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尻尾
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しっぽ
ふりがな文庫
“
尻尾
(
しっぽ
)” の例文
そうしてソンナ連中の遺産を一人で掻き集めて
栄耀栄華
(
えいようえいが
)
にふけりながら、よく、
尻尾
(
しっぽ
)
を押えられずに来られたもんだなあ、お前は……
継子
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
鮎子が右に左に通せんぼうをするのを、
巧
(
たくみ
)
にかい
潜
(
くぐ
)
って、
尻尾
(
しっぽ
)
の二郎美少年を
捕
(
つか
)
まえる遊戯だ。陸上の「子を取ろ、子取ろ」である。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
或
(
ある
)
ひはまた
廷臣
(
ていしん
)
の
鼻
(
はな
)
の
上
(
うへ
)
を
走
(
はし
)
る、と
叙任
(
ぢょにん
)
を
嗅出
(
かぎだ
)
す
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
る、
或
(
ある
)
ひは
獻納豚
(
をさめぶた
)
の
尻尾
(
しっぽ
)
の
毛
(
け
)
で
牧師
(
ぼくし
)
の
鼻
(
はな
)
を
擽
(
こそぐ
)
ると、
僧
(
ばうず
)
め、
寺領
(
じりゃう
)
が
殖
(
ふ
)
えたと
見
(
み
)
る。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
とお十夜は、一角の
尻尾
(
しっぽ
)
について、同じ川岸へ向った周馬をののしりながら、自分は、原士の四、五人を
拉
(
らっ
)
して反対の向う岸へ廻った。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから、
尻尾
(
しっぽ
)
をつかみ、
銃床
(
じゅうしょう
)
で、首筋を、何度となく、これが最後、これが
止
(
とど
)
めの一撃かと思われるほど、激しくどやしつけた。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
▼ もっと見る
そりゃまあ、仮りに証拠は必要だとしてもいいですが、しかし証拠というやつは、あなた、大部分両方に
尻尾
(
しっぽ
)
を持っているのでしてな。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
それが不思議なことには死んだボーヤの小さい時とほとんどそっくりでただ
尻尾
(
しっぽ
)
が長くてその尻尾に
雉毛
(
きじげ
)
の紋様があるだけの相違である。
ある探偵事件
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
怖がって
尻尾
(
しっぽ
)
をまいて逃げるほどなら、白柄組が巣を組んでいる山の手へ登って来て、わざわざ喧嘩を売りゃあしねえ。こっちを
番町皿屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
白い
尻尾
(
しっぽ
)
が左右に動いているのが見える。私が近づくと彼女は
妖魔
(
ようま
)
の如く、音もなく高く飛び上って、また次のしげみへ隠れて私を待つ。
大切な雰囲気:03 大切な雰囲気
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
とにかくこうして先生の原稿の頭と
尻尾
(
しっぽ
)
は手に入ったのですが、胴中を思いがけなく古田の手から、木村君にしてやられました。
ニッケルの文鎮
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
証拠がないので
尻尾
(
しっぽ
)
をつかめないんですが、どうでしょう、君があすこへ寝るのを幸いに、気をつけて見てくれませんか、食堂ですから
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
私が御案内をしますからと
謂
(
い
)
って、爺さんに暫らく目をつぶらせ
尻尾
(
しっぽ
)
につかまらせて、その小さな穴から鼠の
屋形
(
やかた
)
に入って行くのである。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
蝉取りの妙味はじっと忍んで行っておしい
君
(
くん
)
が一生懸命に
尻尾
(
しっぽ
)
を延ばしたり
縮
(
ちぢ
)
ましたりしているところを、わっと前足で
抑
(
おさ
)
える時にある。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
音楽長は背の曲がった大きな老人で、
白髯
(
はくぜん
)
を
尻尾
(
しっぽ
)
のように
頤
(
あご
)
にたれ、
反
(
そ
)
り返った長い鼻をし、眼鏡をかけて、言語学者のような
風采
(
ふうさい
)
だった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ツイ其処に生後まだ一ヵ月も
経
(
た
)
たぬ、むくむくと
肥
(
ふと
)
った、赤ちゃけた
狗児
(
いぬころ
)
が、小指程の
尻尾
(
しっぽ
)
を千切れそうに
掉立
(
ふりた
)
って、
此方
(
こちら
)
を
瞻上
(
みあ
)
げている。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
すなわち、牛蒡丸
抜安
(
ぬきやす
)
の細身の一刀、これをぶら下げた図というものは、
尻尾
(
しっぽ
)
じゃないが、十番越に
狸穴
(
まみあな
)
から狸に化かされた同様な形です。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
