を用いずとも我邦わがくにには古来より練習した活花いけばなの特技があるでないか。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
我邦わがくにの昔の「歌垣うたがき」の習俗の真相は伝わっていないが、もしかすると、これと一縷いちるの縁をいているのではないかという空想も起し得られる。
映画雑感(Ⅵ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
今から十七、八年まえに、我邦わがくににきていたフランスの全権大使ぜんけんたいし、ポウル・クロウデルという人は名のきこえた詩人であった。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
是等の者をよそにしても、元禄文学が大に我邦わがくに文学に罪を造りたる者あり、如何いかにと言ふに、恋愛を其自然なる地位より退けたる事、即ち是なり。
多年我邦わがくにの美術界のために尽くした功労をおめになった思し召しであろうと推察される。
けだし八代将軍吉宗蘭書の禁ゆるんで以来、我邦わがくに蘭書を講ずるものようやく増加し、安永、天明よりして、寛政、文化に及び、杉田、前野、大槻の徒、相接して出で、蛮社ばんしゃの名漸く高く
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
曇った鏡が人を映すように男は鈍々のろのろと主人を見上げた。年はまだ三十前、ふとじしの薄皮だち、血色は激したために余計紅いが、白粉おしろいとおして、我邦わがくにの人では無いように美しかった。
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
しかるにこの頃は二水にすいの冲の字を用ゐる人多し。両字とも水深の意なきにあらねど我邦わがくににて「おき」の意に用ゐるは字義より来るに非ずしてむしろ水の真中といふ字の組立より来るにあらざるか。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
我邦わがくに現代における西洋文明模倣の状況をうかがひ見るに、都市の改築を始めとして家屋什器じゅうき庭園衣服にいたるまで時代の趣味一般の趨勢すうせいに徴して、うたた余をして日本文華の末路を悲しましむるものあり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その代りランを注文して純粋のイチボが半分交って来るような事もあるけれども我邦わがくにの商売人がもっと責任を重んじなければ実に困るよ
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
我邦わがくに古来の貞淑の美徳が、女の学問のためにただちにくつがえされるもののごとく、もし憂える者があったらそれは誤りである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
少なくも我邦わがくにでは、まだあまり十分に研究されていないか、ともかくも一般的興味の対象とはなっていないようである。
教育映画について (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
生命あり希望あり永遠あるの恋愛は、到底万有教国に求むることを得ざるか、そも/\いつかは之を得るに至るべきか、我邦わがくに文学の為に杞憂なき能はず。
「歌念仏」を読みて (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
我邦わがくにでの魔法の歴史を一瞥して見よう。先ず上古において厭勝まじないの術があった。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
我邦わがくに現代における西洋文明模倣の状況をうかがひ見るに、都市の改築を始めとして家屋什器じゅうき庭園衣服に到るまで時代の趣味一般の趨勢にちょうして、うたた余をして日本文華の末路を悲しましむるものあり。
浮世絵の鑑賞 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
衛生思想が進歩したら我邦わがくにでも必ず銅分を含んだ食器を厳禁する事になりましょう。僕の家では決して青銅や銅の鍋を使いません。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
我邦わがくにの現在「にひなめ」と呼んでいるとうとい式典と、二者だいたいに同じものということを、意識した上での用法であったかという点である。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
我邦わがくにではまだそれほどでもないが、それでも彼の名前は理学者以外の方面にも近頃だいぶ拡まって来たようである。
アインシュタインの教育観 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)