トップ
>
一寸
>
ちょいと
ふりがな文庫
“
一寸
(
ちょいと
)” の例文
「おや、
此所
(
ここ
)
にいらっしゃるの」と云ったが、「
一寸
(
ちょいと
)
其所
(
そこい
)
らに
私
(
わたくし
)
の
櫛
(
くし
)
が落ちていなくって」と聞いた。櫛は
長椅子
(
ソーファ
)
の足の所にあった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私が新銭座に
一寸
(
ちょいと
)
住居
(
すまい
)
の時(新銭座塾に
非
(
あら
)
ず)、
誰方
(
どなた
)
か知らないが御目に掛りたいと
云
(
いっ
)
てお
侍
(
さむらい
)
が参りましたと下女が
取次
(
とりつぎ
)
するから
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
方々探しても、何うしても分らなかったから、
口髭
(
ひげ
)
なんか剃って了って、
一寸
(
ちょいと
)
見たくらいでは見違えるようにして、私の
故郷
(
くに
)
に行ったの。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
喜「恐入りました、御家老様からお洒落がお菓子で出たから、
可笑
(
おかし
)
な洒落と云うのをやろうかね、さアと云うと
一寸
(
ちょいと
)
出ないものでげすが」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一寸
(
ちょいと
)
、其の
高楼
(
たかどの
)
を
何処
(
どこ
)
だと思ひます……
印度
(
インド
)
の中のね、
蕃蛇剌馬
(
ばんじゃらあまん
)
……
船着
(
ふなつき
)
の貿易所、——お前さんが御存じだよ、私よりか
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
と私の
面
(
かお
)
を見て
微笑
(
にッこり
)
しながら、
一寸
(
ちょいと
)
滑稽
(
おどけ
)
た手附をしたが、其儘
所体
(
しょてい
)
崩
(
くず
)
して駈出して、
表梯子
(
おもてはしご
)
をトントントンと
上
(
あが
)
って行く。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
『それから指環は。』彼女が
一寸
(
ちょいと
)
手を動かした時、指環が目についたので、お葉は少しもゆるがせにしては不可ないといふやうに、また看護婦の顔を見た。
青白き夢
(新字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
「
蓮
(
はす
)
の浮気は
一寸
(
ちょいと
)
惚
(
ぼ
)
れ」という時は未だ「いき」の領域にいた。「野暮な事ぢやが
比翼紋
(
ひよくもん
)
、離れぬ
中
(
なか
)
」となった時には既に「いき」の境地を遠く去っている。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
一度も
談話
(
はなし
)
した事もなく、ただ
一寸
(
ちょいと
)
挨拶をするくらいに止まっていた、がその三人の子供が、
如何
(
いか
)
にも
可愛
(
かあゆ
)
いので、元来が
児好
(
こず
)
きの私の事だから、
早速
(
さっそく
)
御馴染
(
おなじみ
)
に
成
(
な
)
って
闥の響
(新字新仮名)
/
北村四海
(著)
私の
実見
(
じっけん
)
は、
唯
(
ただ
)
のこれが一度だが、実際にいやだった、それは
曾
(
かつ
)
て、
麹町三番町
(
こうじまちさんばんちょう
)
に住んでいた時なので、
其家
(
そこ
)
の
間取
(
まどり
)
というのは、
頗
(
すこぶ
)
る
稀
(
ま
)
れな、
一寸
(
ちょいと
)
字に書いてみようなら
女の膝
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
漸々
(
ようよう
)
二人が近寄って
遂
(
つい
)
に
通過
(
とおりす
)
ぎる途端、私は思わずその
煙草
(
たばこ
)
を一服強く吸った拍子に、その火でその人の横顔を
一寸
(
ちょいと
)
見ると驚いた、その
蒼褪
(
あおざめ
)
た顔といったら、
到底
(
とうてい
)
人間の顔とは思われない
青銅鬼
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
「うん、あれは俺も
一寸
(
ちょいと
)
おどろいた。——何をいい出すかと思った。」
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
花「海上さん、すまないがね、今一組あがったから
一寸
(
ちょいと
)
顔を出してくる間まってゝ下さいよ、ほんとに
為
(
し
)
ょうがないことねえ」
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
露国に止まることを勧む
夫
(
そ
)
れから
或日
(
あるひ
)
の事で、その接待委員の一人が私の処に来て、
一寸
(
ちょいと
)
こちらに来て
呉
(
く
)
れろと
云
(
いっ
)
て、
一間
(
ひとま
)
に私を連れて
行
(
いっ
)
た。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「ありゃ、細君にするなんて、初めから其様な気はなかったんだろう。
一寸
(
ちょいと
)
家を持つから来てくれって、それから、ずる/\にあゝなったんだろう。」
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
「まあ、
