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委
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まか
ふりがな文庫
“
委
(
まか
)” の例文
隣室の沈黙につれ、紀久子はその
身体
(
からだ
)
を
婆
(
ばあ
)
やの手に
委
(
まか
)
すようにした。婆やは紀久子の肩に手をかけて、ベッドの上へ静かに寝かした。
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
こんな深刻味のあるものを一女性の
繊手
(
せんしゅ
)
に
委
(
まか
)
せて
夫子
(
ふうし
)
自らは別の境地に収まっている。鴎外はなぜそんな態度を取っているのだろう。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
そして尾竹氏も去らうとして居られる時で編輯は平塚氏を助けて小林氏と私と三人でした。経営は東雲堂に
委
(
まか
)
してあつた頃でした。
『青鞜』を引き継ぐに就いて
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
もちろん何とかいった
髯博士
(
ひげはかせ
)
も知らないんだ。これはつまり特ダネ記事になるよ。特ダネは売れるんだ。よオし、おれに
委
(
まか
)
せろよ。
○○獣
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
善さん、私しに
委
(
まか
)
せておおきなさい、悪いようにゃしませんよ。よござんすからね、そのお金はお前さんの小遣いにしておおきなさい。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
▼ もっと見る
検温器を患者の
腋
(
わき
)
に
揷入
(
そうにゅう
)
したりして、失望したり、
慣
(
じ
)
れったがったりしたが、外へ出ない時も、お銀にばかり
委
(
まか
)
せておけなかった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
けれど彼は、足に
委
(
まか
)
せて行ける処まで行こうと思った。いつしか細い道は、
何処
(
どこ
)
にか消えて、自分は道のない沙原を歩いている。
薔薇と巫女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
……さりながら、女の世界での出来事は、男の世界からはうかがいしること出来ぬわい! そちたち
委
(
まか
)
せ! ……おさらばじゃ!
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「お父様! お願いでございます。瑠璃子を、無い者と
諦
(
あきら
)
めて、今後何を致しましょうと、
妾
(
わたくし
)
の勝手に
委
(
まか
)
せて下さいませんか。」
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
おのれの固定観念に固執して、彼女は、厚くて軽い雪の蒲団に覆われて、手も動かさず、足も動かさず、命をただ自然に
委
(
まか
)
せたのであろう。
狂女
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
自分らの食糧や衣類はおぼつかない海運に
委
(
まか
)
せた彼らが、この家の調度だけは、確実に、交互に、自分らの肩に担ってやって来たのである。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
答
(
こた
)
へられたが
愛
(
あい
)
ちやんには
愈々
(
いよ/\
)
合點
(
がてん
)
がゆかず、
福鼠
(
ふくねずみ
)
の
饒舌
(
しやべ
)
るがまゝに
委
(
まか
)
せて、
少時
(
しばらく
)
の
間
(
あひだ
)
敢
(
あへ
)
て
喙
(
くち
)
を
容
(
い
)
れやうともしませんでした。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
私の死ぬときが來たら、いかにも
聖徒
(
せいと
)
らしく落着き拂つて私を神さまへお
委
(
まか
)
せして了ふだらう。問題は私にとつて實に明瞭だ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
診断がすむと安先生、
委
(
まか
)
せておいてくれといわぬばかりな
態
(
てい
)
である。その自信ぶりを見て一同ホッと
安堵
(
あんど
)
の胸をなでおろした。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「御免なされませ。まことは私、盗みました。それも母親の大病、
医師
(
いしゃ
)
に見せるも、薬を買うも、心に
委
(
まか
)
せぬ貧乏ぐらしに」
怪異黒姫おろし
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
妾は未来の運を、ロダンさんの頑健な腕と異常な人格にお
委
(
まか
)
せしました。タキシード姿の役人が、奥のホールの奏楽場に妾達を案内しました。
バルザックの寝巻姿
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
私だっていつまでも生きているものじゃなし、伸太郎はあの気性で、あの子一人に何もかも
委
(
まか
)
せるのはどう考えても無理だと思いますからね。
女の一生
