トップ
>
不埓
>
ふらち
ふりがな文庫
“
不埓
(
ふらち
)” の例文
それだけにしばしの
不埓
(
ふらち
)
は
容赦
(
ようしゃ
)
されたいというのが、せめてもの彼の願いであった。そして、
暇
(
ひま
)
さえあれば、足は柳島の方へ向った。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
「なにッ、賄賂止めとは何を申すかッ。この制札が賄賂止めとは何ごとじゃッ。
不埓
(
ふらち
)
な暴言申さば、御直参たりとも容赦ござらぬぞッ」
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
『
意趣喧嘩
(
いしゅげんか
)
をして、高家を斬ったというか。馬鹿なっ、何というたわけ者だ。しかも、勅使登城の目前に
不埓
(
ふらち
)
至極
(
しごく
)
、
但馬
(
たじま
)
を呼べっ』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「なにを考えておる、押掛け出府は筋でないぞ、急用あらば格別、さもなくして軽々しく国許を明けるとは
不埓
(
ふらち
)
であろう、新九郎どうだ」
蕗問答
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
若
(
も
)
しも
貴下
(
こなた
)
が、
世間
(
せけん
)
で
言
(
い
)
ふやうに、
阿呆
(
あはう
)
の
極樂
(
ごくらく
)
へ
姫
(
ひい
)
さまを
伴
(
つ
)
れて
行
(
ゆ
)
かっしゃるやうならば、ほんに/\、
世間
(
せけん
)
で
言
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
り、
不埓
(
ふらち
)
な
事
(
こと
)
ぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
▼ もっと見る
また常楽院天忠となると、坊主の癖に
不埓
(
ふらち
)
千万、先住の師の坊を殺したあげく、天一という小坊主をさえ殺したのだからな。
首頂戴
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
喧嘩
(
けんか
)
でもしたか、
不埓
(
ふらち
)
な奴だ、出世前の大事の身体、殊に
面体
(
めんてい
)
に疵を受けているではないか、
私
(
わたくし
)
の
遺恨
(
いこん
)
で身体に疵を付けるなどとは不忠者め
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
其方義夫傳吉の
留守中
(
るすちう
)
昌次郎と
奸通
(
かんつう
)
致し
剩
(
あまつ
)
さへ傳吉
歸國
(
きこく
)
の
節
(
せつ
)
密夫
(
みつぷ
)
昌次郎に大金を
欺
(
かたり
)
取
(
とら
)
せ
旁々
(
かた/″\
)
以て
不埓
(
ふらち
)
に付
三宅島
(
みやけじま
)
へ
遠島
(
ゑんたう
)
申付る
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
塾の書生に何とも
仕方
(
しかた
)
のない放蕩者があって、私が多年衣食を授けて世話をして
遣
(
や
)
るにも
拘
(
かか
)
わらず、再三再四の
不埓
(
ふらち
)
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
なるほど紀州第六の若様は源六郎殿とおおせられるが、いまだ御幼年ながら
聡明叡智
(
そうめいえいち
)
のお方で、
殺生禁断
(
せっしょうきんだん
)
の場所へ網をおろすような
不埓
(
ふらち
)
はなさらんぞ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
不埓
(
ふらち
)
にも寺の財産を女房の里に送り、そのうえ寺の財産を有らん限り持って田舎へ指して逃げて行ったとは、人は見掛けによらぬものだと実に驚いたです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
貴樣の居る仁王小路が俺の監督範圍ぢやから、俺は赤髯(校長)のお目玉を喰つたのぢや、けしからん、
不埓
(
ふらち
)
ぢや。其處で俺は三晩つづけて貴樣に尾行した。
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「当節の若いものは……約束の刻限をたがえることを、なんとも思うとらん……
不埓
(
ふらち
)
な! ふらちな!」
亡霊怪猫屋敷
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
権兵衛の所行は
不埓
(
ふらち
)
には違いない。しかし亡父弥一右衛門はとにかく殉死者のうちに数えられている。その相続人たる権兵衛でみれば、死を賜うことは
是非
(
ぜひ
)
がない。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
だれかを、
人間
(
にんげん
)
のたくさん
住
(
す
)
んでいる
街
(
まち
)
へやって、
検
(
しら
)
べさせてみたいものだ。そして、よくよく
人間
(
にんげん
)
が、
不埓
(
ふらち
)
であったら、そのときは、
復讐
(
ふくしゅう
)
しよう……そうでないか?
