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こうむ
ふりがな文庫
“
蒙
(
こうむ
)” の例文
御免
(
ごめん
)
を
蒙
(
こうむ
)
ってまた床に潜り込んでいたら、一時間ばかりしてまた電話が来て「今のはデマだったそうだから」という話で
鳧
(
けり
)
がついた。
流言蜚語
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
未亡人となった彼女の生活をさらにさびしくしたのは、この不幸な恋のために父の不興を
蒙
(
こうむ
)
って、親の家から勘当されたことだった。
傷心
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
ただその度毎に
蒙
(
こうむ
)
る不便、不快、不満というものは、いかばかりか、ややもすれば生命の危機に追い込まれることも今日まで幾度ぞ。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
万一この脚の見つかった日には会社も必ず半三郎を
馘首
(
かくしゅ
)
してしまうのに違いない。
同僚
(
どうりょう
)
も今後の交際は
御免
(
ごめん
)
を
蒙
(
こうむ
)
るのにきまっている。
馬の脚
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
娘は父親にいえば
不興
(
ふきょう
)
を
蒙
(
こうむ
)
るのを知っていたが、病気の経過が思わしくないので、思い余って
密
(
ひそか
)
にA夫人に手紙を出したのであった。
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
▼ もっと見る
拙者は臆病者と云われた者でござる、但し臆病者も良将の下に用いらるる道がござらば御扶持を
蒙
(
こうむ
)
りとうござる、と云ったのである。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
熊野牛王
(
くまのごおう
)
の誓紙には、日本国中の大小
神祇
(
じんぎ
)
、
八幡大菩薩
(
はちまんだいぼさつ
)
、
愛宕山権現
(
あたごやまごんげん
)
、ところの氏神にも、
違背
(
いはい
)
あれば御罰を
蒙
(
こうむ
)
らんと明記してある。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
歳
(
とし
)
も段々
迫
(
せまっ
)
て、とう/\慶応三年の
暮
(
くれ
)
になって、世の中が
物騒
(
ぶっそう
)
になって来たから、生徒も自然にその影響を
蒙
(
こうむ
)
らなければならぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
多紀安琢は維新後困窮して、竹逕の扶養を
蒙
(
こうむ
)
っていた。成善はしばしばその安否を問うたが、再び『素問』を学ぼうとはしなかった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
供「旦那さま、芋茎のお土産は御免を
蒙
(
こうむ
)
りとうございます……御亭主旦那様は芋茎がお嫌いだからお土産は成るたけ軽いものが
宜
(
い
)
い」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「あの、お言葉中で恐れ入りますが、御忠告なら、御免を
蒙
(
こうむ
)
りたいと思います。御用事丈を承わる
筈
(
はず
)
であったのでございますから。」
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
知識の乏しい官憲や
固陋
(
ころう
)
な思想をもっているものの言動やによって、或る程度の、場合によっては少からぬ、抑制を
蒙
(
こうむ
)
ってはいた。
日本歴史の研究に於ける科学的態度
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
おまけに午後八時頃からいよ/\雨になつたので、わたしは諸君よりも一足先へ
御免
(
ごめん
)
を
蒙
(
こうむ
)
ることにして、十時近い頃にそこを出た。
赤い杭
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「御免
蒙
(
こうむ
)
ろうよ。どうせ山師坊主の興行に
極
(
きま
)
っているようなものだ。行ってみるとまたとんだ殺生をすることになるかも知れねエ」
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
わたくしは御免を
蒙
(
こうむ
)
りまして、お
家
(
うち
)
の
戸閉
(
とじまり
)
だけいたしまして、錠前の処へはお寺から頂いて来たお水でも振り掛けて置きましょう。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
……そういう訳で学問は辛いものだという観念があるから、学校を卒業すればもう学問は御免だ、
真平
(
まっぴら
)
御免を
蒙
(
こうむ
)
りたいという考が起る。
教育の目的
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
のみならず、式家の長子広嗣はその妻を元昉に犯され、激怒のあまり反乱を起して
誅
(
ちゅう
)
せられ、その一族に朝敵の汚名すらも
蒙
(
こうむ
)
っていた。
道鏡
