動搖どうえう)” の例文
新字:動揺
さらその何處どこにもかんじない微風びふう動搖どうえうして自分じぶんのみがおぢたやうにさわいでる。なにさわぐのかといぶかるやうにすこ俯目ふしめおろしてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しからば金解禁きんかいきん決行けつかうせられた一ぐわつ十一にち以後いご經濟界けいざいかいはどうなるであらうか。爲替相場かはせさうば動搖どうえうため物價ぶつか動搖どうえうすることは、商賣社會しやうばいしやくわいもつとこのまざることである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
入つて來た平次とガラツ八と萬七を見るとお駒の顏色は動搖どうえうします。灯のせゐだつたかも知れません。
何故なぜかとへば航海中かうかいちゆうふね動搖どうえうかんずること比較的ひかくてきすくないためで、このへや占領せんりやうするためには虎鬚とらひげ獨逸人ドイツじんや、羅馬風ローマンスタイルはなたか佛蘭西人等フランスじんとう隨分ずゐぶん競爭者きようそうしや澤山たくさんあつたが
えうするにかれぐらゐ年輩ねんぱい青年せいねんが、一人前いちにんまへ人間にんげんになる楷梯かいていとして、をさむべきことつとむべきことには、内部ないぶ動搖どうえうやら、外部ぐわいぶ束縛そくばくやらで、一切いつさいかなかつたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
もう卅さいわかかつたなら?——日本につほん文壇ぶんだんは、動搖どうえうし、わたしは——わたしは、かぞへると、九歳こゝのつだつ!
いだくるま一散いつさん、さりながらつもゆき車輪しやりんにねばりてか車上しやじやう動搖どうえうするわりあはせてみちのはかはかず萬世橋よろづよばしころには鐵道馬車てつだうばしや喇叭らつぱこゑはやくえて京屋きやうや時計とけい十時じふじはうずるひゞきそらたか
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かぜ一陣ひとしきりでて、ふね動搖どうえうやゝはげしくなりぬ。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
限りもなく廣いをやみない動搖どうえうであれ
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
郷里きやうりからたものにいてかれ勘次かんじ次第しだい順境じゆんきやうおもむきつゝあることをつた。かれこゝろ動搖どうえうしてもろつたこゝろひどあはれつぽくなさけなくなつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
けれどもあたまなかは、周圍しうゐ幽靜いうせいおもむき反照はんせうするためか、かへつてまちにゐるときよりも動搖どうえうした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
氣球きゝゆう動搖どうえうしづまつたので、吾等われらははじめて再生さいせいおもひをなし。
つきあらたまつて、役所やくしよ動搖どうえうこれ一段落いちだんらくだと沙汰さたせられたとき宗助そうすけのこつた自分じぶん運命うんめいかへりみて、當然たうぜんやうにもおもつた。また偶然ぐうぜんやうにもおもつた。ちながら、御米およね見下みおろして
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
むらもの自分じぶんかどからそれをのぞいた。棺桶くわんをけすわりがわる所爲せゐ途中とちうまずぐらり/\と動搖どうえうした。勘次かんじはそれでも羽織はおりはかま位牌ゐはいつた。それはみなりたので羽織はおりひもには紙撚こよりがつけてあつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)