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ふりがな文庫
“
賭
(
か
)” の例文
信じているが、私は臆病者だと自分で認めている、この違いは大きいんだぞ、かね、私はこの違いに
賭
(
か
)
けて、討手の役を願い出たんだ
ひとごろし
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「一丁目の勝太郎と申す、やくざな男で、男つ振りは一人前ですが、年中
賭
(
か
)
けごとに浮身をやつしてゐる、厄介な男でございます」
銭形平次捕物控:231 鍵の穴
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
かれは元来、理性にとみ、部下の意地にのって、伝来の財、田地、官職——まちがえば生命までを
賭
(
か
)
けるような
迂愚
(
うぐ
)
ではなかった。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「よくいらしってね。その
間着
(
あいぎ
)
のよくお似合いになる事。春らしいいい色地ですわ。今倉地と
賭
(
か
)
けをしていた所。早くお上がり遊ばせ」
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「
随分
(
ずいぶん
)
撃ってみてもよいが、何か
賭
(
か
)
けるか」と甚五郎が言うと、蜂谷が「今ここに持っている物をなんでも賭きょう」と言った。
佐橋甚五郎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
「ノロ甚」は、にたついて、
鉈豆
(
なたまめ
)
煙管をひねくりまわしている。この将棋には、いくらか
賭
(
か
)
かっているので、どちらも、真剣だ。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
「君それより何かあの女に贈物をしたらいいでしょう。僕は
賭
(
か
)
けでもするが、君はまだこのことを考えもしなかったに違いない」
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
なんでも
南
(
みなみ
)
の
国
(
くに
)
の
王
(
おう
)
さまが、この
薬
(
くすり
)
を
国
(
くに
)
を
賭
(
か
)
けてお
探
(
さが
)
しになっているということを
聞
(
き
)
いて、いま
持
(
も
)
ってゆく
途中
(
とちゅう
)
にあるのです。
木と鳥になった姉妹
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
実際、私どもは命がけの
投機
(
やま
)
仕事をしていたので——骨を折るかわりに命を
賭
(
か
)
け、勇気を
資本
(
もとで
)
にしていた、というわけですね。
メールストロムの旋渦
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
争うとか格闘するということは、自分を偶然の方へ
賭
(
か
)
けることだから、彼はもう偶然などは俺にはいらないという悟りをひらいているのだ。
教祖の文学:――小林秀雄論――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
骰子
(
さい
)
転ばしをするもあれば花を
弄
(
もてあそ
)
ぶもあり、随分立派な人でも
喰物
(
くいもの
)
の
賭
(
か
)
け位はやって居る。それが非常に愉快なものと見える。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
某国政府当局は、国運を
賭
(
か
)
けたこの怪計画のために、特によりすぐった特務機関隊を編成して、
丁度
(
ちょうど
)
一年前からわが国に潜入させたのだった。
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
あるいは金を
賭
(
か
)
けて志願者を買うことにして、毎年八月の朝、ひとりの少女を蛇の穴へ供えると、蛇は生きながらにかれらを呑んでしまった。
中国怪奇小説集:03 捜神記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
『新古今』の華麗妖艶は、定家にとってはまことに数寄ではなくして、その二十代三十代の生活を
賭
(
か
)
けたものであった。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
彼はそれを見てとらない。彼は女のように自分の生活全部を担保として、愛の上に
賭
(
か
)
けたのではない。彼の生活は他のほうで満たされている……。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
実に兵庫の開港はアメリカ使節ペリイがこの国に渡来した当時からの懸案であり、徳川幕府が将軍の辞職を
賭
(
か
)
けてまで朝廷と争って来た問題である。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
しめた! 少しご
機嫌
(
きげん
)
が直って来たようだ。
賭
(
か
)
けてもいい、この先生の、
外套
(
がいとう
)
の
襟
(
えり
)
の蔭の頬が、ゆるんだに違いない。
渡り鳥
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
魔性の手が脅威の
矛先
(
ほこさき
)
を向ける。それが絶間なくかれを苦しめる。その苦悩をも
凌
(
しの
)
いで、なお法悦を見出そうとして、かれは一生を
