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大尽
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だいじん
ふりがな文庫
“
大尽
(
だいじん
)” の例文
旧字:
大盡
「兄さんの耳へ
入
(
はえ
)
るわけは、なえじゃないか。近郷切ってのお
大尽
(
だいじん
)
様で、立っとるんだもん。兄さんの耳へ入れる奴がどこにある?」
仁王門
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「貧乏性だわねえ、あんたは。今日は
黄道吉日
(
こうどうきちにち
)
でしょ。お
大尽
(
だいじん
)
の仕立て物には、
裁
(
た
)
ち祝いということをするもンなのよ、知らない?」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「この
町
(
まち
)
の
大尽
(
だいじん
)
のお
使
(
つか
)
いでまいったものです。ちょっと
大尽
(
だいじん
)
がお
目
(
め
)
にかかってお
話
(
はなし
)
したいことがあるからいらっしてくださるように。」
港に着いた黒んぼ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
土地の大地主で、
数多
(
たくさん
)
の借家を持ち、それで、
住宅
(
すまい
)
の
向前
(
むこう
)
に酒や醤油の店を持っている広栄の家は、
鮫洲
(
さめず
)
の
大尽
(
だいじん
)
として通っていた。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
後に、春の絵の本を見たら、香字という
大尽
(
だいじん
)
に張りあう高総という大尽のことがあった。それも多分「丸八」のはなしだとかきいていた。
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
一日かかって銭二十五文に売って帰るが、これは伊勢町の月夜の利左という
大尽
(
だいじん
)
であったというから、元禄時代から江戸にも餌屋があった。
江戸前の釣り
(新字新仮名)
/
三遊亭金馬
(著)
江之島見物に行くらしい
大尽
(
だいじん
)
、それより
厳
(
いか
)
めしく感じられるのは、槍を立て馬に乗り供人多数に、囲まれて行く大身のお武家。
猫の蚤とり武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
五丁町
(
ごちょうまち
)
の
辱
(
はじ
)
なり、
吉原
(
よしわら
)
の名折れなり」という動機の
下
(
もと
)
に、吉原の遊女は「野暮な
大尽
(
だいじん
)
などは幾度もはねつけ」たのである。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
といっている。近松の
心中物
(
しんじゅうもの
)
を見ても分るではないか。
傾城
(
けいせい
)
の誠が金で
面
(
つら
)
を張る圧制な
大尽
(
だいじん
)
に解釈されようはずはない。
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
こういうわけですから、有野村の
大尽
(
だいじん
)
が京大阪へ向けて旅立ちをなされたという評判は、どこからも立ちませんでした。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
昔から世間に
能
(
よ
)
くある
習
(
ならい
)
で、田舎のお
大尽
(
だいじん
)
を罠に掛ける酌婦の紋切形であろう位に、極めて単純に解釈していた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そんなら、彼ら
大尽
(
だいじん
)
は
地租
(
ちそ
)
の
目
(
もく
)
の
下
(
もと
)
に多額の負担ありやと
尋
(
たず
)
ぬれば、彼らの
園邸
(
えんてい
)
は宅地にあらずして、山林と
登録
(
とうろく
)
してあるから、税率もはなはだ少ない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
と三百円の金を
請取
(
うけと
)
り、前に春見から返して貰った百円の金もあるので、又作は急に
大尽
(
だいじん
)
に成りましたから、心勇んで其の死骸を
担
(
かつ
)
ぎ出し、
荷足船
(
にたりぶね
)
に載せ
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
妻が女児の一人に
其
(
その
)
家
(
うち
)
をきいたら、小さな彼女は胸を突出し
傲然
(
ごうぜん
)
として「
大尽
(
だいじん
)
さんの
家
(
うち
)
だよゥ」と答えた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その頃、銀座さんと
称
(
とな
)
うる化粧問屋の
大尽
(
だいじん
)
があって、
新
(
あらた
)
に、「
仙牡丹
(
せんぼたん
)
」という
白粉
(
おしろい
)
を製し、これが大当りに当った、祝と披露を、
枕橋
(
まくらばし
)
の
八百松
(
やおまつ
)
で催した事がある。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
若い時分には、あくせく稼いで一と身代
拵
(
こしら
)
えたこともあったが、邑内に品評会のあった年
大尽
(
だいじん
)
遊びをしたり
博打
(
ばくち
)
をうったりして、三日三晩ですっからかんになってしまった。
蕎麦の花の頃
(新字新仮名)
/
李孝石
(著)
自分は
東
(
あずま
)
の田舎
大尽
(
だいじん
)
の
如
(
ごと
)
くすべて
鷹揚
(
おうよう
)
に最上等の宿舎に泊り、毎日のんきに京の見物、
日頃
(
ひごろ
)
けちくさくため込んだのも今日この日の
為
(
ため
)
らしく、惜しげも無く金銀をまき散らし
