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御利益
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ごりやく
ふりがな文庫
“
御利益
(
ごりやく
)” の例文
天皇を利用することには
狎
(
な
)
れており、その自らの
狡猾
(
こうかつ
)
さ、大義名分というずるい看板をさとらずに、天皇の尊厳の
御利益
(
ごりやく
)
を謳歌している。
堕落論〔続堕落論〕
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「ええええ、差支えのある段ではございませぬ、人の世で見放されたものをも、お拾いなさるのが観音様の
御利益
(
ごりやく
)
でござります」
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
三人は人数の少いだけ
御利益
(
ごりやく
)
も多からうと、胸をわく/\させてゐると、程なく汽車は夜通し駆け廻つて
懶
(
だら
)
けきつた
身体
(
からだ
)
を
廊下
(
プラツトフオーム
)
へ横たへた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
御兩親
(
ごりやうしん
)
の
御利益
(
ごりやく
)
で、まだ、まあ
恁
(
か
)
うやつて
大
(
おほ
)
まかな
處
(
ところ
)
は、
雲
(
くも
)
と
霞
(
かすみ
)
と、
見分
(
みわ
)
けの
着
(
つ
)
きまするのが、
目
(
め
)
つけものでござります。
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
○
祐天
(
ゆうてん
)
なぞでも、あれだけの思いつきがあれば、もう少しハイカラにできる訳だ。不動の
御利益
(
ごりやく
)
が蛮からなんじゃない。
明治座の所感を虚子君に問れて
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
彼女はある雪の晩に、貰い風呂から帰る途で、暗い地蔵堂の縁の下に子供の泣き声をきいて、これはテッキリ地蔵様の
御利益
(
ごりやく
)
に違いないと思った。
苦力頭の表情
(新字新仮名)
/
里村欣三
(著)
「そうまでおっしゃるなら、お止めしません。せいぜい初午詣をして日頃の不信心の帳消しをするこってすな、なにか
御利益
(
ごりやく
)
があるかもしれねえ」
顎十郎捕物帳:02 稲荷の使
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「お稲荷さまの
御利益
(
ごりやく
)
で、どうかまあ、ちっとも早くその子供の安否が知れるようにして上げたいと、わたくし共も蔭ながらお祈り申しております」
半七捕物帳:10 広重と河獺
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「山谷の聖天樣、——むづかしく言へば
歡喜天
(
くわんきてん
)
樣、——
降魔招福
(
かうませうふく
)
、歡喜自在の
御利益
(
ごりやく
)
があるといふ、
大
(
てえ
)
した佛樣だ」
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
御利益
(
ごりやく
)
を持ちまして
日本
(
にっぽん
)
へお帰しを願います…おや旦那
彼処
(
あすこ
)
に
高坏
(
たかつき
)
のような物の上に今坂だか何だか乗って居ります、なんでも宜しいお
供物
(
くもつ
)
を頂かして
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
生意氣
(
なまいき
)
謂ツてゐら………」と
投出
(
なげだ
)
すやうに謂ツて、「して、何かえ。其の、お百度の
御利益
(
ごりやく
)
があツたのかえ。」
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
「そう思うでしょう? わたしもわからなかったの。でもよく考えてみたらね、
御利益
(
ごりやく
)
があらわれたわけなのよ」
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
それから後は、立山に
参詣
(
さんけい
)
する人が、草鞋を持って登れば、特に大きな
御利益
(
ごりやく
)
を授けることにしたといっております。(郷土研究一編。富山県
上新川
(
かみにいかわ
)
郡)
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
いいえ、
放
(
はな
)
すものか、
江戸中
(
えどじゅう
)
に、
女
(
おんな
)
の
数
(
かず
)
は
降
(
ふ
)
る
程
(
ほど
)
あっても、
思
(
おも
)
い
詰
(
つ
)
めたのはお
前
(
まえ
)
一人
(
ひとり
)
。ここで
会
(
あ
)
えたな、
日頃
(
ひごろ
)
お
願
(
ねが
)
い
申
(
もう
)
した、
不動様
(
ふどうさま
)
の
御利益
(
ごりやく
)
に
違
(
ちが
)
いない。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
たくさんの人々にとりかこまれた古い
聖
(
サン
)
マルティンの尊像がしずしずと近づいて来ていたのです。その
御利益
(
ごりやく
)
で二人の病気はもうなおり始めていたのです。
かたわ者
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
田村麻呂
(
たむらまろ
)
は
今更
(
いまさら
)
仏
(
ほとけ
)
さまの
御利益
(
ごりやく
)
のあらたかなのにつくづく
感心
(
かんしん
)
して、
天子
(
てんし
)
さまから
頂
(
いただ
)
いたお
金
(
かね
)
を
残
(
のこ
)
らず
和尚
(
おしょう
)
さんにあずけて、お
寺
(
てら
)
をりっぱにこしらえました。
