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金槌
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かなづち
ふりがな文庫
“
金槌
(
かなづち
)” の例文
遊んでいる
金槌
(
かなづち
)
をこっそりにぎったりすると、
鍛冶屋
(
かじや
)
のおやじは
油汗
(
あぶらあせ
)
で黒く光っている
額
(
ひたい
)
にけわしいしわをつくっていうのだった。
空気ポンプ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
猪之はやけに
金槌
(
かなづち
)
の音をさせた。登はお雪から手提げの籠を受取り、あとから茶を持っていく、というのを聞きながら賄所を出た。
赤ひげ診療譚:07 おくめ殺し
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「さあこの冷え切った林檎は、相当堅くなりましたよ。小さい釘ぐらいなら、この林檎を
金槌
(
かなづち
)
の代りにして、木の中に打ちこめますよ」
人間灰
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
僕がぎょっとしている間に、石井さんは手許にあった
金槌
(
かなづち
)
で叩き潰してしまいました、そしてこの水銀は茶色の粉となってしまいました。
宇宙爆撃
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
成程そこは敷居が滅つた上、土臺が
緩
(
ゆる
)
んで、
鑿
(
のみ
)
か小刀か、せめて
金槌
(
かなづち
)
でもあれば、樂に戸が外せるやうになつてゐるのでした。
銭形平次捕物控:184 御時計師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
「も一本
釘
(
くぎ
)
を打ってやれ。道具はどこにあるんだ? 釘を一本打ったぞ。二本打ったぞ。も一つ
金槌
(
かなづち
)
でとんと! そら、これでよし……。」
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
船に帰って、ピンポンをしていると、M氏が来て「坂本君、コダックは」と
訊
(
き
)
きます。
愕然
(
がくぜん
)
、ぼくは脳天を
金槌
(
かなづち
)
でなぐられた気がしました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
一梃の大きな
金槌
(
かなづち
)
とギラギラ光る出刃庖丁を持ち出して、まず金槌を握ると、馬の鼻づらをメカクシの上から力一パイなぐり付けましたので
豚吉とヒョロ子
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
三鳥山人
(著)
その代りに彼の手は、腰のバンドを探って、そこに挟んであった
金槌
(
かなづち
)
のような物を握りしめていた。それはトム公の職業用のカンカン
鎚
(
ハンマー
)
である。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
金槌
(
かなづち
)
の音は三日間患者たちの安静を妨害した。一日の混乱は半カ月の静養を破壊する。患者たちの体温表は狂い出した。
花園の思想
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
牡山羊
(
おやぎ
)
とサチール神とが向かい合ってる古風な装飾のある練鉄の重い
金槌
(
かなづち
)
を取って、案内の鐘を一つ激しくたたいた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
のみならずまだ新しい
紺暖簾
(
こんのれん
)
の紋も
蛇
(
じゃ
)
の
目
(
め
)
だった。僕らは時々この店へ主人の清正を
覗
(
のぞ
)
きに行った。清正は短い
顋髯
(
あごひげ
)
を
生
(
は
)
やし、
金槌
(
かなづち
)
や
鉋
(
かんな
)
を使っていた。
追憶
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
皆は銀の
金槌
(
かなづち
)
を
拵
(
こしら
)
へて赤星に贈つた。茶会でも開いて、皆の居合はす前で、例の香炉を叩き割れといふ謎なのだ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
千恵は
呆気
(
あっけ
)
にとられました。といふより、何か
金槌
(
かなづち
)
のやうなもので脳天をガアンとやられたやうな気持でした。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
ある男が
鉄兜
(
てつかぶと
)
を割られ、頭蓋骨をくだかれて道のまん中で死んでいる。そばに小さな
金槌
(
かなづち
)
が一つ落ちている。
探偵小説の「謎」
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
お松はその時、胸の上へガンと
金槌
(
かなづち
)
をぶっつけられたような気持がして、もう、意地も、我慢も、見栄も、分別もなく、隠れ場から走り出してしまいました。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
鉄輪
(
かなわ
)
」の「今更さこそ悔しかるらめ、さて
懲
(
こ
)
りや思い知れ」と
金槌
(
かなづち
)
で
釘
(
くぎ
)
を打ち付ける様をする時は、腰を折って執心する眼に注意するようにと教えたこと。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
いつも
氣
(
き
)
に
入
(
い
)
りの
玄竹
(
げんちく
)
が
來
(
く
)
ると、
但馬守
(
たじまのかみ
)
は
大抵
(
たいてい