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
学校で習うだけで、後は全く自然に
委
(
まか
)
せた。それでも一学期の成績が案外好かった。無論、全甲は取れなかったが、二人とも十何番かだった。
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
わたしはこの罪深い歓楽に酔って彼女のなすがままに
委
(
まか
)
せていましたが、その間も彼女は何かと優しい子供らしい無駄話などをしていたのです。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
彼のなすままに
委
(
まか
)
せた、
女蕩
(
をんなたら
)
しの旦那に誘惑されるのもお前たちの罪だぞと一生懸命に罵りつづけて、堕落してやるぞ、堕落してやるぞと思つた。
一の酉
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
「本当によして頂戴」常子はそれを見て鶴子の手を
遮
(
さへぎ
)
つた。「女中にお
委
(
まか
)
せなさいよ。みんな手がすいてるぢやないの」
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
そうしてその事件の内容の、要点だけを解らなくした。正しい調査記録を当の本人の正木博士に引き渡して、焼くも棄てるも、その自由に
委
(
まか
)
した。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
今まで
診
(
み
)
せたうちで、博士といふ奴が三人もゐたけれど、一人として、命を
委
(
まか
)
せてもいゝと思ふやうなのはゐなかつた。第一、見立てがあやふやだ。
医術の進歩
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
先には先祖の徳が厚くて、及第者の名簿に乗っていたのですから、身を
委
(
まか
)
してましたが、今は奥さんを棄てたために、
冥官
(
あのよのやくにん
)
から福を削られたのです。
阿霞
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
河神
(
かしん
)
が来て、冴えた刃物で、自分の処女身を裂いても
宜
(
よ
)
い、むしろ裂いて
呉
(
く
)
れと
委
(
まか
)
せ切つた姿態を投げた——白野
薔薇
(
ばら
)
の花の咲き群れた河原のひと処
川
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
しかしながら経済は本来各国民の自由競争に
委
(
まか
)
すべきものであって、これに
毫末
(
ごうまつ
)
も政治的術策を加味すべきでない。
永久平和の先決問題
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
「筑摩軍記」に
曰
(
いわ
)
く、「去る程に織部正則重公数年以来病気の故を以て国中の仕置を老臣共に
委
(
まか
)
せ、己は奥殿に
引籠
(
ひきこもり
)
給て専ら桔梗の方の寵愛に政務を忘れ、 ...
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼女はまた恐らく自分だけで、共産主義者の国家で無政府主義者に子供の世話を
委
(
まか
)
すのは危険な事だと考へたらう。何れにしても私のもくろみは無駄だつた。
死んだ魂
(新字旧仮名)
/
エマ・ゴールドマン
(著)
「わしも黙って去る考えを持っておった。貴所に橘の君をお
委
(
まか
)
せをして、……だが、もうお譲りはできぬ。」
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
然しその人は個性の表現に於て delicacy の尊さを多く認めないで、乱雑な成行きに
委
(
まか
)
せやすい。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
聴水は打ち喜び、「
万
(
よろ
)
づは
和主
(
おぬし
)
に
委
(
まか
)
すべければ、よきに計ひ給ひてよ。謝礼は和主が望むにまかせん」ト。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
すると色目を使つたと云ふ、常に溌剌たる生活力の証拠は宇野氏の独占に
委
(
まか
)
すべきではない。僕も
亦
(
また
)
分け前に
与
(
あづか
)
るべきである。或は僕
一人
(
ひとり
)
に与へらるべきである。
解嘲
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ひとは何よりも多く虚栄心から模倣し、流行に身を
委
(
まか
)
せる。流行はアノニムなものである。それだから名誉心をもっている人間が最も嫌うのは流行の模倣である。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
後世にいわゆる奈良坂の夙とこれら非人との関係
如何
(
いかん
)
も注意すべき問題である。七道の者は唱門の進退に
委
(
まか
)
せられたが、夙はこれに関係することができなかった。
俗法師考
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
なおまたこの身にして彼のために要せらるるならば
何時
(
いつ
)
なりとも
爾
(
なんじ
)
の
御意
(
みこころ
)
に
委
(
まか
)
せ彼のために使用し賜え、この身は爾のものにして爾のために彼に与えしものなり