賭
(
か
)
けてしまった。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
双六
(
すごろく
)
を
打
(
う
)
つて
賭
(
か
)
けませう。
私
(
わたし
)
は
其
(
そ
)
の
他
(
ほか
)
の
事
(
こと
)
は
何
(
なん
)
にも
知
(
し
)
らねば……
而
(
そ
)
して、
私
(
わたし
)
が
負
(
ま
)
けましたら、
其切
(
それきり
)
仕方
(
しかた
)
がありません。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
小心な男ほど羽目を外した
溺
(
おぼ
)
れ方をするのが競馬の不思議さであろうか。手引きをした作家の方が
呆
(
あき
)
れてしまう位、寺田は向こう見ずな
賭
(
か
)
け方をした。
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
伝授にしてからが、
素手
(
すで
)
じゃあ息が合いませんから、何ぞ
賭
(
か
)
けやしょう、コマを売りやすから、張ってごらんなさい
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「巴里留学は画学生に取っていのちを
賭
(
か
)
けてもの願いだ。それを、おれは、青年時代に出来なかった。だから、おれの身代りにも、むす子を置いて行く」
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
然し確証の無いことを深刻に論ずるのは感心出来無いことだ、
憚
(
はゞか
)
るべきことだ、田原藤太を
強
(
し
)
ひて、
何方
(
どちら
)
へ
賭
(
か
)
けようかと考へた
博奕
(
ばくち
)
打
(
うち
)
にするには当らない。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
全裸の男性の
拳闘
(
けんとう
)
、レスリング、そして、その勝負に金銀、宝石、はては貞操をさえ
賭
(
か
)
けたこともあります。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
あまりに大きなものが
賭
(
か
)
けられているようにわたしには思われたのでした。むろん、父のむなしいけれども大きな計画がわたしにあったわけではありません。
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
「お前の
容色
(
きりょう
)
なら一躍スタアになれるに違いないが、その代り貞操を
賭
(
か
)
けなきゃならないんじゃないかね。」
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
で、そこはまた
拔目
(
ぬけめ
)
のない
所謂
(
いはゆる
)
政商
(
せいしやう
)
などは
莫大
(
ばくだい
)
もない
金
(
かね
)
を
賭
(
か
)
けて
張
(
ちやう
)
と
卓子
(
たくし
)
を
圍
(
かこ
)
む。そして、わざと
負
(
ま
)
ける。
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
賭
(
か
)
け将棋専門で五十両百両といったような大金を軍資金としてかせぎためていた伴天連の催眠術者でした。
右門捕物帖:01 南蛮幽霊
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「この首を
賭
(
か
)
けてもいい、この命を賭けてもいい、
俺
(
おれ
)
は確かにあのパンタン人(パリー人)を知ってる。」
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そこで、彼は相手に競走を申し入れ、ポンチ酒を一鉢
賭
(
か
)
けた。当然それは彼のものになるところだった。デアデヴィルは化け物馬を完膚ないまでやっつけたのだ。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
船員も漁夫もそれを何千匹の
鱶
(
ふか
)
のように、白い歯をむいてくる波にもぎ取られないように、縛りつけるために、自分等の命を「安々」と
賭
(
か
)
けなければならなかった。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
わたしは自分の名誉を
賭
(
か
)
けたる今夜の冒険について、あまり多く考える
暇
(
ひま
)
を持たないほどに
忙
(
いそが
)
しく働いた。わたしは
甚
(
はなは
)
だ遅くなってから、ただひとりで夕飯を食った。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
兄貴のフェリックス——
賭
(
か
)
けをしよう。僕も、
苜蓿
(
うまごやし
)
なら食べるよ。お前は食べられないぜ、きっと。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
さア、
來
(
き
)
やれ、
夜
(
よる
)
よ、
黒
(
くろ
)
づくめの
服
(
きもの
)
を
被
(
き
)
た、
見
(
み
)
るから
眞面目
(
まじめ
)
な、
嚴格
(
いかめ
)
しい
老女
(
らうぢょ
)
どの、
速
(
はや
)
う
來
(
き
)
て
教
(
をし
)
へてたも、
清淨無垢
(
しゃうじゃうむく
)
の
操
(
みさを
)
を
二
(
ふた
)
つ
賭
(
か
)
けた
此
(
この
)
勝負
(
しょうぶ
)
に
負
(
ま
)
ける
