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怒鳴
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どな
ふりがな文庫
“
怒鳴
(
どな
)” の例文
そら来たなとおもって、わたしは耳の附根まで
赭
(
あか
)
くしてすっくと立上り、このうえ、彼に口を利かせないよう
急
(
せ
)
き込んで
怒鳴
(
どな
)
った。
美少年
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
軒下の兵が、軒下を伝って逃げ乍ら、敵に尻を向けて這っている兵へ、
怒鳴
(
どな
)
った。兵は、黙って、もっと急いで、手足を動かした。
近藤勇と科学
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
仁王立
(
におうだ
)
ちになって
睨
(
にら
)
みすえながら彼れは
怒鳴
(
どな
)
った。子供たちはもうおびえるように泣き出しながら
恐
(
お
)
ず
恐
(
お
)
ず仁右衛門の所に歩いて来た。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
と読み上げた瞬間、ジャアク先生は、憤然として
起
(
た
)
ち上がり、こう
怒鳴
(
どな
)
りました——「早く席に着いて! なにぐずぐずしとる!」
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
おやじといっしょに
油町
(
あぶらまち
)
から
通町
(
とおりちょう
)
へ散歩に出ると、向うから大きな声をして女の子はよしかな、女の子はよしかなと
怒鳴
(
どな
)
ってくる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
その向うは暗い木立で
怒鳴
(
どな
)
りや叫びががやがや聞えて参ります。その黒い木をこの若い木霊は見たことも聞いたこともありませんでした。
若い木霊
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
……て大きな声で
怒鳴
(
どな
)
ったの。そうしておいて妾の手をシッカリと握ったヤングは、あの窓を指さしながらニヤニヤ笑い出したのよ……。
支那米の袋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
黒婆
(
くろばば
)
どの、
情
(
なさけ
)
ない事せまいと、名もなるほど黒婆というのか、
馬士
(
まご
)
が中へ割って
入
(
い
)
ると、
貸
(
かし
)
を返せ、この人足めと
怒鳴
(
どな
)
ったです。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかし身体の自由は失われて、恐ろしい力がヒシヒシと加わり、骨が折れそうになるので、思わず『痛い、助けて
呉
(
く
)
れ』と
怒鳴
(
どな
)
りました。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
怒鳴
(
どな
)
ったり、叫んだり、男の子がやたらに走り廻ったりするようなことは、更に無かった。庭園はそれ自体がすでに完全な楽園であった。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
息子が係りの刑事に連れられて、入ってきたのを見るや否や、いきなり大声で「こン畜生! この親不孝の馬鹿野郎
奴
(
め
)
!」と
怒鳴
(
どな
)
りつけた。
母たち
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
「ただね、ちま子さんを殺した奴を用心し給え、姿は見えなくても、足音でも聞いたら、大きな声で、
怒鳴
(
どな
)
るんだ。いいかい」
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
あんたみたいな人
欺
(
だま
)
すぐらいじッきやわ、と、
嘲弄
(
ちょうろう
)
するようになって、しまいにはそれが面白うて何ぞいうとすぐ泣いたり
怒鳴
(
どな
)
ったりして
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
悪
(
わる
)
いラランも
少
(
すこ
)
しばかり
寂
(
さび
)
しくなつてきた。
今度
(
こんど
)
こそ
腹
(
はら
)
も
減
(
へ
)
つてきた。すると
突然
(
とつぜん
)
、ヱヴェレストの
頂上
(
てうじやう
)
から
大
(
おほ
)
きな
聲
(
こえ
)
で
怒鳴
(
どな
)
るものがあつた。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
彼
(
かれ
)
は
詮方
(
せんかた
)
なくお
眠
(
やす
)
みなさい、とか、
左樣
(
さやう
)
なら、とか
云
(
い
)
つて
出
(
で
)
て
來
(
こ
)
やうとすれば、『
勝手
(
かつて
)
にしやがれ。』と
怒鳴
(
どな
)
り
付
(
つ
)
ける
權幕
(
けんまく
)
。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「何をするんだ。何でこんなやつを
庇
(
かば
)
うんだ。どけ、どけ」と、父は叔母に
怒鳴
(
どな
)
った。けれど叔母は岩のようにへたばりついて動かなかった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
