“つまさき”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
爪先67.8%
爪尖17.8%
褄先4.8%
爪端2.4%
足尖2.4%
爪頭1.4%
爪前1.0%
前踵部0.5%
褄前0.5%
足先0.5%
(他:2)0.9%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
浴槽ゆぶねの一たん後腦こうなうのせて一たん爪先つまさきかけて、ふわりとうかべてつぶる。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
八五郎は咄嗟とつさに構へを直すと、力任せに、辰三を突いたのです。爪先つまさきは三味線堀の水、間違ひもなく、その水の中に落ちたと思ひきや、
津村は車夫を菓子屋の店先に待たして置いて、往来からだらだらと半町ばかり引っ込んだ爪先つまさき上りの丘の路を、その草屋根の方へ登って行った。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
たとえば歩行の折から、爪尖つまさきを見た時と同じさまで、前途ゆくてへ進行をはじめたので、啊呀あなやと見る見る、二けんげん
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
えりで、つと爪尖つまさきを反らして足を踏伸ふみのばした姿が、真黒まっくろな馬に乗って、蒼空あおぞら飜然ひらりと飛び
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
板のごとくにこわい、黒の筒袖の長外套なががいとうを、せた身体からだに、爪尖つまさきまで引掛ひっかけて、耳のあたりに襟を立てた。
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
雨のあとのみちとの間、あるかなしに、細い褄先つまさきやわらかくしっとりと、内端うちわ掻込かいこんだ足袋たびまって
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
浪路は、今は、髷の根も抜けた——後れ毛は、ほつれかかった。褄先つまさきが乱れて、穿いていたものもくしてしまった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
と、けものの如きおめきをあげ、剣前何ものも無碍むげ、いきなり新九郎の平青眼を踏み割るが早いか、さっと、脳天から褄先つまさきへかけて斬り込んできた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかしたちまちにして一トあしは一ト歩よりおそくなって、やがて立止まったかと見えるばかりにのろく緩くなったあげく、うっかりとして脱石ぬけいし爪端つまさき踏掛ふんがけけたので
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
爪端つまさきの処に、きたない女乞食がだうと許り倒れて居た。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
まず最初に容貌かおだちを視て、次に衣服なりを視て、帯を視て爪端つまさきを視て、行過ぎてからズーと後姿うしろつきを一べつして、また帯を視て髪を視て、その跡でチョイとお勢を横目で視て、そして澄ましてしまう。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
貫一も今は是非無く婦人に従ひて待合所の出会頭であひがしらに、入来いりくる者ありて、その足尖つまさきひしげよと踏付けられぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
しかも、その耶蘇もまた異形いぎょうなもので、首をやや左に傾けて、両手の指を逆にらせて上向きにねじり上げ、そろえた足尖つまさきを、さも苦痛をこらえているかのよう
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
かつて酒量少なく言葉少なかりし十蔵は海と空との世界に呼吸する一年余りにてよく飲みよく語り高く笑いこぶしもて卓をたたき鼻歌うたいつつ足尖つまさきもて拍子取る漢子おとこと変わりぬ。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
ましてお前さんは十四の春ポッと出の山出しの時から、長の年月としつき、この私が婦人おんなの手一ツで頭から足の爪頭つまさきまでの事を世話アしたから、私はお前さんを御迷惑かは知らないが血を分けた子息むすこ同様に思ッてます。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
紺絞りの首抜きの浴衣ゆかたを着て、赤毛布ゲットを引きまとい、身を持て余したるがごとくに歩みを運び、下駄げた爪頭つまさき戞々かつかつこいし蹴遣けやりつつ、流れに沿いて逍遥さまよいたりしが、瑠璃るり色に澄み渡れる空を打ち仰ぎて、
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
年久くかはるる老猫ろうみようおよ子狗こいぬほどなるが、棄てたる雪のかたまりのやうに長火鉢ながひばち猫板ねこいたの上にうづくまりて、前足の隻落かたしおとして爪頭つまさきの灰にうづもるるをも知らず、いびきをさへきて熟睡うまいしたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
上草履うわぞうり爪前つまさき細く※娜たおやかに腰を掛けた、年若き夫人が、博多の伊達巻だてまきした平常着ふだんぎに、おめしこん雨絣あまがすりの羽織ばかり
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
道は爪前つまさきさがりになっていた。
陳宝祠 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
すると、カヴァの中央に、やや小さい円形の力が落ちることになるから、当然その圧し出された水が、上向き括弧かっこ())の形になるじゃないか。また、次に前のあのカヴァ前踵部つまさきで踏むと、今度はそこの形が馬蹄形をしているので、中央より両端に近い方の水が強く飛び出して、それが下向き括弧(()の形になってしまうのだ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
薄い茶と、左右に両方、褄前つまさきを揃えて裾を踏みくぐむようにして、円髷まげと島田の対丈ついたけに、面影白く、ふッと立った
霰ふる (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
じい子供こども二人ふたりは、ガタガタとさむさにからだふるわしていわうえっていますと、足先つまさきまで大波おおなみせてきて、あかくなった子供こどもゆびひたしています。
黒い旗物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
伝さんとおなじの、黒い、麻の着物のしりはしょりをおろして、手ぬぐいで、麻裏草履を穿いて来た足前つまさきをはたいて、上って来て、キチンとお辞儀をした。
この一ちょうのかご、走りは走りだしたものの、先棒の趾先つまさきは、いつまでも、浅草の方角を指してはいないのだ。東南に、急ぐべきを、あべこべに、西北へ、
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
十本あまりの毒刃は、ズ、ズ、ズと、趾先つまさきですり寄る刺客たちと一緒に、二人の前後に押し迫る。それが、二間に足らぬところまで来ると、おのずと止って、シーンとした静寂せいじゃく——死の沈黙。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)