“きめ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
肌理47.6%
肌目11.6%
6.8%
決定5.4%
肌質3.4%
膚理2.7%
木理2.0%
木目2.0%
約定2.0%
決心1.4%
理合1.4%
1.4%
約束1.4%
腠理1.4%
規定1.4%
肌膚0.7%
利目0.7%
0.7%
断定0.7%
0.7%
0.7%
皮膚0.7%
0.7%
肌面0.7%
0.7%
規則0.7%
0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
胸の厚い、たくましい筋骨の、肌理きめのこまかい、まっ白な身体が、秋の陽に、まぶしく、光っているようである。胸毛が、濃い。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
あかとかいうものが少しずつ少しずつ大理石の肌目きめに浸み込んで、斯様な陰気な色に変化してしまったもので御座います。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
(へん、腹合せの姉弟だ。)と一万石にきめっちまう! 旦那が悪いというでもなく、私と芳さんが悪いのでもなく、ただ悪いのは世間だよ。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「いい娘じゃ! こりゃどうじゃ! ……処女おとめの、未通女きむすめの、お手本じゃ! ……俺決定きめた! 俺のものにする!」
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
若者であって一度この威猛高いたけだかな誇張の態度に身を任せたものは二度と沈潜して肌質きめをこまかくするのは余程難しかった。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
あの頃がなつかしくてたまらぬと言つた風に、お光は膚理きめこまかい顏に筋肉ををどらせつゝ、小池に寄り添うた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
いわば木理きめを叩き圧えるのであるが、こうすると舟板を次の舟板に合わせる時、叩き潰された端は濡れるとふくれるから、しっかりと食い合う。
乏しい電灯の光の下、木目きめの荒れた卓を前にし、吉良兵曹長は軍刀を支えたまま、うつろな眼を凝然ぎょうぜんと壁にそそいでいた。卓の上には湯呑みがからのまま、しんと静まりかえっていた。
桜島 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
もううでもやにつたのですからとて提燈ちようちんもちしまゝ不圖ふとわきへのがれて、おまへわがまゝの車夫くるまやさんだね、それならば約定きめところまでとはひませぬ、かはりのあるとこまでつてれゝばそれでよし
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
私しゃどうともまだ決心きめていないんです。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
理合きめあらいのに、皮膚の色が黄ばんで黒い——何方どちらかと謂へば營養不良えいやうふりやうといふ色だ。せまツた眉にはんとなく悲哀ひあいの色がひそむでゐるが、眼には何處どことなく人懷慕ひとなつことこがある。はゞ矛盾むじゆんのある顏立だ。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
千秋ちあきと思へども言はるゝ度にはづかしさの先立なれば果敢々々はか/″\しき回答いらへもなくておもはゆげかゝる所ろへ門の戸開け這入はひり來るは小西屋の一番管伴ばんたう忠兵衞なれば夫と見るより父親てゝおやいとゑまに迎へ上げ忠兵衞どのか能く來ませし今日等は定めし婚姻の日限にちげんきめにお出が有らうと今も今とて娘と二個ふたりうはさ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
その頃下女の給金は衣裳いしょう此方こちらもちの年に十八円位が頂上とまりです。然し、私は奥様のお古か何かで着せて頂いて、その外は相応な晴衣の御宛行あてがいという約束きめに願って出ました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
云つてゐるのね。わかれてしまふつて云つたところで、お互ひ、よくなつてゆけば、またかうして一緒になれるンですよ。あんまり腠理きめのこまかいこと云ふもンぢやないわよ、悲しくなるぢやないの‥‥
朝夕 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
「思し召しはありがとうございますが、規定きめの賃銭のほかに骨折り賃を戴く理由わけがございません」
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この美しさに較ぶれば、ただ白いばかりで肌膚きめの粗い生毛うぶげの生えた西洋の女の皮膚なぞというものは、味も素っ気もない瀬戸物の破片かけらみたいな気持がした。
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
哀愁をたたえられた沈思のまなざしと薄小麦色に蒼白さを交えた深みのある肌膚きめあでやかさとは、到底自分らの筆をもっては表わすこともできないと書いていました
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
尤も眼をいて見せたら子供はこはがる、こぶしを振廻したらねこに逃げる、雖然魂のある大人おとなに向ツては何等の利目きめが無い。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
もし間違ツたら、終夜よつぴて歩いてゐる事に覺悟をきめてゐたが、たゞきめて見たゞけの事で、中々心から其樣な勇氣の出やう筈が無い。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
疑いは小歌の方に深くのこり、存りながら小歌ではあるまいように断定きめてしまいたく、打明けて云えば、小歌に情郎おもうひとでもあるように考えられて、そしてそんなことの無いのを肚で祈って居たのだ。
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
また趣味の相違が原因だときめる前に、その趣味とはどんなものか、それをただす必要があるかと存じます。
離婚について (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
その年月ねんげつがどうしてわかるかといへば、ゑつけた記録きろくによるほかには、よこつて、生地きじてゐるまるいくつもかさなつてゐるそのきめすうかぞへてみるとわかるのです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
髪はいつものやうに油気を避けたゆるやかな結び髪に、目立たぬやうな薄化粧ながら、鼻筋の通つた眉の濃い細面ほそおもての、顎から咽喉へかけての皮膚きめの滑かさ。
来訪者 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
引立歸れ御取上は無ぞと叱り付るを三五郎は否々彼の人殺しは私しに相違なく夫を人違ひ成れては御役儀が立ますまいときめ付れば理左衞門は爰な強情者め其惣内夫婦を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
浅黒い皮膚もなにか肌面きめがこまかくて、清潔な感じがした。それがおずおずと哀れめいた。
婚期はずれ (新字新仮名) / 織田作之助(著)
きめこまかい、きいろい石や、黒い石の上をすべると、思いなしか、沈んだ、冴えた声をして、ついと通る。この谷を一回、大きい徒渉をやる、つづいて二回の小徒渉をやる。
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
これ女の揚代より四分を待合が取るゆゑとか聞きぬ。御泊りとなれば芸者は十一時より翌朝までぎょくだけでも十二本の規則きめなるに、浜町は女二円にて事済みなり。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
それは大悦おほよろこびでせうよ、それではそれとおきめだネ、おまへが買つておやりでなければわたしが買つてせんべつにやらうと思つてたのです。おまへ又お忘れでないよ。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)