)” の例文
いま、秋の日が一ぱい金堂や講堂にあたって、屋根瓦やねがわらの上にも、めかかった古い円柱にも、松の木の影が鮮やかに映っていた。
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
その白牡丹のような白紗の鰭には更にすみれふじ、薄青等の色斑があり、更に墨色古金色等の斑点も交って万華鏡まんげきょうのような絢爛
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
用いられた顔料は朱土しゅど白緑びゃくろく黄土おうど胡粉ごふん等。古き仏画には金をも用いたようである。紙地には黄土を引くのを通則とする。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
無動寺の奥ふかく閉じ籠っているのが多いので、色は白く、唇はのようであった。眉は濃く太く、おそろしく男性的である。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……門も朱塗だし、金剛神を安置した右左の像がであるから、いずれにも通じて呼ぶのであろう。住職も智識の聞えがあって、寺は名高い。
夫人利生記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
旧記によると、仏像や仏具を打砕いて、そのがついたり、金銀のはくがついたりした木を、路ばたにつみ重ねて、たきぎしろに売っていたと云う事である。
羅生門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
流石さすがの甚兵衛も惣八郎を見失ってしまった。夕闇の迫って来るに従って、ますますの色に燃え盛る原城を見つめながら、彼は不覚の涙を流したのである。
恩を返す話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
燃焼的なはげしい表情や、を塗ったような赤い唇や、伸び切った四肢やの醸し出す、片輪で未完成で、そして不調和でさえある、いろいろの条件の集まった
社殿のの色と銀杏いちょうの葉の黄が、やわらかさをました日ざしのなかで、くっきりと浮きあげになっている。
あなたも私も (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
そして、その行くての空に、伝法院のいちょうのぬかずくごときしげりの影をしたがえた仁王門が……これだけは昔ながらのの褪せた建てものが、おりからの夕日に映えて
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
ほめられて見ると、なるほどちょっとおもしろくそのぬりの色の古ぼけ加減が思われる。
野道 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
山車だし引くと花笠つけし玉垂のくわ少女の頬忘らえね」という香取秀真かとりほずま氏の歌は、山車を引く花笠であり、くわし少女の丹の頬であるから、更に美しいけれども、朱拙の句も祭の句だけに
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
雲あかる山の真洞まほらに啼くこゑは子雉子こきぎす早や巣立つらし
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
沃度ヨウドに、鹽に、さづらふ海の寶のもろもろは
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
ねたみや、くいや、の雨、瑠璃るりのあらし
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
りし未通女子をとめご
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
あらたなるさら
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
頬鳥ほほどり
短歌集 日まはり (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
山内の修復を勧進かんじんしましょう、塔を寄進いたそう、を塗ろう、瑤珞ようらくを飾ろう、法筵ほうえんにはあたうかぎり人をよび、後では世話人たちで田楽を舞おう。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
舊記によると、佛像や佛具を打砕うちくだいて、そのがついたり、金銀のはくがついたりした木を、路ばたにつみ重ねて、たきぎしろに賣つてゐたと云ふ事である。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
御堂は薄墨の雲の中に、朱の柱をつらね、の扉を合せ、青蓮せいれんの釘かくしを装って、棟もろとも、雪の被衣かつぎに包まれた一座の宝塔のようにきよいつくしくそびえて見ゆる。
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……そして、その行くての空に、伝法院のいちょうのぬかずくごとき茂りの影をしたがえた仁王門が……これだけは昔ながらのの褪せたすがたが、おりからの夕日に映えて
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
なにげなく見やっていた或る森のうえの塔に急に心をひかれ出して暑い田圃たんぼのなかをぎっていったり、或る大寺の希臘風ギリシアふうなエンタシスのあるのはげた円柱を手で撫でながら
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
樹のもとで立つをみなしては豊かなるかぐはしき空
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
沃度ヨウドに、塩にさづらふ海の宝のもろもろは
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
あるは藍、あるはに描ける花の
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
この人、面はで塗ったなつめの如く、目は朗らかにして巨きな星に似ていた。生れは義陽。魏延ぎえんあざな文長ぶんちょうという。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
も見るかげがなくはげて、抜けかかった屋根がわらの上に擬宝珠ぎぼうしの金がさみしそうに光っていた。
日光小品 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ふもとの里に、錣頭巾しころずきを取ってかずき、薙刀なぎなた小脇に掻込かいこんだ、つらにはを塗り、まなこ黄金こがねひげ白銀しろがねの、六尺有余の大彫像、熊坂長範くまさかちょうはんを安置して、観音扉かんのんびらきを八文字に、格子もめぬほこらがある。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
はしら黄金甍こがねいらかつまにして寝陵しんりようは見ゆまろ枯山からやま
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
やしろを塗り、番地に数の字をいた、これが白金しろかねの地図でと、おおせで、老人の前でお手に取ってひらいて下され、尋ねますうちを、あれか、これかと、いやこの目のうといを思遣おもいやって
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と、みな見恍みとれた。——といっても、蒲柳ほりゅう柔弱にゅうじゃくな型ではなく、四肢は伸びやかに、眉はく、頬は小麦色に、くちびるのごとく、いかにも健康そうな、美丈夫、偉丈夫の風があった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
崩れた土はのやうに赤い。崩れぬ土手どては青芝の上に不相変あひかはらず松をうねらせてゐる。其処そこにけふも三四人、裸の人人が動いてゐた。何もさう云ふ人人は酔興すゐきやうに泳いでゐるわけではあるまい。
雉子きぎし立ちはばかり
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「もう、出来かかっているんです。図取は新聞にも出ていました。台石の上へ、見事な白い石で大きな糸枠を据えるんです。刻んだ糸を巻いて、で染めるんだっていうんですわ。」
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ひとみは強くやさしく、くちんでいるかのごとくあかい。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鮮紅からくれなゐと、朱鷺ときと、桃色もゝいろと、薄紅梅うすこうばいと、と、しゆと、くすんだかばと、えたと、さつ點滴したゝべにと、むらさききり山氣さんきして、玲瓏れいろうとしてうつる、窓々まど/\あたかにし田毎たごとつきのやうな汽車きしやなかから
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
美童は、ってを点じたような唇元くちもと
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)