あらしの前の木と鳥の会話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
私は
闇夜
(
やみよ
)
の中でとつぜん光明を失ったような気持になって、また決心がにぶり、茜にすすめられて、今日のような
不埓
(
ふらち
)
なまねをいたしましたが、でも、もう大丈夫です。
キャラコさん:03 蘆と木笛
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
その意味は、官軍
先鋒
(
せんぽう
)
の
嚮導隊
(
きょうどうたい
)
などととなえ当国へ
罷
(
まか
)
り越した
相良惣三
(
さがらそうぞう
)
らのために周旋し、あまつさえその一味のもの
伊達
(
だて
)
徹之助に金子二十両を用だてたのは
不埓
(
ふらち
)
である。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
髭
(
ひげ
)
のかう
生
(
は
)
えた
部長
(
ぶちやう
)
さんだつていふ
可怖
(
おつかね
)
え
人
(
ひと
)
でがしたがね、
盜
(
ぬす
)
まつたなんて
屆
(
とゞ
)
けしてゝさうして
警察
(
けいさつ
)
へ
餘計
(
よけい
)
な
手間
(
てま
)
掛
(
か
)
けて
不埓
(
ふらち
)
な
奴
(
やつ
)
だなんて
呶鳴
(
どな
)
らつた
時
(
とき
)
にやどうすべかと
思
(
おも
)
つて
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「
不埓
(
ふらち
)
な
女
(
をんな
)
めツ」と
私
(
わたくし
)
は
唇
(
くちびる
)
を
噛
(
か
)
んだ、が、
悲哉
(
かなしや
)
、
私
(
わたくし
)
は
其道
(
そのみち
)
には
全
(
まつた
)
くの
無藝
(
むげい
)
の
太夫
(
たゆう
)
。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
その
祟
(
たたり
)
だといわれていましたが、それならば
不埓
(
ふらち
)
を働いた当人、即ち池袋の女に祟ればよさそうなものですが、本人にはなんの祟もなくて、必ずその女の使われている家へ祟るのだそうです。
江戸の化物
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
不埓
(
ふらち
)
です! 人の妻たる身で夫を欺いて、それでかまはんとは何事ですか。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
誠意は凋み——信頼は
滅
(
ほろ
)
ぼされてしまつた! ロチスター氏は最早私には以前の彼ではない。何故なら、彼は私の思つてゐた彼ではなかつたのだから。私は
不埓
(
ふらち
)
を彼に
負
(
お
)
はさうとは思はない。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「三年のやつは
不埓
(
ふらち
)
だ」
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
「
不埓
(
ふらち
)
者っ」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
お
為
(
ため
)
筋により
不埓
(
ふらち
)
の行動をした者は、その趣意が藩家お為にかなった場合、不埓の行動による罪を赦免されることがある。
十八条乙
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「これ、そこな武士、無礼といおうか、
不埓
(
ふらち
)
といおうか、無断で我らの腰の物を持ち去るとは何事じゃ! 出て来い! 出て来て謝罪いたせ!」
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
士「言訳をするのに巴屋はなか/\旨く食わせるなどとは
不埓
(
ふらち
)
な
申分
(
もうしぶん
)
、やい
其処
(
そこ
)
に転がっているのは供か連れかなんだ」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と申すはほかでもないが、当大和田の
郷
(
ごう
)
に、みめよき女子と見ればよからぬ病の催す
不埓
(
ふらち
)
な旗本がひとりおるのじゃ。
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
其方儀
養子
(
やうし
)
又七に
疵
(
きず
)
付
(
つけ
)
剩
(
あまつ
)
さへ不義の申
掛
(
かけ
)
致候樣下女きくに申
付
(
つけ
)
る段人に
母
(
はゝ
)
たるの
行
(
おこな
)
ひに
非
(
あら
)
ず
不埓
(
ふらち
)
至極
(
しごく
)
に
付
(
つき
)
遠島
(
ゑんたう
)
申
付
(
つく
)
る
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
『この
阿女
(
あま
)
め、長年、御恩のあるお出入先に、何んな
不埓
(
ふらち
)
をしやがったのか。よくも、親の面に泥を塗ったな』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
貴様の居る仁王小路が俺の監督範囲ぢやから、俺は赤髯(校長)のお目玉を喰つたのぢや、けしからん、
不埓
(
ふらち
)
ぢや。其処で俺は三晩つづけて貴様に尾行した。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
打明けずにさえおけば、いつでも兄とした約束を
真実
(
ほんとう
)
にすることができるというゆとりがある。
不埓
(
ふらち
)
でも、
狡猾
(
ずる
)
いのでもない、俺はただそのゆとりが欲しかったのだ。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
……それから
不埓
(
ふらち
)
にも
傷痍
(
しょうい
)
軍人になりすまして、茜と二人でほうぼう逃げ廻りました。やって見ると、思いがけなく困難な仕事でしたが、私たちは元気をなくしませんでした。