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「僕は宇宙の墓地に行きつく前に、本艇から下ろしてもらいます。これ以上、不信きわまる艇長と運命を共にすることは
御免
(
ごめん
)
蒙
(
こうむ
)
りたい」
宇宙尖兵
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それでは御免
蒙
(
こうむ
)
って、
私
(
わし
)
は
一膳
(
いちぜん
)
遣附
(
やッつ
)
けるぜ。
鍋
(
なべ
)
の底はじりじりいう、
昨夜
(
ゆうべ
)
から気を
揉
(
も
)
んで酒の虫は揉殺したが、
矢鱈
(
やたら
)
無性
(
むしょう
)
に腹が空いた。
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼女もやはり、誰も知らないあのお伽噺のおかげを
蒙
(
こうむ
)
っていたからでした。今は彼女も、敷蒲団は二枚あるし、枕も二つ持っています。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
その後出雲氏は蘇我氏に出入し多くの
寵
(
ちょう
)
を
蒙
(
こうむ
)
ったが、蘇我氏亡びて親政となるや
冗官
(
じょうかん
)
を廃する意味において
忽
(
たちま
)
ち官途を止められた。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
金堂と講堂は、奈良朝以後屡々の災禍を
蒙
(
こうむ
)
り、現存の御堂は後代の再建になるものだから、
古
(
いにしえ
)
の結構はむろんうかがうことは出来ない。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
劇場がしばしば風紀の
紊乱
(
びんらん
)
と衣裳の華美なるにつきて禁制を
蒙
(
こうむ
)
りしもこの時代にして、江戸平民の文化は刻々円熟の期に達せんとせり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
病気によっては薬を飲まないでも食物療法ばかりで癒る種類が沢山あります。
如何
(
いか
)
なる病気も食物の影響を
蒙
(
こうむ
)
らないものはありません。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
年代が違ううえに老人の遊びは江戸仕込みだから、福山の青年たちには迷惑なことが多く、二度か三度つきあうとたいてい御免を
蒙
(
こうむ
)
った。
明暗嫁問答
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それで、こういう罪過の行われるところでは大概教師の方が主な
咎
(
とが
)
を
蒙
(
こうむ
)
らなければならない。学級の出来栄えは教師の能力の尺度になる。
アインシュタインの教育観
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
それだからいう事は余り大した事ではありません。が、もう少しの間、
極
(
ご
)
く
雑
(
ざっ
)
としたところを御話して御免
蒙
(
こうむ
)
る事にしましょう。
模倣と独立
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
謹啓、厳寒の
砌
(
みぎ
)
り愈〻
御清穆
(
ごせいぼく
)
に
渉
(
わた
)
らせられ大慶の
至
(
いたり
)
に存じ上げます。毎々多大の御厚情を
蒙
(
こうむ
)
り有難一同深く感謝致して居ります。
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
また、二十世紀の科学的文明が世界の幾千の都会に光りと色彩の美観を添え、益々繁華ならしめんとする余沢も
蒙
(
こうむ
)
っていない。
夕暮の窓より
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
また
他
(
ほか
)
の書生がこんな事に出会ったりなどして、
如何
(
いか
)
にも気味が
悪
(
わ
)
るかったから、
安値
(
やす
)
くってよかったが、とうとう御免
蒙
(
こうむ
)
ったのであった。
怪物屋敷
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
何
(
いず
)
れにもせよ、彼は賊の罠に陥り自由を奪われてしまったものに相違ない。ひょっとしたら、それ以上の危害をさえ
蒙
(
こうむ
)
っているかも知れぬ。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
芭蕉の秋風の句は世間にて往々過賞を
蒙
(
こうむ
)
れども、こは口は
禍
(
わざわい
)
の門といへる極めて陳腐なる理窟を十七字に並べたるに過ぎず。
俳句の初歩
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
あたかも鎖国時代の事で、外国の影響は少しも
蒙
(
こうむ
)
らないで発達しましたから、西欧人が珍重して研究するはずだと思います。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
彼の、特異な性格、偽悪病患者であることが、実に都合がよい。彼こそは、冤罪を
蒙
(
こうむ
)
らせるに、最も適切な男だったのだ。
偽悪病患者
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
日本にだって一人位いはさような影響を
蒙
(
こうむ
)
