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仰有
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おつしや
ふりがな文庫
“
仰有
(
おつしや
)” の例文
「
今日
(
こんにち
)
はその事で上つたのではないのですから、
今日
(
こんにち
)
の始末をお付け下さいまし。ではどうあつても書替は出来んと
仰有
(
おつしや
)
るのですな」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
人情の機微を知りつくした媒妁人のやうに
仰有
(
おつしや
)
られては困るのです。僕が秋子さんを愛してゐるといふことは一応ほんとかも知れません。
狼園
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
「それでも良寛さん、主人は私に、針仕事をして来いと
仰有
(
おつしや
)
いましただ。足袋のつくろひでも何でもしますから、私にさせてくだされ。」
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
しかもその後からは
楚
(
すばえ
)
をふり上げた若殿様が「
柑子
(
かうじ
)
盗人
(
ぬすびと
)
め、待て。待て。」と
仰有
(
おつしや
)
りながら、追ひかけていらつしやるのではございませんか。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
何
(
なん
)
ぞほかに新しい花を召しますのなら、どうか名を
仰有
(
おつしや
)
つて下さいまし、女の胸の上、戀人の床の上に
萎
(
しほ
)
れる花の名はみんな存じてをりますから。
わるい花
(旧字旧仮名)
/
レミ・ドゥ・グルモン
(著)
▼ もっと見る
『
何處
(
どこ
)
までゝも——けれど、それがもしあなたの
御迷惑
(
ごめいわく
)
になるとでも
仰有
(
おつしや
)
るなら、
私
(
わたし
)
は
此處
(
ここ
)
でお
訣
(
わか
)
れします。でも、
家
(
うち
)
へはもう
歸
(
かへ
)
らない
覺悟
(
かくご
)
です。』
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
今朝程一人のお客さんがお見えになりまして、このペンキは
此方
(
こちら
)
の店で買つたのだが、不用になつたから
原価
(
もとね
)
で買ひ戻して呉れまいかと
仰有
(
おつしや
)
います。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それでもまだ私から別れると云ふのですもの、貴方が譯をききたいと
仰有
(
おつしや
)
るのは當り前の事なのです。ねえ、貴方。それは今はきかずにゐて下さい。
計画
(旧字旧仮名)
/
平出修
(著)
「
何
(
ど
)
うぞ、
貴方
(
あなた
)
、
私
(
わたし
)
が
今夜
(
こんや
)
此處
(
こゝ
)
に
居
(
を
)
りました
事
(
こと
)
を、
誰
(
だれ
)
にも
仰有
(
おつしや
)
らないで
下
(
くだ
)
さいまし。……
唯
(
たゞ
)
それだけでございます。」
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
事
(
こと
)
に
依
(
よ
)
つたら、
主
(
しゆ
)
の
君
(
きみ
)
も、それをお
知
(
し
)
りにならうとなさらないのだらう。
時
(
とき
)
に、あの
子供
(
こども
)
たちも
名
(
な
)
が
無
(
な
)
いやうだ。
主
(
しゆ
)
の
君
(
きみ
)
は
却
(
かへ
)
つて
其方
(
そのはう
)
が
好
(
い
)
いと
仰有
(
おつしや
)
るだらう。
浮浪学生の話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
○
仰有
(
おつしや
)
る通り
皆
(
みな
)
後世に
遺
(
のこ
)
りて、後世は一々これが批判に任ぜざる
可
(
べ
)
からずとせば、なりたくなきは後世なるかな。後世は
応
(
まさ
)
に
塵芥
(
ぢんかい
)
掃除
(
さうぢよ
)
の請負所の如くなるべし。
青眼白頭
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
お父さまは敏ちやんの寢顏を
打戍
(
うちまも
)
り乍ら
仰有
(
おつしや
)
います「圭一郎に瓜二つぢや
喃
(
なう
)
」とか「燒野の
雉子
(
きゞす