斯く云う彼も、東京住居中は、
昼飯時
(
ひるめしどき
)
に掃除に来たと云っては叱り、門前に
肥桶
(
こえおけ
)
を並べたと云っては
怒鳴
(
どな
)
ったりしたものだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
畳表
(
たたみおもて
)
の麻裏を買ったもので、あとで、同組の生徒が告げ口したと云うことを聞き、その生徒の前で
怒鳴
(
どな
)
ったことがあった。
私の先生
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
とッつきが
怠
(
なま
)
けがちの
鍛冶屋
(
かじや
)
で、いつもその山の神に
怒鳴
(
どな
)
られてる。その次ぎが女髪結いで、男が何人代ったか分らない。
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
工場がえりの組合員たちは、弁当箱をひざにのせたまま居眠りしているのに、学生たちは興奮して
怒鳴
(
どな
)
ったりしている。
白い道
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
だが、彼女は
瞑想
(
めいさう
)
する多くの時間を許されはしなかつた。級長の、大きいがさつな
娘
(
こ
)
が、強いカムバァーランド
訛
(
なま
)
りで
怒鳴
(
どな
)
りながらやつて來た——
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
何か素晴らしい事件が爆發するか、でなければ、大きな聲で精一杯
怒鳴
(
どな
)
りでもしなければ、三十幾人が皆な氣が
狂
(
ふ
)
れてしまひさうな心持だつたのです。
銭形平次捕物控:002 振袖源太
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と保雄は
怒鳴
(
どな
)
つた。二番目の
抽出
(
ひきだし
)
からは二人の男の子の
着類
(
きるゐ
)
が出て来た。皆洗ひ晒しの木綿物の
単衣
(
ひとへ
)
計
(
ばか
)
りであつた。
執達吏
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
お父さんはいつもは、いい人だけれど、どうかして浮かぬ顔でもしてゐられる時は、大層怒りつぽくなるので、その日も気短かにかういつて
怒鳴
(
どな
)
つた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
行雄が靴ぬぎで
怒鳴
(
どな
)
った。と障子のあく音がし、同時にいない筈の作衛がおはるといっしょに出て来た。瞬間、私は何とも云えぬ不愉快な気持になった。
入梅
(新字新仮名)
/
久坂葉子
(著)
それに荒木町よりの崖のところには、誰かの家で幽閉した気狂の部屋があって、終日鳥のような声を出して
怒鳴
(
どな
)
るのが、崖や木立に気味悪くこだました。
四谷、赤坂
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
「飲むよりか早く芸当をしろ。」と客が
怒鳴
(
どな
)
ると、「飲まなくっちゃ気分が出ないんだよ。」とまた叱りつけた。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
王戎簡要
(
おうじゅうかんよう
)
天地玄黄
(
てんちげんこう
)
なんぞ
出鱈目
(
でたらめ
)
に
怒鳴
(
どな
)
り立てゝ、誠に上首尾、
銭
(
ぜに
)
だの米だの随分相応に
貰
(
もらっ
)
て来て、餅を買い鴨を買い
雑煮
(
ぞうに
)
を
拵
(
こしら
)
えてタラフク
喰
(
くっ
)
た事がある。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
荷馬車
(
にばしや
)
の
土方
(
どかた
)
に
怒鳴
(
どな
)
られる——その
間
(
あひだ
)
に帽子は風の方向に走つてゆく。かう言ふ人は割合に帽子を手に入れる。
拊掌談
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と
怒鳴
(
どな
)
つて
居
(
ゐ
)
る
爺
(
ぢい
)
さんがあつた。
其
(
そ
)
の権幕が恐ろしいので、人々は
傍
(
そば
)
にも寄りつかずにさつさと避けて
通
(
とほ
)
つた。
父の墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
「いらざるお世話で、莫迦にしているよ」いよいよ慣れ慣れしい相手の様子に、彼女は一層腹を立て、心の中でこう
怒鳴
(
どな
)
ったが、でもやっぱり黙っていた。
大捕物仙人壺
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「学、
豈
(
あに
)
、益あらんや。」もともとこれを言うのが目的なのだから、子路は勢込んで
怒鳴
(
どな
)
るように答える。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
と、女は情夫との
媾曳
(
あいびき
)
の場所を見られた腹立ちまぎれに
怒鳴
(
どな
)
りだした、すると
奴
(
やっこ
)
さんむらむらとして来た。
雨夜草紙
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
と、ヴァイォリン弾きがどやしつけるように叫ぶと、さきの男もぶっきら棒に叩きつけるように
怒鳴
(
どな
)
った。
幻影の都市
