文芸的な、余りに文芸的な (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
艶妖記:忍術千一夜 第一話 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
奇賊は支払う:烏啼天駆シリーズ・1 (新字新仮名) / 海野十三(著)
およそ船長たるものは、その船をかかる境遇に瀕せしめたる場合にあっては、みずから大いなる責任を負うべきである。
祖国が危険に瀕しているのだ。わが祖国ヨーロッパが——なかんずく君たちの小なる祖国フランスが、危険に瀕している。君たちの無情無感がそれを殺すのだ。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦 (旧字旧仮名) / 押川春浪(著)
彼こそは最も殺される可能性があり、事実その危険に瀕した度数は誰よりも多かったであろう。
武州公秘話:01 武州公秘話 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ただたった一つの場合を除けば、それは即ち、道子が死に瀕して、わが愛人の名を呼んだのではないかという考えであります。ともかく、最大の不利益は被告人の自白です。
そして突然、そんな死に瀕した娘の影像が思いがけない烈しさで私を打った。私はあたかも夢から覚めたかのように何んともかとも言いようのない恐怖と羞恥とに襲われた。
今かんがえてみてさえ何よりも恐ろしいのは、こんなつまらないことのために、危うく破滅に瀕していたことである。危うく自分で自分をほろぼそうとしていたことである。
罪と罰 (新字新仮名) / フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー(著)
不吉の音と学士会院の鐘 (新字新仮名) / 岩村透(著)
すると、この山の、あツち側の急傾斜に瀕したところで、女がこツちの來たのも知らず、松の枝に自分の細帶を結びつけ、その出來た輪につかまつて、今にも首をかけようとしてゐた。
泡鳴五部作:02 毒薬を飲む女 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
今は母の愛母の威光母の恩をもってしてなお死に瀕したる一浪子の愛に勝つあたわざるを見るに及び、わが威権全くおちたるように、その子をば全く浪子に奪い去られしように感じて
近代西洋画が存在の危機に瀕した時に唯一の救済策として日本画の空気を採り入れたのは何故であろう。単に眼先を変えるというような浅薄な理由によるだろうか。自分はそうは思わない。
津田青楓君の画と南画の芸術的価値 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)