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
人間の事には内外両様の別ありて、
両
(
ふたつ
)
ながらこれを勉めざるべからず。今の学者は内の一方に身を
委
(
まか
)
して、外の務めを知らざる者多し。これを思わざるべからず。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
世には、全く無い場合を除けば、常に無限量が我々の処分に
委
(
まか
)
せられているような若干の利用がある。
純粋経済学要論:01 上巻
(新字新仮名)
/
マリー・エスプリ・レオン・ワルラス
(著)
時とすると、彼の指先が
烈
(
はげ
)
しい情熱を
以
(
も
)
って私の指をしめつけたりするのだけれど、私は無心を
装
(
よそお
)
って、
併
(
しか
)
しやや胸をときめかしながら、彼のなすがままに
委
(
まか
)
せた。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
朧夜の野道の化物も、草履取が一足先に廻って、そんな
悪戯
(
いたずら
)
をするのではないかと思うが、
固
(
もと
)
より想像に過ぎぬ。万事春の夜の
朧々
(
ろうろう
)
たる中に
委
(
まか
)
して置いて差支ない。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
遠州は茶器の
鑑定
(
めきき
)
が
巧
(
うま
)
かつたので、将軍はいつも大金をこの男に
委
(
まか
)
せて、
色々
(
いろん
)
な名器を集めさせた。ところが、遠州はその金を一万両ばかし自分の用に
費
(
つか
)
ひ込んだ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
甥
(
おい
)
、
女姪
(
めい
)
が敵討をするから、自分は留守を伜健蔵に
委
(
まか
)
せて置いて、助太刀に出たいと云うのである。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
一方に於て又この問題が全く『自然的本能』或は官能の満足に
委
(
まか
)
し去らるべきものと考ふる人々
恋愛と道徳
(新字旧仮名)
/
エレン・ケイ
(著)
全部
丁抹
(
デンマーク
)
側に
委
(
まか
)
せていると見えて、ただ入口に突っ立っているだけであったが、丁抹側の三十二、三の
痩
(
や
)
せた税関吏と、その上役らしい肥った四十くらいの税関吏とが
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
そして自分は寝床の上であぐらをかいてそのあとの恐ろしい呼吸困難に身を
委
(
まか
)
せたのだった。
のんきな患者
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
然し全體としてはさう
方外
(
はうぐわい
)
の儲けにもならなかつたので、大資本家からして段々引き締まる樣になり、人
委
(
まか
)
せではなく、自分身づから直接に建て網の監理をする樣になつた。
泡鳴五部作:04 断橋
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
その
音
(
おと
)
づれにすつかり
目
(
め
)
を
覺
(
さま
)
した
地上
(
ちじやう
)
の
雪
(
ゆき
)
は、
煽
(
あふ
)
られ/\て
來
(
く
)
る
風
(
かぜ
)
の
中
(
なか
)
にさら/\と
舞
(
ま
)
ひ
上
(
あが
)
り、くる/\と
卷
(
ま
)
かれてはさあつと
人
(
ひと
)
の
家
(
いへ
)
の
雨戸
(
あまど
)
や
屋根
(
やね
)
を
打
(
う
)
つ
事
(
こと
)
に
身
(
み
)
を
委
(
まか
)
してゐる。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
そがなすままに
委
(
まか
)
しおけば、奇異なる幻影
眼前
(
めさき
)
にちらつき、
𤏋
(
ぱっ
)
と火花の散るごとく、良人の
膚
(
はだ
)
を犯すごとに、太く絶え、細く続き、長く
幽
(
かす
)
けき
呻吟声
(
うめきごえ
)
の、お貞の耳を貫くにぞ
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
幸「頼みやんすは面白い、勝手を知りませんから万事お前に
委
(
まか
)
せるからよ、お前
何歳
(
いくつ
)
だえ」
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それにしてもこれから自分の身を二時間なり三時間なり
委
(
まか
)
せようとするその軽便が、彼らのいう通り乱暴至極のものならば、この雨中どんな災難に会わないとも限らなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その死を
止
(
とど
)
めんの一念より
他
(
た
)
あらぬ貫一なれば、かくと見るより心も空に、足は地を踏む
遑
(
いとま
)
もあらず、唯遅れじと思ふばかりよ、
壑間
(
たにま
)
の
嵐
(
あらし
)
の誘ふに
委
(
まか
)
せて、
驀直
(
ましぐら
)
に身を
堕
(
おと
)
せり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
委
常用漢字
小3
部首:⼥
8画
“委”を含む語句
委曲
委細
委敷
委員
委託
委蛇
源委
委曲詳細
委任
委積
委員会
委嘱
心委
委托
委細承知
出委
委陀
委却
市内衛生会委員
赤露非常委員会
...