“当惑:とうわく” の例文
“当惑:とうわく”を含む作品の著者(上位)作品数
海野十三12
小川未明10
芥川竜之介7
吉川英治3
エクトール・アンリ・マロ2
“当惑:とうわく”を含む作品のジャンル比率
文学 > フランス文学 > 小説 物語(児童)23.1%
哲学 > 心理学 > 超心理学・心霊研究13.6%
文学 > ロシア・ソヴィエト文学 > 小説 物語3.2%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
彼女がこう彼をたしなめると、面白そうに彼の当惑とうわくを見守っていた二人の女たちも、一度に小鳥のごとくしゃべり出した。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
深く蒼味がかった真佐子の尻下しりさがりの大きい眼に当惑とうわく以外の敵意も反抗はんこうも、少しも見えなかった。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
すると、そこには、当惑とうわくして天井てんじょうを見ている顔や、にがりきって演壇をにらんでいる顔がならんでいた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
春信はるのぶの、いささか当惑とうわくした視線しせんは、そのまま障子しょうじほうへおせんをってったが
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
おとなしい、のよくえないむすめは、どんなに、この母親ははおやのいいつけを当惑とうわくしたでありましょう。
めくら星 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「さあ、それは……」と彼女は明かに当惑とうわくしている様子で口籠くちごもったが、「誰なんですか、よく存じません」と答えた。
麻雀殺人事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
うつくしくけだかいマリヴロンはかすかにわらったようにも見えた。また当惑とうわくしてかしらをふったようにも見えた。
マリヴロンと少女 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
が、こう云う場合には粟野さんに対する礼儀上、当惑とうわくの風をよそうことに全力を尽したのも事実である。
十円札 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
しかしわたくしよりも、もっとびっくりなすって、当惑とうわくなすったのは、名津子さんのお家の人々でした。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
といって、常日ごろ、ばかに年寄りじみたことをいうので、“おじい”と綽名あだなのある丸本水夫だが、すこし当惑とうわくの色が見える。
火薬船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
母親ははおやは、こういってやさしくかれたので、さすがに当惑とうわくしているときであり、よわくなっていたので、こちらも
空にわく金色の雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのむくいは、てきめんで、あくる日わたしは傍屋はなれへ出かける道々、ひどい当惑とうわくを感じた。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
刑事たちは、次々に出てくる疑問を、どこから解いたものかと、たいへん当惑とうわくしている風だった。
疑問の金塊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あねいもうとは、こころなか当惑とうわくいたしました。けれど、まえ約束やくそくをどうすることもできませんでした。
木と鳥になった姉妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
公園、カフェ、ステエション——それ等はいずれも気の弱い彼等に当惑とうわくを与えるばかりだった。
早春 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ルピック氏は、このり好みで、気をよくするどころか、むしろ、当惑とうわくていである。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
七十五銭はチビ公ひとりが一日歩いてもうける分である、それをことごとく弁当代にしてしまえば三人がどうして食べてゆけよう。チビ公は当惑とうわくした。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
半ば体を起した男は、畳に片肘かたひじもたせたまま、当惑とうわくらしい眼つきを見せた。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「一体これは、どうしてしらべようか」判事が当惑とうわくの色をアリアリと現わして云った。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかもその驚いた顔は、声のぬしを見たと思うと、たちまち当惑とうわくの色に変り出した。
魚河岸 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
私が当惑とうわくしきっているのにはおかまいなしに、白木はボーイにいいつけ、持って来させた銀の盆の上の酒壜さけびんを眺め、にたにたと笑いながら、
暗号音盤事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
とはいえわたしは、自分をとらえている当惑とうわくを表にあらわさず——まず自分の部屋へ引取って、新しいネクタイと小さなフロックコートを着けることにした。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
深山理学士は早くもこのピンク色の物体が発散はっさんするものに当惑とうわくを感じた。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
帆村は今時いまどき珍らしい、日本趣味の女性に敬意と当惑とうわくとをささげた。
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
夫人は、当惑とうわくしたらしい、その実は少しも当惑しないらしい表情でそう答えた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
おしまいにはもうわたしの手におえないことを白状はくじょうしなければならなくなったほど、かれはむずかしい質問しつもんを出して、わたしを当惑とうわくさせた。
胸の中で、こう呟いたとき、彼はもうすっぱりと眉根の当惑とうわくを掻き消していた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、いざ蚊帳のすそをまくるという段になって彼は当惑とうわくした。
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
子どもは赤くなって、当惑とうわくを顔に表して、しばらくもじもじしていた。
わたしの当惑とうわくを見つけて、検事けんじきびしく問いつめた。
おばあさんは、当惑とうわくそうに子供こどもきながら、
角笛吹く子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さすがの龍太郎りゅうたろうも、ここまできて、はたと当惑とうわくした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
岬へ赴任ふにんときまったとき、はたと当惑とうわくしたのはそれだった。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
