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総
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ふさ
ふりがな文庫
“
総
(
ふさ
)” の例文
旧字:
總
いづれも模造の品物を並べた
後
(
うしろ
)
一面、金砂子の鳥の子紙を張つた仕切壁に、紅葉山人の俳句短冊二枚を入れた
総
(
ふさ
)
つきの雲板をつり
下
(
さ
)
げ
来訪者
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
で、私は後へ
引退
(
ひききが
)
った。ト娘の挿した
簪
(
かんざし
)
のひらひらする、美しい
総
(
ふさ
)
越しに舞台の見えるのが、花輪で額縁を取ったようで、それも
可
(
よし
)
さ。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
たとえば「雀の毛槍」などは、私等が
抽
(
ぬ
)
いて
弄
(
もてあそ
)
んだのは、もっと茎が長々として花の
総
(
ふさ
)
が大きく、絵にある行列のお供の槍とよく似ていた。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
やさしいニンフ達は、波打った
羽毛
(
はね
)
の黒い
総
(
ふさ
)
のついた兜を、いつでもパーシウスの頭にかぶらせることが出来るように、用意していました。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
それから猫に赤い首玉を入れて鈴をつけて、女の襟と袖口と帯とに赤い線を少し引いて、頭には
総
(
ふさ
)
のついた
釵
(
かんざし
)
を一本
着
(
つ
)
けた。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
▼ もっと見る
門の外に、八重桜の老木があって、ふっくりとした
総
(
ふさ
)
のような花を
揉付
(
もみつ
)
けるようにつけていた。お力がその下まで来た時
甲州鎮撫隊
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
勤行
(
ごんぎょう
)
の時間には、柄の曲がった
籐杖
(
とうづえ
)
にもたれて、黒い線と銀の
総
(
ふさ
)
のある白い腕章をつけ、教会堂の入り口に見張りをしてる、彼の姿が見受けられた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
最初の朝、金の
総
(
ふさ
)
のついた帽子をかぶせられて、おばあさんに伴われながら、私はその幼稚園の門の前まで行った。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「酒はおれたちで造るんでどっさりある。それに帽子はすじの入った
総
(
ふさ
)
つきのでも女たちがこさえてくれる。」
イワンの馬鹿
(新字新仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
丈
(
たけ
)
は一尺ばかり、細く裂いた布が、
総
(
ふさ
)
のように上から垂れ下り、それがほとんど丸い形にまでふくれている。
陸中雑記
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
晩飯に私は海産の
蠕
(
ぜん
)
虫——我国の
蚯蚓
(
みみず
)
に似た本当の蠕虫で、只すこし大きく、一端にある
総
(
ふさ
)
から判断すると
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
蝶蝶のやうに飛びあがり飛びくだるお手玉といつしよにお蕙ちやんの顔がうなづくたんびに紅白だんだらに染めた簪の
総
(
ふさ
)
が
蟀谷
(
こめかみ
)
のあたりにはらはらとみだれる。
銀の匙
(新字旧仮名)
/
中勘助
(著)
戦争の気配もないのに、大砲の音が遠くで
聴
(
きこ
)
え、城壁の
周囲
(
まわり
)
に立てた支那の旗が、青や赤の
総
(
ふさ
)
をびらびらさせて、青竜刀の列と一所に、無限に沢山連なっていた。
日清戦争異聞:(原田重吉の夢)
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
三つ輪に結つて
総
(
ふさ
)
の
下
(
さが
)
つた
被布
(
ひふ
)
を着るお
妾
(
めかけ
)
さまに相違は無い、どうしてあの顔で仕事やが通せる物かとこんな事をいつてゐた、己れはそんな事は無いと思ふから
わかれ道
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
マタイ伝九の二〇、ルカ伝八の四四には「
御衣
(
みころも
)
の
総
(
ふさ
)
」とあります。ユダヤ人の上衣には四隅に総がつけてありました(民数紀略一五の三八、マタイ伝二三の五参照)
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
◎赤い
総
(
ふさ
)
のついた防寒帽をかぶって蒙古少年が歩いてる。蒙古人の居るところ目立って野犬が多い。
日記:16 一九三〇年(昭和五年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
クロンウェルが二本の
蝋燭
(
ろうそく
)
の一本を吹き消したように、彼はタンブルの殿堂へ行って窓掛けの
総
(
ふさ
)
に難癖をつけた。彼はあらゆることを見、あらゆることを知っていた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
総
(
ふさ
)
