新鮮しんせん)” の例文
香炉こうろにかいてあるりゅうのいろも、また、ししのすがたも、いきいきとして、新鮮しんせんで、とうてい二千ねんもたつとは、おもえませんでした。
ひすいの玉 (新字新仮名) / 小川未明(著)
四月頃しがつごろには、野茨のばらはなくものです。このにほひがまた非常ひじようによろしい。かぜなどにつれてにほつてると、なんだか新鮮しんせんのするものです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
先づ饅頭笠にて汚水をいだし、さら新鮮しんせんなる温泉をたたゆ、温たかき為め冷水を調合てうごうするに又かさもちゆ、笠為にいたむものおほし、抑此日や探検たんけんの初日にして
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
ういふ理由わけ比較的ひかくてき餘裕よゆうのある百姓ひやくしやうよりも貧乏びんばふ百姓ひやくしやうは十ぶんはやかも數次しば/″\新鮮しんせん蔬菜そさいあぢあふのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
私は家へかへつて来た。家の小路の両側りやうがは桃色もゝいろはなで埋まつてゐた。このたなびくはなの中に病人びやうにんがゐようとは、何と新鮮しんせんな美しさではないか。と私はつぶやいた。
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
同じ時刻じこくに同じ場所を動いているのだが、よく見ると顔ぶれの幾人いくにんかがかわり、そのせいでか、みんなの表情もあたりの木々の新芽しんめのように新鮮しんせんなのに気がつく。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
四 これは田園でんえん新鮮しんせん産物さんぶつである。われらは田園の風と光の中からつややかな果実かじつや、青い蔬菜そさいといっしょにこれらの心象スケッチを世間せけんに提供するものである。
けれども少年はしばらくすると機嫌きげんを取直す。というよりもごみを永くめてはおけない流水のように、新鮮しんせんで晴やかな顔がすぐ後から生れ出て晴やかな顔つきになる。
みちのく (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
むし好奇ものずきではあるが暗夜あんや甲板かんぱんでゝ、暫時しばし新鮮しんせんかぜかれんとわたくしたゞ一人ひとり後部甲板こうぶかんぱんた。
道江は最後まで何か新鮮しんせんな明るい光につつまれたような気持ちで日を過ごした。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
それらのアカシアの花ざかりだった頃は、その道はあんなにも足触あしざわりがやわらかで、新鮮しんせんな感じがしていたのに、今はもう、あちこちに凸凹でこぼこができ、きたならしくなり、何んだかいやなにおいさえしていた。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
あるところに金持かねもちがありまして、毎日まいにち退屈たいくつなものですから、にわとりでもって、新鮮しんせんたまごましてべようとおもいました。
金持ちと鶏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それはさっと琥珀から黄金にかわりまた新鮮しんせんみどりうつってまるで雨よりもしげって来るのでした。
マグノリアの木 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
吸鍔棹ピストンたる器械きかい上下じやうかするにしたがつて、新鮮しんせんなる空氣くうき蒸氣じようきごと一方いつぽう巨管きよくわんから艇内ていない吹出ふきだされ、艇内ていない惡分子あくぶんしは、排氣喞筒はいきぽんぷによつて始終しじゆう艇外ていぐわい排出はいしゆつせられるから
しかし、もうそのときには、つま身体からだ絶対ぜつたいうごかすことが出来なかつた。さうして、ふたゝなつ私達わたしたちの家にめぐつて来た。いちごは庭一めん新鮮しんせんいろを浮べ出した。桜桃あうたうのき垣根かきねらなつた。
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
非常に新鮮しんせんなひびきをもってかれの耳をうつたのである。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
たとえ四おりおりのはなが、たなうえけてあっても、すこしも新鮮しんせんかんじをあたえず、そのいろがあせてえた。
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
小松こまつと林。林の明暗めいあんいろいろの緑。それに生徒せいとはみんな新鮮しんせんだ。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
なるほど、日数ひかずがたつにつれて、雌鳥めんどり毎日まいにちたまごみはじめました。一にちとてやすみなくんだのであります。金持かねもちは、毎日まいにち新鮮しんせんたまごべられるのでよろこびました。
金持ちと鶏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
新鮮しんせんだ。青白い。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
三郎さぶろうあさはやきてボンをれて、空気くうき新鮮しんせんなうちにそと散歩さんぽするのをたのしみとしていました。
少年の日の悲哀 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あたらしいは、また子供こどものように、太陽たいようひかり新鮮しんせん大気たいきうち元気げんきよくびてゆきました。そしてなつのころしろはなき、そのとしれにはっかおもそうにれさがったのであります。
おじいさんが捨てたら (新字新仮名) / 小川未明(著)
自分じぶんは、なぜこんなはななどにやってこずに、ひろ野原のはらへゆかないのだろう? そうすれば、あま新鮮しんせんなみつがたくさんあって、自由じゆうにそれがられるのにとおもったことがあったが、いま、ひろ野原のはら
サーカスの少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)