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仕業
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ふりがな文庫
“
仕業
(
しわざ
)” の例文
その時分、桑の枝に小蛙が突き刺されたまま干からびているのは、あれはもずがやった
仕業
(
しわざ
)
だ。と私らは村の人から聞かされていた。
探巣遅日
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
ときどき手を合せて拝みたい気もちのするのも、
悪
(
あ
)
しき情慾の
奴隷
(
どれい
)
となって、のたうち廻った思い出のなせる
仕業
(
しわざ
)
とのみはいえまい。
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
もしそうならば、あの辺に住む悪旗本か悪御家人などの
仕業
(
しわざ
)
である。相手が屋敷者であると、その詮議がむずかしいと半七は思った。
半七捕物帳:54 唐人飴
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
いかにも人の不幸のところへ心ない
遊蕩児
(
ゆうとうじ
)
の
気紛
(
きまぐ
)
れな
仕業
(
しわざ
)
と人に取られるかも知れなかったが、思う人には何とでも思わせておいて
生不動
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
同時に彼等の持前とする
殺戮
(
さつりく
)
と兇暴な
質
(
たち
)
も、野に返った野獣と同じで、とても人間の
仕業
(
しわざ
)
とは解し得ないことを平然とやって歩いた。
剣の四君子:03 林崎甚助
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
それからまたルーヴルの中庭に大砲を据えるなどということをする。そういうことばかりが今の時代の無頼漢どもの
仕業
(
しわざ
)
じゃないか。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「殺されたのは、新堀の廻船問屋、三文字屋の大旦那久兵衞さんだ。たくらみ拔いた殺しで、恐ろしく氣の長い奴の
仕業
(
しわざ
)
ですぜ、親分」
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
これはきっと腹の中の
悪魔
(
あくま
)
の
仕業
(
しわざ
)
だろうとは思いましたが、二月の末までと約束したのですから、
今更
(
いまさら
)
取返しはつきませんでした。
天下一の馬
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「ともかく、駿三に深刻な恨みをもつている奴の
仕業
(
しわざ
)
とすれば、少くもひろ子、さだ子、伊達の仕事としちやちよつとおかしいな」
殺人鬼
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
殺人の方法が余り異様なので、これを単なる盗賊の
仕業
(
しわざ
)
だとは誰も考えなかった様だが、順序として、一応盗難品の有無が調べられた。
悪霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その場には東国の大小名始め、京の者、或は元平家の家人だった者も大勢いたが、余りのみっともない宗盛の
仕業
(
しわざ
)
に眉をひそめていた。
現代語訳 平家物語:11 第十一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
「二人をこんな目に会わせて、故郷を立退かせるようにしたのもそいつの
仕業
(
しわざ
)
なんだ、早く
捜
(
さが
)
し出して
明
(
あか
)
りを立ててみてえものだ」
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
源助どん、お前は一番古く此のお屋敷にいるし、年かさも多い事だから、これは孝助どんばかりの
仕業
(
しわざ
)
ではなかろう、お前と二人で心を
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼は最初の一回だけでは、それが確かに、あののそ/\した愚かな女の
仕業
(
しわざ
)
にちがひないと考へた。しかし彼女は正直であつた。
閾
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
銃劒が心臓の
真中心
(
まッただなか
)
を貫いたのだからな。それそれ軍服のこの大きな
孔
(
あな
)
、
孔
(
あな
)
の
周囲
(
まわり
)
のこの血。これは
誰
(
たれ
)
の
業
(
わざ
)
? 皆こういうおれの
仕業
(
しわざ
)
だ。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
わたくしはひとまずあなたのお手紙をお返し申しますが、どうぞ
不躾
(
ぶしつけ
)
な
仕業
(
しわざ
)
とお怨み下さりませぬよう、幾重にもお願い申します
世界怪談名作集:03 スペードの女王
(新字新仮名)
/
アレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキン
(著)
必定
(
ひつぢやう
)
悪魔
波旬
(
はじゆん
)
の
仕業
(
しわざ
)
。……(忽ち南蛮寺の門に気付きて)あれ、此処は邪法の
窟宅
(
くつたく
)
、南蛮寺の門前なるよな。さてこそ必定邪法の
手練
(
てれん
)
……
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
唯
(
たゞ
)
何事
(
なにごと
)
も
耻
(
はづ
)
