トップ
>
肌目
>
きめ
ふりがな文庫
“
肌目
(
きめ
)” の例文
加奈子は手を差し延べて空の
肌目
(
きめ
)
を一つかみ掴み取ってみる。絹ではない。水ではない。紙ではない。夢? 何か恐ろしいようだ。
豆腐買い
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
垢
(
あか
)
とかいうものが少しずつ少しずつ大理石の
肌目
(
きめ
)
に浸み込んで、斯様な陰気な色に変化してしまったもので御座います。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
絖
(
ぬめ
)
やかな
凝脂
(
ぎょうし
)
は常にねっとりとその白い
肌目
(
きめ
)
からも毛穴からも男をそそる美味のような
女香
(
にょこう
)
をたえず発散する。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いいや、そうじゃない。ほんとに、色が白くて、
肌目
(
きめ
)
がこまかい。おれの肌とは大ちがいだ。あんたのような身体に、
彫青
(
いれずみ
)
したら、そりゃあ、みごとなもんだがなあ」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
邸
(
やしき
)
の周囲には一本の樹木もなく、ただ美しい緑色の雑草が、
肌目
(
きめ
)
のよい
天鵞絨
(
びろうど
)
のようにむっちりと敷き詰って、それが又
玩具
(
おもちゃ
)
のような白い家々に快い夢のような調和を投げかける。
死の快走船
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
▼ もっと見る
ここらは山国で水の清らかなせいであろう、すべての人が色白で
肌目
(
きめ
)
が美しい。そのなかでもお杉は目立つような雪の肌を持っているのが、年頃になるにつれて諸人の注意をひいた。
くろん坊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
肌目
(
きめ
)
がこまかいだけが取得の、無味で冷たく弱々しい哀愁、
焦
(
じ
)
れもできない馬鹿正直さ加減。一方、伯母は薄笑いしながら説得の手を緩めない。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
眼は
鳳眼
(
ほうがん
)
であり、
耳朶
(
じだ
)
は豊かで、総じて、体の
巨
(
おお
)
きいわりに
肌目
(
きめ
)
こまやかで、音声もおっとりしていた。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
全体に赤黒く日に焼けてはいるが
肌目
(
きめ
)
の細かい、丸々とした肉付の両頬から首筋へかけて、お
白粉
(
しろい
)
のつもりであろう灰色の泥をコテコテと塗付けている中から、切目の長い
眦
(
めじり
)
と、赤い唇と
笑う唖女
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
血の気を増す
苜蓿
(
うまごやし
)
の匂いがした。
肌目
(
きめ
)
のつんだネルのつやをして居た。甘さは物足りないところで控えた。
百喩経
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
どこやら信長に似ている
面
(
おも
)
ざし、
肌目
(
きめ
)
のよい
頸
(
うなじ
)
から横顔の面長な線も、織田家の血液にある特質だった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いい忘れたが年ばえはまだ
二十歳
(
はたち
)
に届いていまい。
肌目
(
きめ
)
のよい白い肌は雪国の処女をすぐ想わせる。そうだ、その風俗といい、目鼻だちも、越後の女に特有な美があった。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「この子附け
鱠
(
なます
)
の美しいこと」「このえび
藷
(
いも
)
の
肌目
(
きめ
)
こまかく煮えてますこと」それから唇にから揚の油が浮くようになってからは、ただ「おいしいわ」「おいしいわ」というだけで
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
と
蕩
(
とろ
)
けるほどな
年増
(
としま
)
の
肌目
(
きめ
)
を、怖ろしいほど見せつけて、これでもかこれでもかと
蠱惑
(
こわく
)
な匂いをむしむしと
醗酵
(
はっこう
)
させながら、精根の深い瞳の中へ年下の男のなめらかな悶えを
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いつも
軽蔑
(
けいべつ
)
した顔をして冷淡につけつけものをいい、それでいて自分に
肌目
(
きめ
)
のこまかい、しなやかで寂しくも調子の高い、文字では書けない若い詩を夢見させて
呉
(
く
)
れる不思議な存在なのだ。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
いつの間にか、もう平六の前にも
主
(
あるじ
)
の前にも、美々しい膳部や酒器が並んでいた。それを運んで来たり、酒間をとりなす召使の女にしても、岡崎や浜松の女の
肌目
(
きめ
)
ではなかった。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼女は決して美人ではないが、さすがに
深窓
(
しんそう
)
で
愛
(
いつく
)
しまれた
肌目
(
きめ
)
ではあった。それに初産の後のせいか
透
(
す
)
き
徹
(
とお
)
るような白い顔と指の先をしている。その手をひどく
几帳面
(
きちょうめん
)
に膝へかさねて
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、
奥
(
おく
)
へすすめば、すすむほど、
土質
(
どしつ
)
の
肌目
(
きめ
)
があらく新しくなってくる。ところどころに、土をくりぬいた
段
(
だん
)
があった。段をのぼると
平地
(
ひらち
)
になり、平地をいくと段がきりこんである。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小女が
階下
(
した
)
の
主
(
あるじ
)
に告げたのであろう、やがて、その
女主人
(
おんなあるじ
)
があいさつに見えた。三十ぐらいな
肌目
(
きめ
)
のよい美人である。武蔵がさっそく不審をただすと、その美人が笑って話すにはこうであった。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
肌
常用漢字
中学
部首:⾁
6画
目
常用漢字
小1
部首:⽬
5画
“肌”で始まる語句
肌
肌理
肌着
肌身
肌寒
肌合
肌襦袢
肌膚
肌衣
肌脱