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
今の下宿には
斯
(
か
)
ういふ事が起つた。半月程前、一人の男を供に連れて、下高井の地方から出て来た
大日向
(
おほひなた
)
といふ
大尽
(
だいじん
)
、飯山病院へ入院の為とあつて、
暫時
(
しばらく
)
腰掛に泊つて居たことがある。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
殊にお辰は
叔父
(
おじ
)
さえなくば
大尽
(
だいじん
)
にも望まれて
有福
(
ゆうふく
)
に世を送るべし、人は人、我は我の思わくありと
決定
(
けつじょう
)
し、置手紙にお辰
宛
(
あ
)
て
少許
(
すこしばかり
)
の恩を
伽
(
かせ
)
に
御身
(
おんみ
)
を
娶
(
めと
)
らんなどする
賎
(
いや
)
しき心は露持たぬ由を
認
(
したた
)
め
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
大藤
(
おほふぢ
)
の
大尽
(
だいじん
)
が息子と聞きしに野沢の
桂次
(
けいじ
)
は
了簡
(
りようけん
)
の清くない奴、
何処
(
どこ
)
やらの割前を人に
背負
(
せよは
)
せて逃げをつたなどとかふいふ
噂
(
うわさ
)
があとあとに残らぬやう、郵便為替にて証書面のとほりお送り申候へども
ゆく雲
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
堀尾家は村一番のお
大尽
(
だいじん
)
だ。好い庭を持っている。
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
古代更紗で
大尽
(
だいじん
)
遊び5・3(夕)
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「よう、お
大尽
(
だいじん
)
の
御来駕
(
ごらいが
)
!」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「へん、ここをどこだ」声をおとして、「ここは
鮫洲
(
さめず
)
のお
大尽
(
だいじん
)
のお
邸
(
やしき
)
さ、お邸と知って、奥さまをもらいに来てるのだが、
汝
(
てめえ
)
はなんだ」
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
しかし妙なもので、散所ノ長者の顔にあると、瘤までが、この豪勢なお
大尽
(
だいじん
)
の福相には、あっておかしくないもののように見える。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
娘
(
むすめ
)
は、まったく、
旅
(
たび
)
の
人
(
ひと
)
にだまされたのでありました。なるほど、いってみると、その
家
(
うち
)
は、
村
(
むら
)
の
大尽
(
だいじん
)
であります。
海ぼたる
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
道庵も少しばかり
悄気
(
しょげ
)
てきました。これは馬鹿囃子だけでは追付かない、何かほかに一思案と思っているうちに、
大尽
(
だいじん
)
の屋敷の園遊会の当日となりました。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そして焼けた後しばらくは、近くに馬小屋とかがあって、馬丁のいたその
一間
(
ひとま
)
に、石橋様というお
大尽
(
だいじん
)
も、お嬢様たちも住んでいられたようであったというのです。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
此方
(
こちら
)
の
家
(
うち
)
は貴方のお家より、
余程
(
よっぽど
)
大尽
(
だいじん
)
ですから、
召物
(
めしもの
)
でもお腰のものでも結構なのが沢山ありますよ
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
故
(
かるがゆえ
)
に君子は
庖厨
(
ほうちゅう
)
を遠ざく……こりゃ分るまいが、
大尽
(
だいじん
)
は茶屋の
構
(
かまえ
)
の
大
(
おおき
)
からんことを望むのだとね。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私がね、誰かの
初
(
はつ
)
のお節句のおり、神田へ買ものにゆきますとね、前の方に、
粋
(
いき
)
な女たちにとりまかれて賑かにゆく人がありますのでね、おやおや、
何処
(
どこ
)
の
大尽
(
だいじん
)
かと見ますとね。
旧聞日本橋:08 木魚の顔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
長左衛門も新兵衛も土地では札付きの悪党であったらしい。今から十三年前に二人は共謀して隣り村の或る
大尽
(
だいじん
)
の家へ押し込みにはいって、主人夫婦と娘とをむごたらしく斬り殺した。
半七捕物帳:19 お照の父
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と残りくまなくほめられて
流石
(
さすが
)
に思慮分別を失い、天下のお
大尽
(
だいじん
)
とは私の事かも知れないと思い込み、次第に大胆になって豪遊を試み、金というものは使うためにあるものだ、使ってしまえ
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
いよいよそうなら忍び込み、奪い取って一
釜
(
かま
)
起こし、もうその後は足を洗い、あの米八でも側へ引き付け、
大尽
(
だいじん
)
ぐらし栄耀栄華、ううん、こいつあ途方もねえ、偉い幸運にぶつかるかもしれねえ。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「おい、
何時
(
