陛下へいか)” の例文
王樣わうさま氣遣きづかはしげに白兎しろうさぎ御覽ごらんになりました、白兎しろうさぎ低聲こゞゑで、『陛下へいか證人しようにん相手方あひてかた證人しようにん詰問きつもんせらるゝ必要ひつえうがあります』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
されどドレスデンの宮には、陶もののといふありて、支那シナ日本の花瓶はながめたぐいおほかたそなわれりとぞいふなる。国王陛下へいかにはいま始めて謁見えっけんす。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
陛下へいかは、このくにも、とみも、幸福こうふくも、おようではございませんのですか。」と、最後さいごに、魔法使まほうつかいはおうさまにうかがいました。
北海の白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
これはキムブルガーの唇(ハプスブルグ家代々の唇の特徴)じゃ——と陛下へいかでられたほどに由緒あるもの——それが沿岸警備にもつかず
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
かれはしばしば「陛下へいか」とか「大御心おおみこころ」という言葉を口にしたが、その時だけは直立不動の姿勢になり、声の調子もいくぶん落ちつくのだった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
祝聖の儀式というのは神聖なる明治天皇陛下へいか万歳万々歳、皇后陛下の万歳万々歳並びに皇太子殿下の万歳万々歳を祝願し
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
陛下へいか、しばらくお待ちくださいまし。私はお姫さまがお住みになる御殿ごてんを立てますまでは、婚礼はできません。」
まさ驪山りさんつて陛下へいか相抱あひいだくべき豊肥妖艶ほうひえうえんひとそのをとこたいする取廻とりまはしのやさしさ、へだてなさ、親切しんせつさに、人事ひとごとながらうれしくて、おもはずなみだながれたのぢや。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたくしは、皇帝陛下へいかのお目に、涙が浮びましたのを、お見うけいたしました。それこそ、わたくしにとりましては、なににもまさる、宝でございます。
仰っしゃいます。それは平常のお気がねです。この鎮台にたてこもって一体となった城中の者には、もう自分一個というものはないはずです。あなたは、陛下へいか赤子せきし
日本名婦伝:谷干城夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ニールスは、木の人が「陛下へいか」と言うのを聞きますと、びっくりしました。むりもありません。
陛下へいかは大いに驚き、自分に侮辱ぶじょくを加うるのはなはだしきものであれば、ただこのままにはておかれぬ、そもそもこの儀はなにごとなるかとかたわらなる通訳に問われた。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
道満どうまん晴明せいめい、この長持ながもちの中にはなにはいっているか、ててみよ、という陛下へいかおおせです。」
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
けらいはみな陛下へいかよ、それはとても出来ないことでございます」と答えました。
手紙 二 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
木曽家の恐ろしい乱脈は足利あしかが将軍の耳へもはいった。当時は戦国のすさみ果てた世で、将軍の威令も昔ほどには、諸国の間に行われなかったが、それでも諸人は陛下へいかに次いで尊い者に思っていた。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
他の一二の小屋は訪わず、玉蜀黍をい喰い帰る。北海道の玉蜀黍は実にうまい。先年皇太子殿下(今上きんじょう陛下へいか)が釧路くしろで玉蜀黍をしてそれから天皇陛下へおみやげに玉蜀黍を上げられたももっともである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
陛下へいかはじめてお聞き遊ばしますために
『まだ/\もつとおほくの證據しようこ御座ございます、陛下へいかよ』とつて白兎しろうさぎは、にはかあがり、『文書もんじよ只今たゞいまひろひましたのです』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「まことにおそおおうございますが、陛下へいかのは、あそこにえる紅色あかいろちいさなほしでございます。」と、うらなしゃこたえました。
北海の白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その女のおもて見し時の、父が心はいかなりけむ。かれは我母なりき。父はあまりの事に、しばしたゆたひしが、『許したまへ、陛下へいか』と叫びて、王を推倒おしたおしつ。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
と申しますのは、陛下へいか、および、皆々みなみなさま。ほんもののナイチンゲールの場合には、どんな歌が飛びだしてまいりますやら、わたくしどもには、見当もつきません。
ただ一身をもって陛下へいかおんためにささたてまつることのみを心得、他には何らの心得なきものであれば、今この席においてもあるいは御作法ごさほうそむくごときことがあるかも存じませぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「むろん、もう陛下へいかのお耳にもはいっているでしょうが、陛下はどうお考えでしょう。」
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
此奴こいつ失敬しつけいなことをいふ、陛下へいか稜威みいづ軍士ぐんし忠勇ちうゆうつなアおめえあたりまへだ、なに不思議ふしぎなことあねえ。」とムキになるのはおほきに野暮やぼ號外がうぐわいてぴしや/\とひたひたゝ
神楽坂七不思議 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
御用心ごようじんあそばさないといけません。あの童子どうじ詐欺師さぎしでございます。おそれながら、陛下へいかのおやまい侍医じい方々かたがたや、わたくしども丹誠たんせいで、もうそろそろ御平癒ごへいゆになるときになっておりました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
英国の女王ヴィクトリア陛下へいかはもとラサの釈迦堂の守護の女神である。すなわちパンデン・ラハモ(聖なる戦陣の女神)の化身けしんであって、世界の各部を征服する力を持って居らるる方である。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
陛下へいか、なぜ、この国では、くらをつける人がないのでございますか。」
陛下へいか、おそれながら、ローセンブームと申すものでございます。
「はい、さようでございます。陛下へいかよ」
手紙 二 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ねがはくは陛下へいかよ』とつて軍人ネーブは、『わたしいたのでは御座ございません、その證據しようこには、しまひになにいて御座ございません』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
わたしをこうしてかざっているたまうちにも偽物にせものがあって、それを陛下へいかまでがうつくしいとごらんなされるようなことはないかとおもうと、むねうちおだやかでないのであります。
ひすいを愛された妃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おそれながら陛下へいか、すべて書物しょもつにかいてありますことを、そのままおもちいになってはなりません。あれはこしらえごとでございます。いわば、妖術ようじゅつ魔法まほうのるいでございます。」
「されどこの一件ひとくだりのことはファブリイス夫人こころに秘めてうからにだに知らせ玉はず、女官の闕員けついんあればしばしのつとめにとて呼寄せ、陛下へいかのおんのぞみもだしがたしとて遂にとどめられぬ。」
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
ただ陛下へいかたいたてまつる至誠にめんじてお許しを願う
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
陛下へいかさまが、ぜひごぜんで、うたわせて、ききたいとおっしゃるのよ。」
いまは、陛下へいか幸福こうふくであらせられますが、今後こんご幾年いくねんかののちに、つよいものがてきて天下てんかるのでございます。それがあのほしあらわれています。おもうに、そのものはまだ年若としわかく、子供こどもであります。
北海の白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
陛下へいかが、書物に書かれておりますことを