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忝
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かたじけな
ふりがな文庫
“
忝
(
かたじけな
)” の例文
私
風情
(
ふぜい
)
のなま/\に作り候物にまでお眼お通し下され候こと、
忝
(
かたじけな
)
きよりは先づ恥しさに顔
紅
(
あか
)
くなり候。
勿体
(
もつたい
)
なきことに存じ候。
ひらきぶみ
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
いや、それは段々お世話にもなつた、
忝
(
かたじけな
)
いと思うた事も
幾度
(
いくたび
)
か知れん、その
媛友
(
レディフレンド
)
に何年ぶりかで逢うたのぢやから、僕も実に
可懐
(
なつかし
)
う思ひました
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
忝
(
かたじけな
)
い——。話が、前後したが、それはもう十三年も前だ、若党の佐太郎めに
騙
(
たば
)
かられて、拙者の妹八重は家出した。それを
下頭橋由来
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大原は今の一言が何より
有難
(
ありがた
)
し「僕の志を受けて下さるとは
忝
(
かたじけな
)
い。僕は半襟を差上げるのが目的でありません、僕の志を知って戴きたいのです」
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
私
(
わたくし
)
は
今更
(
いまさら
)
ながら
身
(
み
)
にあまる
責任
(
せきにん
)
の
重
(
おも
)
さを
感
(
かん
)
ずると
同時
(
どうじ
)
に、
限
(
かぎ
)
りなき
神恩
(
しんおん
)
の
忝
(
かたじけな
)
さをしみじみと
味
(
あじ
)
わったことでございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
▼ もっと見る
勿論
翁丸
(
おきなまる
)
のやうな悪戯をして君の
勅勘
(
ちよくかん
)
を蒙むつた者もあるが、我々は先づ君の御寵愛を
忝
(
かたじけな
)
ふした方だ。歴史で一番
評判
(
なだい
)
の
愛犬家
(
いぬずき
)
は北条高時どのだ子。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
静かに
籠
(
こも
)
つてゐたい赤彦君の
病牀
(
びやうしやう
)
を邪魔したのさへ心苦しい。
然
(
しか
)
るに赤彦君は苦しいうちにかういふ心尽しをされるのであつた。僕等は
忝
(
かたじけな
)
く馳走になつた。
島木赤彦臨終記
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
こうした御事は世を平和にお治めなされたいという
忝
(
かたじけな
)
い大御心から出るのであって有り難いものなのである。
現代語訳 方丈記
(新字新仮名)
/
鴨長明
(著)
「いや
忝
(
かたじけな
)
い/\、………愚老はたゞもう忝うて/\、………こんな嬉しいことは八十年来始めてゞ、………」
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
おお
忝
(
かたじけな
)
い、よくそれまで、深くも探ってくれたよの! お礼は海山後で云う! 今はちょっとの時刻も大事。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
抑
(
そも/\
)
われは
寄辺
(
よるべ
)
ない
浮浪学生
(
ふらうがくしやう
)
、
御主
(
おんあるじ
)
の
御名
(
みな
)
によりて、
森
(
もり
)
に
大路
(
おほぢ
)
に、
日々
(
にちにち
)
の
糧
(
かて
)
を
乞
(
こ
)
ひ
歩
(
ある
)
く
難渋
(
なんじふ
)
の
学徒
(
がくと
)
である。おのれ
今
(
いま
)
、
忝
(
かたじけな
)
くも
尊
(
たふと
)
い
光景
(
けしき
)
を
観
(
み
)
、
幼児
(
をさなご
)
の
言葉
(
ことば
)
を
聞
(
き
)
いた。
浮浪学生の話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
如水は敬々しく辞退して、
忝
(
かたじけな
)
い
御諚
(
ごじょう
)
ですが、すでに年老ひ又生来の多病でこの先の御役に立たない私です。
二流の人
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
「そのお言葉にはお礼を申しつくせないくらい、
忝
(
かたじけな
)
い思いがいたします。ご
老媼
(
ろうおう
)
さま、いまから後はえにしなき、わたくしどもではないことを承知あるように。」
玉章
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
伝わっているようにも
承
(
うけたま
)
わるのは
忝
(
かたじけな
)
いことで、少なくとも是は一国の古事を学ばんとする者に、或る方法を設けて
与
(
あず
)
かり知らしめておくべき
尊
(
とう
)
とい事実であった。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
御好意は
忝
(
かたじけな
)
いが、今日まで何事も自力一方でやって来た自分、まあ、自分は自分の力をたよりにするにしくはないと、別に乗る気もなしそのままになっていました。