)
、夜の鶴——圭一郎は子供の可愛いといふことを知らんのぢやらうか」
業苦
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
内海さんが、あゝ
仰有
(
おつしや
)
るんだから、思ひ切つて保養にでも行つて來ちやどうだい。兄さんのやうに
夭死
(
わかじに
)
をしちや大變だから、家の事は心配しなくつてもいゝから、繪を
仮面
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
早速、先生の許へ持つて行くと、篤と目を通して居られたが、忽ち
礑
(
はた
)
と膝を打つて、これでいゝ、その儘でいゝ、生じつか直したりなんぞせぬ方がいゝ、とかう
仰有
(
おつしや
)
る。
余が言文一致の由来
(旧字旧仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「さうねえ。でも玄関で帰るつて
仰有
(
おつしや
)
りはしないかしら」着ずまひを直しながら常子はもう小刻みに
扉口
(
ドアぐち
)
に急いだ。「よくつてよ、わたしがよくお礼云つて置きますから」
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
「あら、さう。」と花子は思出して、「うつかりして気がつかなかつた。お隣の奥さん、門の外でお目にかゝつたら銀行へ行くつて
仰有
(
おつしや
)
つてたけれど、わたしもうつかりしてゐたよ。」
来訪者
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
ただ
貴方
(
あなた
)
が
家
(
うち
)
が淋しくツて不愉快だと
仰有
(
おつしや
)
ツたから、それは誰の
故
(
せい
)
でもない、
貴方
(
あなた
)
御自身の體が惡いからと
謂
(
い
)
ツたまでのことなんです。男らしくもない、弱い者いぢめも
好
(
い
)
い
加減
(
かげん
)
になさるものですよ。
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
「なるほど坊さんは、坊さんみたいなことを
仰有
(
おつしや
)
るだ。だが坊さん、ああして難儀させにや、子供は一人前になれませんだ。」
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
『おのれは、阪本の狐ぢや。今日、殿の仰せられた事を、
言伝
(
ことづ
)
てせうほどに、近う寄つて、よう聞きやれ。』と、かう
仰有
(
おつしや
)
るのでございまする。
芋粥
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と
仰有
(
おつしや
)
つたが、
御手
(
おんて
)
の
錫杖
(
しやくぢやう
)
をづいと
上
(
あ
)
げて、トンと
下
(
お
)
ろしざまに
歩行
(
あゆ
)
び
出
(
で
)
らるゝ……
成程
(
なるほど
)
、
御襟
(
おんゑり
)
の
唾掛
(
よだれかけ
)
めいた
切
(
きれ
)
が、ひらり/\と
揺
(
ゆ
)
れつゝ
来
(
こ
)
らるゝ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
禅問答のやうに
仰有
(
おつしや
)
らないで下さいよ! 五十円の結納金なら明らかに人間の方式ですぜ。獣の方式なら今迄通り山の畑でお綱とねる方がいいでせう。
禅僧
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
『いえ、
私
(
わたし
)
はあなたが
何
(
なん
)
と
仰有
(
おつしや
)
つても、あなたに
隨
(
つ
)
いてゆくのです。それより
他
(
ほか
)
に
私
(
わたし
)
の
行
(
ゆ
)
くみちはないんです。』
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
「違つてよ。」となかから
突走
(
つつぱし
)
つた声が聞えた。「トオマス
博士
(
はかせ
)
だつたら、『
It
(
イテ
)
is
(
イス
)
me
(
ミイ
)
』なんて
仰有
(
おつしや
)
らずに、『
It
(
イテ
)
is
(
イス
)
I
(
アイ
)
』と仰有つてよ。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
然し先程、薔薇と鈴振花と
茉莉花
(
まつりくわ
)
の香と
仰有
(
おつしや
)
いましたでは御座いませんか、ひとつ品の良い香のする奇麗な
花環
(
はなわ
)
をお
造
(
つく
