決定きめ)” の例文
我々は勿論もちろん先輩諸氏も決して先生を冷遇するのではないが先生の方で勝手にそう決定きめて怒っておられる、実に困った者で手の着けようがない。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「いい娘じゃ! こりゃどうじゃ! ……処女おとめの、未通女きむすめの、お手本じゃ! ……俺決定きめた! 俺のものにする!」
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「お前は大熊家にとって何者なんだよォ。ここは他人は一切入れないことに決定きめた。親族会議の決議だ。お前はサッサと出て行って、二度と当家の門をくぐって貰っては困る」
仲々死なぬ彼奴 (新字新仮名) / 海野十三(著)
僕等二人の事は養父ちち決定きめて行った事ですから、絶対に動かす事は出来ない訳です……今更村の者の噂だの、親類の蔭口だのを問題にしちゃ、養父ちちの位牌に対して相済みませんし
復讐 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
老人連、全然すっかりれ込んでしまった。いつにも大河、二にも大河。公立八雲やくも小学校の事は大河でなければ竹箒たけぼうき一本買うことも決定きめるわけにゆかぬ次第。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
婦人の方は数も少いうえに種類も少くて、大抵たいてい女事務員とか令嬢奥様といった位のところだから、君で充分つとまると思ってそう決定きめてあるんだ。是非、婦人をひきうけて呉れ給えな
階段 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「私の運命を決定きめて下さい」
死後の恋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
真蔵はなるべくのちの方に判断したいので、遂にそう心で決定きめてともかく何人だれにもこの事は言わんことにした。
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「未だ手が凍結かじけるほどでもありませんよ。それにこの節は御倹約ということに決定きめたのですから」
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
思案に尽きてついに自分の書類、学校の帳簿などばかりいれて置く箪笥たんすの抽斗に入れてその上に書類を重ねそしてかぎは昼夜自分の肌身はだみより離さないことに決定きめっと安心した。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
一円紙幣で百枚! 全然まるで注文したよう。これを数える手はふるえ、数え終って自分は洋燈ランプの火をじっと見つめた。直ぐこれを明日銀行に預けて帳簿のおもてを飾ろうと決定きめたのである。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
それを見て私は最早もう必定きっとそうだと決定きめて御隠居様に先ず申上げてみようかと思いましたが、一つ係蹄わなをかけて此方こっちめした上と考がえましたから今日ってたので御座いますよ
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「そうとも! それで大津の鼻をあかしてやろうと言うんだろう、可いサ、先生も最早もうあれで余程よほど老衰よわって御坐るから早くお梅さんのことを決定きめたら肩が安まって安心して死ねるだろうから」
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
この三人とも梅子さん乃公おれの者と自分で決定きめていたらしいことはほぼ世間でもぎつけていた事実で、これにはたれも異議がなく、ただし三人のうち何人だれが遂に梅子さんを連れて東京に帰りるかと
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)