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挙
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こぞ
ふりがな文庫
“
挙
(
こぞ
)” の例文
旧字:
擧
眼に有らざるは無しであった。村を
挙
(
こぞ
)
って今日の珍客を見物に来ているのと知れた。中には
階子
(
はしご
)
を掛けて軒口から見るのさえあった。
壁の眼の怪
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
孫権は歓んでお迎えしましょうし、われわれ侍側の者も、
挙
(
こぞ
)
って、両国の平和のため、この実現に対して、どんな労でも取りますから
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
以上は名古屋市役所の編纂した『名古屋市史』に由って記した。この事件あってより尾張一藩は
挙
(
こぞ
)
って勤王党に
与
(
くみ
)
することとなった。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
見ると連中は
挙
(
こぞ
)
って鬼や天狗、武者、狐、しおふき等の御面をかむって全くどこの誰とも見境いもつかぬ巧妙無造作な変装ぶりだった。
鬼涙村
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
挙
(
こぞ
)
って
寝刃
(
ねたば
)
を合わせているから、この男一人が出動したからとて、城下の人心の警戒と恐慌は、あえて増しもしないし、減じもしない。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
男たちは
自
(
おのづ
)
から
荒
(
すさ
)
められて、女の
挙
(
こぞ
)
りて
金剛石
(
ダイアモンド
)
に
心牽
(
こころひか
)
さるる
気色
(
けしき
)
なるを、
或
(
あるひ
)
は
妬
(
ねた
)
く、或は浅ましく、多少の興を
冷
(
さま
)
さざるはあらざりけり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
しかし一カ月の後に田原親堅が臼杵に現われたときには、その姉の元宗麟夫人や戦死者の遺族たちが
挙
(
こぞ
)
ってキリスト教を呪う声をあげた。
鎖国:日本の悲劇
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
そのころ彼女たちは一家
挙
(
こぞ
)
って、
蝙蝠傘
(
こうもりがさ
)
の袋や子供洋服や手袋などのミシンかけを内職にしていたが、手間賃が安いので口に追っつけず
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
少なくとも日本民族の理想は、この和して同ぜざるところにあるのです。「国
挙
(
こぞ
)
る大事の前に光あり推古の御代の太子のことば」
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
働き盛りの
壮丁
(
わかもの
)
は国を
挙
(
こぞ
)
って召し上げられ廩米は
兵糧
(
ひょうろう
)
につけ出されて、我々女や老人の口へはそれこそ一粒もはいりはせぬ。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
で、農作は絶え、畜産は滅び、食糧には窮乏して来た。従って、結氷期にでもなると、幌内川を
挙
(
こぞ
)
って南下しかねないという。
橇
(
そり
)
を駆ってだ。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
十月一日に一山
挙
(
こぞ
)
って島々へ下りた。徳本峠の山ふところを埋めていた桂の木の黄葉の立派さは忘れ難い。彼女もよくそれを思い出して語った。
智恵子の半生
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
挙
(
こぞ
)
って
階下
(
した
)
の広間へ
集
(
あつま
)
りましたから、ふとその
中
(
うち
)
の一人かも知れない、……という事で、それは……ありそうな事でした。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
間もなく紅葉の
訃
(
ふ
)
は伝わって、世を
挙
(
こぞ
)
ってこの
比
(
たぐ
)
い少ない天才の
逝
(
ゆ
)
くを痛惜したが、訃を聞くと直ぐ、私は弔問して亡友の遺骸に
訣別
(
わかれ
)
を告げた。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
これはなかなかの
大典
(
だいてん
)
で、法王が位に
即
(
つ
)
く時とかあるいは法王が具足戒を受ける時と同一で、上下
挙
(
こぞ
)
ってパンチェン・リンボチェをラサの市外
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
兄弟がめでたく帰参したときは、新発田藩では、嫡子主膳正
直溥
(
なおひろ
)
の世になっていた。が、君臣は
挙
(
こぞ
)
って、幸太郎兄弟が三十年来の苦節を賛嘆した。
仇討三態
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
文「どういう訳でお前達が
挙
(
こぞ
)
って騒ぎ立てるかは知らぬが、見れば喧嘩のようでもなし、御法を破るからにゃア何か仔細があろう、
何
(
ど
)
うじゃ/\」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
