足尖つまさき)” の例文
指頭ゆびさきも、足尖つまさきも、感じがなくなった。何処も一様に真白になって、もう一歩ひとあしも踏み出すことが出来ぬまでに四辺が分らなくなった。
越後の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
跳び上ってハードルを越えると同時に膝を曲げ、手と頭を下へ向けて下り、地へ着くとき掌を開いて両手で地につき、次いで両足の足尖つまさきで地に完全に下りるのでした。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
貫一も今は是非無く婦人に従ひて待合所の出会頭であひがしらに、入来いりくる者ありて、その足尖つまさきひしげよと踏付けられぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
かつて酒量少なく言葉少なかりし十蔵は海と空との世界に呼吸する一年余りにてよく飲みよく語り高く笑いこぶしもて卓をたたき鼻歌うたいつつ足尖つまさきもて拍子取る漢子おとこと変わりぬ。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
その耶蘇もまた異形いぎょうなもので、首をやや左に傾けて、両手の指を逆にらせて上向きにねじり上げ、そろえた足尖つまさきを、さも苦痛をこらえているかのよう、内輪へ極度に反らせているところは……さらに
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
我々は靴を発明したために、非常に足尖つまさきや膝の本来の使い方を忘れてしまった。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)