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毫
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すこし
ふりがな文庫
“
毫
(
すこし
)” の例文
取調べの結果、机の上には遺書と見るべきものが置かれてあって、他殺らしい形跡が
毫
(
すこし
)
も認められなかったので、翌日埋葬を許可された。
闘争
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
神の台前に出ることに何の関係もないことです、教会の皆様を思ふ私の愛情は、
毫
(
すこし
)
も変はることが出来ないです、
老女
(
おば
)
さんは
何時
(
いつ
)
迄
(
まで
)
も老女さんです
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
両手で
頬杖
(
ほおづえ
)
しながら
匍匐臥
(
はらばいね
)
にまだ
臥
(
ふし
)
たる
主人
(
あるじ
)
、
懶惰
(
ぶしょう
)
にも眼ばかり動かして
一
(
ひ
)
ㇳ
眼
(
め
)
見しが、
身体
(
からだ
)
はなお
毫
(
すこし
)
も動かさず
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
遊女から振られた
腹癒
(
はらい
)
せに
箪笥
(
たんす
)
の中に
糞
(
くそ
)
を入れて来たことなどを実験談のようにして話しているが、まだ、少年の私がいても
毫
(
すこし
)
も邪魔にはならぬらしい。
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
彼
(
かれ
)
は
此
(
こ
)
の
壁
(
かべ
)
もない
小屋
(
こや
)
を
造
(
つく
)
る
爲
(
ため
)
に二
日
(
か
)
ばかりの
間
(
あひだ
)
は
毫
(
すこし
)
も
他
(
た
)
を
顧
(
かへり
)
みる
暇
(
いとま
)
がなかつた
程
(
ほど
)
心
(
こゝろ
)
が
忙
(
いそが
)
しかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
ただ二人、
閨
(
ねや
)
の上に相対し、新婦は
屹
(
きっ
)
と
身体
(
からだ
)
を固めて、端然として坐したるまま、まおもてに良人の
面
(
おもて
)
を
瞻
(
みまも
)
りて、打解けたる
状
(
さま
)
毫
(
すこし
)
もなく、はた恥らえる風情も無かりき。
琵琶伝
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
上略当夜お良は
所夫
(
おつと
)
の身に怪我過ちのあらざるやうにと神に祈り仏に念じ独り心を痛めしが、
軈
(
やが
)
て龍馬は一方を切抜け逃去りしと新撰組の噂を聞き
毫
(
すこし
)
は安心したけれども
千里駒後日譚
(新字旧仮名)
/
川田瑞穂
、
楢崎竜
、
川田雪山
(著)
改め越前守殿何故に天一樣を
似者
(
にせもの
)
と云るゝやと尋ければ越前守
然
(
され
)
ば似者に相違なきは此度將軍へ伺ひしに
毫
(
すこし
)
も
覺
(
おぼえ
)
なしとの御事なれば天一は似者に紛なしと云ふなりと山内是を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
夫はこれほどの
志望
(
こころざし
)
を
担
(
にな
)
うに、
毫
(
すこし
)
も不足のない器量人であると、日頃の苦悩も忘れ果て、夫の挨拶の
辞
(
ことば
)
の終りに共に
恭
(
うやうや
)
しく頭をさげると、あまりの嬉しさに夢中になっていたために
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
則ち今度の土地解放なるものが
毫
(
すこし
)
も小作人の現在組織の行詰まりより来る痛切なる自覚せる欲求に基づいて手放され獲得したる結果でなく、温情的に与へられたる土地であるのだから
狩太農場の解放
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
イヤ許す、
其様
(
そん
)
な事は
毫
(
すこし
)
も
構
(
かま
)
はぬ、トントン
何
(
ど
)
うぢやナ。井上「ア、
何
(
ど
)
うも
痛
(
いた
)
うござります、さう
無闇
(
むやみ
)
にお
叩
(
たき
)
きなすつちやア
堪
(
たま
)
りませぬ。殿「まア
黙
(
だま
)
つて
居
(
を
)
れ、アヽ
是
(
これ
)
は
余程
(
よほど
)
熱
(
ねつ
)
がある。 ...