幕末維新懐古談:74 初めて家持ちとなったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
此武藤は兼而江戸に遊びし頃、実に
心路
(
こころ
)
安き人なれバ、誠によろこびくれ候よし。旧友のよしミハ又
忝
(
かたじけな
)
きものにて候。其私の存念ハ別紙に
指上
(
さしあげ
)
候。御覧可
レ
被
レ
遣候。
手紙:042 慶応二年十二月四日 坂本権平、一同あて
(新字旧仮名)
/
坂本竜馬
(著)
この飜訳に際しても、「国際貿易政策思想史研究」の場合と同様に、高垣寅次郎先生の御指導と御尽力を
忝
(
かたじけな
)
くした。けれども出来上がったものは、かくも拙劣である。
純粋経済学要論:01 上巻
(新字新仮名)
/
マリー・エスプリ・レオン・ワルラス
(著)
それを聞いた馮大監は、大いに面目を施して
忝
(
かたじけな
)
いと、大よろこびで辺境の首都さして帰っていった。
軍用鮫
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
朕薄徳を以て
忝
(
かたじけな
)
く
重任
(
ぢゆうにん
)
を
承
(
う
)
けたり。未だ政化を
弘
(
ひろ
)
めず
寤寐
(
ごみ
)
にも多く
慚
(
は
)
づ。
古
(
いにしへ
)
の明主は皆先業を
能
(
よ
)
くして
国
(
くに
)
泰
(
やすら
)
かに人楽しみ
災
(
わざわひ
)
除かれ
福
(
さきはひ
)
至れり。何の政化を修め能く此の道を
臻
(
いた
)
さむ。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
隣りに坐りし三十くらいの叔母様の御給仕
忝
(
かたじけな
)
しと一碗を傾くればはや
厭
(
いや
)
になりぬ。
東上記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「昨日は新しいお衣を
忝
(
かたじけな
)
く
頂戴
(
ちやうだい
)
しました。このたびもう一つ御無心を申したい。針一本と、白い木綿糸をたくさんに、黄、青、赤の糸を少しづつお届け下さい。早々とお届け下さい。」
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
何事のおわしますかは知らねども、
忝
(
かたじけな
)
さに涙こぼるる、
自然
(
ひとりで
)
に
頭
(
つむり
)
が下りまする。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
過日は平三郎へ御托しの御細書下され
忝
(
かたじけな
)
く拝見仕候。
先
(
まず
)
以
(
もっ
)
て文履益〻御万福に御座成され欣然に存奉り候。
随
(
したが
)
つて拙宅無異御省慮下さる可く候。然れば老兄の
月旦
(
げったん
)
、
上方
(
かみがた
)
筋宜しき旨□□□。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「——おれは学習院長だ、
忝
(
かたじけな
)
くも皇太子の御教育を仰せつかっているぞ」。
風蕭々
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
その時に得た懸賞金の十円位、有難く
忝
(
かたじけな
)
い金はなかった。自分は嬉しさの余り、思わず涙ぐんだほどだった。その時まで、自分は運命と云うものを、全体として悪意のあるものだと感じて居た。
天の配剤
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
武士の名殘も
今宵
(
こよひ
)
を限り、
餘所
(
よそ
)
ながらの告別とは知り給はで、亡からん後まで頼み置かれし小松殿。
御仰
(
おんおほせ
)
の
忝
(
かたじけな
)
さと、是非もなき身の不忠を想ひやれば、御言葉の
節々
(
ふし/″\
)
は骨を
刻
(
きざ
)
むより猶つらかりし。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
此処
(
ここ
)
デ二度マデウチヲ出タ故、ソレハ
忝
(
かたじけな
)
イガ聞カレヌト云ッタラ、ソンナラ、今暑イ盛リダカラ七月末マデ居ロトイウ故、世話ニモナッタカラ、振リ切ラレモ出来ヌカラ、向ウノ云ウ通リニシタラ
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「拝啓唯今御著『閑話休題』拝受大いに
忝
(
かたじけな
)
く、今度の読書の材料豊富感謝奉り候、小説に御精根傾けあらるる事尊敬慶賀無上に御座候、小生晩春よりかけて元気
無之
(
これなく
)
候、今度元気回復いたしたし、万々頓首、」
茂吉の一面
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
「有難う。
悉皆
(
すっかり
)
馬鹿扱いにされたんだけれど、千万
忝
(
かたじけな
)
い」
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「おお、許してくれるか。
忝
(
かたじけな
)
い。忝いぞよ。」
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ドメニカは
忝
(
かたじけな
)
しとて涙を流しつ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
混食の
料
(
しろ
)
とするてふ
忝
(
かたじけな
)
さよ。
生活のうるほひ
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
