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ゆんで
ふりがな文庫
“
左手
(
ゆんで
)” の例文
唯
(
と
)
見る時、
頬
(
ほお
)
を
蔽
(
おお
)
へる髪のさきに、ゆら/\と
波立
(
なみだ
)
つたが、そよりともせぬ、
裸蝋燭
(
はだかろうそく
)
の
蒼
(
あお
)
い光を放つのを、
左手
(
ゆんで
)
に取つてする/\と。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
藤枝の
左手
(
ゆんで
)
がさつと左に開くと、はめこみになつた鏡はそのまま左の縁を中心にしてあたかも箱の蓋のように前にとび出して来た。
殺人鬼
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
左手
(
ゆんで
)
の方は門番の家だ。門番の女は門口の石段の上に立って一同を
取鎮
(
とりしず
)
めて居た。彼はその
傍
(
そば
)
へ飛んで行って、首玉をグイと掴み上げ
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
放すが早いか飛退って腰へ手がかかる刹那、
左手
(
ゆんで
)
に槍をすてて片手なぐりに二度目の祐定が打下す。こうなれば受ける隙も無い。
鍵屋の辻
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
左手
(
ゆんで
)
の壁にかゝつてゐるのは、去年の二科の展覧会にかなり世評を騒がした新帰朝のある洋画家の水浴する少女の裸体画だつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
然れども
右手
(
めて
)
に籠を持ち、
左手
(
ゆんで
)
にて蕨を採るゆえに、小虫を払う時は蕨を採る事能わず。故に時々は籠を手より離して、地上に置く事あり。
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
そうして投げた次の瞬間には、
左手
(
ゆんで
)
に握っていた送り石を、すでに
右手
(
めて
)
が受け取っていた。するともうそれも投げられていた。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
玄関に
出
(
い
)
づれば、
姥
(
うば
)
のいくは
靴
(
くつ
)
を直し、
僕
(
ぼく
)
の
茂平
(
もへい
)
は
停車場
(
ステーション
)
まで送るとて手かばんを
左手
(
ゆんで
)
に、月はあれど
提燈
(
ちょうちん
)
ともして待ちたり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
突かれて男はよろめきながら
左手
(
ゆんで
)
を
延
(
のば
)
して槍先を
引抜
(
ひきぬ
)
きさまグッと
突返
(
つきかえ
)
す。突かれて孝助たじ/\と石へ
躓
(
つまず
)
き尻もちをつく。
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
すると、大名の人形が、
左手
(
ゆんで
)
を小さ
刀
(
がたな
)
の
柄
(
つか
)
にかけながら、
右手
(
めて
)
の
中啓
(
ちゅうけい
)
で、与六をさしまねいで、こう云う事を云いつける。
野呂松人形
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「死体の
左手
(
ゆんで
)
に手紙を一通持って居たように思うが、それが、騒ぎの最中に無くなってしまって、どうしてもわからない」
死の予告
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
かれはしば/\
左手
(
ゆんで
)
をのべて顏のあたりの霧をはらへり、その疲れし如くなりしはたゞこの
累
(
わづらひ
)
ありしためのみ 八二—八四
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
ニヤリと笑った若き武芸者は、さわぐ
気色
(
けしき
)
もなく身をかわして、
左手
(
ゆんで
)
に持った弓の
弦
(
つる
)
がヒューッと鳴るほどたたきつけた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
右手の扉から、先生が軽い大股で、ノートを
左手
(
ゆんで
)
に入って来、教壇に立たれる。私は、心をこめ、求道者が師を礼拝するような心持で頭を下げた。
弟子の心
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
青年
(
わかもの
)
の目と
少女
(
おとめ
)
の目と
空
(
そら
)
に合いし時、少女はさとその
面
(
かお
)
を赤らめ、しばしはためらいしが急に立ちあがりかの大皿のみを
左手
(
ゆんで
)
に持ちて道にのぼり
わかれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
身の
長
(
たけ
)
六尺に近く、黒き外套を着て、手にしぼめたる
蝙蝠傘
(
こうもりがさ
)
を持ちたり。
左手
(
ゆんで
)
に少し引きさがりて
随
(
したが
)
ひたるは、
鬚
(
ひげ
)
も髪も皆雪の如くなる
翁
(
おきな
)
なりき。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
夫人は輕げなる
寢衣
(
ねまき
)
を着て、素絹の
長椅
(
ソフア
)
の上に横はりたりしが、我が入るを見て半ば身を起し、
左手
(
ゆんで
)
もて
被
(