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
右へ、右へと
怒鳴
(
どな
)
っていますな。おやおや動き出した、木の椀が転がり落ちた、それをまた拾っている。
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しばらくのあいだ、龍巻と
談合
(
だんごう
)
していた梅雪は、伊那丸の
面体
(
めんてい
)
を、しかと見さだめたうえで、約束の
褒美
(
ほうび
)
をわたそうといった。龍巻も心得て、うしろへ
怒鳴
(
どな
)
った。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
時々気に向かぬことがあると
癇癪
(
かんしゃく
)
を立て、
怒鳴
(
どな
)
ったり、器物を投げ付けて壊したりしたが、
直
(
すぐ
)
に、おとなしくなって言うなりになるような意気地のない男であった。
凍える女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それから自分が
書
(
ほん
)
を読んだり、他の
童子
(
こども
)
が
書
(
ほん
)
を読んだり、唱歌をしたり、嬉しがって笑ったり、怒って
怒鳴
(
どな
)
ったり、キャアキャアガンガンブンブングズグズシクシク
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
第一
条理
(
すじみち
)
がたっていないよ。まるで、雲を
掴
(
つか
)
むように
漠然
(
ばくぜん
)
としている。そうかと思うと、突然、大声をはり上げて、「貴様はあんなあなだ!」って
怒鳴
(
どな
)
りつけるんだ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
遠
(
とほ
)
い
昔
(
むかし
)
に、
燒肉
(
ビフステーキ
)
が
少
(
すこ
)
し
焦
(
こ
)
げ
※
(
す
)
ぎて
居
(
を
)
るからと
怒鳴
(
どな
)
つて、
肉叉
(
フオーク
)
もつけずに
犬
(
いぬ
)
に
喰
(
く
)
はせてしまつた
一件
(
いつけん
)
や、「サンドウイツチ」は
職工
(
しよくにん
)
の
辨當
(
べんたう
)
で
御坐
(
ござ
)
るなどゝ
贅澤
(
ぜいたく
)
を
云
(
い
)
つて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
交通巡査は突然、貨物自動車の運転手に向かって、いかにも腹だたしげに「こらっ」と
怒鳴
(
どな
)
った。
鉄の規律
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
そう
怒鳴
(
どな
)
った。ブツブツ口小言をいっていた母が、かえって気の毒がって小銭を与えたりした。
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
叔父さんは恐い顔をして
怒鳴
(
どな
)
りつけた。叔母さんも高い声で云い争った。そして喧嘩になった。がすぐその後で、二人共笑い出してしまった。何のことやら分らなかった。
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
大抵、三人連れで町家の
門
(
かど
)
に立ち大きな声で
怒鳴
(
どな
)
り立てる。その言葉がなかなか面白いです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
向島の小梅にいた頃、
寒声
(
かんごえ
)
を練るため、夜半物干台に出ておさらいをしていたところ裏隣りの家の窓が開いていきなり「気違い。」と
怒鳴
(
どな
)
られた。勿論助ちゃんは
憤然
(
ふんぜん
)
とした。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
むしろ、一言ぐわんと
怒鳴
(
どな
)
りつけてくれたらどんなに気が楽になるであろうと思うのだ。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
百姓に見付けられて
怒鳴
(
どな
)
られたことや、いろ/\と昔の記憶を小池も思ひ出して來た。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
ホーイ、ホーイと
怒鳴
(
どな
)
る声がする、羚羊は石の転がり方を冷たく見て、一、二尺ずつ
退
(
すさ
)
りながら、大石の側へ、寄って来る、そこには宗義が先刻から、銃を取り直して待っている
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
ぼくは耳を
塞
(
ふさ
)
ぎ、声を大にして、「
煩
(
うる
)
さいッ」とでも、
怒鳴
(
どな
)
りつけてやりたかった。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
又「それは
訳
(
わきゃ
)
アねえ、僕が鍋焼饂飩を売ってる場所は、毎晩
高橋
(
たかばし
)
際
(
ぎわ
)
へ荷を
降
(
おろ
)
して、鍋焼饂飩と
怒鳴
(
どな
)
って居るから、君が饂飩を喰う客の
積
(
つも
)
りで、そっと話をすれば知れる
気遣
(
きづかい
)
はあるめえ」
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
怒
常用漢字
中学
部首:⼼
9画
鳴
常用漢字
小2
部首:⿃
14画
“怒鳴”で始まる語句
怒鳴付