恐入おそれい)” の例文
そこで土間どまつかへて、「ういふ御修行ごしゆぎやうんで、あのやうに生死しやうじ場合ばあひ平氣へいきでおいでなされた」と、恐入おそれいつてたづねました。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
女「毎度どうも、御心配なすってはいけません、誠に恐入おそれいりますねえ、只今親方もお内儀もお礼に出ますからお村さん宜しく」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
絞り首は恐入おそれいるけれども話の景気というもので、ザッとこういうぐあいに御返事申上げた。だいたいサルトルが書いたから私にも書けとは乱暴な。
余はベンメイす (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
するとこりゃ恐入おそれいりやした。しかしさぞお痛い事でげしょうと云うから、痛かろうが、痛くなかろうがおれの面だ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そろへて申す樣なにとも恐入おそれいり候事ながら貴院きゐん先達せんだつて仰聞られ候には聖護院しやうごゐん宮樣の御配下ごはいかにて天一坊樣の御旅館りよくわんとばかり故庄藏御世話せわ申三郎兵衞の明店あきだな御用立差上候ひしに只今御玄關おげんくわん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
磯部の玄関にて生酔なまよい本性違はぬ処を示し、吾太夫を足蹴あしげにするも面白し。酒醒めし件にてひどく恐入おそれいらせ、ここへ詫に出る主計之助がやはり酒乱にて誤をなせりといふも照応して好し。
すると勇助のやつ、いつもの癖で、ちよいと恐入おそれいつたやうに頭をいて、その実、大得意で勿体ぶつて、へつへつへつと笑つた相だ。そして、場所柄もわきめえねえつてひどしかられたつていふね。
野の哄笑 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
今のお話の万年スープだのたいの頭のお料理なんぞは早速私も始めましょう。しかしお話しばかりではなかなか覚えられません、恐入おそれいりますけれども何か一つ二つ料理をして見せて下さいませんか。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「あれ、恐入おそれいります」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
沢は恐入おそれいらずには居られなかつた。とびはねにはことづけても、此の人の両袖に、——く、なよなよと、抱取だきとらるべき革鞄ではなかつたから。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
丙「んでも初めは手拭を取られたんだそうですが、仕舞には残らず取られたと見えて素裸すっぱだかになって、男の方で恐入おそれいってヒイ/\云って居ますなア」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
恐入おそれいりました。うぞ此方こつちへ。貴方あなた御一所ごいつしよに、後生ごしやうですから。……背後うしろから追掛おつかけてるやうでらないんですもの。」
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大層たいそう感心かんしんしましてじつ恐入おそれいつたものだ、中々なか/\アヽところ商売人しやうばいにんだつて容易よういくもんぢやアないとひました、何卒どうぞ打出はねましたらと三がいらつしやいまして
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
一代のうちに唯一度であろうと思う……涙を流しつつ鼻高様に恐入おそれいった、というのが、いまの南方氏の随筆に引いてある。
遺稿:02 遺稿 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これは恐入おそれいつたね、おまへはお茶人ちやじんだね、あゝこれ/\の悪いぜんに、……むか付肴づけ残余のこつてるのをけて、おしるけてチヨツと会席風くわいせきふうにして……乃公わしもね茶道ちやきだからね
いや、膝だの、女の背中だのといって、いけとしつかまつった和尚が業体ぎょうてい恐入おそれいるが、話が、話じゃからそこはよろしく。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あれよりわるうございますと、それは恐入おそれいりましたな、わたくしは美人だと思つてましたが、器量きりやう善悪よしあしなでたツてわかりません……あ……あぶねえなア、んですなア……これは……。近「人力車じんりきだ。 ...
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
いや、ひざだの、をんな背中せなかだのといつて、いけとしつかまつつた和尚おしやう業体げふてい恐入おそれいるが、はなしが、はなしぢやから其処そこよろしく。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
えへゝゝ御冗談ごじようだんばかり、おからかひは恐入おそれいります、えゝ始めまして……(丁寧ていねい辞儀じぎをして)手前てまへ当家たうけ主人あるじ五左衛門ござゑもんまういたつて武骨ぶこつもので、何卒どうか拝顔はいがんたく心得こゝろえりましたが
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「来ましたね、隊長、恐入おそれいったね、どうも。苦労と来たね、畜生、おごりたまえ、奢りたまえ。」
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
履物はきものがどうも不思議ふしぎで、我々われ/\紗綾縮緬さやちりめん羽二重はぶたいを着ますのは心恥こゝろはづかしい事で、すでしん五百だいにもりますとほり「木綿もめん男子をのこのやうにおくゆかしく見え」とじつ恐入おそれいります、何卒どうぞ此方こちらへ/\。
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
虎口ここうのがれたる顏色かほつきの、うだ、北八きたはち恐入おそれいつたか。餘計よけいくちくもんぢやないよ。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
萱門かやもん押破おしやぶつて散々さん/″\下草したくさをおあらしになりましたとこ御胆力ごたんりき、どうも誠に恐入おそれいりました事で、今日こんにち御入来ごじゆらいなんともうもじつ有難ありがたことで、おほきにほまれに相成あひなります、何卒どうぞすみやかに此方これへ/\。
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
いゝえこゝろざしです……病人びやうにんゆめてくれますでせう。……もし、恐入おそれいりますが、」
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
じつ何御商法なにごしやうはふをなさるのかとかんがへてゐました、なかにはれは無職業しもたやさんや、ナニさうぢやない質屋しちやさんやなどうて色々いろ/\うはさうてやひやりましたが、うも世辞屋せじやさんとは恐入おそれいつたもんです
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「はっ、恐入おそれいったね。東京仕込じこみのお世辞はきつい。ひと可加減いいかげんに願いますぜ。」
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
孝「喧嘩を致したのではありません、お使い先で宮邊みやべ様の長家下ながやしたを通りますと、屋根からかわらが落ちて額にあたり、斯様かよう怪我けがを致しました、悪い瓦でございます、お目障めざわりに成って誠に恐入おそれいります」
一ツ背中せなかかうとぞんじますが恐入おそれいりますな。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「これは憚り、お使い柄恐入おそれいります。」
女客 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
恐入おそれいります、これはうも、)
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
恐入おそれいりますな。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)