挨拶
(
あいさつ
)
もしないで、……
黙然
(
だんまり
)
さん。お澄ましですこと。……あゝ、此の
間
(
あいだ
)
、
鳩
(
はと
)
にばツかり構つて居たから、お前さん、
一寸
(
ちょいと
)
お
冠
(
かんむり
)
が曲りましたね。」
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「まだあるのよ。
一寸
(
ちょいと
)
」と針を離れぬ糸子の眼は、左の手につんと
撮
(
つま
)
んだ合せ目を、見る
間
(
ま
)
に
括
(
く
)
けて来て、いざと云う指先を白くふっくらと放した時、ようやく兄の顔を見る。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ジュウジュウと音を立てて暗くなって来た、私はその音に
不図
(
ふと
)
何心
(
なにごころ
)
なく眼が覚めて、
一寸
(
ちょいと
)
寝返りをして横を見ると、
呀
(
アッ
)
と
吃驚
(
びっくり
)
した、自分の
直
(
す
)
ぐ
枕許
(
まくらもと
)
に、
痩躯
(
やせぎす
)
な
膝
(
ひざ
)
を
台洋燈
(
だいランプ
)
の
傍
(
わき
)
に出して
女の膝
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
一寸
(
ちょいと
)
見ると何だか土方のような奴で、
其奴
(
そいつ
)
がこう手を
背後
(
うしろ
)
へ廻しましてな、お宅の犬の寝ている
側
(
そば
)
へ寄ってくから、はてな、何をするンだろう、と思って見ていますと、
彼様
(
あん
)
な
人懐
(
ひとなつ
)
っこい犬だから
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
『あ、草履を持って来ませうね、
一寸
(
ちょいと
)
おまちなさい。』
青白き夢
(新字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
賤「なに気が詰る
所
(
どころ
)
じゃア無い、さっくり
能
(
よ
)
く
解
(
わか
)
った人だよ、私を娘の様に可愛がって呉れるから
一寸
(
ちょいと
)
お寄りな、ねえ作さん」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私の母は女ながらも
遂
(
つい
)
ぞ
一口
(
ひとくち
)
でも芝居の事を子供に云わず、兄も
亦
(
また
)
行こうと云わず、
家内中
(
かないじゅう
)
一寸
(
ちょいと
)
でも話がない。夏、暑い時の事であるから
凉
(
すずみ
)
には行く。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「……誰れか来やしないか。……
一寸
(
ちょいと
)
お待ちなさい。……そら誰れか其処にいるよ……」手真似で制した。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
宿屋の
硯
(
すずり
)
を仮寝の床に、
路
(
みち
)
の記の端に書き入れて、
一寸
(
ちょいと
)
御見
(
ごけん
)
に入れたりしを、
正綴
(
ほんとじ
)
にした今度の新版、さあさあかわりました
双六
(
すごろく
)
と、だませば
小児衆
(
こどもしゅ
)
も合点せず。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ええ、
気迷
(
きまぐ
)
れに
一寸
(
ちょいと
)
結ってみたかったの」
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
新「仕様がねえな、
何
(
ど
)
うも己が殺したという訳じゃアねえが、それは、困って仕舞ったなア、
唯
(
た
)
だ
一寸
(
ちょいと
)
手伝ったのだ」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
内へ帰ると早速、
夕餉
(
ゆうげ
)
を
済
(
すま
)
し、
一寸
(
ちょいと
)
着換
(
きか
)
へ、糸、犬、
錨
(
いかり
)
、などを書いた、
読本
(
どくほん
)
を一冊、
草紙
(
そうし
)
のやうに
引提
(
ひっさ
)
げて、
母様
(
おっかさん
)
に、帯の
結目
(
むすびめ
)
を
丁
(
トン
)
と
叩
(
たた
)
かれると、
直
(
すぐ
)
に
戸外
(
おもて
)
へ。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「本当に? そりゃ
一寸
(
ちょいと
)
何てえ方なの」
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お前にお世話に成って是なりに別れるのも甚だ何うも
私
(
わし
)
の気が済まんから
何処
(
どっか
)
へ往って一杯遣ろう、エ、
一寸
(
ちょいと
)
一ぱい
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかし、うつかりして、少々大事なことを
饒舌
(
しゃべ
)
つたんだから、お前さん聞いたばかりにして置いておくれ。誰にも言つては
不可
(
いけな
)
いよ。
一寸
(
ちょいと
)
、
注
(
つ
)
いだ酒を
何
(
ど
)
うしよう。ああ、いゝ事がある。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
伴「そりゃア笹屋は料理屋だから
何
(
な
)
んでもあるが、
寝酒
(
ねざけ
)
を飲むんだから
一寸
(
ちょいと
)
海苔
(
のり
)