田村将軍
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「多加ちゃん? 多加ちゃんはもう大丈夫ですとも。なあに、ただのお
腹
(
なか
)
下
(
くだ
)
しなんですよ。あしたはきっと熱が
下
(
さが
)
りますよ」「
御祖師様
(
おそしさま
)
の
御利益
(
ごりやく
)
ででしょう?」
子供の病気:一游亭に
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「ところが栗栖君は生写しだと言うんだ。何か
御利益
(
ごりやく
)
があるかと思って、参詣の序に撫ぜて行くんだって」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
御利益
(
ごりやく
)
疑
(
うたがい
)
なく
仮令
(
たとい
)
少々御本尊様を恨めしき
様
(
よう
)
に思う事ありとも珠運の如くそれを火上の氷となす者には
素
(
もと
)
より
持前
(
もちまえ
)
の
仏性
(
ほとけしょう
)
を
出
(
いだ
)
し玉いて愛護の
御誓願
(
ごせいがん
)
空
(
むな
)
しからず
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
従って、こういう連中の間では、精霊との談話が大いに行われ、——そして、それには、決して明瞭になっては来なかったたくさんの
御利益
(
ごりやく
)
があったのである。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
松本喜三郎の西国三十三番観音の
御利益
(
ごりやく
)
を人形にして、浅草で見世物にしたのなど流行った。
何時
(
いつ
)
だったか忘れたが、両国の川の中で、水神祭というのがあった。
江戸か東京か
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
これは、
賽銭
(
さいせん
)
寄進物
(
きしんぶつ
)
の多少によってその
御利益
(
ごりやく
)
の程度を暗示して、利得を計ったものと思うが、どうか?
或る部落の五つの話
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「おれはかえって、こうなった方が、石神様の
御利益
(
ごりやく
)
だと思う。そう考える方が本当だ」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
浅草の
観音菩薩
(
かんのんぼさつ
)
は河水の臭気をいとわぬ
参詣者
(
さんけいしゃ
)
にのみ
御利益
(
ごりやく
)
を与えるのかも知れない。
水のながれ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
この
噂
(
うわさ
)
が伝わると、そこいらじゅうの信心家が、あとからあとから押しかけて来て「お不動様」の
御利益
(
ごりやく
)
にあずかろうとしたので、家の中は夜通し寝ることも出来ないようになった。
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
殿様始め
重
(
おも
)
な家来たちが東京住いになりました頃、御殿を
下
(
さが
)
ったお藤さんは清水さんの奥さんにおなりになったものですから、これはきっと神様の
御利益
(
ごりやく
)
だったろうといわれました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
そうすればきっと
御利益
(
ごりやく
)
に与って、忌まわしい幻を打ち拂うことが出来るだろう。
二人の稚児
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
何しろ、神様の金だから、あらたかな
御利益
(
ごりやく
)
はあるに違ひない。神は
残酷
(
ざんこく
)
なほど公平だ……。雨樋から
溢
(
あふ
)
れるやうな雨音を聞いてゐると、富岡は、一晩ぢゆうでも酒を飲みたくなるのだ。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
大敵多勢を持つ身に、用意の月日をあたえて下さること、一に神仏の
御利益
(
ごりやく
)
——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
これが幸福のうわおいぐつからさずけてもらった
御利益
(
ごりやく
)
のいっさいでした。
幸福のうわおいぐつ
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
これは東雲師の彫った大黒の
御利益
(
ごりやく
)
だといって三枝家の親類の人たちは目出たがって、自分たちもあやかりたいものだと、二軒の御親類から、また、大黒を頼まれたが、この方は御利益があったか
幕末維新懐古談:51 大隈綾子刀自の思い出
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「気違さんもこの風には弱つたと見えますね。もう
毎
(
いつ
)
もきつと来るのに来ませんから、今夜は来やしますまい、何ぼ何でもこの風ぢや吹飛されて
了
(
しま
)
ひませうから。ああ、
真
(
ほん
)
に天尊様の
御利益
(
ごりやく
)
があつたのだ」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「そりゃ神様だもの、拝めば何でも
御利益
(
ごりやく
)
があるさ」
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
御利益
(
ごりやく
)
と、
岩殿
(
いわとの
)
の
方
(
かた
)
へ籠を開いて、中へ入れると、あわれや、横木へつかまり得ない。おっこちるのが
可恐
(
こわ
)
いのか、隅の、隅の、狭い
処
(
ところ
)
で
小
(
ちいさ
)
くなった。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