)
り申しませう、
庚申薔薇
(
かうしんばら
)
に
葉鷄頭
(
はげいとう
)
でも
添
(
あしら
)
ひまして。
わるい花
(旧字旧仮名)
/
レミ・ドゥ・グルモン
(著)
貴方は蕪木も承知の上で手を切つたと
仰有
(
おつしや
)
つたが、蕪木の心中はどうだつたんでせうか。私には分からなかつたのです。貴方は私と連名で蕪木へ發信した事があつたね。
計画
(旧字旧仮名)
/
平出修
(著)
龜藏が宵から急に
術
(
じゆつ
)
ながつて仕樣がありませんから、お醫者さんを呼びに來たら、村長の仕打ちが氣に入らんから
診
(
み
)
に行つてやらんと
仰有
(
おつしや
)
る。……旦那樣に早う行つて譯を
避病院
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
「今度なんて
仰有
(
おつしや
)
らずに、旦那も
明日
(
あした
)
あたり電信でお
呼寄
(
よびよせ
)
になつたら
如何
(
いかが
)
で御座います」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
いや御安心なさい。お父さんは、書物なぞ一か八かの食事にはならないと
仰有
(
おつしや
)
います。お父さんは高潔な方です。道を求めてゐる方です。石だの竹だの雲だのを友達にして、生命を
南京六月祭
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
、ひどい言葉でなじつたのです。わたしはれふしどものところへ帰ると、代官さまの
仰有
(
おつしや
)
つたことを、そのまま伝へました。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
それまでは苦い顏をなさりながら、良秀の方をじろ/\睨めつけていらしつたのが、思はず知らず膝を打つて、「出かし居つた」と
仰有
(
おつしや
)
いました。
地獄変
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
此
(
これ
)
に
就
(
つ
)
けては
御親父樣
(
ごしんぷさま
)
、
御新造樣
(
ごしんぞさま
)
も
大概
(
たいがい
)
御心配下
(
ごしんぱいくだ
)
すつた
事
(
こと
)
ではござりません。
友造
(
ともざう
)
や、
身體
(
からだ
)
を
謹
(
つゝし
)
め、
友
(
とも
)
さん、
酒
(
さけ
)
をお
飮
(
の
)
みでないよ、と
親身
(
しんみ
)
に
仰有
(
おつしや
)
つて
下
(
くだ
)
さります。
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
貴方は蕪木も承知の上で手を切つたと
仰有
(
おつしや
)
つたが、蕪木の心中はどうだつたんでせうか。私には分からなかつたのです。貴方は私と連名で蕪木へ発信した事があつたね。
計画
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
「あの方は大層内気でいらつしやるから、御自分には阿父様に申しあげかねると
仰有
(
おつしや
)
つてよ。」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
旦那、多分、お
痛
(
いた
)
はしいお心からでは御座んせんか。
暴風
(
あらし
)
の晩にたつた一邊かいだばかりで、一生忘られない花の香もありますから。たしか、今暴風の晩と
仰有
(
おつしや
)
いましたね。
わるい花
(旧字旧仮名)
/
レミ・ドゥ・グルモン
(著)
だから
退
(
の
)
ッ
引
(
ぴ
)
きならぬ人間の相しか現はれぬし、動じない美しい形しか現はれない、と
仰有
(
おつしや
)
る。生きてゐる人間を観察したり仮面をはいだり、罰が当るばかりだと仰有るのである。
教祖の文学:――小林秀雄論――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
「あら、そんな事を
仰有
(
おつしや
)
らずに、私は何方でも
宜
(
よろし
)
いのでございます」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「ぢや、早く
仰有
(
おつしや
)
いな。」
仮面
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
さうではないと
仰有
(
おつしや
)
つても、私にはよくわかつて居ります。何時ぞや御一しよに帝劇を見物した晩、御姉様は私に俊さんは好きかと
御尋
(
おき
)
きになりました。
秋