ひ
)
を身に纏ひ、右手を我にさし伸べたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
伝声管で御座います。礼盤の右手は浄善、
左手
(
ゆんで
)
の火焔太鼓に寄った方が推摩居士の座になって居りまして、つまり、推摩居士に現われる竜樹の御言葉を
夢殿殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
懸声諸共
(
かけごえもろとも
)
、わしは、身体を宙に浮かせて、
左手
(
ゆんで
)
をウンと、さしのべると、ここぞと思う空間を、グッと掴んだ。——
夜泣き鉄骨
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
二抱
(
ふたかか
)
へもある赤松の、幹
両股
(
ふたまた
)
になりたる処に、一匹の黒猿昇りゐて、
左手
(
ゆんで
)
に黒木の弓を持ち、
右手
(
めて
)
に青竹の矢を採りて、なほ二の矢を
注
(
つが
)
へんとせしが。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
渡瀬
(
わたらせ
)
の板橋を越へ、
左手
(
ゆんで
)
なる田中の一林中に彼の雲龍寺の堂棟を眺め、仰で遙かに足尾の高根を望み、湧き出づる萬感の間に一道の理會を試みつゝ急ぎぬ
佐野だより
(旧字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
其中
(
そのうち
)
に、叔父が
不図
(
ふと
)
見ると、田を
隔
(
へだ
)
てたる
左手
(
ゆんで
)
の丘に一匹の狐がゐて、
宛
(
さなが
)
ら
招
(
まね
)
くが如くに手を
挙
(
あ
)
げてゐる。
雨夜の怪談
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
立売坂の中腹、ちょうど饗庭の影屋敷のすこし手前に当たって、
左手
(
ゆんで
)
に草原を控えたちょっとした平地がある。遊佐銀二郎がその地点へ踏み入れたときだった。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
左手
(
ゆんで
)
に受ける茶碗の中へ、箸を少しずつ落して、尻尾の先からだんだんに
浸
(
ひた
)
すと、アーキミジスの理論によって、蕎麦の
浸
(
つか
)
った分量だけツユの
嵩
(
かさ
)
が増してくる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
左手
(
ゆんで
)
の弓を押す力と、
右手
(
めて
)
の弦をひき絞る力とで、見る見る血潮は彼の
頬
(
ほお
)
に上り、腕の筋肉までが隆起して震えた。背こそ低いが、彼ももはや三十歳のさかりだ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
右手
(
めて
)
はのたりのたりといかにも
長閑
(
のどか
)
な
海原
(
うなばら
)
、
左手
(
ゆんで
)
はこんもりと
樹木
(
じゅもく
)
の
茂
(
しげ
)
った
丘
(
おか
)
つづき、どう
見
(
み
)
ても
三浦
(
みうら
)
の
南海岸
(
みなみかいがん
)
をもう
少
(
すこ
)
しきれいにしたような
景色
(
けしき
)
でございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
僕たちの
左手
(
ゆんで
)
にある森の上には、もう大地主であるトレヴォの家の高い煙突と旗竿とが見えていた。
グロリア・スコット号
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
殆
(
ほと
)
んど
口
(
くち
)
を
開
(
あ
)
くことも
出來
(
でき
)
ませんでした、
辛
(
やつ
)
とのことで
左手
(
ゆんで
)
の
一
(
ひ
)
ト
片
(
かけ
)
を
少
(
すこ
)
しばかり
嚥
(
の
)
み
込
(
こ
)
みました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
又右手には嬢次少年が、真面目な顔をしてじっと正面を見ながら立っているが、服装はモーニング式の乗馬服で、
右手
(
めて
)
に山高帽を持ち
左手
(
ゆんで
)
に手袋と鞭を握り締めている。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
左手
(
ゆんで
)
にて押へ附れば庄兵衞は
息
(
いき
)
の
詰
(
つま
)
りて
苦
(
くるし
)
さに何をするぞと
云
(
いは
)
せもせず右手に
懷劍
(
くわいけん
)
拔
(
ぬく
)
間
(
ま
)
もなく
柄
(
つか
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
船頭已に
玉網
(
たま
)
を手にして起ち、『
急
(
せ
)
いではいけません、十分で弱りきるまで痿やして。』と言いつつ例の如く、直ちに水押の上に俯して、半身殆ど船外に出し、
左手
(
ゆんで
)
を伸べて
大利根の大物釣
(新字新仮名)
/
石井研堂
(著)
右手
(
めて
)
に扇子、
左手
(
ゆんで
)
に
唐笠
(
からかさ
)
を各自巧みにさッと開いて、下座の鳴り物調子に合わしながら、主と寝ようか五千石取ろかを、すべすべとした細い竹棒の上でいともあざやかに踊りつつ
右門捕物帖:14 曲芸三人娘
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
組み敷かれた武士はその間に傷いた手で河内介の上帯をしっかと
捉
(
とら
)