で絞った幕の背後に御簾を高く捲き上げられてあったのを、お君は今まで気がつきませんでした。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
或時は高さ三碼にも達する巨大な
総
(
ふさ
)
づきの毬を形つくり、純金の壮麗な箒でもつて蔽はれ、その香芬は、灼熱した太陽の威烈のもとに謂ひ知れぬ歓喜を漲らすのである。
卓上演説
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
それはあたかも古い腐った棺桶に
金鍍金
(
きんめっき
)
をして、新しい灰色の
総
(
ふさ
)
で飾られたようなものであった。
世界怪談名作集:14 ラザルス
(新字新仮名)
/
レオニード・ニコラーエヴィチ・アンドレーエフ
(著)
阿父さんの小ボブは襟巻を、
総
(
ふさ
)
を除いて少くとも三尺はだらりと下げて、時節柄見好いように継ぎを当てたり、ブラシを掛けたりした、擦り切れた服を身に着けていた。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
にわかに
総
(
ふさ
)
の長い
珠数
(
じゅず
)
に持ちかえ、父母にもすすめて、朝夕お題目をあげて、父母は何の事かわからぬが子供に甘い親なので、とにかく次郎右衛門の言いつけどおりに
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
人のこころの
縒総
(
よりふさ
)
、まことと嘘、芝居と生地、その中のたった一筋を取出してこれぞそのしんと保証してみたところで
総
(
ふさ
)
の正体の説明になるわけのものではありません。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
風
(
かぜ
)
は
少
(
すこ
)
し
吹
(
ふ
)
いて
居
(
お
)
りましたが、
空
(
そら
)
には一
点
(
てん
)
の
雲
(
くも
)
もなく、五六
里
(
り
)
もあろうかと
思
(
おも
)
わるる
広
(
ひろ
)
い
内海
(
いりうみ
)
の
彼方
(
かなた
)
には、
総
(
ふさ
)
の
国
(
くに
)
の
低
(
ひく
)
い
山々
(
やまやま
)
が
絵
(
え
)
のようにぽっかりと
浮
(
うか
)
んで
居
(
お
)
りました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
頬には一束の毛が
総
(
ふさ
)
のように
叢
(
むら
)
がっている。
髭
(
ひげ
)
は白く太い。——しかしその
獰猛
(
どうもう
)
さを一番に語っていそうなのは、しなやかな丸太棒とでもいいたいようなその四肢だった。
黒猫
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
電燈は
総
(
ふさ
)
になったり大きなたばになったりして、空中いたるところから萌え出ながら、昼よりもずっと明るい、稀薄な、
金色
(
こんじき
)
の神々しい光を広間いっぱいにふるわせている。
神童
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
外国の小説らしい本が半ば開けられて、そこにちやんと赤い
総
(
ふさ
)
のついた
枝折
(
しをり
)
が挟んであつた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
ヴィオロオヌは、古靴をひっかけ、
一時
(
いっとき
)
寝台の間をうろつき廻る。こっちでは一人の生徒の足をくすぐってみたり、あっちでは、もう一人の生徒の
頭巾
(
ずきん
)
の
総
(
ふさ
)
をひっぱったりする。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
飾りに
垂
(
た
)
らしている二、三列の長い
総
(
ふさ
)
によって特に不快な印象を強く与えるものだった。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
苦力頭は軍隊使用の苦力らの取締役のようなもので、胸には
徽章
(
きしょう
)
をつけ、手には紫の
総
(
ふさ
)
の付いている
鞭
(
むち
)
を持っている。丁のような人の眼にも、それが
羨
(
うらや
)
ましく見えたのであろう。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そこで再び旅籠を下してやると、今度は重く、やうやく引上げてみると、殿様は片手に縄をしつかとおさへてドッコイショと上つてきて、片手には平茸を三
総
(
ふさ
)
ほどぶらさげてゐる。
土の中からの話
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
段々引裂かれて半分近くまでも
斜
(
はす
)
に
削掛
(
けずりかけ
)
のように
総
(
ふさ
)
が
下
(
さが
)
ってる帯を平気で締めていた。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
ところへまたも、一群の正規兵が、
隊伍
(
たいご
)
粛々
(
しゅくしゅく
)
と、目の前を通りすぎた。
総
(
ふさ
)
つきの立て槍を持った騎馬隊と鉄弓組の中間には、雪白の馬に
跨
(
また
)
がった
眉目
(
びもく
)
するどい一壮士の姿が見えた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今それを学名で書けば Brassica oleracea L. var. botrytis L. である。(botrytis とは群集して
総
(
ふさ
)
をなしている状を示す語)
植物一日一題