なかでも婚姻は民族を
挙
(
こぞ
)
って、
均
(
ひと
)
しく思い悩まねばならぬ問題であるが故に、特に丁寧に
是
(
これ
)
と彼との交渉の跡を尋ね究めなければならぬのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
全市
挙
(
こぞ
)
って丁重に彼を尊敬し、一八二一年ごろには、モントルイュ・スュール・メールにおいて市長どのという言葉は
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
誰も彼も
挙
(
こぞ
)
って美しからんと努めた揚句は、
天稟
(
てんぴん
)
の体へ絵の具を注ぎ込む迄になった。芳烈な、或は絢爛な、線と色とが其の頃の人々の肌に躍った。
刺青
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
何んとなれば、この事実には日本の学者はもとより世界の学者が
挙
(
こぞ
)
って落第であるからである。私は気遣いでこれを言っているのではけっしてない。
植物一日一題
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
それに有利なことにはほとんど一村
挙
(
こぞ
)
ってこの仕事をする。あるものは
素地
(
きじ
)
を、ある者は轆轤を、ある者は塗を背負う。こんな事情のいいことはない。
陸中雑記
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
まだ他の
顔触
(
かおぶれ
)
も一人二人見えた。一時は塾の連中が
挙
(
こぞ
)
ってそこへ集ったことも有ったが、次第に子安の足も遠くなり、桜井先生もあまり顔を見せない。
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
鴛鴦歌
(
えんおうか
)
をいく篇作ったって始まらないやね。幸いに明治の
今日
(
こんにち
)
に生れたから、天下が
挙
(
こぞ
)
って愛読するのだろうが……
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
人が皆
挙
(
こぞ
)
って邪悪だと見なすようなあらゆる
淫猥
(
いんわい
)
な欲望を、この少年はもっていた。それが突風のように不意にさっと起こってきて、彼をつかみ取った。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
一軍は訳も無く
忻喜雀躍
(
きんきじやくやく
)
した。興世王や玄茂等は将門を勧めた。将門は遂に神旨を戴いた。四陣上下、
挙
(
こぞ
)
つて将門を拝して、歓呼の声は天地を動かした。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
只富貴をもて論ぜば、
信玄
(
しんげん
)
がごとく
智謀
(
はかりごと
)
は
百
(
もも
)
が百
的
(
あた
)
らずといふ事なくて、
一三九
一生の威を三国に
震
(
ふる
)
ふのみ。しかも名将の聞えは世
挙
(
こぞ
)
りて
賞
(
しやう
)
ずる所なり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
建物疎開の勤労奉仕に村の男子が全部動員されていたので、一村
挙
(
こぞ
)
って寡婦となり、その後女房達は村長のところへ
捻
(
ね
)
じ込んで行ったという話もありました。
廃墟から
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
自ら血気を抑えて時としては人の
顔色
(
がんしょく
)
をも犯し、世を
挙
(
こぞ
)
って皆酔うの最中、独り自ら
醒
(
さ
)
め、独行勇進して左右を顧みざることなれば、随分容易なる
脩業
(
しゅぎょう
)
にあらず。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
忘れもせない新年の六日に京都から右の伏見の事変の急報があったので、我藩は上下
挙
(
こぞ
)
って驚愕をした。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
挙
(
こぞ
)
って首を
疾
(
なや
)
まし、額を
蹙
(
ひそ
)
め、しかして相告げて曰く。わが王わが宰相の奪掠を好む。それなんぞ我を
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
黒川村は一村
挙
(
こぞ
)
って能楽に堪能、古来、黒川能と称して由緒ある名物、シテ方から
囃
(
はやし
)
方まで代々定まった家の芸で、装束でも面でも大したものだと、さる能通の噂に
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
即ち洋の東西を
挙
(
こぞ
)
り、時の古今を徹して、両性問題の真実の解釈を怠りおる点は同軌である。
婦人問題解決の急務
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
また酒色に
耽
(
ふけ
)
りて一身を誤り一家を破るの憂いも無く、このゆえに
月卿雲客
(
げっけいうんかく
)
または武将の志高き者は
挙
(
こぞ
)
ってこの道を学びし形跡は、ものの本に於いていちじるしく明白に御座候。
不審庵
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
之はミカドの生誕日を祝する為貴賤を
挙
(
こぞ
)
つて此処に集つた東京の住民が、日本の輸出品中最も売行の好い
代物
(
しろもの
)
を眼前に見て意気
頓
(
とみ
)
に揚りそこで愛国的演説をはじめ、外国人を
罵詈