え、
左手
(
ゆんで
)
に
小刀
(
しょうとう
)
を抜き放って所嫌わず突きにかゝった。もはや此の場合、一人と一人では生捕りにする餘裕はない。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そして
右手
(
めて
)
には重そうな
大
(
おお
)
一番のトランク、
左手
(
ゆんで
)
には金の
握
(
にぎ
)
り
太
(
ぶと
)
のステッキです。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
老人は、細長い身を、まっすぐに、
左手
(
ゆんで
)
で、しずかに、
白髯
(
はくぜん
)
をまさぐったが
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
竜之助はこの
体
(
てい
)
を見て、例の切れの長い白い光のある眼の中に充分の冷笑をたたえて、なんともいわず身をクルリと神前に向けて一礼し、
左手
(
ゆんで
)
に幔幕を上げてさっさと引込んでしまいました。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
かの
巴里
(
パリ
)
新流行とか云ふ淡緑の衣着けたる一美人を
左手
(
ゆんで
)
にかばひつゝ、ライン河の南岸に立ちて、大空に
驕
(
おご
)
る
巨鵬
(
きよほう
)
の翼の
己
(
おの
)
が頭上を
掠
(
かす
)
めざらむ事を
維
(
こ
)
れ恐るゝ状をなすものは仏蘭西にあらずや。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
仰ぎ見れば、彼ワットはガウンを着て
椅子
(
いす
)
に腰を掛け、大きな
靴
(
くつ
)
をはいて、左の足を後ろに引き、右の足を前に出し、紙をひざにのべ、
左手
(
ゆんで
)
にその端をおさえ、
右手
(
めて
)
にはコンパスを握っている。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
政宗は抜かぬ刀を
左手
(
ゆんで
)
に取り絞って、ギロリと南の方を
睥睨
(
へいげい
)
した。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
右手
(
めて
)
は勇
左手
(
ゆんで
)
は仁や
懐手
(
ふところで
)
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
猛
火
(
くわ
)
の
天衣
(
てんね
)
左手
(
ゆんで
)
に
焔の后
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
「御免なさいな。」となお笑いながら平気なもので、お夏は下に居て片袖の
袂
(
たもと
)
を添えて
左手
(
ゆんで
)
を膝に置いて、
右手
(
めて
)
で蔵人の
背
(
そびら
)
を
撫
(
な
)
でた。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
左手
(
ゆんで
)
の壁にかゝっているのは、去年の二科の展覧会にかなり世評を騒がした新帰朝のある洋画家の水浴する少女の裸体画だった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
と俺が視線を外にそらす間も与えず、いきなり肉づきのいい
左手
(
ゆんで
)
の袂をぐっとまくりあげながら、其の腕を俺の目の前に差出したのである。
彼が殺したか
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
突然太刀を
左手
(
ゆんで
)
に引き付け右足をトンと踏み出したが、「いや貴殿を討つことはならぬ。貴殿の父上庄八郎殿には日頃からご恩を
蒙
(
こうむ
)
っておる」
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ルパンは大急ぎで階段を降りて、その
扉口
(
とぐち
)
へ近づいた。
扉
(
と
)
は閉じられてある。
左手
(
ゆんで
)
を見ると例の下のはめ板をはずした穴があいているらしい。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
暫く、そうしてから、腹のたるんでいる皮を、
左手
(
ゆんで
)
へ、ぐっと、引寄せると同時に、刀尖を、その指の際へ当てて、肩で、大きい呼吸をした。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
彼は今艦橋の右端に達して、双眼鏡をあげつ、艦の四方を望みしが、見る所なきもののごとく、
右手
(
めて
)
をおろして、
左手
(
ゆんで
)
に欄干を握りて立ちぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
又小虫を払う事にも慣れて、
成丈
(
なるたけ
)
小虫の集らぬ様に避け、或は払うて、
左手
(
ゆんで
)
に蕨を握り、且つ小虫を払い、
右手
(
めて
)
にて採る。
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
雨龍太郎は憤怒の
形相
(
ぎょうそう
)
凄まじく、
左手
(
ゆんで
)
に捻った大刀の鯉口、ぱッと柄手に唾をくれるや右手をかけてぎらりと一閃
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
左
常用漢字
小1
部首:⼯
5画
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
“左手”で始まる語句
左手後