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
予
(
あらかじ
)
め訪問日を問合さず突然に来た事を謝して取次を頼んで居ると、
細
(
ほそ
)
やかな姿の少し
白髪
(
しらが
)
のある四十五六歳の婦人が、薄鼠色の服を着て
黄金
(
きん
)
の
総
(
ふさ
)
の
下
(
さが
)
つた小さな
手提革包
(
てさげかばん
)
を持ち
乍
(
なが
)
ら
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
其の葉の隙から時々白く、殆ど銀の
斑点
(
はんてん
)
の如く光って見える空。地上にも所々倒れた巨木が道を拒んでいる。
攀上
(
よじのぼ
)
り、垂下り、絡みつき、
輪索
(
わな
)
を作る
蔦葛
(
つたかずら
)
類の
氾濫
(
はんらん
)
。
総
(
ふさ
)
状に盛上る蘭類。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
入口に掛けたる厚き幕は
総
(
ふさ
)
に絞らず。長く垂れて床をかくす。かの足音の戸の近くしばらくとまる時、垂れたる幕を二つに裂いて、髪多く
丈
(
たけ
)
高き一人の男があらわれた。モードレッドである。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
縁
(
ふち
)
に大きい花模様があって、金糸銀糸の
総
(
ふさ
)
を垂れている真っ紅な
緞子
(
どんす
)
の窓掛けをかかげて私は美しい死人をうかがうと、彼女は手を胸の上に組み合わせて、十分にからだを伸ばして寝ていました。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
鶴をとらえた鷹はその功によって紫の
総
(
ふさ
)
をつけて隠居させる規定。
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
私の頭の上でふは/\と
総
(
ふさ
)
がさばけるのを感じようとして、
態
(
わざ
)
と頭を振つて歩いて見たりした。京言葉を使ふのにも、さして気まり悪くなくなつた。塩風に吹かれて黒かつた顔色も幾らか白くなつた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
赤い
総
(
ふさ
)
ある
天鵞絨
(
びろおど
)
の帽子を
測量船
(新字旧仮名)
/
三好達治
(著)
黄金
(
きん
)
の
総
(
ふさ
)
で
埋
(
うづ
)
まり
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
と、お珊が二度ばかり勧めたけれども、
騒立
(
さわぎた
)
つらしい胸の響きに、烏帽子の
総
(
ふさ
)
の揺るるのみ。美津は
遣瀬
(
やるせ
)
なげに手を控える。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一ツ橋の校舎は制帽に赤い
総
(
ふさ
)
また白い総を下げた小学校の生徒の年々増加する為
悉
(
ことごと
)
くその教室に当てられたのだ。
木犀の花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
また
埃
(
ほこり
)
もはいった。羊の毛みたいに大きな
総
(
ふさ
)
をなした埃もあった。しかし彼はそんなものに気を留めなかった。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
私などもまだ
播州
(
ばんしゅう
)
にいたころ、大きな
西洋釘
(
せいようくぎ
)
に紙の
総
(
ふさ
)
を附けたものを、地面に
打付
(
うちつ
)
けているのを見たことがあるが、
危
(
あぶな
)
いといって持つことを許されなかった。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
船首
(
へさき
)
に竜の
彫刻
(
ほりもの
)
がある。その先から
総
(
ふさ
)
が下がっている。月光に照らされて朦朧と見える。魔物のように速い速い。六人が櫂を漕いでいる。一人が梶を握っている。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
初々
(
ういうい
)
しき大嶋田結ひ綿のやうに絞りばなしふさふさとかけて、
鼈甲
(
べつかう
)
のさし込、
総
(
ふさ
)
つきの花かんざしひらめかし、何時よりは
極彩色
(
ごくざいしき
)
のただ京人形を見るやうに思はれて
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
頂きはしばしば四つの
総
(
ふさ
)
で飾られてある。糸かがりが面白いのみか、笠の裏側がまた美しい。色々な布で色々な形の裏をつける。皆
綿入
(
わたいれ
)
で裁縫の
手並
(
てなみ
)
をここでも見せる。
陸中雑記
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
凡
(
すべ
)
てその
所作
(
しわざ
)
は人に見られん為にするなり、即ちその
経札
(
きやうふだ
)
を幅ひろくし、
衣
(
ころも
)
の
総
(
ふさ
)
を大きくし、
饗宴
(
ふるまひ
)
の上席、会堂の上座、市場にての敬礼、また人にラビと呼ばるることを好む。
如是我聞
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
総
常用漢字
小5
部首:⽷
14画
“総”を含む語句
上総
総身
下総
総領
総角
上総介
総督
総毛立
総々
総括
総追捕使
総計
総帥
総髪
総出
総立
下総国
総代
総崩
安房上総
...