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小刀
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ナイフ
ふりがな文庫
“
小刀
(
ナイフ
)” の例文
彼は口腔内にも光があるのを確かめてから、死体を
俯
(
うつ
)
向けて、背に現われている鮮紅色の屍斑を目がけ、グサリと
小刀
(
ナイフ
)
の刃を入れた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
……そこで宵の
間
(
ま
)
に死ぬつもりで、
対手
(
あいて
)
の
袂
(
たもと
)
には、
商
(
あきない
)
ものの、(何とか入らず)と、懐中には
小刀
(
ナイフ
)
さえ用意していたと言うのである。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
第一そんな気を起こす前に、大抵の人なら、
小刀
(
ナイフ
)
を
頸
(
けい
)
動脈へつきさして、時間的に、そういう考えの起こる余裕を無くしているだろう。
秘密
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
「おまえ、豚におなり。ぼくは、ぶたをつぶす人になる」と言って、抜き身の
小刀
(
ナイフ
)
を手にとるなり、弟の
咽喉
(
のど
)
を、ぐさりと突きました。
子どもたちが屠殺ごっこをした話
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
文吾は手早く
小刀
(
ナイフ
)
を取りだすと右手に空缶をつかんでいる一人の胸へ当てて、蒼黒い布をさっと引きさいた。そして
兜
(
ヘルメット
)
をぬがせた。
水中の怪人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
玩具
(
おもちゃ
)
といっても、木の幹を
小刀
(
ナイフ
)
一本で
削
(
けず
)
って、どうやら舟の形に似せたもので、土人の
細工
(
さいく
)
物のように不器用な、小さな
独木舟
(
まるきぶね
)
だった。
チャアリイは何処にいる
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
先生は直ぐに紅矢の腕に取り付いて、二の腕の処に
小刀
(
ナイフ
)
を突き立てて、ギリギリと引きまわしましたが、何の役にも立ちませんでした。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
そのうちに、彼は手に持っている道具を靴造り用の
小刀
(
ナイフ
)
に持ち替える必要が出来た。その
小刀
(
ナイフ
)
は彼女の立っている側と反対の側にあった。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
菊
(
きい
)
ちゃんは
未
(
ま
)
だ七つか八つで、泣き虫だ。
一寸
(
ちょっと
)
頭の毛を引張っても直ぐに泣く。殺してしまうといって
小刀
(
ナイフ
)
を見せても泣く。泣いてばかりいる。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
兵さんは低く
呻
(
うな
)
ると、サッと右手を前へ突きだした。次郎はワッと言って尻餅をついた。兵さんの手には、三四寸の
肥後守
(
ひごのかみ
)
の
小刀
(
ナイフ
)
が握られてあった。
あまり者
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
タオルには折ったあいだへ、石鹸や歯みがきは包み紙に、
小刀
(
ナイフ
)
には
柄
(
え
)
へ飾り、靴下はなかへ落し、その他の小箱類には蓋の内側へ貼りつけたりして。
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
『
其時
(
そのとき
)
は、
此
(
この
)
武村新八郎
(
たけむらしんぱちらう
)
が
先鋒
(
せんぽう
)
ぢや/\。』と
威勢
(
いせい
)
よくテーブルの
上
(
うへ
)
を
叩
(
たゝ
)
き
廻
(
まわ
)
すと、
皿
(
さら
)
は
跳
(
をど
)
つて、
小刀
(
ナイフ
)
は
床
(
ゆか
)
に
落
(
お
)
ちた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
それから私が手洗をすまして帰って来ると、その人は棚の上の信玄袋から、梨と
小刀
(
ナイフ
)
を取り出し私にもすすめた。
猫と村正
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
その
瑣細
(
ささい
)
な
道理
(
だうり
)
と
云
(
い
)
ふのは
例
(
たと
)
へば、
眞赤
(
まツか
)
に
燒
(
や
)
けた
火箸
(
ひばし
)
を
長
(
なが
)
い
間
(
あひだ
)
持
(
も
)
つてると
火傷
(
やけど
)
するとか、
又
(
また
)
は
指
(
ゆび
)
を
小刀
(
ナイフ
)
で
極
(
ごく
)
深
(
ふか
)
く
切
(
き
)
ると
何時
(
いつ
)
でも
血
(
ち
)
が
出
(
で
)
るとか
云
(
い
)
ふことです。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
すると、今まで黙つて見てゐた智慧者のM氏がついと立ち上つたと思ふと、ポケツトから鉛筆削りの
小刀
(
ナイフ
)
を取り出して、いきなり久米氏の口の中に突つ込んだ。
茶話:06 大正十一(一九二二)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
中から出たのは
四切
(
よつぎり
)
の写真で、平泉館の地下の宝庫の絵図面が、銅板の原図よりも明瞭に見られるばかりでなく、端っこの方に、
小刀
(
ナイフ
)
か何かで引っ掻いた文字。
水中の宮殿
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
机の上の傷は
小刀
(
ナイフ
)
で白く
抉
(
えぐ
)