かしうのみ
有
(
あり
)
けるに、
或
(
あ
)
る
霜
(
しも
)
の
朝
(
あさ
)
水仙
(
すいせん
)
の
作
(
つく
)
り
花
(
ばな
)
を
格子門
(
かうしもん
)
の
外
(
そと
)
よりさし
入
(
い
)
れ
置
(
お
)
きし
者
(
もの
)
の
有
(
あり
)
けり、
誰
(
だ
)
れの
仕業
(
しわざ
)
と
知
(
し
)
るよし
無
(
な
)
けれど
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
それどころか僕を、
到頭
(
とうとう
)
犯罪狂だといって、気違い病院へたたき込んだんです。……
屹度
(
きっと
)
あいつらの
仕業
(
しわざ
)
なんだがね……それが昨日ですよ。
自殺
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
「これは私でなくては
図星
(
ずぼし
)
を指す者は居ないのでございますが、この犯人は、かの憎むべき奇賊烏啼天駆の
仕業
(
しわざ
)
でございます」
すり替え怪画:烏啼天駆シリーズ・5
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そうして死体の着物を奪って、その身元を知れないように、工夫した点からかなりに頭の働く人間の
仕業
(
しわざ
)
であると思いました。
墓地の殺人
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
「お
上
(
かみ
)
の眼をかすめて金貸しをしながら、それは番頭いちにんの
仕業
(
しわざ
)
であるじ喜四郎がなにも知らぬ、ということも奉行には理解できない」
改訂御定法
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ああ艇長の死体を艇から引き出したのは、かねて伝説に聴く
海魔
(
ボレアス
)
の
仕業
(
しわざ
)
でしょうか、それともまた、文字どおりの奇蹟だったのでしょうか。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
しかるに、今宿へ戻って
検
(
しら
)
べてみると、庄左衛門は他人の金品まで持ち逃げしている! これは
下司
(
げす
)
下郎
(
げろう
)
の
仕業
(
しわざ
)
で、士にあるまじきことだ。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
赤坊を殺したのは笠井だと広岡の始終いうのは誰でも知っていた。広岡の馬を
躓
(
つまず
)
かしたのは間接ながら笠井の娘の
仕業
(
しわざ
)
だった。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
児戯に類する
仕業
(
しわざ
)
や張り合いのない気紛れがあまり多すぎた。女特有の
曖昧
(
あいまい
)
な性質が、病的な無分別な性格が、ときおり現われてきた……。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
況
(
ま
)
して夫の世話をしたり子供の面倒を見たり弟の出入に氣を配つたりする間に
遣
(
や
)
る家庭的な婦人の
仕業
(
しわざ
)
としては全くの重荷に相違ありません。
『伝説の時代』序
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
之は新聞にも
業々
(
ぎょうぎょう
)
しく伝えられて警察非難の声も挙った位だから、知っている人もあろうが、ある兇暴な団体(事実は
何人
(
なんぴと
)
の
仕業
(
しわざ
)
か分らないが)
急行十三時間
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
すべての女房たちの
仕業
(
しわざ
)
の悪かったことに基因しているのであると思った。さまざまに大姫君が
煩悶
(
はんもん
)
をしている時に源中納言からの手紙が来た。
源氏物語:49 総角
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
数十年の間山中に
暮
(
くら
)
せる者が、石と鹿とを
見誤
(
みあやま
)
るべくもあらず、全く
魔障
(
ましょう
)
の
仕業
(
しわざ
)
なりけりと、この時ばかりは猟を
止
(
や
)
めばやと思いたりきという。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
とき/″\北山や西山あたりへお出ましなされ、鷹狩や鹿狩をなされましたので、何者の
仕業
(
しわざ
)
か、一条の辻に札を立てゝ
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「そこですよ。妙な宣伝をしやがるから癪に障る。
俺
(
わし
)
が大地震の時に人を殺したなんて、途方もないことを言い触らしたのも
彼奴
(
あいつ
)
の
仕業
(
しわざ
)
ですぜ」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
後
(
あと
)
のは、
天狗
(
てんぐ
)
、魔の
仕業
(
しわざ
)
で、
殆
(
ほとん
)
ど
端睨
(
たんげい
)
すべからざるものを云う。これは
北国辺
(
ほっこくへん
)
に多くて、関東には少ない様に思われる。
一寸怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
驚いたことに、この墓じるしはグリゴリイの
仕業
(
しわざ
)
であった。これは彼が自腹を切って、気の毒な『憑かれた女』の
奥津城
(
おくつき
)
の上に建てたものである。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「あなたはこれらの出来事を化け物の