でも焼いて持って来ねえな」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
或
(
ある
)
晩私は
背戸
(
せど
)
の
据
(
すえ
)
風呂から上って、
椽側
(
えんがわ
)
を通って、
直
(
す
)
ぐ
傍
(
わき
)
の茶の間に居ると、台所を
片着
(
かたづ
)
けた女中が
一寸
(
ちょいと
)
家
(
うち
)
まで
遣
(
や
)
ってくれと云って、挨拶をして出て行く、と
入違
(
いれちが
)
いに家内は湯殿に行ったが
一寸怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と勧められるから新吉は、幸い名主に逢おうと
行
(
ゆ
)
きましたが、少し
田甫
(
たんぼ
)
を離れて庭があって、
囲
(
かこい
)
は生垣になって、
一寸
(
ちょいと
)
した門の形が有る中に花壇などがある。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
然
(
そ
)
うすると、弟が柔かな足で、くる/\遊び廻る座敷であるから、万一の
過失
(
あやまち
)
あらせまい為、注意深い、優しい姉の、今しがた店の
商売
(
あきない
)
に
一寸
(
ちょいと
)
部屋を離れるにも、心して深く
引出
(
ひきだし
)
に入れて置いた
蠅を憎む記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
まだ
遺書
(
かきおき
)
は母の手に
入
(
はい
)
らんようだから
宜
(
よ
)
いと心得、また元のように手紙を引出の間へ入れて、
一寸
(
ちょいと
)
其処
(
そこ
)
まで
行
(
ゆ
)
く振りをして
宅
(
うち
)
を出て、西浦賀の陣屋へと急ぎました。
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「……余り
謹
(
つつし
)
んでは居ないわね……
一寸
(
ちょいと
)
、お話の中へ出ておいで。」
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
庄「なアに
私
(
わし
)
が落した煙草入と違っている、紋は実の花菱と云ったが、
一寸
(
ちょいと
)
出して見な」
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「蔵屋の方は構ひません。
一寸
(
ちょいと
)
、私が行つて断つて来て上げます。」
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
お店は
小
(
ちいさ
)
くってキチンとしていても
一寸
(
ちょいと
)
箱の蓋を取ると金目の物が有ったり、ちょいと立掛けて有るお品でも千両二千両ッてんでげすから、此のくらい結構な御商売は無いと思います
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一寸
(
ちょいと
)
四辺
(
あたり
)
を
眗
(
みまわ
)
して又唇に。
蠅を憎む記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
角「お
前
(
めえ
)
さん
惚
(
とぼ
)
けたって
無益
(
だめ
)
だよ、おかめ此処へ来て
一寸
(
ちょいと
)
お目にかゝれ」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
これは(煙草入を懐より出し)実は洋服持の煙草入でげすが、
黒桟
(
くろざん
)
で
一寸
(
ちょいと
)
袂持
(
たもともち
)
の間に此の
鉈豆
(
なたまめ
)
の
煙管
(
きせる
)
が這入って、泥だらけになって居るのを拾ったんで、掃除をして私が大切に持って居りますが
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
余り
好
(
よ
)
い月だによって、縁先で見るのが至極宜しい、これは妙だ、此の辺は一体隅田川の流れで……あれに見ゆるのは橋場の渡しの向うかえ、
如何
(
いか
)
にも
閑地
(
かんち
)
だから、斯ういう処は好いの、えゝ
一寸
(
ちょいと
)
秋田屋を
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
三「お
母
(
っか
)
さん何か
一寸
(
ちょいと
)
お
飯物
(
まんまもの
)
を色取りして何うか……」
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
小増「
左様
(
そう
)
さ、
一寸
(
ちょいと
)
顔を見せてお
遣
(
や
)
りなさいよう」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一寸
(
ちょいと
)
一服いたし次席でたっぷり申し上げましょう。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
若「なにね
一寸
(
ちょいと
)
そこまで」
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
“一寸”の意味
《形容動詞》
一寸(ちょっと 別表記:鳥渡)
数量や程度がわずかであること。
《名詞》
一寸(いっすん)
一尺の十分の一。約3㎝。
ほんのわずかな物の例え。
(出典:Wiktionary)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
寸
常用漢字
小6
部首:⼨
3画
“一寸”で始まる語句
一寸法師
一寸々々
一寸見
一寸角
一寸試
一寸前後
一寸位
一寸遁
一寸刻
一寸前