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けちえん
ふりがな文庫
“
結縁
(
けちえん
)” の例文
(玉日、そなたはわしに救われ、わしはそなたに救われた、この
結縁
(
けちえん
)
から、わしら夫婦は、何を生まねばならないか)といおうか。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
建久
(
けんきゅう
)
九年十二月、
右大将家
(
うだいしょうけ
)
には、
相模川
(
さがみがわ
)
の橋供養の
結縁
(
けちえん
)
に
臨
(
のぞ
)
んだが、その帰途馬から落ちたので、供養の人びとに助け起されて
館
(
やかた
)
へ帰った。
頼朝の最後
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
問題はしげくまた末遠く、とてもその一端を究めるだけの、時すらもここには無さそうに思われるが、念ずるということもまた
結縁
(
けちえん
)
である。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
垂しより
已來
(
このかた
)
本尊
(
ほんそん
)
現化
(
げんげ
)
の秋の月は
照
(
てら
)
さずと云所も無く
眷屬
(
けんぞく
)
結縁
(
けちえん
)
の春の
花
(
はな
)
薫
(
かをら
)
ずと云ふ袖も
無
(
な
)
し
方便
(
はうべん
)
の
門
(
かど
)
には罪有る者を
罰
(
ばつ
)
し
難
(
がた
)
く
抑々
(
そも/\
)
義長の
品行
(
おこなひ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
再び人間と人間とを結合させ、人間と自然とを
結縁
(
けちえん
)
せしめねばならぬ。二つの事実が一層私のこの思想に根拠を投げる。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
▼ もっと見る
「今日は是非行かねばならん用事があるのだ。そうもして居られない。だが、そう聴いた以上は素通りもなるまい。せめて
結縁
(
けちえん
)
のしるしなりと、どれ」
茶屋知らず物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
今の
時世
(
ときよ
)
に、またとない
結縁
(
けちえん
)
じゃに因って、半日も早うのう、その
難有
(
ありがた
)
い人のお姿拝もうと思うての、やらやっと重たい腰を
引立
(
ひった
)
てて出て来たことよ。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
例へば
結縁
(
けちえん
)
の説教を聽きに行つた日の暑さの描寫なぞも、今までよりはつきりと感じられるであらうと思ふ。
桃の雫
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
高源寺の住職の夢に地蔵尊があらわれて、我れは寺内の墓地の隅にあって、土中に埋めらるること二百余年、今や
結縁
(
けちえん
)
の時節到来して人間に出現することとなった。
半七捕物帳:66 地蔵は踊る
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
しかし、僕は敵国人の行動を報告すべき重大任務を有するし、又
迚
(
とて
)
も脱走が成功するとは思わない。今は少しでも彼女と魂を
相
(
あい
)
倚
(
よ
)
せて、未来の
結縁
(
けちえん
)
を祈るばかりだ。
壊れたバリコン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
広沢は自分の書いた物で、仏様に
結縁
(
けちえん
)
が出来る事なら、こんな結構な事は無からうと思つて、
安受合
(
やすうけあひ
)
に
引請
(
ひきう
)
けた。そして
僧侶
(
ばうず
)
を待たせておいて直ぐその場で書き出した。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
法然が亡くなった後は
善恵房
(
ぜんえぼう
)
を頼んでいたが、
結縁
(
けちえん
)
の為めに四帖の疏の文字読みばかりを受け
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
かくの如きの物語、
六道
(
りくどう
)
の
巷
(
ちまた
)
を
娑婆
(
しゃば
)
にあらはし、
業報
(
ごっぽう
)
の
理趣
(
ことわり
)
を眼前に転ず。聞く
煩悩即菩提
(
ぼんのうそくぼだい
)
、
六塵即浄土
(
ろくじんそくじょうど
)
と、呉家祖先の冥福、
末代正等正覚
(
まつだいしょうとうしょうがく
)
の
結縁
(
けちえん
)
まことに
涯
(
かぎり
)
あるべからず。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
十一二位から
頭髪
(
あたま
)
を
剃
(
す
)
って出家になるのも仏の
結縁
(
けちえん
)
が深いので、誠に善い御因縁で、
通常
(
なみ
)
の人間で居ると悪い事
許
(
ばか
)
りするのだが、
斯
(
こ
)
う遣って小さい内から寺へ這入ってれば
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
弥陀の像有り浄土の図ある者は、
礼敬
(
らいきょう
)
せざるなく、道俗男女、極楽に志す有り、往生を願う有る者は、
結縁
(
けちえん