俊助は当惑とうわくそうな顔をして、何度もひらに辞退しようとした。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
手塚はひどく当惑とうわくしてだまったが、もうこらえきれずにいった。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
双方とも、ぎくりとして、にぎりこぶしのやり場に当惑とうわくした。
火薬船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と、田毎たごと大尉は、くわえていた紙巻煙草をぽんと灰皿の中になげこむと、当惑とうわく顔で名刺の表をみつめた。前には当番兵が、渋面じゅうめんをつくって、起立している。
空中漂流一週間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
これにはわたくしもいささか当惑とうわくしてしまいました。
僕は当惑とうわくした。考えて見ると、何のためにこの船に乗っているのか、それさえもわからない。まして、ゾイリアなどと云う名前は、未嘗いまだかつて、一度も聞いた事のない名前である。
Mensura Zoili (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
が、主人は全く当惑とうわくした面持で躊躇ちゅうちょした。
電気風呂の怪死事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
粟野さんはちょっと当惑とうわくそうに啣えていたパイプを離しながら、四つ折の十円札へ目を落した。が、たちまち目を挙げると、もう一度金縁きんぶちの近眼鏡の奥に嬌羞に近い微笑を示した。
十円札 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
すると、ぶとは、当惑とうわくそうにかわずをつめて、
太陽とかわず (新字新仮名) / 小川未明(著)
御行 (きわめて情無さそうな表情。しばし当惑とうわく
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
それを聞いて、甚兵衛はひどく当惑とうわくしました。
天下一の馬 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
こんなことになってしまって、妾はたいへん当惑とうわくした。これはなんとかして、早く帰ってもらわないといけないと思った。それには彼が居たたまれないように、もっと弱点をつくことにあると思った。
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼のもう一つの当惑とうわくは、妻君のことだった。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と、小鳥ことり当惑とうわくそうにいいました。
ふるさとの林の歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
やがて、当惑とうわくそうにつぶやく声がきこえた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
僕は当惑とうわく絶頂ぜっちょうにあった。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
弦之丞はいささか当惑とうわくおももち。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小栗もほとんど当惑とうわくせりという。
下男げなん当惑とうわくをしました。
北の国のはなし (新字新仮名) / 小川未明(著)
ですから天皇がおかくれになると、おあとをおぎになるお方がいらっしゃらないので、みんなはたいそう当惑とうわくして、これまでのどの天皇かのお血筋ちすじの方をいっしょうけんめいにおさがし申しました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
それも神様かみさまのお使者つかいや、大人おとなならばかくも、うした小供こどもさんの場合ばあいには、いかにも手持無沙汰てもちぶさたはなは当惑とうわくするのでございます。
かつ当惑とうわくしました。
ある男と無花果 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「いえ、人に見せぬと申す訳ではありませぬが」と当惑とうわくそうにオドオドして、実はその品物を取り出す前には、七日の間潔斎けっさいせよと云う先祖からの云い伝えがある、しかし当節はそんなやかましいことを云ってもいられないから
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
通信の目的——われ等の仕事を妨ぐる障害物は、一にして足りないが、先ず最も当惑とうわくするのは、われ等の使用する大切な機関——霊媒の頭脳が、神学上の先入的偏見に充塞じゅうそくされ、われ等の思想を伝えるのに、多大の困難を感ずることである。
まだ東京英語学校に、下宿げしゅくから通学していたとき、友人ぼうが九州の親もとより来る学資金がおくれたために寄宿料、食料、月謝の支払いにとどこおりが起こり大いに当惑とうわくせるを見、僕は彼を自分の下宿につれて来たことがある。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ハテどうしたものであろうと、駕籠を出た右近とお絃、当惑とうわく顔を突き合わせていると、ちょうど湯殿のうらで、櫺子窓れんじまどの隙間からほのぼのと湯気ゆげが逃げて誰か入浴はいっているようす、ポシャリ、ポシャリ、忍びやかに湯を使う音がする。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
あねは、これまでこんなことをいったものが、幾人いくにんもありましたから、またかとおもいましたが、その大尽だいじんというのは、こえている大金持おおがねもちだけに、むすめはすげなくことわることもできないというがして、すくなからず当惑とうわくいたしました。
港に着いた黒んぼ (新字新仮名) / 小川未明(著)
主人しゅじんも、まだ老人ろうじんとはいえぬながら、もはや工場こうじょうへいってはたらけるとしではなく、さればといって、ぼんやり、そのらすにもなれず当惑とうわくしていると、ちょうど総選挙前そうせんきょまえで、筆耕ひっこうをたのむものがあって、そんなことをしているのでした。
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
総大将は若旦那の利太郎それに幇間ほうかん芸者等の末社まっしゃが加わり春琴には佐助が附き添って行ったこと云うまでもない佐助はその日利太郎始め末社からちょいちょいさかずきをさされるので大いに当惑とうわくした近頃師匠の晩酌の相手をして少しばかり手が上ったけれども余り行ける口でなかったしよそへ行っては師匠の許可がない限り一てきといえども飲むことを禁ぜられていたしっては肝腎かんじんの手曳きの役が忽諸こつしょになるから飲む真似をして胡麻化ごまかしているのを利太郎が眼敏めざとく見つけ、お師匠はん
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
最初こいさんに遊戯をあてがった積りの大人たちもここに至ってすこぶる当惑とうわくした毎夜おそくまで琴や三味線の音が聞えるのさえやかましいのに間々まま春琴のはげしい語調で叱り飛ばす声が加わりその上に佐助の泣く声が夜のけるまで耳についたりするのであるあれでは佐助どんも可哀かわいそうだし第一こいさんのためにならぬと女中の誰彼だれかれが見るに見かねて稽古の現場へ割って這入はいりとうさんまあ何という事でんの姫御前ひめごぜのあられもない男のにえらいことしやはりまんねんなあと止めだてでもすると春琴はかえって粛然しゅくぜんえりを正してあんた知ったこッちゃないッといてと威丈高いたけだかになって云ったわてほんまにせてやってるねんで
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)