仕合しあは)” の例文
しかるに昨年さくねん十一ぐわつ二十一にちに、今年こんねんぐわつ十一にちおい金解禁きんかいきん決行けつかうすることに決定けつてい發表はつぺうたことは我國經濟わがくにけいざいため非常ひじやう仕合しあはせである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
ふかく、強く、眞摯しんしにものを愛することが出來るといふのは、なんといふまあ仕合しあはせなことでせう! それだのにあなた方は
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
はツ、はじめましてお目通めどほりをつかまつります。へえ、今度このたびはまた格別かくべつ御註文ごちうもんおほせつけられまして、難有ありがた仕合しあはせにござります。
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
若い二人は、ちやうど二つの小鳩こばとのやうに仲よくくらしました。みんなは、二人を見て、世の中にこれほど仕合しあはせな人はないだらうと思ひました。
湖水の鐘 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
宗助そうすけ薄笑うすわらひをしたぎり、なんともこたへなかつた。其代そのかはして、御米およね信仰しんかういて、くはしい質問しつもんけなかつた。御米およねには、それが仕合しあはせかもれなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
近頃ちかごろ仕合しあはせなあたらしい麻雀マアジヤン好きの面面めんめんはすべからくそれ諸賢しよけん敬意けいいさゝげてしかるべきかもれない。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
六月の二十三日と云ふのに海峡の夜風はこほる様に寒い。生憎あひにく良人をつとも自分も外套を巴里パリイに残して来たので思はず身をふるはすのであつた。仕合しあはせな事に浪はまつたく無い。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
御咎おとがめもなく却て御目見めみえ仰付おほせつけられし事冥加みやうが至極しごく有難き仕合しあはせなり方ぢやう樣へ御願ひと申すは別儀べつぎにあらず私し主人儀無實の罪におちいり近々御所置に相成あひなるに付何卒御ころもの袖を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それも「常盤ときわ」の「しるこ」に匹敵ひつてきするほどの珈琲コーヒーませるカツフエでもあれば、まだ僕等ぼくら仕合しあはせであらう。が、かう珈琲コーヒーむことも現在げんざいではちよつと不可能ふかのうである。
しるこ (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
なんて云つても、あたしは、仕合しあはせだつたんですもの。女としての、重荷を負はない幸福が、あんなに易々やす/\と得られたことは、あんたが、何処かほかの男と違つてゐたからだわ。
モノロオグ (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
ロミオ そもじには安眠あんみんが、そもじむねには安心あんしん宿やどるやう! あゝ、その安眠あんみんとも安心あんしんともなって、きみうつくしいむね宿やどりたいなア!……これから上人しゃうにんいほりて、今宵こよひ仕合しあはせをはなしたうへ
をりからおいそがしきときこゝろなきやうなれど、今日けふぎにと先方さき約束やくそくのきびしきかねとやら、おたすけのねがはれますれば伯父おぢ仕合しあはわたしよろこび、いついつまでも御恩ごおんまするとてをすりてたのみける
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
こんなお住居すまゐ被入いらしやる和尚をしやうさんは仕合しあはせなかたですね。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
したがつこの獲得くわくとくしたかね本年ほんねん輸入時期ゆにふじきいたつて拂出はらひだして減少げんせうしても、下半期しもはんき輸出超過ゆしゆつてうくわ時期じきまたふたゝこれ取返とりかへすことが出來できれば、非常ひじやう仕合しあはせである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
京都きやうと時分じぶんべつとして、廣島ひろしまでも福岡ふくをかでも、あまり健康けんかう月日つきひおくつた經驗けいけんのない御米およねは、此點このてんけると、東京とうきやうかへつてからも、矢張やは仕合しあはせとはへなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なしけるにいやさ其方そなた仕合しあはせ者よききやくが有るといふうはさとくより知て居る尾張屋の客はどうした此の頃は御出がないかして半四郎近江あふみから御出の人はと口から出任でまかせに引手茶屋の名前を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
この月は仕合しあはせな事に二人の老大家だいかの新作に接することが出来る。ルノワアル翁は既にその新作ばかりをジユラン・リユイルの店の数室にならべて居るが、何よりもづ老いてます/\精力のさかんなのに驚く。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
以てさとされければ城富は段々との御利解ごりかい有難き仕合しあはせに存じ奉つるさりながらおして願へば不孝ふかうなりとの御意は不才ふさいの私しにはわかりません親の爲にするは孝道かうだうかと存じますと親富右衞門を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
今日けふ日曜にちえう仕合しあはせね」とふ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)