)
差
(
さ
)
し
向
(
むか
)
ひで
話
(
はなし
)
をして
障子
(
しやうじ
)
には、
大
(
おほ
)
きな、『××の
金槌
(
かなづち
)
』と
下世話
(
げせわ
)
に
惡評
(
あくひやう
)
される
武士髷
(
ぶしまげ
)
と、
固
(
かた
)
い
頭
(
あたま
)
とが
映
(
うつ
)
るだけで
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
道具箱から
鑿
(
のみ
)
と
金槌
(
かなづち
)
を持ち出して、裏へ出て見ると、せんだっての
暴風
(
あらし
)
で倒れた
樫
(
かし
)
を、
薪
(
まき
)
にするつもりで、
木挽
(
こびき
)
に
挽
(
ひ
)
かせた手頃な
奴
(
やつ
)
が、たくさん積んであった。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
十字架を地に置く者、穴を掘る者、釘と
金槌
(
かなづち
)
とを揃える者、等々。かくて
没薬
(
もつやく
)
を混ぜた
葡萄酒
(
ぶどうしゅ
)
をイエスにすすめました。これは苦痛を軽減するための麻酔剤です。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
『はア
今
(
いま
)
の
先
(
さ
)
き、
二人連
(
ふたりづれ
)
で、
何
(
な
)
んだか
知
(
し
)
んねえが、
金槌
(
かなづち
)
を
持
(
も
)
つて、
往來
(
わうらい
)
を
擲
(
たゝ
)
きながら
歩
(
ある
)
いて
居
(
ゐ
)
たツけ』
探検実記 地中の秘密:03 嶺の千鳥窪
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
晴れた大空へかんかんと
金槌
(
かなづち
)
の音をさせて荒っぽく仕事をするので、どうも、
甚
(
はなは
)
だ愉快で、元来
幕末維新懐古談:63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
鍛冶
(
かじ
)
屋の兄弟だったんですよ。親も妻子も無しで二人
稼
(
かせ
)
ぎに稼いで居たんですよ。だが弟の腕がどうも鈍い。兄の方が或る時
癇癪
(
かんしゃく
)
を起して
金槌
(
かなづち
)
を弟に振り上げたんですね。
春:――二つの連作――
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その縁側にかけてある
干鱈
(
ひだら
)
をむしつて、待て、それは
金槌
(
かなづち
)
でたたいてやはらかくしてから、むしらなくちや駄目なものなんだ。待て、そんな手つきぢやいけない、僕がやる。
津軽
(新字旧仮名)
/
太宰治
(著)
アノお隣で、
何
(
なん
)
の
釘
(
くぎ
)
を打つんだと
申
(
まう
)
しますから、
蚊帳
(
かや
)
の
釣手
(
つりて
)
を打つんですから
鉄釘
(
かなくぎ
)
で
御座
(
ござ
)
いませうと
申
(
まう
)
しましたら、
鉄
(
かね
)
と
鉄
(
かね
)
との
摺
(
す
)
れ
合
(
あ
)
ひで
金槌
(
かなづち
)
が
減
(
へ
)
るから
貸
(
か
)
せないと
申
(
まう
)
しました。
吝嗇家
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その炎熱の中で箱をあけたが、白い湯気が
濛々
(
もうもう
)
と立って、氷は安泰であった。さっそく用意のドライ・アイスを石畳の上にあけて、
金槌
(
かなづち
)
でかんかんと砕いて、十分に補給をした。
白い月の世界
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
その頃、幾年となく、
黒衣
(
くろご
)
の帯に
金槌
(
かなづち
)
をさし、オペラ館の舞台に背景の飾附をしていた年の頃は五十前後の親方がいた。眼の細い、
身丈
(
せい
)
の低くからぬ、丈夫そうな爺さんであった。
草紅葉
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
金槌
(
かなづち
)
や手斧の音がぱったりやんだ。時計を出して見れば、なるほど五時になっている。
普請中
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
木舞
(
こまい
)
をつける際には
金槌
(
かなづち
)
のひと打ちで釘をすっかり打ちこむことができるのをおもしろく思った。その次には、壁土をこね板から壁にきれいに速く移すのが、わたしの野心となった。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
主なる原因は石臼の普及、もう少し細かく言えば、臼の目立てと称して、一種尖って刃のついた
金槌
(
かなづち
)
をもって石臼に目を切る職人が、農村の
隅々
(
すみずみ
)
まで巡回するようになった結果であり
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ポリモスはそこで、朝日の光がさすまで見張つてゐて、それから町へいつて、金網をたくさん買ひこみ、大きな
釘
(
くぎ
)
や
金槌
(
かなづち
)
まで買つてきて、洞穴の口をすつかり金網でふさいでしまひました。
エミリアンの旅
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
それから横ポケットにブランブランしている
金槌
(
かなづち
)
を取って、仕事にかかった。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
清三は
金槌
(
かなづち
)
か何かでガンと頭を打たれたような気がした。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「いや、武家なら刀で斬るだろう。これは