尻尾
(
しっぽ
)
を押えられるようなことはなしにここまで来たが、昨夜はついに、辻番と検視の役人の前に立たねばならなくなりました。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
房々
(
ふさふさ
)
とした
尻尾
(
しっぽ
)
がひどくゆたかな穂のようにぴんと立って、それがついと闇に消えた。野の狐がまよいだしていたのであろう。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
性
(
しょう
)
わるで有名な
柏源
(
かしげん
)
さんまで手玉にとるところなんかさ——
玉藻前
(
たまものまえ
)
じゃないけれど、いまにきっと
尻尾
(
しっぽ
)
を出すからみてごらん
契りきぬ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
一本の混じり毛もない、全身まっ白な小さな猫で、片方の目が金色で、片方の目が銀色で、長い
尻尾
(
しっぽ
)
の毛がふさふさとして、
白狐
(
しろぎつね
)
のようです。
金の目銀の目
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
第三が『火を軽べつすべからず。』これは私共のこん助があなたのお
家
(
うち
)
へ行って
尻尾
(
しっぽ
)
を焼いた景色です。ぜひおいで下さい。
雪渡り
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
これだけの隊員が一度にドッと飛びかかれば、
流石
(
さすが
)
の妖怪たちも
忽
(
たちま
)
ち
尻尾
(
しっぽ
)
を出してしまうことであろうと、大変
頼
(
たの
)
もしく感ぜられるのでした。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一ぴきは、靴をもってくる、一ぴきが顔を洗ってやれば、一ぴきは、
濡
(
ぬ
)
れている顔を、じぶんの
尻尾
(
しっぽ
)
でふいてやりました。
かわいそうな粉ひきの若いものと小猫
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
さもなければこっちが
尻尾
(
しっぽ
)
を巻いて逃げ出すほかはないような、頭の悪いひねくれた哲学を振りまわしはじめるのだった。
イオーヌィチ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
よく牛が
紐
(
ひも
)
のような
尻尾
(
しっぽ
)
で背のあぶを追いながら草を食っていた。彼はそこ以外ではいけないと思った。彼はそこでのことをいろいろに想像した。
雪の夜
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
見ると、耳のとがった、
尻尾
(
しっぽ
)
の上に巻き揚がった猟犬をも連れている。こいつはその鋭い鼻ですぐに炉ばたの方の焼餅の
匂
(
にお
)
いをかぎつけるやつだ。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それを見た白の嬉しさは何と云えば
好
(
い
)
いのでしょう? 白は
尻尾
(
しっぽ
)
を振りながら、
一足飛
(
いっそくと
)
びにそこへ飛んで行きました。
白
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
阿諛
(
あゆ
)
追従
(
ついしょう
)
てんとして恥じず、ぶたれても、きゃんといい
尻尾
(
しっぽ
)
まいて閉口してみせて、家人を笑わせ、その精神の卑劣、醜怪、犬畜生とはよくもいった。
畜犬談:―伊馬鵜平君に与える―
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
頭のうしろに馬の
尻尾
(
しっぽ
)
のようなものをブラさげ、十六七の娘のような見せかけをしていたので、相手のツケこむすきがあったが、おとなの髪型になり
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
花田 ただし
尻尾
(
しっぽ
)
を出しそうな奴は黙って引っ込んでいるほうがいいぜ。それでは俺たち四人は戸部とともちゃんとに最後の告別をしようじゃないか。
ドモ又の死
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「どうにもこうにも保ちそうもなかったら、その辺で詰め込んで帰るとしようよ。魚の
尻尾
(
しっぽ
)
を
齧
(
かじ
)
っている犬なんか見て、浅ましい心を起しちゃならねエ」
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あきらめて又外の事を考えておると、頭の調子が空想に乗って快よく流れ出したと思われた時、又考えの
尻尾
(
しっぽ
)
を見失って私は段々いらいらして来始めた。
風宴
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
彼女は、その封筒の端をソッと、醜い
蠑螈
(
いもり
)
の
尻尾
(
しっぽ
)
をでも握るように、
摘
(
つま
)
み上げながら、父の部屋へ持って行った。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
尻尾
(
しっぽ
)
へ火を付けてボンベイとセイロンの間を走ったという話がありますが、そのハンマンなどいうものを見聞きする事などが楽しみだったり、面白いので
我が宗教観
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
そんなことを思わずつぶやきながら、彼はうす暗い木立の中をあわてて
尻尾
(
しっぽ
)
を脊なかにのせて走り去ってゆく粟鼠を、それの見えなくなるまで見つめていた。
ルウベンスの偽画