仕業
(
しわざ
)
でないという、たしかな説明がお出来になりますか」と、彼は
反駁
(
はんばく
)
してきた。
世界怪談名作集:13 上床
(新字新仮名)
/
フランシス・マリオン・クラウフォード
(著)
そして、それがにんじんの
仕業
(
しわざ
)
とは気づかず、運命の避け難き
兇手
(
きょうしゅ
)
が、わが身に降りかかったものと思っているがいい。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
絶体絶命の性慾のさせる
仕業
(
しわざ
)
である。それを
徒
(
いたずら
)
に観念の上で
弄
(
もてあそ
)
んではいられない。鶴見はそう思ってひとり
憮然
(
ぶぜん
)
とする。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
これは自分の
仕業
(
しわざ
)
であって決してテーモ・リンボチェ即ち自分の主人の命令でやった訳でないと
強情
(
ごうじょう
)
を張ったそうです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
昨年の秋
鳥部寺
(
とりべでら
)
の
賓頭盧
(
びんずる
)
の
後
(
うしろ
)
の山に、
物詣
(
ものもう
)
でに来たらしい女房が一人、
女
(
め
)
の
童
(
わらわ
)
と一しょに殺されていたのは、こいつの
仕業
(
しわざ
)
だとか申して居りました。
藪の中
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
おくみ『これはまた、どうした運やら。たとえ狐狸の
仕業
(
しわざ
)
とあっても、わたしゃ悦んで
騙
(
だま
)
されよう。のう源兵衛さま』
取返し物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
おれの血管を毒薬で満たしたのも、おまえの
仕業
(
しわざ
)
だ。おまえはおれを自分と同じような、憎むべき厭うべき死人同然な
醜
(
みにく
)
い人間にしてしまったのだ。
世界怪談名作集:08 ラッパチーニの娘 アウペパンの作から
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
その筆法で、全てを道鏡自身の陰謀の如くに作為するとすれば、女帝と道鏡を結ぶヒモがない。そのヒモは正史を作為した自分たちの
仕業
(
しわざ
)
によるのだ。
安吾史譚:02 道鏡童子
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
はじめ
朝日島
(
あさひじま
)
を
出
(
い
)
づる
時
(
とき
)
、
櫻木大佐
(
さくらぎたいさ
)
は
天文
(
てんもん
)
を
觀測
(
くわんそく
)
して、
多分
(
たぶん
)
此
(
この
)
三四
日
(
か
)
の
間
(
あひだ
)
は、
風位
(
ふうゐ
)
に
激變
(
げきへん
)
は
無
(
な
)
からうと
言
(
い
)
はれたが、
天
(
てん
)
の
仕業
(
しわざ
)
程
(
ほど
)
豫知
(
よち
)
し
難
(
がた
)
いものはない。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
その爆破事件も狙撃一派の
仕業
(
しわざ
)
ということになって——というより彼らがそうした余罪全部をひっかぶって、そして俺たちに沈黙を命じて死んで行った。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
いずれ末世における
売僧
(
まいす
)
の
仕業
(
しわざ
)
であるが、質屋の壁で風に吹かれている有様は、涅槃会ならぬ日の事と解したい。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
若
(
も
)
し途中の様子、敵の
仕業
(
しわざ
)
に因って、高清水に着くのが日暮に及んだなら、明後日は是非攻め破る、という軍令で、十八日の中新田の夜は静かに更けた。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
あれは
人霊
(
じんれい
)
のみでできる
仕業
(
しわざ
)
でなく、
又
(
また
)
海神
(
かいじん
)
のみであったら、よもやあれほどのいたずらはせなかったであろう。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
お浦は秀子を虎の穴へ閉じ込めて殺そうとまで
計
(
たくら
)
んだ女ではないか、併しまさかに女の手で、幾等大胆にもせよ斯様な惨酷な
仕業
(
しわざ
)
は出来ようとも思われぬ
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
その若草という雑誌に、老い疲れたる小説を発表するのは、いたずらに、奇を求めての
仕業
(
しわざ
)
でもなければ、読者へ無関心であるということへの証明でもない。
雌に就いて
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「それならどんな力のない男でも、少し動きさえすれば楽にやれますね。じゃ一体、それは幽霊の
仕業
(
しわざ
)
か、それとも人間の仕業か、ということになりますね」
灯台鬼
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
“仕業”の意味
《名詞》
(しぎょう)機械の操作や運転の仕事をすること。
「しわざ」参照。
(出典:Wiktionary)
仕
常用漢字
小3
部首:⼈
5画
業
常用漢字
小3
部首:⽊
13画
“仕”で始まる語句
仕
仕事
仕舞
仕度
仕方
仕合
仕出来
仕掛
仕様
仕立