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爪先
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つまさき
ふりがな文庫
“
爪先
(
つまさき
)” の例文
其所
(
そこ
)
は栃木県下の
発光路
(
ほっこうじ
)
という処です。
鹿沼
(
かぬま
)
から三、四里奥へ
這入
(
はい
)
り込んだ処で、段々と
爪先
(
つまさき
)
上がりになった一つの山村であります。
幕末維新懐古談:73 栃の木で老猿を彫ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
われわれの子供時代に感じさせられたように頭の頂上から足の
爪先
(
つまさき
)
まで突き抜けるような鋭い神秘の感じはなくなったらしく見える。
化け物の進化
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
田鶴子が
爪先
(
つまさき
)
を伸ばして、屋形船の上を指先で探っていたのを、帆村は望遠鏡の中で認めた。それだから彼は今、同じことを試みた。
千早館の迷路
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
踵
(
かかと
)
をつけて
爪先
(
つまさき
)
だけ開き、ぴったりそろえた両脚を前へ突き出しながら、黙って身動きもせずに、しゃんと椅子の上にすわっていた。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
パジョオルは、母羊の深い毛をかき分けて、
爪先
(
つまさき
)
で、一匹の、黄色い、丸い、肥った、満腹らしい、すごく大きなダニをつかまえた。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
▼ もっと見る
一人は細い
杖
(
つえ
)
に
言訳
(
いいわけ
)
ほどに身をもたせて、
護謨
(
ゴム
)
びき靴の右の
爪先
(
つまさき
)
を、
竪
(
たて
)
に地に突いて、左足一本で細長いからだの中心を
支
(
ささ
)
えている。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
親指の
爪先
(
つまさき
)
から、
弾
(
はじ
)
き落すようにして、きーんと畳の上へ投げ出した二
分金
(
ぶきん
)
が一枚、
擦
(
す
)
れた
縁
(
へり
)
の間へ、
将棋
(
しょうぎ
)
の駒のように突立った。
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
逃げ出した足跡なら、
爪先
(
つまさき
)
に力が入つて深くめり込んで居る筈なのに、あの足跡は爪先が輕くて
踵
(
かゝと
)
の方が深くめり込んで居ますよ。
銭形平次捕物控:217 歎きの幽沢
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
直ぐその家に眼を
与
(
や
)
ったのであるが、
花崗岩
(
みかげいし
)
らしい大きな石門から、
楓
(
かえで
)
の
並樹
(
なみき
)
の間を、
爪先
(
つまさき
)
上りになっている玄関への道の奥深く
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それにたたずんでいるのに足が
爪先
(
つまさき
)
からだんだんに冷えて行って、やがて
膝
(
ひざ
)
から下は知覚を失い始めたので、気分は妙に
上
(
うわ
)
ずって来て
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
こころみに、手近の一人をとって観察するに、頭から足の
爪先
(
つまさき
)
まで、一枚の黒い布に包まれているのだ。手も
脚
(
あし
)
も黒いだぶだぶの袋だ。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「どうしたね
勘次
(
かんじ
)
、
恁
(
か
)
うして
連
(
つ
)
れて
來
(
こ
)
られてもいゝ
心持
(
こゝろもち
)
はすまいね」といつた。
藁草履
(
わらざうり
)
を
穿
(
は
)
いた
勘次
(
かんじ
)
の
爪先
(
つまさき
)
に
涙
(
なみだ
)
がぽつりと
落
(
お
)
ちた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
白地に星模様の
竪
(
たて
)
ネクタイ、
金剛石
(
ダイアモンド
)
の
針留
(
ピンどめ
)
の光っただけでも、
天窓
(
あたま
)
から
爪先
(
つまさき
)
まで、その日の
扮装
(
いでたち
)
想うべしで、髪から油が
溶
(
とろ
)
けそう。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
幾分
脛
(
すね
)
と
爪先
(
つまさき
)
に何か故障があるやうだつた。彼はたつた今私が立ち上つたばかりの段々の方へ
跛
(
びつこ
)
をひいて行つて、坐つてしまつたから。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
何の物音も聞こえなかったので、彼はファンティーヌが眠ってるものと思って、そっと室にはいってきて、
爪先
(
つまさき
)
立って寝台に近寄った。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
しかしちょっとでも
隙
(
ひま
)
があると、家にもどって来て、ひそかにはいってゆき、自分の室か屋根裏かに、
爪先
(
つまさき
)
立って上っていった。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そこから
爪先
(
つまさき
)
