ぱり)” の例文
そう幾つも手が有りませんと、強情ッぱりばゝあだ……さ此方へ………お変りもございませんで……御難渋の事で、かねて承わって居りますが
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おい昨夜ゆうべ枕元まくらもとおほきなおとがしたのはぱりゆめぢやなかつたんだ。泥棒どろぼうだよ。泥棒どろぼう坂井さかゐさんのがけうへからうちにはりたおとだ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ぱりお玉の方が別品だなと思うと同時に、心に愉快と満足とを覚えて、暫く足を橋の上にめて、芸者の後影うしろかげを見送った。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
紳士がやゝ反身そりみになつて卓子テーブルの前の椅子に腰をおろすと、鵞鳥のやうに白いうはぱりを着た給仕人がやつて来て註文を聞いた。
れの徳義とくぎは——「かくすよりあらはるゝはなし」——へれば——「外見ぐわいけんかざるな、いく體裁ていさいばかりつくろつても駄目だめだ、かはづぱりかはづさ」
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
『はてさて、めうだぞ、あれはぱり滊船きせんだわい、してると今月こんげつ航海表かうかいへう錯誤まちがいがあつたのかしらん。』とひつゝ、あほいで星影ほしかげあは大空おほぞらながめたが
彼は瑠璃子が準備をし始めると、自分も一緒に行くのだと云つて、父の大きいトランクを引つぱり出して来て、自分の着物や持物を目茶苦茶に詰め込んだ。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
この辺の、のでん賭博というのは、数人寄ってさいを転がしているはなぱりが、田舎者を釣りよせては巻き上げるのですが、賭博場の景物には、皆春画を並べてある。
江戸か東京か (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
負け嫌いの意地いじぱりがこんな処に現われるので、心からの頭の低い如才ない人では決してなかった。
周三が思つてゐたよりも無邪氣むじやきで、また思ツたよりも淺い女らしい。たゞ些と輕い熱情のあるのが取得と謂えば取得だが、それとても所謂いわゆるはなぱりが強いといふ意味に過ぎぬ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
彼等はどうかすると、はなぱりの強い女主人から頭ごなしに呶鳴どなりつけられて、ちりちりするような事があったが、思いがけない気前を見せられることも、めずらしくなかった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
あれもぱりいたづらもの烟管きせるいてたちあがる、女猫めねこよびにと雪灯ぼんぼりうつ平常着ふだんぎの八ぢよう書生羽織しよせいばをりしどけなくひきかけて、腰引こしひきゆへる縮緬ちりめんの、淺黄あさぎはことにうつくしくえぬ。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
女房はもう黒いうわっぱりを着て、長火鉢ながひばちには鉄瓶てつびんをたぎらしてあった。
黄灯 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「おや、相手が行ってしまってから、とんでもない鼻ッぱりだ」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あかりを見せてあげようね、宵ッぱりたらないのだもの。」
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
でも、ぱり、わたしにはその町々がなつかしい……
雷門以北 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
彼は瑠璃子が準備をし始めると、自分も一緒に行くのだと云って、父の大きいトランクを引っぱり出して来て、自分の着物や持物を滅茶苦茶めちゃくちゃに詰め込んだ。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
けれども僕位世のなかるした年配の人間なら、あの記事を見て、すぐ事実だと思ひ込む人許ひとばかりもないから、ぱり若い人程正直に迷惑とは感じない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
で、白い切り立てのしやで特別仕立のうはぱりのやうなものをこしらへ、それを着込んでにこにこもので王献之のとこへ着て往つた。王献之は熟々つく/″\それを見てゐたが
こうしてゆっくり考えて見てさえ、なんと云っていか分からないのだもの。いやいや。こんな事を思うのはぱりわたしが馬鹿なのだ。声なんぞを掛けるには及ばない。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
本當ほんとう身體からだいとはねばいけませぬぞえ、此前このまへ原田はらだといふ勉強べんきようものがぱりまへとほけてもれても紙魚しみのやうで、あそびにもかなければ、寄席よせ一つかうでもなしに
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これではまつた證人しようにん元氣げんきづかうはづがありませんでした、ぱりぶる/\ふるへながら、氣遣きづかはしげに女王樣ぢよわうさまはうましたが、やがて無我夢中むがむちゆうで、つて茶腕ちやわん牛酪麭麺バターぱん間違まちがへて
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
よく云えば執着がなくて、心機しんきがむやみに転ずるのだろうが、これを俗語に翻訳してやさしく云えば奥行のない、うすぺらの、はなぱりだけ強いだだっ子である。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
蕪村のの門人に田原たはら慶作といふ男がある。ある日日のがたに師匠を訪ねると、蕪村のうちでは戸を締め切つてゐる。よひぱりの師匠だのに、今日に限つて早寝だなと慶作は思つた。
こっちもぼんやりしていたが、岡田もぱりぼんやりしていたようだ。何か考え込んでいたのではあるまいか。こう思うと同時に、岡田がどんな顔をしているか見たいような気がした。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
是は屹度きつと別の音が大根卸だいこおろしの樣に自分に聞えるのに極つてゐると、すぐ心のうちで覺つたやうなものゝ、さてそれなら果して何處から何うして出るのだらうと考へるとぱり分らない。
変な音 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
と、じつよこぱらを押へてみたが、ぱり可笑しくて堪らなかつた。新聞で見ると、国民党の犬養さんも吹き出したさうだし、京都大学の織田博士も笑つてゐる。真面目な仁保にほ博士などは
こゝ五六年も経つと、山は悉皆しつかいがらん堂になつてしまふかも知れない、それには今迄のやうに宝物を物の判らない、よくぱり僧侶ばうずまかせて置いては安心が出来ない、なんでも博物館を一つ拵へて
ぱり果樹園の方がいやうだ、をんなやかましくつてね……