)
せざる
莫
(
な
)
し、と云って居るから、四十以後、道心日に募りて
已
(
や
)
み難く
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
さすれば上高地の小峡谷は、日本アルプスの順礼のためには、
結縁
(
けちえん
)
の大道場である。
上高地風景保護論
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
当家においては御両家の
結縁
(
けちえん
)
のためにこそ御加勢もいたしつれ、さる不義非情の御加勢は決してできぬこと、
良人
(
おっと
)
に相談するまでもなくその義は堅くお断わり、ときっぱりとはねつけつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
次には北国を廻りましたが、とても、自分のような半出家の者は国々を歩いてどのようなとうとい知識にも逢い、
結縁
(
けちえん
)
をも願い、そのあいだには名所舊跡を見て胸のうちを慰めよう、それにまた
三人法師
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
しかしながら自分はでき得るかぎり多くの隣人と
結縁
(
けちえん
)
したい。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
浅からぬ随喜
結縁
(
けちえん
)
の思いをなしたとある。
東山時代における一縉紳の生活
(新字新仮名)
/
原勝郎
(著)
春のひと夜の
結縁
(
けちえん
)
に
招
(
せう
)
ぜむ杖と
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
結縁
(
けちえん
)
は
疑
(
うたがい
)
もなき花盛り
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
否、工藝と模様とには離れ得ない
結縁
(
けちえん
)
があると云ってよい。否、模様化された世界に工藝が活きるとさえ云ってよい。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
さて、おなご衆さん、わしはゆうべ持っとる金をすっかり
費
(
つか
)
い果した。今朝の朝飯代が無い。あんたの仏道の
結縁
(
けちえん
)
にもなる事だから、この旅僧に一飯供養しなさい
とと屋禅譚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
麓
(
ふもと
)
の西明寺の
庫裡
(
くり
)
の棚では、大木魚の下に敷かれた、女持の
提紙入
(
ハンドバック
)
を見たし、続いて、
准胝観音
(
じゅんでいかんのん
)
の
御廚子
(
みずし
)
の前に、菩薩が
求児擁護
(
ぐうじようご
)
の
結縁
(
けちえん
)
に、紅白の腹帯を据えた三方に
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
道中にも片足満足な
草鞋
(
わらじ
)
は
捨
(
すて
)
ぬくらい
倹約
(
つましく
)
して居るに、
絹絞
(
きぬしぼり
)
の
半掛
(
はんがけ
)
一
(
ひ
)
トつたりとも
空
(
あだ
)
に恵む事難し、さりながらあまりの慕わしさ、忘られぬ殊勝さ、かゝる
善女
(
ぜんにょ
)
に
結縁
(
けちえん
)
の良き方便もがな
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
法然は重衡卿から贈られた鏡を
結縁
(
けちえん
)
のために贈り遣わしたということである。
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
……しかし
弟
(
おとと
)
、この善信は遠国へ流さるるとても、決して、悲しんでたもるまい。念仏
弘世
(
ぐせ
)
のため、
衆生
(
しゅじょう
)
との
結縁
(
けちえん
)
のため、御仏の
告命
(
こくみょう
)
によって、わしは立つのだ。
教化
(
きょうげ
)
の旅立ちと思うてよい
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
前世に佛法の
結縁
(
けちえん
)
があればこそ人とも生れたのだろうが、たま/\人間を受けた時に佛の道を修行して善人とまではならなくとも、せめて世の中の
情
(
なさけ
)
をでも知っていることか、こんな大悪人になって
三人法師
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
したがって「民藝品たること」と「美しい作たること」とには堅い
結縁
(
けちえん
)
があるのです。これに反し貴族的な品が美しい作となるのは極めて困難なのです。
民芸とは何か
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
真個
(
まこと
)
に、ああいう世に
稀
(
まれ
)
な美人ほど、早く
結縁
(
けちえん
)
いたして
仏果
(
ぶっか
)
を得た
験
(
ためし
)
も
沢山
(
たくさん
)
ございますから。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
寂照が
願文
(
がんもん
)
を作って、母の為めに
法華
(
ほっけ
)
八講
(
はっこう
)
を山崎の宝寺に
修
(
しゅ
)
し、愈々本朝を辞せんとした時は、法輪
壮
(
さか
)
んに転じて、情界
大
(
おおい
)
に風立ち、随喜