あがりになつて、やがて細い坂道にかかる。その坂道が、いつの間にやら、真新しいアスファルトに変つてゐた。
ハビアン説法
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
その声は私の机のある窓近くでもあるので、書きものゝ気を散らせるので、
止
(
や
)
めて
貰
(
もら
)
はうと私は靴を
爪先
(
つまさき
)
につきかけて、玄関先へ出てみた。
蔦の門
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
爪先
(
つまさき
)
あがりの
小径
(
こみち
)
を斜めに、山の尾を横ぎって登ると、登りつめたところがつの字崎の背の一部になっていて左右が海である
鹿狩り
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
それから壱岐の島の国分の初丘にあるもの、
爪先
(
つまさき
)
北に向かって南北に十二間、幅は六間で踵のところが二間、これを大の足跡と呼んでいる。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
砂浜はひろいけれど、路となっているものは踏みかためた一本の線である。
爪先
(
つまさき
)
でさぐるようにして用心ぶかく歩いていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
二人はぴったり肩を押しつけるようにして、
爪先
(
つまさき
)
をそろえ、いくらかあらたまったような表情で、何か話しながらそろりそろりと降りて来た。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
津村は車夫を菓子屋の店先に待たして置いて、往来からだらだらと半町ばかり引っ込んだ
爪先
(
つまさき
)
上りの丘の路を、その草屋根の方へ登って行った。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
また
廋
(
かく
)
さんと欲する心を示すものは、目、口、鼻など頭の頂上より足の
爪先
(
つまさき
)
に至るまで、一つとして我々の性質を現す機会とならぬものはない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
爪先
(
つまさき
)
で
立上
(
たちあが
)
り、
菌
(
きのこ
)
の
縁
(
ふち
)
を
殘
(
のこ
)
る
隈
(
くま
)
なく
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
る
中
(
うち
)
、
端
(
はし
)
なくも
其
(
その
)
眼
(
め
)
は
直
(
たゞ
)
ちに
大
(
おほ
)
きな
青
(
あを
)
い
芋蟲
(
いもむし
)
の
眼
(
め
)
と
出合
(
であ
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
廻らんと
桐山
(
きりやま
)
三
甫
(
ほ
)
が見世の
角迄
(
かどまで
)
來りし時足の
爪先
(
つまさき
)
へ引掛る物ありしゆゑ何心なく取上見れば
縮緬
(
ちりめん
)
の
財布
(
さいふ
)
なりしかば町内を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
あっ! と言ったがもう遅かったのです。わたしは
爪先
(
つまさき
)
で歩いて窓にしのび寄って下を見ますと、西村はぺしゃんこになって倒れて死んでいました。
五階の窓:06 合作の六(終局)
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
春もすでに三月のなかばである、木々のこずえにはわかやかな緑がふきだして、
桜
(
さくら
)
のつぼみが輝きわたる青天に向かって
薄紅
(
うすべに
)
の
爪先
(
つまさき
)
をそろえている。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
高さが六尺ぐらいしかない梁だから、小男の庄吉はちょうど
爪先
(
つまさき
)
で立っているように、ほとんど足が床板とスレスレのところで、かすかにゆれていた。
オモチャ箱
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
やがてとうとうわたしは立ち上がって、
爪先
(
つまさき
)
だちでベッドに歩み寄り、着替えもせずに、そっと頭を
枕
(
まくら
)
にのせた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
寺男は両手を深くその中に差入れたり、両足の
爪先
(
つまさき
)
で穴の
隅々
(
すみずみ
)
を探ったりして、小さな
髑髏
(
どくろ
)
を三つと、離れ離れの骨と、腐った
棺桶
(
かんおけ
)
の
破片
(
こわれ
)
とを掘出した。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
風はそよとも吹かぬが、しみるような
寒気
(
さむさ
)
が足の
爪先
(
つまさき
)
から全身を凍らするようで、覚えず
胴戦
(
どうぶる
)
いが出るほどだ。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
女は刃物を投げ
棄
(
す
)
てて泣き出した。両手を顔に押し当てて泣く、
啜
(
すす
)
り泣くたびに頭から
爪先
(
つまさき
)
まで身を
慄
(
ふる
)
わせる。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
三人は川伝いに、
爪先
(
つまさき
)
あがりの狭い道をたどって行きました。町の様子はその後よほど変りましたが、山の色、水の音、それは今もむかしも余り変りません。
鰻に呪われた男