キャラコさん:03 蘆と木笛
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
手前
(
てまへ
)
が
存
(
ぞん
)
じをりまするは
是限
(
これぎ
)
り。
内祝言
(
ないしうげん
)
の
儀
(
ぎ
)
は
乳母
(
うば
)
が
善
(
よ
)
う
承知
(
しょうち
)
の
筈
(
はず
)
。
何事
(
なにごと
)
にまれ、
予
(
われら
)
が
不埓
(
ふらち
)
と
御檢斷
(
ごけんだん
)
遊
(
あそ
)
ばれうならば、
餘命
(
よめい
)
幾何
(
いくばく
)
もなき
老骨
(
らうこつ
)
、
如何
(
いか
)
な
御嚴刑
(
ごげんけい
)
にも
處
(
しょ
)
せられませう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
お前が乃公のとこへ来てくれた時分は、乃公もあれを喜ばせたいばっかりに
事業
(
しごと
)
をした。この節はあれを忘れよう……忘れようで事業をしているのだ。あれの
不埓
(
ふらち
)
は乃公も薄々知ってはいた。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
不埓
(
ふらち
)
なっ」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
お直参の名を恥ずかしめたる
不埓
(
ふらち
)
の所業の罪、切腹しても足りぬ奴じゃが、早乙女主水之介、同じ八万騎のよしみを以て、涙ある計らいを致して進ぜる。
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
と云うのはあなたがやりそこない、中納言様の
弑逆
(
しいぎゃく
)
に、失敗したからでございますよ。
不埓
(
ふらち
)
な八重梅! 無能者め! などとおっしゃってでございます。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
権右衛門が
不埓
(
ふらち
)
無道
(
むどう
)
なればこそ懇談をいたし、彼より賄賂金五両を取って汝八百助には五十叩きをくらわした、なんとなれば、かかる明白なる事実を訴えるのみか
艶妖記:忍術千一夜 第一話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そして蔡瑁が階下に拝をなすや否、頭から襄陽の会の
不埓
(
ふらち
)
をなじって武士たちに、彼を斬れと命じた。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其方儀天一坊身分
聢
(
しか
)
と存ぜずとは申ながら常樂院に
頼
(
たの
)
まれ
假
(
かり
)
住居の世話申候段
不埓
(
ふらち
)
に付重追放申付る
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
何事とは
不埓
(
ふらち
)
な奴だ、汝が
疾
(
とく
)
より我が召使國と不義
姦通
(
いたずら
)
しているのみならず、
明日
(
みょうにち
)
中川にて
漁船
(
りょうせん
)
より我を突き落し、命を取った暁に、うま/\此の飯島の家を
乗取
(
のっと
)
らんとの悪だくみ
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
……
何
(
なん
)
ぢゃ?
下司奴
(
げすやっこ
)
めが、
道外假面
(
だうけめん
)
に
面
(
おもて
)
を
隱
(
かく
)
して、
此
(
この
)
祝典
(
しゅくてん
)
を
蹈附
(
ふみつけ
)
にしようとは
不埓
(
ふらち
)
ぢゃ! カピューレットの
正統
(
しゃうとう
)
たる
權利
(
けんり
)
を
以
(
もっ
)
て、
彼奴
(
きゃつ
)
めをば
打殺
(
ぶちころ
)
しても、
俺
(
おれ
)
ゃ
罪惡
(
ざいあく
)
とは
思
(
おも
)
はぬわい。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
『
不埓
(
ふらち
)
だ。校長を屁とも思つて居らぬ。』
雲は天才である
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『どういたしまして、御領主様の凶変に、なかなか
金儲
(
かねもう
)
けなどという
不埓
(
ふらち
)
な考えは出もいたしませぬ』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大事なことがあるというのに、先ず先に
想
(
おも
)
い人京弥が風邪を引いたか引かないかをきいておいて、漸く思い出すのですから、恋持つ者は
不埓
(
ふらち
)
ながらもいじらしいのです。
旗本退屈男:10 第十話 幽霊を買った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「
不埓
(
ふらち
)
!」と宗三郎眼を怒らせた。「拙者御岳にいる限り、そういう殺生は断じてさせぬ」
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
何
(
なん
)
ともかとも重々面目次第もない、
斯様
(
かよう
)
なる
不埓
(
ふらち
)
な奴とも心得ず、三年
以来
(
このかた
)
連れ添って
居
(
お
)
る手前へ対し、斯様などうも
何
(
なん
)
とも申そうようござらぬ不人情な奴でござる、母へ
食
(
しょく
)
を与えず
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
『
不埓
(
ふらち
)
だ。校長を屁とも思つて居らぬ。』
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「われら、御前のむくろや
新墓検分
(
にいばかけんぶん
)
に参ったのではない。
不埓
(
ふらち
)
な振舞いいたすと容赦はせぬぞ!」
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
不
常用漢字
小4
部首:⼀
4画
埓
部首:⼟
10画
“不埓”で始まる語句
不埓者
不埓千万
不埓千萬
不埓奴
不埓至極