滿ち滿つ
忝
(
かたじけな
)
さ
新頌
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
酒は余り飲むな? はあ、今日のやうに酔うた事は
希
(
まれ
)
です。
忝
(
かたじけな
)
い、折角の御忠告ぢやから今後は
宜
(
よろし
)
い、気を着くるです。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
右、長崎高等商業学校武藤教授の教示を
忝
(
かたじけな
)
うした。なほ大方博学君子の教示を
冀
(
こひねが
)
つて僕の文を補はうと思ふ。
接吻
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「安国寺は、はや落成しました。いまはそこの住持、いちど折を見て、御遊歴下されば
忝
(
かたじけな
)
いが……あなたもすでに、長浜の御城主、お身軽には参りますまいな」
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大納言は時平に格別な考があるのだろうなどゝは疑ってもみず、たゞもう有難さと
忝
(
かたじけな
)
さで一杯であった。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
つうえいぢやないか。と
忝
(
かたじけな
)
き忠告。富士見町の妓風二十年前既にかくの如く開けたものなり。そも富士見町の妓家待合いつの頃より開け始めしにや。維新以前九段の坂上は馬場なりしといふ。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
『あなたも
随分
(
ずいぶん
)
苦労
(
くろう
)
をなさいました……。』そう
言
(
い
)
って、
私
(
わたくし
)
の
手
(
て
)
を
執
(
と
)
って
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
された
時
(
とき
)
は、
私
(
わたくし
)
は
忝
(
かたじけな
)
いやら、
難有
(
ありがた
)
いやらで
胸
(
むね
)
が
一
(
いっ
)
ぱいになり、われを
忘
(
わす
)
れて
姫
(
ひめ
)
の
御膝
(
おひざ
)
に
縋
(
すが
)
りついて
了
(
しま
)
いました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
いや、どういたして、
忝
(
かたじけな
)
い。私は尊いお説教を聴問したような心持じゃ。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
◯天皇陛下御
宸念
(
しんねん
)
。
忝
(
かたじけな
)
くも金一千万円也を戦災者へ下賜せらる。
海野十三敗戦日記
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「さうかな。それは
忝
(
かたじけな
)
い。」
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
「いや……
忝
(
かたじけな
)
うござる。」
芋粥
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
満ち満つ
忝
(
かたじけな
)
さ
新頌
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
忝
(
かたじけな
)
く、かけまくも、一天万乗の大君を、信長公の御盛儀のため、間近う拝み奉る事、ありがたき
御代
(
みよ
)
かなと、貴賤老幼の
輩
(
やから
)
、ただただ合掌、感じ
敬
(
うやま
)
ひ申し候事
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それなら訳はないと云って、御所へ参って申し上げると、成るほどそうか、そんなことなら
容易
(
たやす
)
いことだと仰っしゃって、
忝
(
かたじけな
)
くも御所様が御自身で
御文
(
おんふみ
)
をお書きになり
三人法師
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「ご心配は
忝
(
かたじけな
)
いが大事はござらぬ。御家内はどこにおられるか。御家内へも礼を申して……」
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
よしや後になって露顕しても、悟りの道の妨げになる疑惑を晴らす事が出来たら、必ず上人も喜んで下さるに極まって居る。そなたが案じてくれるのは
忝
(
かたじけな
)
いが、どうぞ止めずに置いてくれ。
二人の稚児
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
いや、
忝
(
かたじけな
)
い。……仰せはお道理、この三郎兵衛とても、幾夜、考えぬことではござらぬ。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
右の耳にいたし候へと
被仰候得者
(
おほせられさふらへば
)
、
忝
(
かたじけな
)
くも松雪院様雪の如き御手を以て愚老が右の
耳朶
(
みゝたぼ
)
をお持ちなされ、暫く首の
態
(
てい
)
をお改め
被遊
(
あそばされ
)
、鼻声にて低くお笑ひ
被成
(
なされ
)
候、瑞雲院様傍より御覧なされ
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
忝
漢検1級
部首:⼼
8画
“忝”を含む語句
可忝
忝奉存候
忝次第
是又忝