った傷である。X形のもあればS形のもある。ある傷は故意に付けたものだ。
扉
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
キリストの名を唱えたり聞いたりすることは、
小刀
(
ナイフ
)
で突き倒されるよりも痛くこたえるからでした。
イワンの馬鹿
(新字新仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
新式のは
馬来
(
マレイ
)
半島のジヨホオルへ
行
(
ゆ
)
けば観られると云ふ事だ。樹幹にはどれにも左右から矢の
羽形
(
はがた
)
に斜めに
小刀
(
ナイフ
)
で欠刻を附け、更に中央に溝として一線が引いてある。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
……………………もう
是
(
これ
)
までと思った私は、矢庭に懐の
小刀
(
ナイフ
)
を抜くと、ぶッつかる様に、その友人の胸を目がけて突進しました。……………………一瞬間の出来事です。
双生児:――ある死刑囚が教誨師にうちあけた話――
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼が彼の
小刀
(
ナイフ
)
を筆入に入れないで、いつも
衣嚢
(
かくし
)
に入れていたのも、実はそのためだったのである。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
広田先生は書斎へ
行
(
い
)
つて、
小刀
(
ナイフ
)
を取つて
来
(
く
)
る。三四郎は台所から庖丁を持つて
来
(
き
)
た。三人で
柿
(
かき
)
を食ひ出した。食ひながら、先生と知らぬ男はしきりに地方の中学の
話
(
はなし
)
を始めた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
札場の若い男が昼の
桝
(
ボックス
)
に長々と寝て
西瓜
(
すゐくわ
)
の皮をペン
小刀
(
ナイフ
)
でむいて居る詩であつた。何の関係も無い事だがその詩を思出した。そして、「寂れた
沈着
(
おちつき
)
の無い町だ。」とこの町を見た。
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
アア口惜しの有様やとて、ほとんど自失せし様子なりしが、
忽
(
たちま
)
ち
小刀
(
ナイフ
)
をポッケットに
探
(
さぐ
)
りて、妾に投げつけ、また
卓子
(
テーブル
)
に突き立てて妾を脅迫し、
強
(
し
)
いて結婚を承諾せしめんとは試みつ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
土橋
(
どばし
)
の方角を指して帰って行く道すがらも、まだ捨吉はあの
旧
(
むかし
)
の窓の下に、あの
墨汁
(
すみ
)
やインキで汚したり
小刀
(
ナイフ
)
で
刳
(
えぐ
)
り削ったりした古い机の前に、自分の身を置くような気もしていた。壁がある。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ひどく
指垢
(
ゆびあか
)
のついた書物がめちゃくちゃに積み重ねてあり、名前の頭文字や、略さないで書いた姓名や、怪異な形の絵や、その他さまざまな
小刀
(
ナイフ
)
で彫りつけたものなどの、
創痕
(
きずあと
)
をつけられているので
ウィリアム・ウィルスン
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
烈々
(
れつ/\
)
と
燃
(
も
)
える
暖炉
(
だんろ
)
のほてりで、
赤
(
あか
)
い
顔
(
かほ
)
の、
小刀
(
ナイフ
)
を
持
(
も
)
つたまゝ
頤杖
(
あごづゑ
)
をついて、
仰向
(
あふむ
)
いて、ひよいと
此方
(
こちら
)
を
向
(
む
)
いた
父
(
ちゝ
)
の
顔
(
かほ
)
が
真蒼
(
まつさを
)
に
成
(
な
)
つた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
殊に
小刀
(
ナイフ
)
の扱い方がまるで外科医のように素人離れしていて鳥渡常識以上の人体解剖の知識と経験を示しているように思われることなど
双面獣
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
彼女がそうした時に奇妙な戦慄が彼を襲い、それが目に見えて彼の体中に伝わった。彼は彼女を見つめながら、
小刀
(
ナイフ
)
をそっと下に置いた。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
それから、医者の言葉によると、致命傷は、後頭部の打撲傷で、
小刀
(
ナイフ
)
は余程あとから死体にさしたものらしいということです。
予審調書
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
骨でも肉でも豆腐のように切れる鋭い
小刀
(
ナイフ
)
も、まるで鉛か銀のように
和
(
やわ
)
らかく曲がり折れて、
疵痕
(
きずあと
)
さえ付ける事が出来ません。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
驚いて
其
(
その
)
方を見ると、右手の林の中で、一人の怪漢が片手に角灯を持ち、片手に
小刀
(
ナイフ
)
を振上げて、一人の農夫のような男を
刺殺
(
さしころ
)
す有様が見えた。
天狗岩の殺人魔
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
僕は森川さんに決闘を申込む。
小刀
(
ナイフ
)
も持って来た。それから僕に黙っていてくれろって頼んだ事も皆新聞へ出してやります。お春さんだって……
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
卓子は、マアク・トウェイン、ビョルンソン、ゴウゴル、ゲエテ、グノウ、ビゼエと言った
詩人
(
ポエタ
)
達の、手垢と、
楽書
(
らくがき
)
と、
小刀
(
ナイフ
)
の痕とで、有名に装飾されてあった。
踊る地平線:10 長靴の春