(
ばり
)
し
露都雑記
(新字旧仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
明治十八年——世にいう
鹿鳴館
(
ろくめいかん
)
時代である。上下
挙
(
こぞ
)
って西洋心酔となり、何事にも改良熱が充満していた。京枝一座も
御多分
(
ごたぶん
)
に
洩
(
も
)
れず、洋装で
椅子
(
いす
)
にかけ
卓
(
テーブル
)
にむかって義太夫を語った。
竹本綾之助
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
天下の歌人
挙
(
こぞ
)
つて
古今調
(
こきんちょう
)
を学ぶ、元義笑つて
顧
(
かえりみ
)
ざるなり。天下の歌人挙つて『新古今』を崇拝す、元義笑つて顧ざるなり。而して元義独り万葉を
宗
(
むね
)
とす、天下の歌人笑つて顧ざるなり。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
仄
(
ほの
)
めかせられたと云ふことについて新聞が大変なことのやうに
挙
(
こぞ
)
つて報道した。
編輯室より:(一九一五年五月号)
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
挙
(
こぞ
)
ってこの事業を賛成しなければならないことを痛論し、且つその書の末尾に
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
なもののように思うのは大間違いで、昔は軍陣、忍術者の食糧として必要だったばかりでなく、避穀法として、凶作
飢饉
(
ききん
)
に備えるために、各藩
挙
(
こぞ
)
って学者に研究さしたものでした。
銭形平次捕物控:025 兵糧丸秘聞
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
いかに世の人とり沙汰うるさく一村
挙
(
こぞ
)
りて我れを捨つるとも、育て給ひし伯母君の眼に我が清濁は見ゆらんものを、
汚
(
けが
)
れたりとや思す恨らめしの御詞、師の君とても昨日今日の交りならねば
雪の日
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
元来この
谷郷
(
たにさと
)
村は、こうした山奥に在り勝ちな、一村
挙
(
こぞ
)
って一家といったような、極めて平和な村だったので、
高文
(
こうぶん
)
の試験準備をしている草川巡査は最初、大喜びで赴任したものであったが
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
其後
荊棘
(
けいきよく
)
の為めに
悉
(
こと/″\
)
く
破壊
(
はくわい
)
せられ、躰を
被
(
お
)
ふべきもの
更
(
さら
)
に無く、全身
挙
(
こぞ
)
りて
覆盆
(
ふくぼん
)
の雨に
暴露
(
ばうろ
)
せらる、
其状
(
そのじやう
)
誠に
憐
(
あはれ
)
むに
堪
(
た
)
へたり、衆相対して
眼
(
め
)
を
開
(
ひら
)
くも
閴
(
げき
)
として
声
(
こゑ
)
なく、
仰
(
あほ
)
ぎて天の無情を
歎
(
たん
)
す
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
こういう研究を、政府も、国民も、ジャーナリズムも、
挙
(
こぞ
)
って重視し、その価値を皆で認めるというようなことは、今の日本の「学問尊重」の風潮では、起こりにくいように思われて仕方がない。
科学は役に立つか
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
誰か一人、ここで
下剋上
(
げこくじょう
)
の口火を切る者があれば、天下
挙
(
こぞ
)
って起ち上るのだ。臣下が主君に怨みを報ずる。じつに驚天動地の痛快事じゃあないか。それには今貴様は、絶好の立場におるのに——。
稲生播磨守
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
自分に対する全職工の支持を決議させて「金菱」が新しく重役を入れることに対して全職工
挙
(
こぞ
)
って反対させる。各自が
醵金
(
きょきん
)
して、職工と社員の「上京委員」を編成し、関係筋を歴訪、運動させる。
工場細胞
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
議会の開院式閉院式などで議長の発声で万歳を唱うる場合には、社会党員は
挙
(
こぞ
)
って退席するを例とする。もっともこれは独逸におけるのみの例ではない。
墺太利
(
オーストリア
)
でも
伊太利
(
イタリア
)
でも
露西亜
(
ロシア
)
でも同様である。
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
社会は
挙
(
こぞ
)
ってもっと子供に対して、誠実を尽くすべきだ。
子供は虐待に黙従す
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
国民は既に
挙
(
こぞ
)
って寺内内閣の弔鐘を打っております。
食糧騒動について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
そして人民は
挙
(
こぞ
)
って文明の恩恵に浴した、と。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
挙
常用漢字
小4
部首:⼿
10画
“挙”を含む語句
挙動
挙止
検挙
枚挙
挙措
言挙
軽挙
挙手
一挙
科挙
列挙
湯河板挙
取挙
挙家
挙世
春挙
挙句
応挙
選挙
暴挙
...