年目ねんめ)” の例文
かれいへかへつたのはおしなんだときでも、それから三年目ねんめぼんときでもいへ空洞からり清潔きれいつててそれほど汚穢むさかんじはあたへられなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
地震ぢしんがあってからちゃう最早もう十一年目ねんめ……わすれもしませぬ……一ねん三百六十にちうちで、はい、其日そのひ乳離ちばなれをなされました。
夫婦ふうふがこんなふうさみしくむつまじくらしてた二年目ねんめすゑに、宗助そうすけはもとの同級生どうきふせいで、學生時代がくせいじだいには大變たいへん懇意こんいであつた杉原すぎはらをとこ偶然ぐうぜん出逢であつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
れほどわかれるがおやかとせられて默頭うなづく可愛かあいさ、三年目ねんめ今日けふいまさらにむしろいつものらきがしなり。
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
同時どうじに一昨年さくねんふゆ衣絵きぬゑさん、婿君むこぎみのために若奥様わかおくさまであつた、うつくしい夫人ふじんがはかなくなつてる……新仏しんぼとけは、夫人ふじんの三年目ねんめに、おなじ肺結核はいけつかく死去しきよしたのであるが……
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さうして今後こんご豫算計畫よさんけいくわくにも毎年まいねん七八千萬圓まんゑん國債こくさい計上けいじやうしてはじめて編成へんせい出來できるのであるが大正たいしやうねん以來いらい十五年目ねんめはじめこゝ國債こくさい計上けいじやうしない豫算よさん出來できたのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
年目ねんめった、たった二人ふたり世界せかいほとんど一のうちに生気せいきうしなってしまった菊之丞きくのじょうの、なかばひらかれたからは、いとのようななみだが一すじほほつたわって、まくららしていた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「おどろいたなあ。」と、おっしゃったけれど、は、そんなことに関係かんけいなく、ぐんぐんとおおきくなりました。そして、三年目ねんめからは、ほんとうに、がたくさんなりました。
いちじゅくの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
彼女かのぢよ病院びやうゐん生活せいくわつつてから三年目ねんめあきに、ある地方ちはうから一人ひとりわか醫者いしやて、その病院びやうゐん醫員いゐんになつた。かれ所謂いはゆる人好ひとずきのするをとこで、こと院内ゐんない看護婦達かんごふたちをすぐになづけてしまうことが出來できた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
あひだかれ卯平うへいとはたゞくわいつたのみである。卯平うへいはおしなが三年目ねんめぼんにふいとてふいとつたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ここでったが百年目ねんめと、とっつかまえて口説くどこうッたって、そうは問屋とんやでおろしませんや。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
年目ねんめにはわたしところにもお目出めでたうを他人ひとからははれて、犬張子いぬはりこ風車かざぐるまならべたてるやうりましたれど、なんのそんなことわたし放蕩のらのやむことか、ひとかほ女房にようぼたせたらあしまるか
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
年目ねんめ夏休なつやすみに小六ころく房州ばうしう海水浴かいすゐよくつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
卯平うへいはおつぎの挨拶あいさつ今更いまさらごとくしみ/″\とうれしくかんじた。卯平うへいはおしなんで三年目ねんめぼんとき不器用ぶきよう容子ようすかれがどうしておもひついたかおつぎへ花簪はなかんざしを一つつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
二十一で坂部壱岐守さかべいきのかみとついで八年目ねんめもどってた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)