金槌
(
かなづち
)
か何かで力任せにやられたんだ。手際のいい
鍛冶屋
(
かじや
)
か何かの仕事じゃないか」
銭形平次捕物控:018 富籤政談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それでも、中庭の向こうに建てられてる家の屋根の上では、この悲しむべき日々の間、
驟雨
(
しゅうう
)
の下で、職人どもが最後の
金槌
(
かなづち
)
を打ち納めていた。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ひとりは大きな
鋏
(
はさみ
)
を取り、ひとりは重い火ばしを取り、ひとりは
金槌
(
かなづち
)
を取って、一言も発せずに
扉
(
とびら
)
から斜めに並んだ。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
この話を聞いたときばかりは、
流石
(
さすが
)
の乃公も、
金槌
(
かなづち
)
で頭を殴られたようにはっと驚いたよ。——だが、そんな
莫迦気
(
ばかげ
)
たことがあるものかと、憤慨した。
不思議なる空間断層
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
螺
(
さざえ
)
のふたは、
金槌
(
かなづち
)
でも、開かないことを知っていた。さざえの貝の
尻
(
しり
)
を
焙
(
あぶ
)
れば、自然、中身は抜けるという
卑俗
(
ひぞく
)
な道理を、かれは先頃から考えていた。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
アスファルト路の欠けた処を
塞
(
ふさ
)
ぐために
釘
(
くぎ
)
づけにしてあるのを、子供達が、各自家から持出した、
金槌
(
かなづち
)
、やっとこの類で、取りはずすのに、
大童
(
おおわらわ
)
でした。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
比較的静かな
舞台
(
ぶたい
)
の裏側では、道具方の使う
金槌
(
かなづち
)
の音が、一般の予期を
唆
(
そそ
)
るべく、折々場内へ響き渡った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
釘と、石ころの
金槌
(
かなづち
)
で、たんねんに
蓋
(
ふた
)
のまわりに穴をあけると、ようやく蓋をとることが出来た。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
老管理者は
途
(
みち
)
で金物屋に寄つて、
金槌
(
かなづち
)
を一
挺
(
ちやう
)
買つて帰つた。そして
図書庫
(
としよぐら
)
に入ると、
手垢
(
てあか
)
と
塵埃
(
ほこり
)
とに
塗
(
まみ
)
れた書物を一冊づつ取り出しては、いやといふ程叩きつけたものだ。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
背後の兵舎のほうから、誰やら
金槌
(
かなづち
)
で
釘
(
くぎ
)
を打つ音が、
幽
(
かす
)
かに、トカトントンと聞えました。
トカトントン
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
やがて、鬼気漂う地底の
窖
(
あなぐら
)
に、一打ち毎に人の心を凍らせるような
金槌
(
かなづち
)
の音が響き渡った。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
かたちが悪いからそいつを
金槌
(
かなづち
)
で欠いて取ったが、そのときも同じような小言をくわされた。それから踏石、——玄関の脇の木戸口から広縁まで、平ぺったい石がとびとびに置いてある。
桑の木物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「大丈夫だよ。手
探
(
さぐ
)
りでも」自分はかまわずに電燈をつけた。細帯一つになった母は
無器用
(
ぶきよう
)
に
金槌
(
かなづち
)
を使っていた。その姿は何だか家庭に見るには、余りにみすぼらしい気のするものだった。
子供の病気:一游亭に
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
金槌
(
かなづち
)
で
往來
(
わうらい
)
を
擲
(
たゝ
)
くとは
奇拔
(
きばつ
)
である。
大笑
(
おほわら
)
ひをして、
自轉車隊
(
じてんしやたい
)
は
寺
(
てら
)
に
入
(
はい
)
つた。
探検実記 地中の秘密:03 嶺の千鳥窪
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
呪詛
(
じゅそ
)
の悪念が集中して象徴化した藁人形を取り出して、松の幹の一面に押しつけると共に、左の手でそれを抑え、右の手をまたも懐中へ入れて、新たに取り出したのは一梃の
金槌
(
かなづち
)
であります。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
寝床の上にいた酒に酔ってるらしい老人も、寝台からおりて、手に道路工夫の
金槌
(
かなづち
)
を持ってよろめきながら出て来た。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
手代の徳次はさう言つて、
鑿
(
のみ
)
と
金槌
(
かなづち
)
で引つ
剥
(
ぱが
)
すやうにして開けた、二枚目の雨戸と敷居の傷などを見せて居ります。
銭形平次捕物控:182 尼が紅
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
金
常用漢字
小1
部首:⾦
8画
槌
漢検準1級
部首:⽊
14画
“金”で始まる語句
金
金色
金子
金盥
金持
金剛石
金襴
金箔
金魚
金輪際