“人懐”のいろいろな読み方と例文
旧字:人懷
読み方割合
ひとなつ62.2%
ひとなつこ18.9%
ひとなつか10.8%
ひとな2.7%
ひとなつっこ2.7%
ひとなつッ2.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
が、豪傑肌の父親よりも昔の女流歌人だった母親に近い秀才だった。それは又彼の人懐ひとなつこい目や細っそりしたあごにも明らかだった。
玄鶴山房 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「どうぞ、先生、お入り下さいませ。よくいらして下さいました!」打って変ったような人懐ひとなつこい態度で迎えた。
深夜の客 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
牛馬の遊んでいる草原くさはらは一面にほのかな緑をなすって、そのすそを流れて行くあめ安河やすかわの水の光も、いつか何となく人懐ひとなつかしい暖みをたたえているようであった。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
が、小犬は人懐ひとなつこいのか、きもしなければみつきもしない。ただ鼻だけ鳴らしては、お蓮の手やほおめ廻すんだ。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
今は、自動車さえ往来ゆききをするようになって、松蔭の枝折戸まで、つきの女中が、柳なんぞのしまお召、人懐ひとなつっこく送って出て、しとやかな、情のある見送りをする。
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
人懐ひとなつッこいといったような調子で、光起にせな捻向ねじむけると、うなじを伸して黒縮緬くろちりめんの羽織の裏、くれないなるを片落しに背筋のななめに見ゆるまで、抜衣紋ぬきえもんすべらかした、肌の色の蒼白あおじろいのが、殊に干からびて
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)