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
私はまるで猛烈な
瘧
(
おこり
)
の発作におそわれたように、頭のてっぺんから足の
爪先
(
つまさき
)
まで、がたがた震えました。
メールストロムの旋渦
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
好きにつかませておいて、お十夜は、ゆるりと右の足を前へ出し、暗い地面を
爪先
(
つまさき
)
で探っていたかと思うと、脱げていた雪踏に足を突ッこんで、固くはきなおした。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その頭を絞るように彼は、薄い
眉
(
まゆ
)
をグット引寄せながら、
爪先
(
つまさき
)
に
粘
(
ねば
)
り付いている赤い泥を
凝視
(
みつ
)
めた。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
爪先
(
つまさき
)
上りの
所所
(
ところどころ
)
には、
赤錆
(
あかさび
)
の線路も見えない程、落葉のたまっている場所もあった。その路をやっと登り切ったら、今度は高い
崖
(
がけ
)
の向うに、広広と薄ら寒い海が開けた。
トロッコ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「それがどうしたんだ」と船長は頭のさきから、足の
爪先
(
つまさき
)
まで、ストキの長さを目で測量した。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
爪先
(
つまさき
)
で立った下肢が、直線的に上体をささえつつ爪先の力とは思えぬほどに優雅に滑って行く。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
中にも薄気味の悪い、最もあくどい奴は口をおッぴろげて笑っていやがる。乃公は頭の
天辺
(
てっぺん
)
から足の
爪先
(
つまさき
)
までひいやりとした。解った。彼らの手配がもうチャンと出来たんだ。
狂人日記
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
道路は
爪先
(
つまさき
)
上がりに高くなって、海岸からだんだんに離れていった。彼は第一のトンネルを越したところから県道を切れて、菜の花の開いている
崖
(
がけ
)
の上の山道を入っていった。
暴風雨に終わった一日
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
千々岩! 彼は浪子の
頭
(
かしら
)
より
爪先
(
つまさき
)
まで
一瞥
(
ひとめ
)
に測りて、ことさらに目礼しつつ——わらいぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
王はそこで王成の鶉を手に持って、
喙
(
くちばし
)
より
爪先
(
つまさき
)
まで
精
(
くわ
)
しく見てしまって、王成に問うた。
王成
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
「女みたいに
内輪
(
うちわ
)
に歩く奴だな」警部の独言に気づくと、成程その足跡は皆
爪先
(
つまさき
)
の方がかかとよりも内輪になっている。ガニ
股
(
また
)
の男には、こんな内輪の足癖が、よくあるものだ。
何者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
爪先
(
つまさき
)
で電話室の硝子戸を突きあけ、「清子さん。電話。」と呼びながら君江は
反身
(
そりみ
)
に振返ってあたりを見廻したが、昼間のことで客はわずかに二組ほど、そのまわりに女給が七
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
お君は、一つ一つの写真について頭から
爪先
(
つまさき
)
まで身のまわりの物の値踏をしはじめた。
栄蔵の死
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
イタリーの
地形
(
ちけい
)
は
長靴
(
ながぐつ
)
のようだとよくいはれてゐることであるが、その
爪先
(
つまさき
)
に
石
(
いし
)
ころのようにシシリー
島
(
とう
)
が
横
(
よこ
)
たはつてをり、
爪先
(
つまさき
)
から
砂
(
すな
)
を
蹴飛
(
けと
)
ばしたようにリパリ
火山群島
(
かざんぐんとう
)
がある。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
リンコルンは応接室に入つて来たが、
室
(
へや
)
の
中央
(
まんなか
)
に突立つてゐる
背高男
(
のつぽ
)
が目につくと、挨拶をする事も忘れて、材木でも見る様に
履
(
くつ
)
の
爪先
(
つまさき
)
から頭に掛けて幾度か見上げ見直してゐる。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
さあこうなると、狐の方では入ることができませぬ。頭は金の帽子、お尻はゴムのふんどし、お臍はゴムの着物、もう頭の天上より足の
爪先
(
つまさき
)
まですきまがないので、大いに困っておりました。
妖怪談
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
“爪先”の解説
爪先(つまさき)とは、動物(特に人)の足の先端部の指がある部分、または足の指の先の部分のことである。英語のtoeからトーとも言う。一本一本の指に着目する場合には足指(あしゆび)という場合もある。
(出典:Wikipedia)
爪
常用漢字
中学
部首:⽖
4画
先
常用漢字
小1
部首:⼉
6画
“爪先”で始まる語句
爪先上
爪先立
爪先下
爪先探
爪先舞踏