工夫
(
くふう
)
を
教
(
をし
)
へてたも。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
胎内で小児が動くようになれば母は一種の神秘な感に打たれてその児に対する
親
(
したし
)
みを覚えます。分娩の際には命を
賭
(
か
)
けて自分の肉の一部を
割
(
さ
)
くという感を切実に
抱
(
いだ
)
きます。
産屋物語
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
おれが命を
賭
(
か
)
けて助けてやった、あの次郎に奪われようとしている。奪われようとしているのか、あるいは、もう奪われているのか、それさえも、はっきりはわからない。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
アルカージナ
賭
(
か
)
け金は十コペイカよ。ドクトル、わたしの分、たて替えておいてちょうだい。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「では、むすめは、いのちを
賭
(
か
)
けて恋いした、雪之丞に、逢わずに死んだというわけか——」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
まして
賭
(
か
)
け事の場合には尚更そうで、ナオミは私と決戦すると、始めから気を
呑
(
の
)
んでかかり、素晴らしい勢で打ち込んで来るので、
此方
(
こちら
)
はジリジリと
圧
(
お
)
し倒されるようになり
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
二つのプロバビリティを比較するとき、後者が前者よりも大きいという可能性は存在する。もし私がいずれかに
賭
(
か
)
けねばならぬとすれば、私は後者に賭けるのほかないであろう。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
帰ると、また実験室に行き、夕方にはやめて階上に来て細君や姪と
賭
(
か
)
け事をしたり、謎をかけ合ったり、もしくはシェクスピアかマコーレーを声高に読む。その中に夕食になる。
ファラデーの伝:電気学の泰斗
(新字新仮名)
/
愛知敬一
(著)
「人生に、やり直しはない、ないものに
賭
(
か
)
けるのは無意味だっていったのはあなたよ」
一人ぼっちのプレゼント
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
純小説に
賭
(
か
)
けた自己がたうてい持ち切れなくなつたので、その重荷を下したまでだ。
百万人のそして唯一人の文学
(新字旧仮名)
/
青野季吉
(著)
ヴェルレーヌ、
李白
(
りはく
)
に至っては典型的なる純情のニヒリストで、陶酔の
刹那
(
せつな
)
に生を
賭
(
か
)
け、
思慕
(
エロス
)
の
高翔
(
こうしょう
)
感に殉死しようとするところの、
真
(
まこと
)
の「詩情の中の詩情」を有する詩人であった。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
これを買って
店頭
(
みせさき
)
で
公然
(
おもてむき
)
に致しておりましても、
楽
(
たのし
)
みを妨げる訳はないから、少しもお
咎
(
とが
)
めはない事で、隠れて致し、金を
賭
(
か
)
けて大きな事をなさり、金は沢山あるが退屈で仕方がない
文七元結
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ヴィヨンを気取り、カサノヴァを気取る此の軽薄児も、しかし、唯一筋の道を選んで、之に己の弱い身体と、短いであろう生命とを
賭
(
か
)
ける以外に、救いのないことを、良く知っていた。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
わたしはつまらない
賭
(
か
)
け事に昂奮する細君の顏や樣子を見てゐるのも
氣辛
(
きづら
)
いし、湧き返るやうな場内一帶の騷しさにも堪へられなくなつて、そのまゝふらりと
人込
(
ひとご
)
みにまぎれて門を出て
畦道
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
それに自分の一生を
賭
(
か
)
けるようなつもりでさえいたのに、気がついた時にはもういつの間にか二人は以前の習慣どおりの夫婦になっていて、何もかもが
有耶無耶
(
うやむや
)
になりそうになっている。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
よし! そんなら
賭
(
か
)
けをして、勝ったほうがしまいまで
喫
(
の
)
むことにしよう——ほら、あそこに二人電車を待ってる女がいるだろう? あのなかの茶色の外套を着たほうが先きに電車に乗るか
字で書いた漫画
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
さて法水君、僕の心像鏡的証明法は、遺憾ながら
知覚喪失
(
オーンマハト
)
だ。だいたい廻転椅子がどうだろうがこうだろうが、結局あの蒼白く透き通った
歯齦
(
はぐき
)
を見ただけで、僕は辞表を
賭
(
か
)
けてもいいと思う。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
賭
常用漢字
中学
部首:⾙
16画
“賭”を含む語句
賭博
賭博場
賭場
賭金
賭博者
賭弓
大賭場
賭博狂
命賭
大賭博
賭試合
詐欺賭博
賭事
賭物
賭博打
賭碁
麻雀賭博
博賭
賭仕合
常賭場
...