結縁
(
けちえん
)
する
群衆
(
ぐんじゅ
)
数を知らず、車馬
填咽
(
てんえつ
)
して四面
堵
(
と
)
を成し
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そして本尊に、御自身の
念持仏
(
ねんじぶつ
)
——胸に
卍
(
まんじ
)
の彫ってある
阿弥陀如来
(
あみだにょらい
)
像をおさめて——今生の
衆生
(
しゅじょう
)
の
結縁
(
けちえん
)
と、来世の
仏果
(
ぶっか
)
のために施与せんというのが、安楽寿院創建の
御願
(
ぎょがん
)
とされるところらしい。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「さあさあ、皆さんや、これから上人様がお手ずからお名号をお授け下さる、
結縁
(
けちえん
)
のお方はこれより一人ずつお通り下さい、お受けになったお方は、あちらからもとのお席へお直りなさるように」
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
工藝の美と民藝との間に固い
結縁
(
けちえん
)
があることを示してくれます。この真理は将来とても変りがないはずです。
民芸とは何か
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
實
(
じつ
)
は
土手
(
どて
)
の
道哲
(
だうてつ
)
に
結縁
(
けちえん
)
して
艷福
(
えんぷく
)
を
祈
(
いの
)
らばやと
存
(
ぞん
)
ぜしが、まともに
西日
(
にしび
)
を
受
(
う
)
けたれば、
顏
(
かほ
)
がほてつて
我慢
(
がまん
)
ならず、
土手
(
どて
)
を
行
(
ゆ
)
くこと
纔
(
わづか
)
にして、
日蔭
(
ひかげ
)
の
田町
(
たまち
)
へ
遁
(
に
)
げて
下
(
お
)
りて、さあ、よし。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
菩提
(
ぼだい
)
の悲願に
結縁
(
けちえん
)
のため
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
才なき者も愚な者も、
悉
(
ことごと
)
くその法界のさ中に活きているのである。それ故この法性に在らば何人も美に居る人以外ではない。拙な者も拙なままで美に
結縁
(
けちえん
)
されているのである。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
結縁
(
けちえん
)
しょう。年をとると
気忙
(
きぜわ
)
しゅうて、片時もこうしてはおられぬわいの、はやくその美しいお姿を拝もうと思うての。それで、はい、お婆さん、えッちらえッちら出て来たのじゃ。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
尽きぬ魅力が私の心を誘う。ここにこそ工藝と模様との裂き得ぬ
結縁
(
けちえん
)
が示されてある。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
其処
(
そこ
)
で自動車の中へ番傘を二本まで、奥の院御参詣
結縁
(
けちえん
)
のため、「御縁日だとこの下で飴を売る奴だね、」「へへへ、お土産をどうぞ。」と世馴れた番頭が真新しい油もまだ白いのを
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
昔から聖人たちが質素な生活と健全な生活とには深い
結縁
(
けちえん
)
があると教えているのを想い起します。贅沢や遊びはとかく悪の原因になることを工藝の世界でも学ぶことが出来るのであります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
如何
(
いかん
)
となれば、
乘客等
(
じようかくら
)
は
爾
(
しか
)
く
身
(
み
)
を
殺
(
ころ
)
して
仁
(
じん
)
を
爲
(
な
)
さむとせし、
此
(
この
)
大聖人
(
だいせいじん
)
の
徳
(
とく
)
の
宏大
(
くわうだい
)
なる、
天
(
てん
)
は
其
(
そ
)
の
報酬
(
はうしう
)
として
渠
(
かれ
)
に
水難
(
すゐなん
)
を
與
(
あた
)
ふべき
理由
(
いはれ
)
のあらざるを
斷
(
だん
)
じ、
恁
(
かゝ
)
る
聖僧
(
せいそう
)
と
與
(
とも
)
にある
者
(
もの
)
は、
此
(
この
)
結縁
(
けちえん
)
に
因
(
よ
)
りて
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
先生様が言わっしゃるには、伝もない、
教
(
おしえ
)
もない。
私
(
わし
)
はどうした
結縁
(
けちえん
)
か、その
顔色
(
かおつき
)
から
容子
(
ようす
)
から、野中にぼんやり立たしましたお姿なり、心から地蔵様が気に入って、
明暮
(
あけくれ
)
、地蔵、地蔵と念ずる。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“結縁”の意味
《名詞》
結縁(けちえん、けつえん)
仏・菩薩が衆生を救うため手を差し伸べて縁を結ぶこと。
衆生が仏道に入る縁を結ぶこと。
関係を持つこと。
(出典:Wiktionary)
結
常用漢字
小4
部首:⽷
12画
縁
常用漢字
中学
部首:⽷
15画
“結縁”で始まる語句
結縁経
結縁経供養