いつ
)
まで黙ってるのだ、しびれがきれるぜ、御主人、
鮫洲
(
さめず
)
の
大尽
(
だいじん
)
君、女をくれるか、
厭
(
いや
)
か、返事をしてくれないのか」
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
やがて雷横の前へ盆が廻ってくると白玉喬は、いちだん愛想よく腰をかがめ、残り物には福、お
大尽
(
だいじん
)
様は
総括
(
そうくく
)
り、ヘイ一つお
弾
(
はず
)
みをとうながした。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
姉
(
あね
)
は、これまでこんなことをいったものが、
幾人
(
いくにん
)
もありましたから、またかと
思
(
おも
)
いましたが、その
大尽
(
だいじん
)
というのは、
名
(
な
)
の
聞
(
き
)
こえている
大金持
(
おおがねも
)
ちだけに
港に着いた黒んぼ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
先
(
ま
)
ず島へ船が着きますると、附添の役人は
神着村
(
こうづきむら
)
大尽
(
だいじん
)
佐治右衞門
(
さじうえもん
)
へ泊るのが例でございます。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
資産
(
かね
)
のあるにまかせて、堀留から蠣殻町まで、最も
殷賑
(
いんしん
)
な人形町通りを、取りまき出入りの者を引きしたがえて、
廓
(
くるわ
)
のなかを、
大尽
(
だいじん
)
客がそぞめかすように、日ごとの芝居茶屋通いで
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
前に幸内の
行方
(
ゆくえ
)
が今以て知れないところへ、今またお銀様とお君との行方が知れなくなったということは、伊太夫はじめ、この
大尽
(
だいじん
)
の家の一家と出入りの者を驚かせずにはおきません。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
並んでいる
木菟
(
みみずく
)
にも、ふらふらと魂が入ったから、羽ばたいて飛出したと——お
大尽
(
だいじん
)
づきあいは馴れていなさるだろうから、一つ、切符で見ようじゃありませんか、というと、……嬉しい
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「いくら佐野のお
大尽
(
だいじん
)
さまでも、こうなりゃあ腕づくだ。腕で来い」
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「一度にお
大尽
(
だいじん
)
になるんだとよ」
大捕物仙人壺
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
姉
(
あね
)
は、それから
程経
(
ほどへ
)
て、
大尽
(
だいじん
)
の
屋敷
(
やしき
)
からもどってきました。
思
(
おも
)
ったより、たいへんに
時間
(
じかん
)
がたったので、
弟
(
おとうと
)
はどうしたろうと
心配
(
しんぱい
)
してきたのであります。
港に着いた黒んぼ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
道を廻って、二人は山腹の豪勢なお
大尽
(
だいじん
)
やしきの門を叩いた。まだほの暗い早朝だ。
荘丁
(
いえのこ
)
らは渋い目をこすッて何かと出て来る。
毛
(
もう
)
旦那もやがてあとから現われた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「菊家へ
行
(
ゆ
)
こうよ、私がお客で。大したお
大尽
(
だいじん
)
だわね、お小遣を
持扱
(
もちあつか
)
って。」
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
衣装
(
なり
)
は
常着
(
ふだんぎ
)
だから
好
(
よ
)
くはございませんが、なれども村方でも
大尽
(
だいじん
)
の娘と思う
拵
(
こしら
)
え、一人付添って来たのは肩の張ったお
臀
(
しり
)
の大きな
下婢
(
おんな
)
、
肥
(
ふと
)
っちょうで赤ら顔、
手織
(
ており
)
の
単衣
(
ひとえ
)
に
紫中形
(
むらさきちゅうがた
)
の
腹合
(
はらあわせ
)
の帯
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
土地の
大尽
(
だいじん
)
を踏み台にして
身請
(
みう
)
けをされて、そこから松蔵のところへ逃げ込んで、小一年も一緒に仲よく暮らしているうちに、男は詮議がだんだんむずかしくなって来たので、女にも因果をふくめて
半七捕物帳:31 張子の虎
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「めっそうな!
大尽
(
だいじん
)
のお墨附! めっそうな」
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ところが、やみ
物資
(
ぶっし
)
もなくなると、たちまち
金
(
かね
)
もうけの
道
(
みち
)
がとだえて、にわか
大尽
(
だいじん
)
は、また
昔
(
むかし
)
のような
丸
(
まる
)
はだかとなって、もうこっとう
品
(
ひん
)
など
買
(
か
)
うものがなくなる。
太陽と星の下
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
“大尽”の意味
《名詞》
大 尽(だいじん)
大金持ち。富豪。
遊郭で豪遊する客。
(出典:Wiktionary)
“大尽”の解説
大尽
(出典:Wikipedia)
大
常用漢字
小1
部首:⼤
3画
尽
常用漢字
中学
部首:⼫
6画
“大尽”で始まる語句
大尽風
大尽子
大尽客
大尽株
大尽様
大尽舞
大尽金