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「え、
貴下
(
あなた
)
かも
分
(
わか
)
らん、
貴下
(
あなた
)
かも
知
(
し
)
れません。
先生
(
せんせい
)
、
仰有
(
おつしや
)
つて
下
(
くだ
)
さい、
一生
(
いつしやう
)
のお
願
(
ねが
)
ひです。」
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
貴方がそれほどに
仰有
(
おつしや
)
るなら、私も
強
(
しひ
)
て反對はしません。私はただ貴方の病氣を心配するんです。毎晩の樣に不眠症にかかつて、ねつけばすぐ
盜汗
(
ねあせ
)
がすると云ふぢやありませんか。
計画
(旧字旧仮名)
/
平出修
(著)
精神の恋が清らかだなどゝはインチキで、ゼスス様も
仰有
(
おつしや
)
る通り行きすぎの人妻に目をくれても姦淫に変りはない。人間はみんな姦淫を犯してをり、みんなインヘルノへ落ちるものにきまつてゐる。
悪妻論
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
「
何
(
なに
)
を
仰有
(
おつしや
)
るのですか。」と
牝牛
(
めうし
)
も
負
(
ま
)
けずにいひました。
お母さん達
(旧字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
革
(
かは
)
を
卷
(
ま
)
いた
弓
(
ゆみ
)
、
黒塗
(
くろぬ
)
りの
箙
(
えびら
)
、
鷹
(
たか
)
の
羽
(
は
)
の
征矢
(
そや
)
が十七
本
(
ほん
)
、——これは
皆
(
みな
)
、あの
男
(
をとこ
)
が
持
(
も
)
つてゐたものでございませう。はい、
馬
(
うま
)
も
仰有
(
おつしや
)
る
通
(
とほ
)
り、
法師髮
(
ほふしがみ
)
の
月毛
(
つきげ
)
でございます。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
警察へ行つてこれこれだと申上げると、警部さんが一一聞き取つて、何やら書いたものに判を押せと
仰有
(
おつしや
)
るんです。判は持参致しませんと申しましたら、
爪印
(
つめいん
)
でもいいつて仰有るんでせう。
二黒の巳
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
へい、それ
引込
(
ひきこ
)
め、と
仰有
(
おつしや
)
りますから、
精々
(
せい/″\
)
目着
(
めつか
)
りませんやうに、
突然
(
いきなり
)
蝋燭
(
らふそく
)
を
消
(
け
)
して
來
(
き
)
たでござります。
山
(
やま
)
の
蔭
(
かげ
)
に
成
(
な
)
りますで、
車
(
くるま
)
一
臺
(
だい
)
は
月夜
(
つきよ
)
でも、
一寸
(
ちよいと
)
目
(
め
)
には
着
(
つ
)
きますまいと
思
(
おも
)
ひまして、へい。
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「へえ、出ます。出ろと
仰有
(
おつしや
)
らないでも出ますがね。
姐
(
ねえ
)
さんはまだ立ち
退
(
の
)
かなかつたんですかい?」
お富の貞操
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
貴方
(
あなた
)
、……
然
(
さ
)
う
仰有
(
おつしや
)
いましたんですねえ。」
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
しかしかう
仰有
(
おつしや
)
る大殿樣の御聲には、
何故
(
なぜ
)
か妙に力の無い、張合のぬけた所がございました。
地獄変
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかしかう
仰有
(
おつしや
)
る大殿様の御声には、
何故
(
なぜ
)
か妙に力の無い、張合のぬけた所がございました。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
はてな、すると、フランシス様が、云つてはならないとでも、
仰有
(
おつしや
)
つたのでございますか。
煙草と悪魔
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
仰
常用漢字
中学
部首:⼈
6画
有
常用漢字
小3
部首:⽉
6画
“仰有”で始まる語句
仰有之候