馬「いえさ、
私
(
わたくし
)
の友達がお祖師様の
御利益
(
ごりやく
)
で横根を吹っ切りましたから、其のお礼のことづかりを云ってる処で」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「貴様はそれだからいけねえ。あれも勘定ずくでやっている仕事なんだ。いまに
御利益
(
ごりやく
)
が
顕
(
あら
)
われるから見てろ」
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「こいつア弱った。こう見えても、わたしは信心のいいほうなんですが、いっこうに
御利益
(
ごりやく
)
がありません」
顎十郎捕物帳:17 初春狸合戦
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「しかしこうして
今日
(
こんにち
)
御眼にかかれたのは、全く
清水寺
(
きよみずでら
)
の観世音菩薩の
御利益
(
ごりやく
)
ででもございましょう。平太夫一生の内に、これほど嬉しい事はございません。」
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ハイありがとうござります、彼めが
幼少
(
ちいさい
)
ときはひどい虫持で苦労をさせられましたも大抵ではござりませぬ、ようやく中山の鬼子母神様の
御利益
(
ごりやく
)
で満足には育ちましたが
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
どうで縛るならば、繁昌の地蔵さまを縛った方が
御利益
(
ごりやく
)
があるだろうと云うわけでしょう。
半七捕物帳:66 地蔵は踊る
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「この方々はみんな海で難船した人達ぢやが、
平素
(
ふだん
)
神様御信心の
御利益
(
ごりやく
)
で、不思議にも
生命拾
(
いのちひろ
)
いをなすつたぢや、その御礼とあつて、こんなにして額をあげて御座るのぢや。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「他でもない。お前の方の八幡様は
贋物
(
にせもの
)
だって話だが、矢っ張り
御利益
(
ごりやく
)
があるのかい?」
ある温泉の由来
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「そうでしたか、それこそ朝日権現の
御利益
(
ごりやく
)
というものですね、つまり朝日権現のあらたかな御光というものが、わしの身を通してお前さんの身にとおったというわけなのですよ」
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
太陽が無事に東から出て、無事に西へ入るのも全く実業家の御蔭である。今まではわからずやの
窮措大
(
きゅうそだい
)
の家に養なわれて実業家の
御利益
(
ごりやく
)
を知らなかったのは、我ながら不覚である。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
手を延ばしてその首を
抑
(
おさ
)
えなどしたりという。村にありし薬師の
堂守
(
どうもり
)
は、わが仏様は何ものをも
供
(
そな
)
えざれども、孫左衛門の神様よりは
御利益
(
ごりやく
)
ありと、たびたび笑いごとにしたりとなり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
田村麻呂
(
たむらまろ
)
は
自分
(
じぶん
)
がこれほどの
名誉
(
めいよ
)
を
受
(
う
)
けることになったのも、
清水
(
きよみず
)
の
観音様
(
かんのんさま
)
にお
祈
(
いの
)
りをした
御利益
(
ごりやく
)
だと
思
(
おも
)
って、
都
(
みやこ
)
に
帰
(
かえ
)
るとさっそく
清水
(
きよみず
)
にお
参
(
まい
)
りをして、ねんごろにお
礼
(
れい
)
を
申
(
もう
)
し
上
(
あ
)
げました。
田村将軍
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
これも大方、日頃から信心の、八幡宮の
御利益
(
ごりやく
)
だろう。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
私はまア
斯様
(
こんな
)
にお前さんの介抱を受けようとは思いませんかったが、不思議な縁で連に成ったのも
矢張
(
やっぱり
)
笈摺を
脊負
(
しょ
)
ったお蔭、全く観音様の
御利益
(
ごりやく
)
だと思います
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
御利益
(
ごりやく
)
で、
怪我
(
けが
)
もしないで
御堂
(
おどう
)
から
裏
(
うら
)
の
方
(
はう
)
へうか/\と
𢌞
(
まは
)
つて、
象
(
ざう
)
と
野兎
(
のうさぎ
)
が
歩行
(
あるき
)
ツくら、と
云
(
い
)
ふ
珍
(
ちん
)
な
形
(
かたち
)
で
行
(
ゆ
)
くと、
忽
(
たちま
)
ち
灯
(
ひ
)
のちらつく
暗
(
くら
)
がりに、
眞白
(
まつしろ
)
な
顏
(
かほ
)
と、
青
(
あを
)
い
半襟
(
はんえり
)
が
爾側
(
りやうがは
)
から
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
こうなると友蔵夫婦も鼻を高くして、これも成田さまの
御利益
(
ごりやく
)
だろうとお常はいう。
虎
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
御
常用漢字
中学
部首:⼻
12画
利
常用漢字
小4
部首:⼑
7画
益
常用漢字
小5
部首:⽫
10画
“御利”で始まる語句
御利生
御利發
御利解
御利運