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
子
(
こ
)
を
奪
(
と
)
ろ
子
(
こ
)
とろは、親になったものの帯につらなって大勢の子がいる。人とり鬼になったものが、どうにかして末の、
尻尾
(
しっぽ
)
の方の子をとろうとするのである。
旧聞日本橋:02 町の構成
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
寒いときには、彼は毛皮の帽子をかぶり、その上に
狐
(
きつね
)
の
尻尾
(
しっぽ
)
をなびかせているので、すぐに見分けがついた。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
角
(
つの
)
も生えて居なければ
尻尾
(
しっぽ
)
のある者でもない、
至極
(
しごく
)
穏かな人間だと云う所からして、段々懇親になったと云うその話は、
程経
(
ほどへ
)
て後に内々嶋津から聞きました。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
卵の積りで
陶物
(
やきもの
)
の模型卵を呑んで、苦しがって居るのだ。折から来合わして居たT君が、
尻尾
(
しっぽ
)
をつまんで鶏小屋から引ずり出すと、余が
竹竿
(
たけざお
)
でたゝき殺した。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
もちろんこれは
尻尾
(
しっぽ
)
をつかまえられないように御自身の言葉による肯定を避けられたわけではありません。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
すると、出された方では、
尻尾
(
しっぽ
)
に
紐
(
ひも
)
を縛りつけられた犬のように、むやみにグルグル回ったり、飛びはねたりして、その仕事から免れようと狂うように働くのだ。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
と、蛇は
尻尾
(
しっぽ
)
の切れた青く
生
(
なま
)
なました
傷痕
(
きずあと
)
を見せながら姿を消してしまった。武士は気が
注
(
つ
)
いたように
髯
(
ひげ
)
を
剃
(
そ
)
った
痕
(
あと
)
の
蒼
(
あお
)
あおとした
隻頬
(
かたほお
)
に笑いを見せながら歩いた。
山寺の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それに、もしそれが人間の遺骨ではなく猫とか犬とかいったような動物の骨であるとすれば、焼跡にはきっと
尻尾
(
しっぽ
)
の骨が魚の骨のような形で残っているはずだった。
或る嬰児殺しの動機
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
どこから出て来たのか老犬は、おびえ切った様子で
尻尾
(
しっぽ
)
を振りながら倒れた家の
廻
(
まわり
)
をかけ廻っていた。
九月一日
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
いかにも
惨
(
みじ
)
めに
尻尾
(
しっぽ
)
を巻いて、土をひっかくようにして必死で逃げて行く小さな犬に対してであった。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
頭の先から
尻尾
(
しっぽ
)
の先まで厄介になりながら、いい様に掻き廻すものをどうして置くわけがあるんですい。若し、恭二がかれこれ云う様なら二人一度に出すまでの事さ。
栄蔵の死
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
(こんなことから
尻尾
(
しっぽ
)
を出し、民弥の父親の松浦勘解由を、この俺が討って取り、民弥が俺を父の
敵
(
かたき
)
として、狙っているということなど、知られようものなら一大事だ)
猫の蚤とり武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
尻尾
(
しっぽ
)
の毛は大鳥毛のようで高く巻き上がって
房
(
ふっ
)
さりしており、
股
(
もも
)
の前にも
伴毛
(
ともげ
)
が長い、胴は短くつまって四足細く指が長く歩く時はしなしなする。頭が
割方
(
わりかた
)
大きく見ゆる。
幕末維新懐古談:54 好き狆のモデルを得たはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
と見れば、豆板屋、
金米糖
(
こんぺいとう
)
、ぶっ切り
飴
(
あめ
)
もガラスの
蓋
(
ふた
)
の下にはいっており、その隣は鯛焼屋、
尻尾
(
しっぽ
)
まで
餡
(
あん
)
がはいっている焼きたてで、新聞紙に包んでも持てぬくらい熱い。
アド・バルーン
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
基督
(
キリスト
)
がゴルゴタの山上で、かの
非命
(
ひめい
)
の最期を
遂
(
と
)
げたごときも、
世人
(
せじん
)
は、あの男もとうとう
尻尾
(
しっぽ
)
を現して、あのざまの死に方をしたとか、表向きには
君子顔
(
くんしがお
)
をしておっても
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
“尻尾(
尾
)”の解説
動物の構造
尾(お)、別名尻尾(しっぽ)、尾っぽ(おっぽ)は、動物の後部(頭の反対側)である。英語ではtail。特にはっきりとしたしなやかな、体幹の後方部分のことをいう。生物学的なものと、一般的なものでは異なる場合が多々ある。
(出典:Wikipedia)
尻
常用漢字
中学
部首:⼫
5画
尾
常用漢字
中学
部首:⼫
7画
“尻”で始まる語句
尻
尻餅
尻端折
尻目
尻込
尻切
尻馬
尻持
尻眼
尻端