る画家が出ても差支えなかろうとは思うが、実は宅の先生はまだ自転車にも乗れないのだから残念だ。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
この災害を
蒙
(
こうむ
)
って若し死なば富士諸共だ。灰、石の降る中に在って慧鶴の覚悟はだんだんこういう風に神秘化して来た。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
欧州で中古盛んに読まれた教訓書『ゲスタ・ロマノルム』一三九譚に、アレキサンダー王大軍を率いある城を囲むに、将士多く
創
(
きず
)
を
蒙
(
こうむ
)
らずに死す。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
御免を
蒙
(
こうむ
)
り
序
(
ついで
)
にモット手近いところで人間諸君の赤恥を
突
(
つっ
)
つき出して、是非とも一つ腹を立てさせて進ぜる事にしよう。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
デカが
跟
(
つ
)
いて来る。ピンは一昨夜子を生んだので、
隣家
(
となり
)
の前まで見送って、御免を
蒙
(
こうむ
)
った。朝来の雨は止んで、日が出たが、田圃はまだ路が悪い。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
蒙
(
こうむ
)
りましょう、
憚
(
はゞか
)
りながら私しは其様な馬鹿でも無ければ嘘つきでも
有
(
あり
)
ません自分の言う事くらいは心得て
居
(
おり
)
ますから
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
それで
甚
(
はなは
)
だ迷惑であるからご免を
蒙
(
こうむ
)
りたいといって再三辞退を申したけれども、
是非
(
ぜひ
)
何か述べる様にというので
不肖
(
ふしょう
)
を
顧
(
かえり
)
みず一言述べようと思います。
国民教育の複本位
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
『モー
結構
(
けっこう
)
でございます。』
覚
(
おぼ
)
えずそう
言
(
い
)
って
御免
(
ごめん
)
を
蒙
(
こうむ
)
って
了
(
しま
)
いましたが、この
事
(
こと
)
は
大
(
たい
)
へん
私
(
わたくし
)
の
心
(
こころ
)
を
落
(
おち
)
つかせるのに
効能
(
ききめ
)
があったようでございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
此の豪快な
赤髯
(
あかひげ
)
詩人も、自己の作品の中に於てなら、友情が家庭や妻のために
蒙
(
こうむ
)
らねばならぬ変化を充分冷静に観察できた筈だのに、今、実際眼の前で
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
口惜しい一方で、もしこんなことが
公
(
おおやけ
)
の
沙汰
(
さた
)
にでもなろうものなら、どんなお
咎
(
とが
)
めを
蒙
(
こうむ
)
るかも判らないと思った。
山寺の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
千円くれると言ったら、誰かそれでも暗い処へ一日来る気は有るか、この
評定
(
ひょうじょう
)
が囚人の間で始まった時、一人として御免を
蒙
(
こうむ
)
ると答えない者はなかった。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
私がこの作品の仰せを
蒙
(
こうむ
)
りましたのは、今から実に二十年もの昔のことで、それはその当時宮中に奉仕しておられました
三室戸
(
みむろど
)
伯爵を経てでございました。
あゝ二十年:やっと御下命画を完成した私のよろこび
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
都合よく御開帳に出っくわせなかったろう、とこしなえにこのままの姿で置きたいものだ、とかくに浮世の
仮飾
(
かしょく
)
を
蒙
(
こうむ
)
ってない
無垢
(
むく
)
の
爾
(
なんじ
)
を、自分は絶愛する。
穂高岳槍ヶ岳縦走記
(新字新仮名)
/
鵜殿正雄
(著)
それだけ又我々の生活もお
蔭
(
かげ
)
を
蒙
(
こうむ
)
るのだから、一概に戦争に反対したって始まらない、その限りで利用しなければならない、そういうのが彼等の意見だった。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
分けても君の御寵愛を
蒙
(
こうむ
)
っていらっしゃいましたのは、若君仙千代丸さまの御母上、おわこの前と申すお方。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
恐らくは、かつて御勘気を
蒙
(
こうむ
)
っていたからというよりは、彼が家隆と組んで行うには余りに関東への結びつきが強くなりすぎておったためだったかも知れぬ。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
“蒙”の意味
《名詞》
(モウ)道理を知らないこと。無知なこと。
(出典:Wiktionary)
蒙
漢検準1級
部首:⾋
13画
“蒙”を含む語句
蒙古
蒙求
御免蒙
蒙塵
童蒙
蒙古刀
蒙古人種
蒙古王
戯場訓蒙図彙
蒙昧
啓蒙
旧阿蒙
愚蒙
呂蒙
蒙古犬
啓蒙的
蒙々
免蒙
本草綱目啓蒙
蒙古襲来
...