華族のお医者
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
母の
肉身
(
しんみ
)
の弟ではあつたが、顔に小皺の寄つた、痩せて背の高い母には
毫
(
すこし
)
も
肖
(
に
)
た所がなく、背がずんぐりの、
布袋
(
ほてい
)
の様な腹、
膨切
(
はちき
)
れる程酒肥りがしてゐたから、どしりどしりと歩く
態
(
さま
)
は
刑余の叔父
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
と余計な返答に及んだが、私は
毫
(
すこし
)
もたじろがない。
踊る地平線:06 ノウトルダムの妖怪
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
懸河
(
けんが
)
滔々
(
たう/\
)
たる老女の能弁を
鬚
(
ひげ
)
を弄しつゝ聴き居たる篠田「
老女
(
おば
)
さん、其れは何事ですか、
私
(
わたし
)
には
毫
(
すこし
)
もわかりませぬが」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
然
(
しか
)
し
自分
(
じぶん
)
でも
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
、
自分
(
じぶん
)
の
身
(
み
)
に
變事
(
へんじ
)
の
起
(
おこ
)
らうとすることは
毫
(
すこし
)
も
豫期
(
よき
)
して
居
(
ゐ
)
なかつた。
彼
(
かれ
)
は
圍爐裏
(
ゐろり
)
の
側
(
そば
)
で、
夜
(
よる
)
の
寧
(
むし
)
ろ
冷
(
つめた
)
い
火
(
ひ
)
にあたりながらふと
氣
(
き
)
が
變
(
かは
)
つてついと
庭
(
には
)
へ
出
(
で
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
また、医学の書生の中にも
毫
(
すこし
)
も医学の勉強をせず、当時雑書を背負って廻っていた貸本屋の手から
浪六
(
なみろく
)
もの、
涙香
(
るいこう
)
もの等を借りて朝夕そればかり読んでいるというのもいた。
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
掴
(
つか
)
んで
息絶
(
いきたへ
)
たりお光はほつと
長息
(
といき
)
吐
(
つ
)
き
夜具
(
やぐ
)
かい
退
(
のけ
)
てよく/\見れば全く息は
絶果
(
たえはて
)
て四邊は
血汐
(
ちしほ
)
のから
紅
(
くれな
)
ゐ見るもいぶせき
景状
(
ありさま
)
なり
不題
(
こゝに
)
大藤
(
おほふぢ
)
武
(
ぶ
)
左衞門は娘が出しを
毫
(
すこし
)
も知ず
臥
(
ふし
)
てを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
浮いたところの
毫
(
すこし
)
もない、さればと云つて心鬱した不安の状もなく、悠然として海の廣みに眼を
放
(
や
)
る體度は、雨に曝され雪に撃たれ、右から左から風に
攻
(
せ
)
められて、磯馴の松の偏曲もせず
漂泊
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
それを思うと、君は腹立たしい気になるかも知れぬが、僕は然し、北沢が投書を依頼したという人には
毫
(
すこし
)
も興味を感じなかったのだ。それよりも北沢の
唯一
(
ゆいつ
)
の目的が知りたくてならなかった。
闘争
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
案内して是より直に汝が家へ老衲を連れて行ては呉れぬか、と
毫
(
すこし
)
も
辺幅
(
やうだい
)
を飾らぬ人の、
義理
(
すぢみち
)
明かに言葉
渋滞
(
しぶり
)
なく云ひたまへば、十兵衞満面に笑を含みつゝ米
舂
(
つ
)
くごとく無暗に頭を下げて、
唯
(
はい
)
、唯
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
助七はそれらの事に
毫
(
すこし
)
も心づかず
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「何も
仰
(
おつ
)
しやつて下ださいますな」と篠田は目を閉ぢつ「現社会の基礎に
斧
(
をの
)
を置きつゝある私共が、其の反撃に
逢
(
あ
)
ふのは、
毫
(
すこし
)
も怪むに足らぬことで御座います」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
獨
(
ひと
)
り
爽
(
さわや
)
かな
緑
(
みどり
)
を
與
(
あた
)
へられた
大根
(
だいこん
)
の
葉
(
は
)
も、
幾
(
いく
)
ら
成長
(
せいちやう
)
しても
強
(
つよ
)
く
引
(
ひ
)
き
締
(
し
)
める
晩秋
(
ばんしう
)
の
氣
(
き
)
を
受
(
う
)
けて
地
(
ち
)
にひつゝくやうにして
漸
(
やつ
)
と
斜
(
なゝめ
)
に
廣
(
ひろ
)
がるのみで、
毫
(
すこし
)
でも
高
(
たか
)
く
立
(
た
)
ち
昇
(
のぼ
)
ることを
許容
(
ゆる
)
されて
居
(
を
)
らぬ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
浮いたところの
毫
(
すこし
)
もない、さればと云ツて、心欝した不安の
状
(
さま
)
もなく、
悠然
(
ゆつたり
)
として海の広みに眼を
放
(
や
)
る
態度
(
こなし
)
は、雨に
曝
(
さら
)
され雪に撃たれ、右から左から風に攻められて、磯馴の松の
偏曲
(
ひねくれ
)
もせず
漂泊
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
して見ると
毫
(
すこし
)
も精神異常の徴候はあらわれて居らなかったのであって、そのような時機にはたとい暗示を与えても自殺をせぬというのが僕の説なのだ。ところがそれを狩尾君は人間実験で破ったのだ。
闘争
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
ば爲ん物と朝暮思ひ
消光
(
くらし
)
けるが長三郎は若きに
似氣
(
にげ
)
なく
浮
(
うき
)
たる
意
(
こゝろ
)
は
毫
(
すこし
)
もあらで物見遊山は更にも
言
(
い
)
はず
戸外
(
おもて
)
へ出る事を
嫌
(
きら
)
ひたゞ奧まりたる
一室
(
ひとま
)
に
籠
(
こも
)
り書籍を
繙
(
ひもと
)
き
讀事
(
よむこと
)
を此上もなき
快樂
(
たのしみ
)
と爲しつゝ月日を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
“毫”の意味
《名詞》
ほんのわずか。すこし。
(出典:Wiktionary)
毫
漢検1級
部首:⽑
11画
“毫”を含む語句
寸毫
秋毫
毫光
揮毫
一毫
毫末
白毫
毫釐
毫毛
毫厘
厘毫
白毫寺
釐毫
毛毫
毫髪
毫鍼
霜毫
羽毫
糸毫
一毫毛
...