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
「わたし、お
父
(
とう
)
さんからもらった
小刀
(
ナイフ
)
をあげるから、にがしておやり。」と、
光子
(
みつこ
)
さんはいいました。
花とあかり
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
僕等も試みに
小刀
(
ナイフ
)
を取つて欠刻を附けて見ると
直
(
すぐ
)
に牛乳の様な液が滴り、其れが端から凝結する。手に取つて
両指
(
りやうし
)
で引いて見ると、既に弾力性を持つて居て伸縮する。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
そう云って、隠していた
小刀
(
ナイフ
)
の
錐
(
きり
)
を、ポンと床のうえに投げ捨てたが、そうして、彼の詭策が成功したにもかかわらず、またもとの憂鬱な表情に帰ってしまうのだった。
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
我々があの人は
肉刺
(
フォーク
)
の持ちようも知らないとか、
小刀
(
ナイフ
)
の持ちようも心得ないとか何とか云って、他を批評して得意なのは、つまりは何でもない、ただ西洋人が我々より強いからである。
現代日本の開化
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼は返事をする代りに、思わず手を
衣嚢
(
かくし
)
に突っこんで、
小刀
(
ナイフ
)
を握った。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
『はゝゝゝゝ。
酷
(
ひど
)
い
目
(
め
)
に
逢
(
あ
)
つたよ。
然
(
しか
)
しこれで
當分
(
たうぶん
)
餓死
(
うゑじに
)
する
氣遣
(
きづかひ
)
はない。』と
私
(
わたくし
)
は
直
(
たゞ
)
ちに
小刀
(
ナイフ
)
を
取出
(
とりだ
)
した。
勿論
(
もちろん
)
沙魚
(
ふか
)
といふ
魚
(
さかな
)
は
左程
(
さほど
)
美味
(
びみ
)
なものではないが、
此
(
この
)
塲合
(
ばあひ
)
にはいくら
喰
(
く
)
つても
喰足
(
くひた
)
らぬ
心地
(
こゝち
)
。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
豹
(
へう
)
は
小刀
(
ナイフ
)
と
肉叉
(
にくさじ
)
を
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
裙
(
すそ
)
が
未
(
ま
)
だ
此
(
こ
)
の
肱
(
ひぢ
)
に
懸
(
かゝ
)
つて、
橋
(
はし
)
に
成
(
な
)
つて
床
(
ゆか
)
に
着
(
つ
)
く、
仰向
(
あふむ
)
けの
白
(
しろ
)
い
咽喉
(
のど
)
を、
小刀
(
ナイフ
)
でざつくりと、さあ、
斬
(
き
)
りましたか、
突
(
つ
)
いたんですか。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
背部に
小刀
(
ナイフ
)
がつきさしてあったことになっていますし、実際現場捜査の結果は林の陳述と一致しているのですが、御子息は
予審調書
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
晩飯を部屋へ取ったので、その時ついて来た
焼肉
(
ステイキ
)
用の鋭い
小刀
(
ナイフ
)
が、床に落ちていた。その刄に、電話線の包皮の絹糸の屑が、引っ掛っていた。
ロウモン街の自殺ホテル
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
が、彼女は片手を動して彼等を制止した。彼がその
小刀
(
ナイフ
)
で彼女を突き刺しはしまいかと、彼等は懸念したにしても、彼女は少しもしなかった。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
と叫びながら、懐から鋭い
小刀
(
ナイフ
)
を出して、その腕を黒くなった処から切り落そうとしました。これを見た両親はいきなり青眼先生の腕を捕えて引き離しながら——
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
その男だけのために
悦
(
よろこ
)
ばれる種々の他愛ない日用品——タオル・しゃぼん・歯みがき・
小刀
(
ナイフ
)
・靴下・その他・それぞれにリンピイの細工がほどこしてある——それから
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
四人は
種々
(
いろいろ
)
談話
(
はなし
)
をしながら
小刀
(
ナイフ
)
とホークをかちかちいわせている。行儀の悪い奴だ。あまり音をさせるものでないと、お母さんは始終いっている。乃公は時々神保さんの靴を引掻いてやる。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
男は
傍
(
かたわ
)
らにある
羊皮
(
ようひ
)
の表紙に朱で書名を入れた詩集をとりあげて膝の上に置く。読みさした所に
象牙
(
ぞうげ
)
を薄く
削
(
けず
)
った
紙
(
かみ
)
小刀
(
ナイフ
)
が
挟
(
はさ
)
んである。
巻
(
かん
)
に余って長く外へ
食
(
は
)
み出した所だけは細かい汗をかいている。
一夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
龍介は勧められるままに、博士たちと共に
小刀
(
ナイフ
)
を取りあげた。
骸骨島の大冒険
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
“小刀”の意味
《名詞》
(しょうとう)
「こがたな」の漢字表記。
(出典:Wiktionary)
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
刀
常用漢字
小2
部首:⼑
2画
“小刀”で始まる語句
小刀細工
小刀屑
小刀研
小刀針